業界団体は、ある特定の業務に携わっている企業や個人を会員としている非営利団体です。
墓石業界にも、さまざまな団体があります。
近年、核家族化や少子化が進み価値観の変化もあって、古来よりおこなわれていた故人の葬送の方法が変わりつつあります。
墓石に対する考え方も同様で、供養の方法が多様化しており「墓石離れ」が進んでいます。
そこで全国の墓石事業者が団体に加入して連携し、それぞれの意見や消費者のニーズを把握することが重要になります。
消費者のニーズにもとづき、これからの供養の方法を提案することをめざしています。
この記事では、墓石事業者の団体のひとつ「全国優良石材店の会(全優石)」についてご紹介します。
全国優良石材店の会(全優石)の概要
全国優良石材店の会(全優石)は、1983年東北工業株式会社 社長 吉田 剛を会長として設立されました。
全国の石材店300社あまりが会員となり構成されています。
消費者が一生に一度のお墓づくりを安心して任せられる、石材店の「目印」となることをめざしています。
【名称】一般社団法人 全国優良石材店の会
【代表理事】吉田 剛
【所在地】〒141-0021 東京都品川区上大崎2-7-15
【公式HP】zenyuseki.or.jp
全国優良石材店の会(全優石)の事業内容
全国優良石材店の会では、消費者が想いを込めて建てるお墓を安心して任せられるのはもちろん、建てたあとも「墓守(はかもり)」として見守っていくことを使命としています。
社会貢献活動や、環境問題にも取り組んでいる団体です。
認定全国優良石材店
全国優良石材店の会では、消費者が安心して墓石の相談、用命ができるように、認定制度を導入しています。
2年ごとに審査をおこない、認定を受けた石材店は目印としてロゴを掲げています。
認定店には「全優石認定 お墓相談員」が在籍。
相談員は、4年に一度更新試験を受けることを義務づけています。
出典:全国優良石材店の会
ダブル保証制度の「保証書」
全優石認定店でお墓を建てた消費者には、保証書が発行されます。
お墓を建てた石材店が、建てたあとのケアも責任を持って対応することを保証するものです。
万一建てた石材店が倒産や廃業した場合、組織全体でお墓を守る「ダブル保証制度」システムとなっています。
お墓づくりコンテスト
お墓を建てる時、亡くなった家族に対する想いを込めたお墓を建てたいと考えることと思います。
そんな家族の想いを込めた、お墓のデザインコンテストをおこなっています。
消費者が家族へ想いをはせて考えたお墓が、その想いとともに紹介されています。
東日本大震災の支援活動
被災地支援に向け「復興プロジェクトチーム」を発足し、復興に向けた支援活動を実施。
全国の全優石会員が被災地区の墓地の復旧、復興に駆けつけました。
支援活動の様子は、新聞や多くのメディアに取り上げられました。
津波記憶石プロジェクト
従来のように津波の到達点を示すためだけではなく、忘れてはならないという意味も込めて「津波記憶石」と名づけました。
津波の事実と教訓を意味する文言が刻まれています。
被災地の約500㎞に、500の石碑を建立することをめざしています。
世界や日本の有名デザイナーが応援し、アートとして新しい観光スポットとなることでしょう。
この取り組みが評価され、2018年7月復興庁で感謝状が授与されました。
緑の募金活動
美しい地球を後世に残すことを目的に、2007年から「緑の募金」活動に参加しています。
お台場で開催された「国際森林デー2017 みどりの地球を未来へ」のイベントに公共事業推進委員会で参加。
また、東日本大震災の津波で防風林が壊滅した、千葉県山武市蓮沼殿下海岸(九十九里浜)の海岸林復興に取り組みました。
NPO法人 森のライフスタイル研究所とともに、黒松3,000本を植樹。
2009年9月には「富士山下刈り」事業の緑化運動に参加しました。
アンコールワット参道修復工事支援
吉田代表理事が30年前に主宰していた「石文化サロン」での講演をきっかけに、上智大学元学長の石澤先生と交流があります。
先生より「アンコールワット西参道修復事業(日本とカンボジアの技術交流研修)」に、現地での技術指導に協力を要請されました。
全優石会員の協力を得て「世界遺産アンコールワット参道修復支援事業」を支援しています。
全国優良石材店の会(全優石)の特徴
全国優良石材店の会は、石材業を「心の福祉産業」と位置づけています。
消費者に石材や、お墓に関する相談活動をおこなってきました。
会員に対してもさまざまな支援をおこなっています。
おもなものは以下のとおりです。
全優石ふろむな俱楽部
全優石の加盟店でお墓を購入された消費者に「全優石ふろむな俱楽部」という特典サービスを設けています。
全国各地の提携宿泊施設、レジャー施設、人間ドック、介護サービスなどが会費無料で利用できます。
倶楽部専用のHPの運営もおこなっています。
会員の支援
会員の経営や販売に対する支援をおこない、相互の業績の向上を目的としています。
石材等の共同販売促進のための企画、出版物やPR用品の開発と会員への販売をおこなっています。
会員の資質向上のための研修や情報の提供、会員の親睦と情報交換のための交流会も開催しています。
全優石の出版物
全優石の代表理事である、吉田 剛が執筆したお墓に関する著作物が多数あります。
「あなたはいつもそこにいる」「想いを込めた新しいお墓づくり」「新時代の私のお墓」など。
また、お墓に関するさまざまなテーマをわかりやすくまとめた季刊誌「石 Ishi」や石材店情報誌「こころと絆」を発行しています。
全国優良石材店の会(全優石)のTVCMとチャンネル
全国優良石材店の会では、イメージキャラクターの名取裕子さんを起用しTVCMをおこなっています。
小林亜星さん作詞作曲の全優石イメージソングも作成しました。
YouTubeでは、全優石チャンネルとして「名取裕子の素敵なお墓のストーリー」「夫婦で話そうお墓のこと」などを配信。
「感動するラジオCM」も配信し、多様化するお墓問題を消費者が考えるきっかけになっています。
お墓博士(全優石会長 吉田 剛)の一言
全優石HPより全優石会長である、吉田 剛氏の一言をご紹介します。
津波の恐ろしさを後世に伝える津波記憶石建立事業
宮城県女川町に28基目となる津波記憶石を建立しました。2011年3月、東日本を襲った未曾有の大震災は多くの尊い命を奪い去りました。お墓作りは「心の福祉産業」をモットーに31年前に設立された全優石です。
何かお役に立てることはないか…、否、お役に立つべきだという強い意志のもと震災発生直後に東日本復興支援委員会を設置し、義援金の募集を始め倒壊した墓石の修復支援隊の派遣など、様々な支援活動を行って参りました。
津波記憶石建立事業もその活動の一つで、犠牲になられた多くの方々の霊を慰霊すると共に、津波の恐ろしさを後世に伝える為、津波が襲った被災地のウオーターライン500キロに500基の津波記憶石を建立していこうという壮大な事業です。
この度28基目となる津波記憶石を女川町へ寄贈、去る11月26日に除幕式が執り行われました。
当日は荒れ模様の天候で残念ながら室内での式典となりましたが、女川町長始め、地元関係者多数参席のもと執り行われ、地元の皆様に喜んでいただきました。女川町の人口は1万人、そこへ最大津波高20メートルとも言われている津波が襲いかかり、死者・行方不明者827名という県内でも最大の被害を被りました。震災発生の翌月、私も現地を視察しましたが、住宅地は原爆でも落とされたかのように見渡す限りの瓦礫、海辺から100メートルぐらい離れたのところに建っていた4~5階建てのビルが横転、女川駅から200メートル以上離れた丘の中腹にある墓地の墓石の上に列車が押し上げられていたり、その光景は想像も及ばないものでした。
茲に改めて亡くなられた方々のご冥福を衷心よりお祈り申し上げますと共に、この記憶石が少しでも慰霊の役割を果たしてくれることを願ってやみません。
出典:全国優良石材店の会『お墓博士(全優石会長 吉田 剛)の一言』
なお、今日までに建立した津波記憶石の素材(石)、加工、施工等々すべて全優石会員のボランテイア協力によってなされていることを申し添えますと共に、昨今のせちがらい世の中において、このような会員がいることをとても誇りに思っております。
2014年12月2日
まとめ
全国優良石材店の会は、消費者に対して石材やお墓に関する相談活動をおこなうと同時に、会員にも販売や経営の支援をおこなっています。
社会貢献活動や環境問題にも力を入れており、組織のモットーである「お墓づくりは心の福祉産業」を表しているのではないでしょうか。