相続の場面で「遺産を社会に役立てたい」というご要望は、近年増加傾向にあります。
葬儀に携わる私たちは、ご遺族様の悲しみに寄り添うだけでなく、故人様の想いを形にするためのサポートも求められることがあるでしょう。特に「遺産を寄付したい」という相談は、故人様の社会貢献への想いを実現する重要な選択肢の一つです。
遺産の寄付は、単に財産を手放すだけでなく、故人様の価値観や人生を振り返る機会にもなります。また、適切な寄付先を選ぶことで、医療や福祉、子どもの支援、環境保全など、様々な社会課題の解決に貢献することができます。
この記事では、遺産を寄付する方法や税金との関係、分野別の寄付先団体、そして寄付する際の注意点まで、葬儀社の皆様がご遺族様からの相談に適切に対応するために必要な知識を解説します。故人様の社会貢献の想いを実現するためのサポート知識として、ぜひお役立てください。
目次
- 遺産の寄付件数が増加している
- 遺産の寄付には2種類ある
- (1)故人様の意思で寄付する
- (2)相続したご遺族様が寄付する
- 遺産の寄付と相続税の関係
- 原則、寄付で受け取った財産には相続税がかからない
- 相続した財産のうち、寄付した分には相続税がかからない
- 寄付による相続税が非課税となるための詳細条件
- (1)遺言による寄付(遺贈)の場合【故人様の意思】
- (2)死因贈与契約の場合【故人様の意思】
- (3)相続財産からの寄付の場合【ご遺族様の意思】
- (4)公益性の判断基準【故人様・ご遺族様の意思の両方に共通】
- 身元保証サービス事業者と相続税非課税の関係性
- 分野別の主な寄付先団体を紹介
- 医療・福祉分野の主な寄付先
- 子ども・教育分野の主な寄付先
- 自然・環境・動物分野の主な寄付先
- 寄付先を選ぶポイント
- 遺産の寄付における注意点
- 遺留分を侵害しないようにする
- 相続後に寄付する場合は10か月以内に行う
- 不動産の寄付を受け入れる団体は限られている
- 遺言書がないが、故人様が生前に「寄付したい」と言っていた場合
- 相続人がいない場合は国庫に帰属する
- まとめ