碑文谷 創
週刊誌は「終活」特集満載!
『週刊現代』では、2月以降
・最後の手続き大特集
・死ぬ前に用意しておくこと
・間違いだらけの死後の手続き
・子供がいない夫婦が用意する死後の手続き
・親戚に財産を取られないための死後の手続き
・認知症にかかったな、と思ったらすぐやること
・樹木希林らしい最後の手続き
『週刊ポスト』も負けてはいない。
・消費税10%時代の老後マネー防衛マニュアルー年金課税、介護、老人ホーム、相続、リフォーム、葬式、墓
・お金の家族会議-年金、相続、老人ホーム、実家の処分、親の借金、生命保険、医療費、介護費、遺言、葬式費用、墓、遺品整理
・年金大減額時代の防衛術
・親がボケる前、ボケた時やるべきこと
・親が死ぬ前、死んだ時に必要な29の手続き
・親が死んだ時に一番大変な葬式と相続の手順
・親が死ぬ前、死んだ後の準備―相続大改正まで4カ月
・死んだ時より大変 親の介護
・相続の大問題―不動産と借金
『週刊朝日』では、
・書き込み式死後の手続き
・生前にできる死後の手続き
・困る前に整える死後の手続き
・葬儀をせずに幸せに逝く
・夫や妻と死別後の手続き
・死後の手続きQ&A 30問
・いい遺言が妻や夫、子を守る
・最後で失敗しない死後の手続き
・定年後の手続き
週刊誌はいま「終活」特集満載の異常な時代を迎えている。まるで他に話題にすることがないかのように。
理由は簡単だ。終活テーマは「売れる」のだ。
いま総合週刊誌の主要読者層が60代、70代と高齢化していることもその理由だ。
記事そのものは、私も一部コメントを寄せたりしているので言いにくいのだが、まさに玉石混交、レベルが低く、質が低い記事も多い。
編集者は売れる鉱脈を見つけた、とばかりに特集するが、情報がいのちの雑誌なはずなのに、記事の質にはまるで関心がなく、どうでもいいようなのだ。
結果、いい加減な知識、情報が氾濫することになる。
週刊誌が「売れる」といって終活する人が増えるかというならばそうではない。
高齢者でも「終活」に関心を示すのが4割近くあるものの、実際に準備に着手しているのは1割に満たないのが実状。それでも結構な数にはなる。
人生90年時代の到来
よく「人生100年時代」といわれるが、少し先走っている。
2017(平成29)年の簡易生命表によると、平均寿命は、
男性81.09年、女性87.26年
となっている。
よく言われているように江戸時代、明治時代の平均寿命は40代であったと推測されている。
現代では40代は働き盛りだが、当時は40代で「隠居」というのも珍しい話ではなかった。
(80,90、100で死亡する人もいたが、その割合が低かった、という話である。加えて乳幼児死亡率が極めて高かった。)
「長寿」が一般的になったのは戦後の現象である。医療の発達・施設拡充、公衆衛生の向上が大きく貢献した。
1960(昭35)年 男性65.32年、女性70.19年
1985(昭60)年 男性74.78年、女性80.48年
2010(平22)年 男性79.55年、女性86.30年
平均寿命とは0歳児の平均余命のことである。定年を65歳とすると、2010年の65歳の人の平均余命は男性19.57年、女性24.43年となる。
65歳の定年後、あくまで「平均的」にであるが20~25年生きることになる。
1960(昭35)年当時の定年は55歳が多く、60歳が目標になったのが86(昭61)年、98(平10)年に60歳未満の定年が禁止、2000(平12)年に65歳が努力義務化、2013(平25)年に義務化された。
寿命中位数
「寿命中位数」というのがある。「生命表上で、出生者のうちちょうど半数が生存すると期待される年数」のことであり、これが実態に近い。
2017年で見れば、
・男性 ・女性
平均寿命 81.09年 平均寿命 87.26年
寿命中位数 84.08年 寿命中位数 90.03年
ここで女性の半数が90年以上生きる時代になった。人生100年時代は30年以上後の話。
もっとも、別な言い方をするならば、女性でも90歳未満で死ぬ人が半分いるということだ。子どもで死ぬ人も、若くて死ぬ人も、壮年で死ぬ人もいる。誰もが「長寿」というわけではない。