社長インタビュー

たまのや 代表取締役 安斎紀之氏 社長インタビュー

投稿日:2019年4月8日 更新日:

福島県を地盤に事業を展開している総合葬祭業の「たまのや」。今回「たまのや」で代表取締役を務める安斎紀之社長にお話しを伺いました。

 

「たまのや」は上場企業「こころネットグループ」の中核企業として成長

Q:地域の葬儀社として約130年前に創業された「たまのや」さんが、ここまで大きな企業に成長した要因を教えていただけますか?

当社は個人商店として脈々と事業を続けてきました。変わってきたのは、昭和48年(1973年)に東北地方の葬儀社としてはいち早く葬祭会館(福島市五月町の「さつき会館」/平成10年(1998年8月)閉館)を開設したあたりからです。

昭和52年(1977年)化し、昭和54年(1979年)に現在の本社がある黒岩に「たまのや斎苑」をオープンしました。ちなみに「斎苑」という言葉を葬祭会館に用いたのも「たまのや」が最初です。以降、平成3年(1991年)1月の創業100周年を前後して、福島市内はじめ、郡山、会津若松エリアを中心に葬祭会館を展開し、平成26年(2014年)に葬祭会館の名称を「たまのや こころ斎苑」に統一しました。

たまのや本社「こころ斎苑 黒岩 (旧:黒岩斎苑 中央ホール)」

「たまのや」の本社も兼ねる、福島県福島市黒岩に位置する「こころ斎苑 黒岩 (旧:黒岩斎苑 中央ホール)」

大きな転機となったのは、平成17年(2005年)11月「カンノ・グループ」との経営統合です。翌平成18年(2006年)4月に「こころネットグループ」が発足し、ライフサポートサービスをより総合的に支援する企業グループになり、「たまのや」は、グループの中核となる葬祭事業をリードしてきました。

平成24年(2012年)4月には、こころネットがJASDAQに上場したことで、信用力を背景としたM&Aによる拡大が可能になり、友好的M&Aを推進してきました。葬祭事業では、平成25年(2013年)4月に福島県郡山市の「郡山グランドホテルグループ」がグループ入りし、同グループの葬祭事業を平成26年(2014年)4月にたまのやが譲受しました。平成27年(2015年)に茨城県牛久市の「牛久葬儀社」がグループ入りし、茨城県に進出を果たしました。平成29年(2017年)12月には福島県本宮市の「玉橋」が、平成30年(2018年)12月には、栃木県宇都宮市の「北関東互助センター」がグループ入りしました。牛久葬儀社は平成29年(2017年)9月に、「玉橋」は平成31年4月に、それぞれたまのやと経営統合を行い、グループシナジーを追求しています。

 

Q:M&Aを続けることで会社も大きくなっているのですね。今後もM&Aは続けていかれるのでしょうか?

一般に後継者問題の結果として経営統合が起こっているのも事実です。こころネットグループでは引き続き友好的M&Aを推進していますが、闇雲に規模の拡大を追い求めるような形で「何年後に会館を何店舗に増やす」という目標は持っていません。

経営統合をするからにはシナジー効果を考える必要がありますし、葬儀社の統合で難しいのは地域性です。たとえ同じ県内であっても風習やしきたりなどが異なりますから。

これから葬儀の施行数は増えていくでしょう。そして人口統計の計算上では件数のピークアウトが2040年頃と予想されています。そのときいかに会社を存続させていくかが非常に大事です。2040年以降は様相が変わってきますので、場合によっては今のような大きな会館は必要なくなり、リノベーションして小分けにするというニーズも出てくるでしょう。これからは機動力をアップするような小さな葬儀会館も必要になってくるのではないでしょうか。現在ある会館をリノベーションしたり、中古物件を改装して葬儀会館にしていくことも珍しくなくなると考えています。

たまのや(こころネットグループ)及び安斎社長の年表

年度たまのや(こころネットグループ)安斎社長
明治25年
(1892年)
玉野屋の屋号で葬具取り扱い店を創業 
昭和31年
(1956年)2月
玉野屋本店として葬祭事業を開始 
昭和51年
(1976年)4月
 福島相互銀行
(現:福島銀行)に入行
昭和52年
(1977年)7月
たまのやに組織変更 
平成17年
(2005年)5月
 カンノ・コーポレーション
(現:こころネット)に入社
平成17年
(2005年)11月
石材事業の企業グループ「カンノ・グループ」と、冠婚葬祭事業の企業グループ「アイトゥアイ・グループ」が経営統合 
平成18年
(2006年)4月
こころネットグループが発足 
平成21年
(2009年)6月
 たまのや
 取締役に就任
平成24年
(2012年)4月
こころネットがJASDAQ上場 
平成24年
(2012年)6月
 こころネット
 常務取締役に就任
平成27年
(2015年)6月
 たまのや
 代表取締役に就任
平成27年
(2015年)7月

茨城県牛久市の葬儀社「牛久葬儀社」がグループ入り

 
平成29年
(2017年)9月
牛久葬儀社をたまのやに経営統合 
平成29年
(2017年)12月
福島県本宮市の葬儀社「玉橋」がグループ入り 
平成30年
(2018年)12月
栃木県宇都宮市の「北関東互助センター」がグループ入り 
平成31年
(2019年)4月
玉橋をたまのやに経営統合 

 

 

葬儀の相談からアフターサポートまで 人に寄り添う心を持つ人材が当社の強み

Q:「たまのや」さんの強みは何でしょうか?

グループとしては、関連会社に石材、生花、葬具などを扱う企業がありますので、葬祭に関する全てを一気通貫で提供できることが強みだと思います。

また、葬儀というものはお葬式当日だけで完結するものではなく、葬儀が発生する前の事前相談からスタートし、葬儀が終わった後には四十九日法要などの儀式があります。始まりから最後まできちっとサポートしていくことを大切にしていて、それを実現するには仕事に従事するスタッフの活躍が何より重要です。

商売中心に効率化ばかり考えていくと、サービスの手抜きや数をこなす(売上げ至上主義)になっていきます。しかしやはり、葬祭業を営んでいく以上は苦情を受けるような商売はしたくないと考えています。そのためには誠心誠意の対応という王道を歩むことが鉄則です。

当社では、葬儀後にお客様の声を聞くためにアンケートをとっています。そこで把握する限り80~90%は満足していただいています。葬祭業もサービス業である以上、やはり「人対人」なんですね。ですので、きちんと人の心に寄り添う事ができるスタッフの存在が、もう1つの当社の強みです。

 

安定した銀行員から異業種へ52歳で飛び込んだ

Q:「たまのや」さんは創業約130年にもなる老舗企業ですが、安斎社長はいつ頃入社されたのですか?

私はもともと福島銀行(旧:福島相互銀行)の銀行マンでした。福島銀行では銀行の支店長を務めたほか、総合企画部の課長や労働組合の書記長などを経験しました。そこで30年近く働いた後、縁あって石材事業を展開するカンノ・コーポレーション(現:こころネット)に転職しました。

Q:30年も銀行に勤めた後に転職とは!チャレンジングなことですね!!

52歳での転職でした。ただ、銀行にいた頃にも出向という形で水産卸売業の会社へ3年半ほど勤めたり、労組組合の専従として活動したり、多種多様なことに関わってきました。そこで感じたのは、同じサラリーマンであるなら銀行の仕事だけで一生を終えるのではなく、様々な経験をするほうが楽しい人生が送れるのではないかという気持ちです。カンノ・コーポーレーションに転職したときも石のことはまったくの門外漢でした。

Q:銀行員時代と現在、大きな違いはありますか?

銀行ではTOPに立ったことはないですから、比べると今は大きく違いますね。「たまのや」は社員約270名の会社ではありますが、TOPとして自分の考えを社員に伝えていかなければなりません。一兵卒だった銀行員時代とは責任の重さがまったく異なります。

また、葬祭業は365日24時間稼働する業界ですので、完全な休みというものがないという違いもあります。夜間搬送もやっていますから、夜中にそれがどのくらい稼働しているのかが毎日気になりますね。ですので朝は6時半頃には出社して夜間に何件搬送があったのかチェックしています。その後、8時くらいまでには稟議などの決裁をして朝一番ですぐに社員が動ける体制を整えるようにしています。私の信条として、「社員が働きやすい環境を作りたい」という想いがあり、曲げられないことです。

その代わり、退社時間は早いですよ。だいたい18時には帰るようにしています。

こころネットグループのことを記した書籍『感動のある人生を。』(IN通信社刊)

Q:安斎社長のご趣味は?

私は野球観戦が好きなんですよ。とくに高校野球と大学野球。ですので土日に連休をとって野球観戦に行くことが一番の楽しみです。4月から11月のシーズンは学生野球の観戦に忙しい日々を送ることが多くなっています。

毎年、春と夏には高校野球観戦に行っています。自分自身で野球の経験はほとんどありません。20数年ほど前に“夏の甲子園"へ息子と一緒に観戦に行ってからハマりました。“夏の甲子園"は本当に暑いですが、熱中症寸前になりながら観戦しています(笑)。また、大学野球は出身校である法政大学を応援しています。大学野球はいつも1シーズンに3回か4回くらいは観戦に行っていますね。

Q:これからの「たまのや」が目指すことはどのようなものでしょう?

当社の事業基盤は、大都会ではなく福島という地域ですので、フェイストゥフェイスがサービスの原点です。そのため、派手な宣伝などせず地域貢献や一人一人のお悩みに耳を傾けるなど、地道に穏やかに人に寄り添い仕事を進めていくことが第一だと考えています。

人とのつながりを大切にし、地元から愛されるよう努力し続ける企業でありたいと思っています。

たまのやの企業理念

「私たちは、お客様のこころに寄り添います」

「私たちは、葬送儀礼文化の第一人者としての誇りを胸に成長していきます」

「私たちは、こころ紡ぐライフサポート企業として地域に貢献し続けます」

 

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葬研(そうけん) 編集部

葬研(そうけん) 編集部

葬研(そうけん)編集部のメンバーが“価値ある葬儀施行を求める葬儀社のみかた”をコンセプトに、商材・サービス・動向等をお届けしていきます。

編集部では、加熱する市場に対する興味から業界・企業分析をおこなう者、身内の遺品整理で興味を抱いたきっかけで葬儀のニュース収集をおこなう者、情報の非対称性に疑問を抱いたきっかけから企業の比較をおこなう者等の葬儀に関連するメンバーが結集して作り上げています。

"ないものをつくる作業"が大半です。

記事には加筆・修正もあるかと思いますが、温かい目でみてもらえると幸いです。

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