フューネラルビジネスフェア2023まとめ|現地の様子や来場者数・出展企業インタビューなどを紹介

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数多くの葬儀関連企業が出展するフューネラルビジネスフェアですが、2023年は6月20日・21日の2日間にわたって開催されました。
新型コロナが5類相当に移行してから初の開催ということで、多くの方が足を運ばれており、大きな盛り上がりをみせていました。

本記事では、来場者数や現地の雰囲気、出展されている企業様からうかがったお話など「フューネラルビジネスフェア2023」に関する情報をお届けします。

目次

■イベント概要

名称:フューネラルビジネスフェア2023
会場:パシフィコ横浜 展示ホールC・D
日時:2022年6月20日(火)10:00〜17:00
   2022年6月21日(水・友引)10:00〜16:30

■会場までのアクセス

フューネラルビジネスフェア2023|過去6年間における来場者数の推移

新型コロナ前後のフューネラルビジネスフェア来場者数の推移をまとめました。
第26回となったフューネラルビジネスフェア2023年の来場者数は、前回を大きく上回る結果となっています。

FBF2023出展社数・コマ数

・フューネラルビジネスフェア2023来場者数
6/20(火) 曇り/晴れ 6,813名(前回比114.0%)
6/21(水) 曇り/晴れ 5,002名(前回比119.8%)
総来場者数:11,815名(前回比116.4%)
出展企業数160社(カタログ展示含む)

FBF来場者数グラフ

今回「フューネラルビジネスフェア2023」を訪問して感じたのは、出展企業様のブースに立たれている方の多くを、20代から30代の若い世代が占めている点です。
来場されている葬儀業界関係者の方々に積極的に声をかけ、少しでも話を聞いてもらおうとしている姿が印象的でした。

フューネラルビジネスフェア2023出展企業様インタビュー

葬研では「フューネラルビジネスフェア2023」出展企業様の生の声を伺うべく、各ブースを回ってインタビューを実施しました。
ここからは、広報担当者様から伺ったお話を紹介するとともに、それぞれのブースに展示されていた最新の商品なども紹介いたします。

株式会社 萩原

萩原祭壇

白木祭壇で有名な株式会社 萩原様のブースには、今回も多くの方が足を運ばれているようで、新作祭壇高級仏衣などについて質問する姿がブース内各所でみられました。
萩原様では位牌の販売にも改めて力を入れる方針とのことで、フューネラルビジネスフェア2023では、品質・価格・サービスに自信があるオリジナル位牌を数多く展示し、ブースを訪問された方々に広く紹介されていました。

また中核商品である白木の祭壇や棺などは、今回も数多く展示されていました。

かじや本店株式会社

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「いざ自身の終活を始めてみたら、自分が入りたい骨壺が見つからない」
千葉県富津市で「和葬空間 か志”屋」を運営するかじや本店株式会社 代表取締役社長 平野清隆様が、素焼きメッセージ骨壺「襷〜たすき〜」を開発したきっかけだったそうです。

かじや平野社長

父親を56歳という若さで亡くした平野社長は、「自身にもいつ何があるか分からない」と考えて終活に着手。

遺影の写真はすぐに決まったものの、骨壺がどうにも決まらない。

さまざまな葬具メーカーさんの骨壺も魅力的ではあるものの、自分が求めているものとは何かが違う。

いろいろと考えた結果、自分の子供たちが描いた絵に覆われた骨壺に辿り着いたとのことでした。

素焼きメッセージ骨壺「襷〜たすき〜」のベースとなるのは、文字通りまっさらな素焼きの骨壺ですので、子供たちに絵やメッセージを書いてもらう以外にも、アイデア次第で活用法は無限に広がります。

「和葬空間 か志”屋」のお客様にも「襷〜たすき〜」を提案したところ、今では半数以上の方が利用されているようです。

かじや襷

実は「襷〜たすき〜」というネーミング自体にも、さまざまな想いが込められています。

  • まずは平野社長のお子様の名前が「たすき」さんであること。
  • 次に「和葬空間 か志”屋」を収益性の高い事業として、将来「たすき」さんに継承する(襷をつなぐ)こと。
  • さらに、葬儀に携わっている方々が「襷〜たすき〜」に触発され、新しいアイデアを出し合って葬儀業界全体を発展させ、また次の世代にバトンを渡せるようにすること。

こうした「襷〜たすき〜」の積み重ねによって、ともすれば縮こまりがちな葬儀業界を変えていきたいという思いがあるようです。

また平野社長は、現在の葬儀業界が低価格葬に偏った要因の1つは、喪主様やご遺族が葬儀の施行にほとんど関わらなくなっている点にあると話されています。

1件の葬儀を滞りなく営んでいただくために、どれだけの人が携わり、葬儀社がどれだけ心を砕いているかが一般消費者に伝わらなければ、葬儀の低価格化は止まらない。
葬儀に高い価値を見出してもらうためには、もっと喪主様やご遺族が葬儀の施行に参加していただき、葬送文化の持つ意味に触れてもらうべき。
そのために、より多くの葬儀社様に「襷〜たすき〜」を知ってもらい、葬儀単価を向上させるために活用してほしいとのことでした。

平野社長の本業は葬祭業ですので、素焼きメッセージ骨壺「襷〜たすき〜」の販売は株式会社 萩原様にお任せしている関係で、フューネラルビジネスフェア2023では萩原様ブース内での展示となったようです。
素焼きメッセージ骨壺「襷〜たすき〜」のベースはシンプルな素焼きの骨壺ですが、骨壷に絵や文字を書き込むというアイデア自体は特許出願中ですので、自社でも取り入れたいという葬儀社様は、株式会社 萩原様にお申し込みください。
(企業規模を問わず導入しやすいよう、低価格に設定されています)

参照:和葬空間 か志”屋『素焼きメッセージ骨壺「襷〜たすき〜」』

大栄株式会社

大栄

大栄株式会社様のブースでは、新作仏衣が一挙に展示されるということで、大勢の葬儀関係者が来訪されていました。
ブース内では展示されている仏衣について熱心に質問される方も多く、対応に追われておられる様子でした。
インタビューに対応いただくのは難しいとのことで、今回は写真だけ撮影させていただきました。

株式会社 Swell

Swell

「親しい知人・友人の訃報に接し、ご遺族に弔意を伝えたい方は大勢いらっしゃるものの、少人数で営む家族葬が主流になってしまったことで、お香典を渡すことすら難しくなっている。そんな流れを私たちのサービスで変えたい。」

株式会社 Swell 広報担当の高山様は、同社の提供するサービス「itowa(いとわ)」について、そう語ってくださいました。

「itowa(いとわ)」というネーミングについては「いつでも」「弔う」「忘れない」の頭文字を取ると同時に、弔意を伝える・弔意を受け取ることを葬家様・会葬者様の双方が「厭わない(いとわない)」というダブルミーニングになっています。
葬儀の小規模化・簡素化が進む中で、式場へ足を運ぶことは叶わなくとも、せめてお香典だけでも渡したい、弔電や供花・供物を届けたいという気持ちを実現する方法として「itowa」は誕生したそうです。

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少人数でのお見送りを想定した家族葬向けの式場は、大勢の参列者を受け入れられるようには設計されていません。
しかしオンラインサービスを利用すれば、物理的な制限を受けることなく、大勢の方に参列いただけます。

たとえ直接顔を合わせることが難しくとも、オンラインで葬家様と弔意を伝えたい方々を結びつけることができれば、人と人との繋がりが途切れてしまうことはない。
現在の環境に適した、新しい葬送文化として「itowa」を葬儀業界全体に広めていきたいとのことでした。

そのための取り組みとして、葬家様や葬儀社様・利用者様が使いやすいように「itowa」にはLINE機能が導入されています。
Swell様では以前から同様のサービスを提供していたものの、やや利便性の面で不十分な部分があったようですが、新しく生まれ変わった「itowa」では操作性も含めて改善されており、どなたでも簡単に利用していただけるシステムになっているようです。

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また「itowa」を導入するにあたって、葬儀社様に費用負担が発生しない点も特徴の1つとなっています。
弔意を伝えたい方が「itowa」を利用して、お香典や供花・供物を贈られた際に、Swell様側で一定割合の手数料を受け取ることで収益化する仕組みとなっているため、葬儀社様は実質的に無料でシステムを利用可能です。

より多くの方に利用していただくことで、葬儀社様・Swell様双方の収益が増加する仕組みとなっているため、システムを使用している限り両社の関係性は継続します。
葬儀社様に伴走しながら支援する体制を整えて、WIN-WINの関係を構築していきたいとのことです。

株式会社アスカネット

アスカネット

遺影写真作成の全国シェアNo.1企業である株式会社アスカネット様のブースでは、マネージャーの青砥 剛様がインタビューにご対応くださいました。

現在では遺影写真の作成・加工のみならず、オンライン訃報配信サービス「tsnagoo-つなぐ-」などのフューネラル事業も展開するアスカネット様ですが、あくまでも企業としての強みは「画像処理技術の高さ」にあると、青砥様は力強く語っていらっしゃいました。

アスカネット

葬儀を執り行うにあたって、葬儀社から喪主様に対し、遺影に利用する写真の提供を求められます。

しかし「古くて色褪せした写真しかない」「故人様が大きく映っている写真が見つからない」といったケースも多く、喪主様にとって大きな負担になることも少なくありません。

アスカネット様では、小さくて古い写真からも、鮮明な遺影写真が作成可能とのことです。
過去に作成した遺影に不満を抱いたお客様から依頼を受け、アスカネット様で作り直して大変喜ばれたという例も多いようです。

また「オンライン訃報配信」というサービス自体が世の中に存在しなかった2017年にリリースされた「tsnagoo-つなぐ-」ですが、葬儀の現場から寄せられる声に呼応する形で日々進化を遂げており、葬儀社様・喪主様にかかる負担の大幅な軽減に寄与しているようです。

喪主様にとって、大切な家族を失った悲しみの中での葬儀施行は、精神的にも肉体的にも大きな負担となりますが、会葬いただく方々への対応も欠かせません。
これまで一軒一軒に電話などで対応していた訃報連絡や、葬儀の案内状送付といった作業も「tsnagoo-つなぐ-」を利用すれば一括送信で済ませられます。

また供花や弔電や供花・供物についても、「tsnagoo-つなぐ-」を利用すれば開式時間が迫っていても注文可能ですので、会葬される方、あるいは会葬できない方にとっても、利便性の高いサービスといえるでしょう。

もちろん葬儀社様にとっても、お客様情報を一元的に管理できるため、さまざまな導入メリットが存在します。
これだけ内容の充実した「tsnagoo-つなぐ-」ですが、利用するための費用は安価に設定されています。
その理由について青砥様は「高度な画像処理技術に裏打ちされた、遺影作成・加工という収益の軸があるからこそ、アスカネットでは実現可能なんです!」とおっしゃっていました。

絶え間ない画像処理技術の追求に加え、葬儀社様・喪主様・会葬者様の全てを支えたいという企業姿勢こそが、アスカネット様がNo.1企業となっている理由なのかもしれません。

有限会社エスケー

SK

「企業として今後も発展していくためには、直接の取引先である葬儀社様だけでなく、その先にいらっしゃるエンドユーザー様に目を向けての商品開発が不可欠な時代」
骨壷を中心に葬祭用品を取り扱う有限会社エスケー様のブースでは、広報担当者様にお話を伺いましたが、特に印象的だったのが上記のお言葉でした。

新型コロナ発生以降、都市部中心だった葬儀の小規模化・簡素化の流れが、全国的に広がりを見せつつあります。
葬儀単価の縮小に歯止めをかけるべく、葬儀社様でも式中に使用する骨壷などの葬祭用品をおすすめはしているものの、言葉だけでは利用者様には響きにくくなっているようです。
こうした状況を打開するためには、従来の慣習にとらわれることなく、利用者の視覚に訴えられるような商品の開発に挑戦する必要があると感じておられるそうです。

SK

その一環として、有限会社エスケー様では、これまで葬送の現場ではタブーとされてきた「赤」や「黄色」といったビビッドな色彩の骨壺など、斬新なデザインを取り入れた商品を世に送り出し続けています。
葬送は当然ながら悲しいものではありますが、ご遺族様は再び立ち上がって生きていかなければなりません。

葬儀に使用する骨壷なども、沈んだ雰囲気を感じさせるようなものばかりでなく、ご遺族様を元気づけられるような商品があってもいいという考えのもと、有限会社エスケー様では失敗を恐れず自由な発想で商品開発に取り組まれているようです。

株式会社吉澤企画/AUDEN JAPAN

株式会社吉澤企画/AUDEN JAPAN様のブースでは、葬儀用のストレッチャーや担架・安置台で世界No.1のシェアを誇る英国AUDEN社の製品を展示されていました。
広報担当者様に伺ったところ、葬儀場内の搬送・安置を女性1人でも対応できるよう設計されているようです。

また、搬送から安置までの一連の流れを紹介するデモンストレーションでは、多くの方が足を止めて注目していました。
ブース内に展示されたストレッチャーや階段昇降担架に関心を寄せられる方も多く、一人一人に丁寧に説明している様子が印象的でした。

■ブース内で放映されていた解説動画

株式会社 フォーシーズンズ

フォーシーズンズ

生花祭壇や供花の設営などを手掛ける株式会社 フォーシーズンズ様は、フューネラルビジネスフェア2023でも大規模な展示を実施されていました。

神奈川県や東京都を中心に事業を展開されているフォーシーズンズ様ですが、やはり新型コロナ発生当初は、生花祭壇のご依頼が減少した時期もあったとのことです。
しかし現在は徐々にご依頼も増加しており、新型コロナ前の状態を回復すべく取り組んでおられるとのことでした。

つえ屋

つえ屋

京都発祥の杖とステッキの専門店つえ屋様では、フューネラルビジネスフェア2023に、不燃物不使用の葬式の杖『天国のつえ』を出品されていました。

日本では亡くなった方の99%以上が荼毘(だび)に付されますが、ほとんどの火葬場では副葬品を可燃物のみに限定しています。
しかしながら、一般的な杖やステッキには強度を確保するためのネジや金具が使用されているケースが多く、副葬品として棺に納めるのは困難です。

こういった事情から、杖の専門店である「つえ屋」様には、生前に杖を愛用していた方の葬儀で、棺に納められる杖を求める問い合わせが何度も寄せられていたとのこと。
「天国でも杖を使って元気に歩いてほしい」といった、ご遺族様の声に応えるかたちで『天国のつえ』は開発されたそうです。
『天国のつえ』は宗派を問わず利用可能で、白木タイプにはメッセージを書き込むこともできます。

まとめ

本記事では第26回を迎えた「フューネラルビジネスフェア2023」の来場者数や現地の様子を速報のかたちで紹介しました。

今回「フューネラルビジネスフェア2023」を訪問し、出展企業様のブースを回って感じたのは、出展企業様ごとの情報発信に対する考え方の相違でした。

フューネラルビジネスフェアは、一般消費者を対象とした「パブリックショー」ではなく、業界関係者のみを対象とした「商談展」ですので、出展企業様が商談に力を入れるのは当然です。
しかし来場者の中には、情報収集に重点を置いている方も少なくないため、その場で成約となるケースばかりではありません。

情報収集を目的として来場されている方を、次につながる見込み客に変えるためには、自社の商品やサービスの魅力を効果的に伝える必要があります。
そのため、多くの出展企業様では広報担当者様が積極的に情報を発信していましたが、来場者に対して受け身になっている企業様も一部みられました。

フューネラルビジネスフェア出展企業様が、今後も事業を拡大・発展させていくうえで、広報を担う人材の確保・育成がキーポイントになる可能性も高そうです。

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