海外のデステック(デス×テクノロジー:死と看取りに関わる領域のデジタル化)動向を追うとき、「欧州」をひとまとめに理解しようとすると、かえって本質を見失います。
なぜなら欧州では、国ごとに異なる法律がサービスの設計そのものを決めているからです。
英国でオンライン遺言が急成長する一方、ドイツでは「遺言は全文手書きでなければ無効」という民法の規定が同種サービスのあり方を根本から変えています。
本記事では、英国ファーウィルの買収と遺言法改革、ドイツのアフィリオ、北欧のソレスケアなど6つの軸から欧州デステックの最前線を整理し、日本の葬祭業界でどう活かせるかを考えます。
また、各企業がどんな需要に向けて何を提供し、どのように収益を上げているのかにも触れていきます。自社の終活サービスや相続支援の方向性を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
デステック全体の動向や他国の状況については、関連記事「世界のデステック最前線|葬儀・供養産業の海外事例と日本市場への示唆」で解説しています。
目次
- なぜ欧州を「一つの市場」として語れないのか
- 遺言のルールが事業モデルを決める|英国とドイツの分かれ目
- 英国の遺言は「手書きでなくてもいい」
- ドイツの遺言は「全文手書きでなければ無効」
- 同じ「オンライン遺言」でも中身が違う
- 英国ファーウィル|遺言最大手が葬儀事業との一体化へ進んだ理由
- 弁護士より手軽な遺言作成で最大手に
- 買収を機に、遺言から火葬サービスへ方向転換
- なぜ「遺言だけ」では収益化が難しいのか
- 英国の遺言法が約190年ぶりに刷新へ|電子遺言を盛り込んだ改革案
- 改革の柱となる3つの勧告
- 立法は停滞、しかしコモンローは柔軟
- ドイツ アフィリオ|「全文手書き」の壁をどう乗り越えたか
- 草案はオンライン、清書は手書きの二段構え
- 入口は無料、収益は会員サービスと周辺を収益源とする
- 日本の自筆証書遺言とそっくりな構造
- 北欧ソレスケア|保険会社がお金を払うグリーフケアの仕組み
- 遺族の「手続きの負担」を軽くする
- 北欧デジタルIDという真似できない強み
- お金を払うのは遺族ではなく保険会社
- オランダ・ベルギー|安楽死の合法化が新たな需要を生む
- 認知症の前に意思を残す「事前指示書」のデジタル化
- 医師・患者・審査委員会をつなぐ手続きの電子化
- 安楽死による死別は悲嘆の質が違う
- ドイツ マイネエアデ|遺体を土に還す「人体堆肥化」の法制化
- 約40日で遺体を栄養豊富な土壌に変える
- 州政府と組んでルールそのものを作った
- ニッチ特化で生き残る欧州のデステック企業たち
- 欧州デステック市場から日本の葬儀業界が学べる3つのこと
- 学べること(1)「遺言だけ」では事業が続かない
- 学べること(2)手書き要件はデジタルと両立できる
- 学べること(3)保険会社との連携で集客コストを抑える
- まとめ|法律の違いを前提にした欧州型の進化に学ぶ
なぜ欧州を「一つの市場」として語れないのか

遺言のルールが事業モデルを決める|英国とドイツの分かれ目
