葬儀業界における高齢者単身世帯問題まとめ|直葬の需要増加要因を解説

葬儀業界における高齢者単身世帯問題

葬儀業界では、通夜式や葬儀・告別式を伴わない直葬(火葬式)に力を入れる葬儀社も増加傾向にあり、直葬に特化した直葬センターも各地に次々と誕生しています。
こうした動きの背景には、小規模化で低価格な葬儀に対する消費者ニーズの高まりなど、さまざまな要因があげられますが、高齢者単身世帯の増加もその一つとなっているようです。

一人暮らしの高齢者が自宅で亡くなったケースでは、発見が遅れる可能性が高くなるうえ、亡くなった方に身寄りがない場合は、さらに状況は複雑になります。
自治体による埋火葬がおこなわれる場合でも、ご遺体の搬送や安置については地域の葬儀社様が担うケースが多く、高齢者単身世帯の増加は葬儀業界にも大きな影響をおよぼします。

そこで本記事では、高齢者単身世帯の現状を把握すべく、さまざまなデータをもとに解説いたします。
死亡時の状況により異なる対応方法や、関連する法令などにも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

高齢者単身世帯の現状データ

高齢者データ

高齢者単身世帯、いわゆる「おひとりさま」の増加は、大きな社会問題ともなっているため、行政側でも実数の把握に取り組んでいます。
こうしたデータを確認すると、地域社会における高齢者問題の深刻さがうかがえます。

高齢者単身世帯数の推移

2022年9月に総務省が実施した調査では、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合が29.1%に達したようです。

参照:総務省統計局「高齢者の人口」

その結果、65歳以上の高齢者がいる世帯の割合は、令和元年(2019年)の時点で49.4%と約半数を占めています。
その内訳をみると、高齢者夫婦のみの世帯が最も多く32.3%、次いで単身世帯が28.8%となっており、両者を合わせると61.1%に達します。

下のグラフは高齢者単身世帯数の推移をまとめたものですが、年を追うごとに増加しているのが良く分かります。
これは、親・子供・孫の三世代同居が50%を超えていた昭和55年(1980年)にくらべ、日本における核家族化が著しく進んだ結果といえるでしょう。

一人暮らしの高齢者数推移-min
出典:内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」

上記のグラフを確認いただくと、男性にくらべ女性の比率が高くなっていますが、これは平均寿命の男女差によるものと思われます。

厚生労働省が発表した「令和4年簡易生命表」によると、男性の平均余命が81.05年なのに対し、女性は87.09年と6年以上の開きがあります。
高齢のご夫婦だけで暮らしている世帯で、どちらか一方が亡くなった場合、遺された方がそのまま一人暮らしになるケースが多いと推測されます。

地域ごとの高齢者単身世帯割合

前述したように、一人暮らしの高齢者は増加を続けていますが、増加のペースについては地域差があるようです。
下のグラフは、総世帯数に対する高齢者単身世帯の比率を、地域別にまとめたものですが、地域によって偏りがみられます。

地域別高齢者単身世帯比率
出典:国勢調査 時系列データおよび国勢調査 人口統計資料集をもとに葬研でグラフを作成

全国平均は12.06%となっており、すでに8軒に1軒が高齢者単身世帯になってる計算です。
北海道や四国地方では全国平均を大幅に上回っている反面、関東地方や中部地方では平均を下回る結果となりました。

また下記グラフは都道府県別の比率をまとめたものですが、和歌山県山口県・高知県・鹿児島県の数値が、顕著に高くなっている状況がみて取れます。
地域別でみると高齢者単身世帯比率がもっとも高い四国地方は、徳島県13.8%・香川県13.1%・愛媛県15.0%・高知県17.8%と、4県すべてで全国平均を上回っている状況です。

20230917_2020年 都道府県別 単身世帯率
出典:国勢調査 時系列データおよび国勢調査 人口統計資料集をもとに葬研でグラフを作成

当然ながら、この数値には親子の同居率が大きく影響しており、比較的同居率の高い東北地方や北陸地方・中部地方は全国平均を下回っています。
一方、上記グラフで高い値を示している和歌山県・山口県・高知県・鹿児島県は、いずれも同居率が低い地域となっています。

また同一地域内でも都道府県によって差異がみられ、近畿地方は全体でみると全国平均を上回っていますが、親子の同居率が高い滋賀県は高齢者単身世帯率が9.4%と、全国で最も低い割合となっています。

参照:内閣府ホームページ『都道府県別 同居率の推移(1980~2010年)』

ただ、親子同居率が高い地域では高齢者単身世帯率が低いといった単純な話ではないようで、親子同居率が非常に低い東京都や神奈川県の高齢者単身世帯率は、全国平均を下回っています。
一方、同居率が高い秋田県は高齢者単身世帯率が全国平均を大きく上回っていますが、これは日本で最も高齢化率が高い地域である点も一因になっているようです。

参照:内閣府『地域別に見た高齢化』

生活保護受給世帯における高齢者世帯数の推移

生活保護を受けている世帯の総数は平成27年(2015年)をピークに減少傾向にある一方、高齢者世帯は増加を続けています。
下記グラフは、生活保護を受給している高齢者世帯数の推移をまとめたものですが、1998年から2022年の期間に3倍以上となっているのがお分かりいただけるかと思います。

生活保護受給高齢者世帯数
出典:厚生労働省『生活保護制度の現状について』

生活保護受給世帯総数に占める高齢者世帯の割合も高まり続けており、令和4年(2022年)3月時点では約56%に達しています。
さらに生活保護を受給している高齢者世帯のうち、単身世帯が92.3%を占めているようです(令和4年3月時点)

単身高齢者が死亡した場合の対応

単身高齢者

データ上は同じ「高齢単身世帯」であっても、暮らしぶりや周辺環境は1人ひとり異なるため、亡くなった際に必要となる手続きも変わってきます。

1人暮らしであっても身近に頼れる血縁者がおり、日常的に交流があるようなケースでは、弔いに必要な手続きも比較的スムーズに進むことが多いでしょう。
しかし、亡くなった方に身寄りがない、あるいはご遺体の引き取り手がいない場合は、手続きが煩雑になるため、葬儀や埋葬まで長い時間が必要となることも少なくありません。

また亡くなった方が置かれていた状況によって、関連する法律も異なります。
ここでは、高齢単身者が亡くなった際の、状況ごとに異なる対応方法や、よりどころとなる法令、行政の対応範囲などについて解説します。

関連法令

法律

誰にも看取られることなく亡くなった場合は、基本的に警察による検視(けんし)がおこなわれますが、死因に不審な点等が見つからなければ、ご遺体は遺族に引き渡されます。
1人暮らしの高齢者が亡くなった場合、原則的には遺族や近親者などがご遺体を引き取り、葬儀や埋火葬をおこなうのが一般的です。

しかし亡くなった方に身寄りがない、あるいは身元不明の場合などは、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」および「墓地、埋葬等に関する法律」の規定にもとづき、死亡地の自治体が埋火葬をおこなうこととなります。
また亡くなった方が生活保護を受給していた場合は、葬儀費用の拠出について「生活保護法」が関連するケースもあります。

行旅(こうりょ)病人及行旅死亡人取扱法

老人一人

行旅(こうりょ)病人及行旅死亡人取扱法は、旅行中に病気やけがで動けなくなった人の救護(きゅうご)や、亡くなった方の死後処理について規定した法律で、明治時代に制定されました。
もともとは、文字通り旅行中の方のみを対象にしていましたが、現在ではホームレスや失踪人(しっそうにん)など、居住地を定めずに移動している人物全般を含んでいるようです。

また行旅死亡人(こうりょしぼうにん)については、身元が判明しない、あるいは遺体の引き取り手がない死亡者などを総体的に指す言葉として捉えられているようです。
そのため、亡くなった単身高齢者が身元不明の場合や、ご遺体の引き取り手がない場合も、行旅死亡人として扱われます。

墓地、埋葬(まいそう)等に関する法律

墓地

墓地、埋葬(まいそう)等に関する法律は、ご遺体の埋葬方法や火葬手順、火葬施設や墓地の管理運営などについて定めた法律です。
墓地、埋葬等に関する法律の第9条には、以下のように記載されています。

  • 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
  • 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

亡くなった単身高齢者が身元不明の場合、上記の条件「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないとき」に該当します。

生活保護法

生活保護制度

日本の最高法規は日本国憲法ですが、その第25条には以下のような記載があります。

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
・国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

出典:日本国憲法

この憲法第25条の理念にもとづいて制定されたのが生活保護法であり、その第1条には以下のように記されています。

この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

出典:日本国憲法

生活保護法の第18条では、葬祭扶助(そうさいふじょ)についても以下のように規定されています。

(葬祭扶助)
第十八条 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
 検案
 死体の運搬
 火葬又は埋葬
 納骨その他葬祭のために必要なもの

 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

出典:生活保護法

生活保護を受けていた方が亡くなった場合も、原則的に葬儀費用は祭祀継承者となる遺族や親族などの扶養義務者(ふようぎむしゃ)が負担することとなります。
しかし扶養義務者も生活保護受給者である場合や、経済的に困窮(こんきゅう)していて葬儀費用が負担できない場合は、自治体が支給する葬祭扶助(そうさいふじょ)の範囲で葬儀を営むことができます。

*扶養義務者とは
配偶者、または生活保護受給者と同居する三親等までの親族で、父母・祖父母・曽祖父母・兄弟姉妹・子、孫・曽孫がこれにあたる。

また亡くなった方に身寄りがない場合は、生前に親しくしていた友人や、亡くなった方が居住していた家の大家さん・入院先医療機関の院長など、親族以外の方が葬儀を執り行うことも可能です。
こういったケースでは、亡くなった方が遺した資産で葬儀費用が賄えない場合に、葬祭扶助の範囲内で不足分が支給されます。

*葬祭扶助の基準額
満12歳以上:206,000円以内、12歳未満:164,800円以内と定められており、さらに自治体ごとに上限額が設けられている

葬祭扶助の範囲内でおこなう葬儀は、必要最低限の内容となるため、通常は火葬のみで、一般的な通夜式や葬儀・告別式などはおこなわれません。
こうした形式で執り行われる葬儀は「福祉葬」「生活保護葬」「民生葬」などと呼ばれています。

身元確認状況による対応方法の違い

高齢者単身世帯に限らず、自宅などで誰にも看取られず亡くなった方については、異状死として扱われるため、原則的には警察による検視が実施されます。
その際に、亡くなった方の身元が分かるものがあれば、比較的早い段階で遺族や近親者に通知されますが、スムーズに連絡が取れるケースばかりではありません。

亡くなった方が単身高齢者の場合は、高齢者に特有の事情も加わるため、状況はさらに複雑化しがちです。
この章では、単身高齢者が亡くなった際の対応について、状況別に解説いたします。

身元が判明している場合

身元確認

1人で暮らしている親の家を子供や孫が訪ねた際に、亡くなっているのを発見したようなケースあっても、原則的に警察の介入は避けられませんが、事態が極端に複雑化することは少ないでしょう。

ご遺体の発見まで長期間を要した場合を除いて、身元確認や本人確認は容易ですし、警察による現場検証の時点で病死または自然死と判断されれば、ご遺体を警察に搬送されずに済むケースもあります。
上記のようなケースでは、葬儀までに必要となる過程も通常と大きく変わることはないため、比較的スムーズに進む可能性が高いでしょう。

一方、身元自体は判明しているものの、ご遺体の引き取り手となる親族探しが難航(なんこう)するようなケースでは、葬儀・火葬まで長い時間が必要となることもあるようです。
その間、ご遺体は警察や葬儀社の安置施設などで安置されることとなります。

また亡くなった方に身寄りがないことが判明した場合は、警察による検案など必要な手続きが済み次第、ご遺体は自治体に移管されます。
その後、ご遺体は自治体によって火葬されますが、ご遺骨の引き取り手がいない場合は、自治体が管理する無縁墓(むえんぼ)や納骨堂などに納められることが多いようです。

身元は判明しているものの引き取りを拒否された場合

単身高齢者については、親・兄弟といった身近な親族も高齢化している可能性が高く、周囲に頼れる身内がいないといった状況も珍しくないでしょう。
親族は見つかったものの、生前に顔を合わせたこともない遠縁(とおえん)の方ばかりといったケースでは、ご遺体の引き取りを拒否されることも少なくないようです。

また亡くなった単身高齢者に、子供や孫などの直系親族がいる場合でも、何らかのトラブルが原因で生前に関係性が悪化しており、親子関係が事実上破綻(はたん)しているようなケースでは、ご遺体の引き取りを拒否されることがあります。
道義上の責任はあるものの、法的に遺体引き取りの義務を負うという規定はないため、たとえ親子であっても、ご遺体の引き取り拒否は可能です。

*一般的に、同居の親族には遺体引き取りの義務が生じるとされているが、単身高齢者については同居人がいない前提のため、このケースには該当しない

ご遺体の引き取り手がない場合は、行旅死亡人として扱われるため、行政によって火葬されます。

身元が確認できない場合

火葬場

亡くなった単身高齢者の身元が確認できない場合は、行旅病人扱行旅死亡人取扱法にもとづき、自治体によって火葬されます。
また所持品などから身元が推定されるものの、遺体発見が遅れたために本人確認ができない場合は、DNA鑑定がおこなわれることもあります。

*DNA鑑定に要する期間は、おおむね1~3か月ほどとされていますが、その間はご遺体を火葬することはできません。

亡くなった単身高齢者が生活保護受給者だった場合

生活保護

生活保護を受給している単身高齢者がなくなった場合の対応は、ご遺体引き取り手の有無や、祭祀継承者(さいししょうけいしゃ)の経済状況などによって異なります。

*祭祀継承者(さいししょうけいしゃ)とは?
家系図などの系譜や仏壇・神棚といった祭具・お墓などといった祭祀財産を管理し、先祖代々の祭祀を引き継ぐ人物

ご遺体を引き取る親族などがいる場合、原則的に葬儀費用を負担するのは当該親族です。
しかし葬儀を執り行う喪主自身も生活保護を受給している、あるいは経済的に困窮しており葬儀費用を負担できない場合は、生活保護法で規定された葬祭扶助の範囲内で葬儀を営むことも可能です。

また亡くなった方に身寄りがなく、親族以外の第三者が葬儀を執り行うケースでも、生前に生活保護を受給していた場合は葬祭扶助の対象となります。

自治体の対応範囲

自治体

単身高齢者が亡くなった場合、状況によっては自治体が対応することもありますが、基本的には関係法令の規定にもとづいた必要最小限の範囲となります。
そのため自治体が取り扱う範囲は、亡くなった方の葬儀や埋火葬、および遺留金(いりゅうきん)の管理や相続人の探索などに限られ、それ以外の死後事務などは含まれません。

行政による埋火葬

前述したように、亡くなった単身高齢者の身元が確認できない場合は、行旅病人扱行旅死亡人取扱法にもとづき、自治体によって火葬されます。

後になって身元が判明する、あるいは引き取り手となる親族が見つかる可能性もあるため、ご遺骨や遺品は自治体で一定期間保管されます。
保管期間は自治体によって異なりますが、一定期間経過後も引き取り手が名乗り出ない場合、ご遺骨は自治体が管理する無縁墓や納骨堂などに収蔵(しゅうぞう)されることが多いようです。

また生活保護を受給していた単身高齢者が亡くなった際に、ご遺体の引き取り手がいないなどの場合も、生活保護法にもとづいて自治体が「福祉葬」をおこなうことがあります。
この場合も、自治体が管理する無縁墓や納骨堂などにご遺骨を収蔵するのが一般的な対応です。

遺留金の管理

亡くなった単身高齢者に身寄りがなかったとしても、葬儀費用は原則的に遺された資産(遺留金)で賄われ、不足した金額を葬祭扶助で補うというのが、基本的な考え方です。
遺留金を葬儀費用に充当したのちに残った資産については、相続人の不在が確定すれば国庫に帰属(きぞく)することとなります。

遺留金取り扱いの流れ-min
出典:厚生労働省『身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引』

高齢者単身世帯増加が葬儀業界に与える影響

お葬式

今回紹介したデータを見る限り、一人暮らしの高齢者、いわゆる「おひとりさま」は、年々増加する傾向にあるようです。
こうした傾向は今後も継続すると予想されており、葬儀業界に与える影響も増大すると考えられます。

葬儀社の業務負担増加

少子高齢化や核家族化などの影響から、「おひとりさま」の中には、近くに頼れる身内がいない方や身寄りのない方、また経済的に困窮して生活保護を受給している方も少なくありません。
こうした状況にある方が亡くなった場合、葬儀や埋火葬に必要となる手続きも、通常とは異なるものとなります。

いずれのケースでも、本来は遺族や近親者が果たすべき手続きを、行政が代行する部分が発生するため、一般的な葬儀のようにスムーズに進まない可能性があります。
また、通常は喪主や遺族がおこなう作業も、葬儀社側で代行せざるを得ない状況になりがちです。

さらに本人確認や身元確認に時間がかかるようなケースでは、遺体安置が長期化する可能性もあるなど、葬儀社側の負担は増加する可能性が高いでしょう。

直葬(火葬式)の需要が高まる

霊柩車

前述したように、亡くなった単身高齢者の身元が確認できない、あるいは遺体の引き取り手がいないといったケースでは、自治体による葬儀・埋火葬がおこなわれます。
この場合、葬儀費用は公費で賄われるため、支出できる金額に限りがあることから、火葬のみの葬儀、いわゆる直葬(火葬式)となるのが一般的です。

高齢者単身世帯の増加は当面のあいだ続くと考えられていますので、必然的に直葬の需要も拡大し続けることが想定されます。
葬儀業界にとって、直葬の増加は歓迎されるものではありませんが、新規参入事業者にとっては好都合な面もあります。

一般的な葬儀を施行するためには、一定レベル以上の知識や経験が必要となりますが、火葬のみをおこなう直葬であれば、求められるスキルはさほど多くありません。
極端な話となりますが、ご遺体を安置するスペースさえあれば開業は可能ですし、霊柩搬送自動車事業者と連携すれば、直葬の形式的な施行自体は可能です。

また既存の葬儀社様にとっても、収益性が低く簡素な葬儀内容となる直葬は、本業と切り離したほうが効率的に運営できるという面もあります。
直葬に特化した別会社として運営すれば、すでに一定の信頼を得ている葬儀ブランドや、企業イメージを毀損(きそん)するリスクを、最小限に抑えることも可能です。

各地に次々と直葬センターが誕生している背景には、こうした葬儀業界内の事情があるものと考えられます。
現在の日本を取り巻く状況を考えると、高齢者単身世帯が減少する要素はほとんど見当たらないため、今後も直葬センターのような事業形態の増加は続きそうです。

まとめ

本記事では、単身高齢者世帯の増加について各種データをもとに解説しつつ、葬儀業界に与える影響について考察しました。
地域別、都道府県別の高齢者単身世帯割合などのデータは、各葬儀社様の事業に直結する要素となりますので、今後の事業方針策定の参考にしていただければ幸いです。

もともと、火葬のみで弔う直葬は、一般に広くおこなわれるような葬送形式ではなく、「福祉葬」などが多くを占めていました。
現在では直葬プランを用意している葬儀社も多く、直葬を選択する一般消費者も増加傾向にあるといわれていますが、葬儀の施行数全体に占める割合は10%ほどとされており、将来的にも爆発的な増加は考えにくい状況です。

一方で、高齢者単身世帯の増加に起因する直葬の需要は、今後も拡大する可能性が高いため、各葬儀社様が取り扱う直葬の施行数自体は増加するものと思われます。
こうした点を考慮すると、各葬儀社様でも地域の高齢者単身世帯数などを把握して、対応を検討すべき状況といえるでしょう。

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