生活保護受給者の総数は2015年(平成27年)をピークに緩やかな減少が続いていますが、葬祭扶助(そうさいふじょ)による葬儀、いわゆる「福祉葬」「生活保護葬」の件数は、逆に過去最多の更新を続けています。
その背景にあるのは、生活保護受給世帯の過半数を占めるまでになった単身高齢者世帯の存在です。
身寄りのない受給者が亡くなった際はもちろん、親族がいても遺体の引き取りを拒否されるケースが増えており、火葬から納骨までを公費と自治体の実務が支える構図が常態化しつつあります。
さらに、火葬後に引き取り手のない「無縁遺骨」は自治体の保管能力を超えるペースで増え続けており、財政面・物理面の双方から自治体を圧迫している状況です。
こうした流れは、地域の葬祭事業を担う葬儀社様にとっても無関係ではありません。
福祉葬の施行依頼は今後さらに増えると見込まれるうえ、行政や福祉機関との連携体制の有無が、地域内での葬儀社の立ち位置を左右する時代が近づいています。
そこで本記事では、葬祭扶助・無縁遺骨に関する最新の公表データをもとに現状を整理したうえで、自治体・国の対応、受給者本人が取り得る対策、そして葬儀社が取るべき向き合い方について解説いたします。
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目次
- 生活保護受給者は減少、なぜ「福祉葬」は増え続けるのか
- 受給者数は減少しても受給「世帯数」が減らない理由
- 受給世帯の過半数を占める高齢者世帯|その9割超が単身世帯
- 低年金・物価高・受給長期化|単身高齢受給者が増え続ける背景
- 葬祭扶助(福祉葬・生活保護葬)の執行件数と公費負担の現状
- 葬祭扶助の執行件数は年間5万件を突破
- 福祉葬の施行内容は実質「直葬」のみ|葬祭扶助基準額の範囲と限界
- 単身高齢者が集中する都市部で高まる施行需要
- 増加する「引き取り手のない遺体・遺骨」|実態調査が示す現状
- 年間約4.2万人|死亡者のおよそ37人に1人が引き取り手のない遺体に
- 自治体保管の遺骨は約6万柱|「身元判明者」の引き取り拒否という現実
- 自治体を圧迫する財政的負担と物理的負担
- 回収困難な火葬・埋葬費用
- 保管スペースの逼迫と親族捜索業務の増大
- 課題解消に向けた自治体・国の対応
- 横須賀市「エンディングプラン・サポート事業」にみる生前契約型支援
- 厚労省主導で広がる「身寄りのない高齢者等支援」モデル事業
- 国の制度整備が本格化|社会福祉法改正案の閣議決定
- 単身高齢の生活保護受給者が生前に取り得る対策
- 自治体の終活支援・生前登録制度の活用
- 葬祭扶助の対象外となる費用への備え|遺品整理・残置物の問題
- 福祉事務所・ケースワーカーとの事前相談の重要性
- 福祉葬の増加に葬儀社はどう向き合うべきか
- 福祉葬を「低収益案件」で終わらせない経営視点
- 自治体・福祉事務所から「指名される葬儀社」になるための体制整備
- 生前契約・終活支援への参画がもたらす安定的な相談導線
- おわりに~多死社会のインフラとして選ばれ続けるために~
生活保護受給者は減少、なぜ「福祉葬」は増え続けるのか

受給者数は減少しても受給「世帯数」が減らない理由

※2021〜2024年度は年度(4月〜翌3月)の1か月平均値、2025年は年間の累計・最新値ベースの推移です。