葬儀業界2大イベントまとめ|葬儀業界の問題点改善のヒントを解説

FBF2023 アイキャッチ

新型コロナウイルスの感染症拡大から5類に移行するまでの約3年間で、世の中には想像を超える変化が起こりました。
特に葬儀業界は葬儀規模の縮小や簡素化がすすむなか、大きな転換を迫られているといっても過言ではないでしょう。

ライフエンディング業界恒例のイベントであるフューネラルビジネスフェア」「エンディング産業展ともに5類に移行後、初めての開催となりました。
葬儀業界の最先端の情報が集まる展示会で、出展企業様が提案する商品やサービスは、そうした世相を色濃く反映してます。

本記事では、2023年に開催された「フューネラルビジネスフェア」「エンディング産業展」について振り返るとともに、来年の開催に向けた動きについて、2023年10月時点でわかっている開催の概要についても紹介します。

目次

葬儀業界2大イベントの概要

葬儀業界では、年間を通してさまざまなイベントが行われています。特に大きなイベントとも言えるのが「フューネラルビジネスフェア」と「エンディング産業展」でしょう。
どちらもライフエンディング業界にたずさわる人を対象とした展示会であり、最先端の設備や技術、サービス、情報を得ることができる場となっています。

フューネラルビジネスフェア2023

フューネラルビジネスフェア2023

綜合ユニコム株式会社様が主催する葬祭サービス産業の総合展示会です。
2020年はコロナ禍により中止となったものの、2023年で26回目を迎えています。

今年は、メインテーマに『「新たな葬送のカタチ」へのアプローチ』を掲げ開催されました。

フューネラルビジネスフェア2023

「フューネラルビジネスフェア2023」開催概要
会期:2022年6月20日(火)10:00〜17:00
   2022年6月21日(水・友引)10:00〜16:30
会場:パシフィコ横浜 展示ホールC・D
主催:綜合ユニコム株式会社

フューネラルビジネスフェア2023
フューネラルビジネスフェア2023

来場者数
6/20(火) 曇り/晴れ 6,813名
6/21(水) 曇り/晴れ 5,002名
総来場者数:11,815名(前回比116.4%)
出展企業数160社(カタログ展示含む)

直近の6年間の来場者数を見てみると、2020年は開催を中止、2021年、2022年ともに来場者数は新型コロナ発生前の水準を大きく下回ったものの、2023年はほぼコロナ禍前の来場者数に戻っていることがわかります。
出展企業数においては、2019年を大きく上回る結果となりました。

第9回 エンディング産業展

ENDEX2023

エンディング産業展は、今年で9回目の開催になりました。
葬儀・埋葬・供養・相続などの終活産業に関する設備・機器・サービスなどを提供する企業が集まる商談展示会です。

これまでの主催は、TSO International 株式会社様でしたが、2023年は東京博善株式会社様へ事業譲渡され、初めての開催となりました。

ENDEX2023

 「第9回エンディング産業展」開催概要

会期:2023年8月29日(火・友引)~31日(木)
会場:東京ビッグサイト 南展示棟1・2ホール
主催:東京博善株式会社
共催:TSO International 株式会社

ENDEX2023
ENDEX2023

来場者数
8/29(火) 晴れ 4,343名
8/30(水) 曇り 4,090名
8/31(木) 晴れ/曇り 3,586名
総来場者数:12,019名(前回比92.8%)
出展企業数:107社

来場者数は、昨年と比較するとやや減少傾向にあるものの、コロナ禍が始まった2020年からの4年間における来場者数はほぼ横ばいといった状況です。
一方で、出展企業数は減少しています。

今回のエンディング産業展は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、それほど間を置かずに開催されました。
そのため、出展企業様も来場を検討してた人も手探り状態だったことも考えられます。

本格的な葬儀業界の変化がどう反映してくるのか、来年以降の出展企業数、来場者数に注目していきたいところです。

葬儀業界の動向

葬儀業界にたずさわる企業様にお話を伺うと、もともと葬儀の簡素化、規模の縮小化をする傾向にあったものが、コロナ禍により加速したと感じているようです。

葬儀件数
出典:「特定サービス産業動態統計調査」対個人サービス業「葬儀業」(経済産業省)をもとにグラフを作成

葬儀業の売上高と取扱件数の推移をみるとその変化が著しいことがわかります。

売上高が大きく下がっている2020年から2022年の3年間は、コロナ禍による行動制限がありました。2023年の調査結果が出るのは先のことになりますので、一概には言えません。
しかし、葬儀の現場にいる人からは、引き続き家族葬など小規模な葬儀を選ぶ人が多く、コロナ禍前の葬儀規模に戻ることはないのではないかという声も耳にします。

このグラフからは葬儀単価の減少がみて取れますが、葬儀費用を抑えたいという理由から家族葬を選択したとしても、ご遺族様の負担が軽減されるとは限りません。
実際のところ、少人数での家族葬を選択した場合、葬儀費用自体は抑えられる反面、当然ながら受け取る香典は少なくなりますので、結果的にご遺族様の費用負担が、かえって増加してしまったというケースも少なくありません。
葬儀社様では、ご遺族様にこういった情報を提供したうえで、希望に沿った葬儀プランを提案していく必要があります。

また葬儀費用とは関係なく、人間関係の希薄化、ごく親しい人だけで送りたいなど形式にとらわれない葬送を望むなどの時代による価値観の変化から、家族葬を選択する人も多いようです。
これからの葬儀業界は、時代の変化に沿った新たな価値の提案が必要になっていくのかもしれません。

葬儀業界が抱える問題点

ヒント

葬儀業界が抱える問題点は、葬儀の形の変化だけではありません。新たな課題も生まれているようです。

  • 供養の形の変化

家族構成や生活スタイルの変化に伴い、供養の形も大きく変わっています。
納骨方法も多様化しており、従来の墓石ではなく、シンボルツリーを供養の対象とする樹木葬や、天候に関係なくお参りが可能な納骨堂を選択する方も増えているようです。

また「お墓を継ぐ人がいない」「子供や孫に面倒をかけたくない」といった理由から、永代供養墓への改葬をおこなう方もいらっしゃいます。
しかし実際には、親子間のコミュニケーション不足による取り越し苦労というケースも多いようですので、親族が集まる葬儀は交流を深める良い機会になるかもしれません。

  • 葬儀の縮小化による心残り

葬儀の簡素化・縮小化が進む一方、弔い不足を感じているご遺族様も少なくありません。
特に、費用面を重視して直葬を選択した結果、しっかりとしたお別れが出来ずに、後悔しているというご遺族様も少なからずいらっしゃるようです。
こうした後悔が残らぬよう、葬儀社側でもしっかりと聞き取りを行ったうえで、葬儀プランを提案すべきでしょう。

また、家族や近親者のみでの家族葬が増加したことにより、葬儀に参列できず心残りを感じている故人様の知人や友人も多いようです。
こうした不満に対応すべく、後日に「偲ぶ会」を催すケースもあるようですが、そもそも故人様に友人・知人が多い場合は、家族葬ではなく一般葬にするという選択肢もあります。

家族葬を希望されるご遺族様に対しても、一般葬と家族葬のメリット・デメリットを伝えたうえで、後悔のない葬儀を提供したいものです。
こうした課題に対するヒントが、フューネラルビジネスフェアやエンディング産業展で見つかるかもしれません。

  • 葬儀業界の人材不足

葬儀業界は転職が多く、慢性的な人材不足に悩む葬儀社様も少なくありません。
さらに今後は、少子高齢化により労働人口が減少すると予想されていますので、人材確保はこれまで以上に難しくなると考えられます。
こうした状況に対応すべく、これまでより少ない人員で業務を遂行することができるシステムも、複数企業で開発されており、今後は葬儀業界もDX化が進むと思われます。

  • その他

多死社会を迎えるにあたり、火葬場待機問題によるご遺体の保全、SDGsや新たな供養の形の提案など今後を見据え、変化の時代だからこそ葬儀業界には解決すべき課題がたくさんあります。

最新の情報の入手方法

フューネラルビジネスフェアやエンディング産業展を新商品・サービスの発表の場としている企業様も多くあります。
葬儀業界の最先端を体感できるフューネラルビジネスフェアやエンディング産業展では、出展する企業様の動向を知ることで、葬儀業界の変化を感じることができるかもしれません。

来場する葬儀業界関係者にとっては、メーカー様やサービスを提供する企業様から、直接話を聞ける貴重な機会となります。
また出展する企業様にとっては、実際に商品を手に取ってもらい、話ができる効率のよい営業ができる場であることはもちろん、新たな商品・サービスの開発に向け、葬儀社様のニーズをとらえる機会とも言えるでしょう。

時代の変化に対応するサービス

ここでは、実際にイベントに参加していた葬儀業界の変化に対応するサービスや商品を提供する企業様を紹介します。

株式会社アスカネット様

アスカネット
出典:株式会社アスカネット

葬儀における環境が大きく変化するなかで、葬儀社様向けのソリューションを提案しているのがアスカネット様です。「収益確保」「業務効率」「人材不足」など葬儀社様の抱える問題を解決するサービス『葬テック』について紹介していました。

tsunagoo(つなぐ)」は、Webページとして生成、そこから弔電、供物、香典受付までスマホで完結でき、喪家や会葬者と葬儀社様の双方にとって非常に便利なサービスです。

公式サイト:https://www.asukanet.co.jp/

株式会社丸叶むらた様 

丸叶むらた
出典:株式会社丸叶むらた

家族葬の増加により、葬儀が済んだ後に訃報を知るケースが増えています。
友人や知人が亡くなり、故人のために何かしたいが、香典を送ってご遺族に気を遣わせたくないというお悩みに応えたギフトセットを紹介していました。 

公式サイト:https://marukanou.co.jp/

タイムリープ株式会社様

タイムリープ
出典:タイムリープ株式会社

少ない人数で多くの店舗で接客できる遠隔接客サービス「RURA」を紹介していました。
人材が足りないものの拠点を増やしたいと考える葬儀社様に店舗の無人化を推進し、オンライン接客を提案しています。

公式サイト:https://timeleap.co.jp/

株式会社吉澤企画/AUDEN JAPAN様

AUDEN JAPAN
出典:AUDEN JAPAN

英国AUDEN社の葬儀用のストレッチャーや担架・安置台の展示をしていました。
女性1人でも葬儀場内の搬送・安置を対応できるよう設計されています。

AUDEN JAPAN公式サイト:https://auden.jp/ 

有限会社エスケー

エスケー
出典:有限会社エスケー

「赤」や「黄色」といったビビッドな色彩の骨壺など、斬新なデザインを取り入れ、エンドユーザーを意識した商品を提案しています。 

公式サイト:https://www.aichi-biz.com/search/companies/536/

株式会社コーリング

コーリング
出典:株式会社コーリング

ドライアイスの代わりにご遺体を保全する「遺体凍結装置 エコ・スーパーコールドX-Ⅱ」を展示していました。
交換の必要がないため従業員の負担が軽減できるほか、ドライアイスの仕入れにかかる費用を抑える、CO2が発生しないため、環境に優しいなどのメリットがあります。 

公式サイト:https://www.supercold-calling2019.com/

フューネラルビジネスフェア|過去の出展企業一覧(五十音順)

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
フューネラルビジネスフェア2023

2024年 葬儀業界のイベント

今回、紹介した「フューネラルビジネスフェア」「エンディング産業展」ともに、来年の開催に向けて動き始めています。
2023年10月現在でわかっている情報について紹介します。

 フューネラルビジネスフェア2024

フューネラルビジネスフェア2024

会期:2024年5月29日(水)10:00〜17:00/30日(木・友引)10:00〜16:30
会場:パシフィコ横浜 ホール C・D
主催:綜合ユニコム株式会社/月刊フューネラルビジネス
WEBサイト:https://www.sogo-unicom.co.jp/funeral/fair/index.html 

第10回エンディング産業展

エンディング産業展

会期:2024年8月28(水)/29日(木・友引)10:00~17:00
会場:東京ビックサイト 南展示場棟
主催:東京博善株式会社 共催:TSOInternational株式会社
WEBサイト:https://ifcx.jp/

これまでのエンディング産業展は3日間の日程で実施されてきましたが、第10回は2日間でおこなわれるようです。

まとめ

本記事では、「フューネラルビジネスフェア」「エンディング産業展」のイベント情報を中心に葬儀業界の問題点と解決の糸口についてまとめました。

3年という長いコロナ禍を経て、時代の変化がどこに着地するか不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
一方で時代の波に乗ることができれば、大きく躍進する可能性を秘めているとも考えられます。
効率よく最新の情報を得られる「フューネラルビジネスフェア」「エンディング産業展」などの場は非常に重要になるかもしれません。

2024年の両イベントは、新型コロナウイルスが5類に移行し、丸1年を経て開催されます。新しい時代に新たなアイデアが生まれてくることを楽しみに待ちたいと思います。 

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