不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、株式会社オープンハウスグループと「家じまいに関する意識調査」について実施し、その結果を公表しました。
家じまい(売却)を検討したきっかけは、「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」が最多となっています。
家じまいをした親の平均年齢は80歳。会社選びは、検討者では「査定価格が納得がいく」が1位も、経験者では「会社が信頼できる」が逆転
事業を通して社会課題解決に取り組む、株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」は、株式会社オープンハウスグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:荒井 正昭、東証プライム:3288)と「家じまいに関する意識調査」について共同実施し、その結果を発表します。
<調査結果サマリー>
- 家じまいを検討したきっかけは、「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」が最多。検討者では「家族や親族の高齢化」も上位に。
- 家じまいをした住居に住んでいた親の平均年齢は、80歳。検討者の親の年齢は77〜78歳。
- 家じまいにかかる期間は、経験者で3ヵ月〜6ヵ月未満が最多。検討者は過半数が1年以上を想定。
- 経験者の売却した際に後悔したことや苦労したことには「思うような価格で売れなかった」が1位。
- 検討者の心配や不安は、「希望の値段で売れるか」が1位。次いで「売却にかかる手間」「売却にどのくらい時間がかかるか」が上位に。
- 経験者の売却方法は「不動産仲介」が1位も、「買い取り」も2割。値下がりしても売却したい意向が汲み取れる結果に。
- 会社選びは、検討者では「査定価格が納得がいく」が1位も、経験者では「会社が信頼できる」が逆転。
<調査実施の背景>
2025年は団塊世代が75歳以上になり、「大相続時代」の幕開け。「空き家予備軍」の増加も社会問題に
内閣府の高齢社会白書によると、令和5年10月1日現在、65歳以上人口は、3,623万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%となりました。さらに、高齢者が保有する資産の割合は非常に大きく、世帯主の世代別の金融資産の分布状況では、世帯主の年齢が60歳以上の世帯が占める割合が令和元年には63.5%となっています。(※1)。2025年には団塊世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となり、「空き家予備軍(65歳以上の高齢者しか住んでいない持ち家)」の増加も懸念されるなか、資産が次の世代に相続される「大相続時代」がやってきます。
不要な不動産を相続すると、税金や修理費など余計なコストが掛かってしまったり、空き家となれば老朽化による倒壊、景観の悪化、放火による火災など近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性があります。そこで、不動産売買による課題解決を目指すオープンハウスグループとともに「家じまい」に関する調査を実施し、売却に対する課題を浮彫させるとともに、その解決策を探りました。
※1:内閣府「令和6年版高齢社会白書」(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/zenbun/06pdf_index.html)
<調査結果>
家じまいを検討したきっかけは、経験者・検討者ともに「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」が最多。検討者では「家族や親族の高齢化」も上位に。
家じまいの経験者と検討者の双方に売却を検討し始めたきっかけを聞いたところ、いずれも「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」(経験者34.3%、検討者29.1%)の回答が最多となりました。また2位の「家族や親族の死別」(経験者20.6%、検討者17.4%)は経験者・検討者の大きな差異がない一方で、「家族や親族の高齢化」は、経験者12.3%に対し検討者では21.7%と10pt近い差が見られました。検討者段階では生前での整理・売却を検討するものの、家じまいに踏み切れない人が一定数いることがうかがえます。
家じまいをした住居に住んでいた親の平均年齢は、80歳。検討者の親の年齢は77〜78歳。
経験者に対して家じまいを実施した住居に住んでいた(売却当時の)親の年齢を聞いたたところ、父親・母親ともに平均年齢が80歳となりました。また、これから家じまいを検討している検討者の現在の親の平均年齢は父親77歳、母親78歳となりました。家じまい経験者との差は2~3歳となり、2~3年前から家じまいを検討する人が多いことが推察されます。
また、経験者の売却時の親の年齢について分布を見てみると、70歳前後から増え始め85歳をピークに減少していく事がわかりました。2019(令和元)年の健康寿命は男性72.7歳、女性75.4歳といわれており(※2)、体調の変化をきっかけに家じまいに踏み切る人が増えると考えられます。
※2:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf
家じまいにかかる期間は、経験者で3ヵ月〜6ヵ月未満が最多。検討者は過半数が1年以上を想定。
家じまいにおける不動産の売却にかかる期間を聞いたところ、家じまい経験者の最多回答は「3ヵ月~6ヵ月未満」(31.1%)が最多となりましたが、検討者については「3年以上」(22.9%)が最多となり、経験者と検討者に大きな差があることがわかりました。売却前には十分な期間をかけて実施したい、と考えている人が多いものの、実際に売却を開始すると、様々な事情の中で半年未満で結論を出している事が多いようです。
経験者の売却した際に後悔したことや苦労したことには「思うような価格で売れなかった」が1位。
経験者の中で後悔したことや苦労したことがあると答えた人に対し売却した際の後悔や苦労をした人に聞いたところ、「思うような価格で売れなかった」(39.1%)が最多となりました。また、次点の「依頼する不動産会社を複数しっかり比較しなかった」(26.7%)においても、売却価格面での後悔に紐づくものと思われ、金額面での後悔というものが多くみられました。
また、3位には「家の中にある残置物で売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった」(20.8%)が入っており、想定外の手間が発生することも見越して家じまいの計画を立てることが重要なようです。
検討者の心配や不安は、「希望の値段で売れるか」が1位。次いで「売却にかかる手間」が上位に。
検討者の中で心配や不安なことがあると答えた人にその内容を聞いたところ、最も多かった回答は「希望の値段で売れるか」(37.6%)となり、検討段階においても価格面での心配がされていることが分かりました。続いて多かった回答として「売却にかかる手間」(16.1%)や「何もわからないのが不安」(15.2%)があり、どう進めていいかわからないがゆえに腰が重くなってしまうこともありそうです。
経験者の売却方法は「不動産仲介」が1位も、「買い取り」も2割。値下がりしても売却したい意向が汲み取れる結果に。
家じまい経験者の実家の売却方法については7割以上が「不動産会社の仲介」(72.3%)と回答し、2位の「不動産会社の買い取り」(17.4%)に55ptほどの差をつけました。
買い取りは仲介での売却に比べると、一般的に売却金額が低くなる傾向があると言われています。しかしながら、金額が下がったとしても早急に売却を望む方は一定数いるようです。特に、家じまいを考えている方や、維持が困難な方、死別などで物件を使わなくなった方にとっては、その不動産が「負の資産」となり得るため、早く手放すことにメリットを感じる方が多いと考えられます。
会社選びは、検討者では「査定価格が納得がいく」が1位も、経験者では「会社が信頼できる」が逆転
会社選びの最も重要なポイントとして、検討者では圧倒的に「査定価格が納得がいく」(35.7%)が多かったのに対し、経験者では、「会社が信頼できる」(21.4%)が「査定価格が納得がいく」(21.1%)を超えました。
また、経験者においては「友人家族などの紹介」(11.4%)や「担当者の説明が丁寧」(11.1%)など、信用できる相手なのか、というポイントに票が多く集まりました。できるだけ高く売りたいという価格面での要望がある一方で、不動産売却という多くの人にとって経験の少ない取引だからこそ、親身になってくれるというような信頼性の部分も重視する意見が多くなっているようです。
LIFULL HOME’S総研チーフアナリスト 中山登志朗 考察
家じまいは他人事ではなく自分事として考えておく必要がある
所有者の高齢化や逝去などをきっかけに、家じまい=自宅売却を検討し始めるケース、および子供が実家を売却することを考えるケースが増えています。もちろん、心情的に住み慣れた我が家を積極的に売りたいと考える所有者は少なく、このまま家を残して亡くなると子供や親族に迷惑をかけることを不安視したり、介護施設などへの入居を決めたりといったことがその背景にあるようです。
アンケート結果からも、実家を使う見込みがないのに維持費が発生することを筆頭に、親世代の高齢化および逝去をその理由として挙げている回答が多くを占めています。住宅ローンや税金の納付が重荷にというケース、介護施設への入居費用捻出といったケースもあり、自宅・実家を維持するのに専ら経済的な負担が大きくなったこと、それを解決する手段として売却を検討していることがわかります。
また、長年お住まいになっていた自宅・実家には思い出の品も含めて多くの物があり、それぞれの価値を見極めて適切に処分・売却するには手間がかかるため、家じまいには相応の時間を要することも調査結果から浮き彫りになりました。単なる家の売却ではなく、住み慣れた我が家、思い出の詰まった実家を売却するということは、それだけ覚悟と思い切りが必要という事実、他人事ではないという現実を我々に教えてくれていると言えます。
ただし、そのままもしくはリフォームして住む、もしくは貸すといった具体的な用途がないまま放置することは、固定資産税や都市計画税のほか、建物の維持管理コストも発生することになりますし、例えば相続後3年を経過した場合は3,000万円の税額控除が適用されなくなりますから、家じまいについては早めに決断する必要があると言えるでしょう。
家じまいが単なる売却とは意味合いが異なることを理解し、ビジネスライクになり過ぎずに対応してくれる不動産会社を見つけることはハードルの高いことですが、高齢化がさらに進み、今後も家じまいするケースが増えることを認識して、積極的に対応する不動産会社が増えることが求められます。
株式会社オープンハウスグループ
事業を通じ、お客様に寄り添うことで、社会問題・社会課題の解決を目指す
新築住宅分譲による街のレジリエンス向上に貢献
オープンハウスグループは「土地の仕入れ」から「住居の設計・建設」、「販売」までを一貫して手がける「製販一体」のビジネスモデルを強みとしており、グループ内で、オープンハウス・ディベロップメントはその「製」を担っております。土地の仕入れでは従来、主に仲介業者からのB2Bの仕入れでしたが、近年、個人のお客様からの家じまい・実家じまいに関連した売却のご相談や売却件数が大変増えており、直接買取を開始し、2023年より体制も強化しております。
住宅・土地統計調査(H30年)によると、全国で65歳以上の持ち家率は平均より19.6ポイントも高く、東京都においては23.6ポイント、東京都特別区部に絞ると25.5ポイントと圧倒的な結果が出ています。特に戸建住宅においてその傾向が顕著です。
社会課題となっている「空き家率」に関して見ると、東京は下回っているものの、「空き家予備軍」では東京都が1.38%差、東京特別区部が1.37%差としており、さらにこれを、戸建てに限定してみると、東京都が2.28%、東京特別区部が4.66%と逆転して、全国平均を上回ります。
「空き家」又は今後空き家になる可能性を抱える「空き家予備軍」の放置は 治安・火災リスク・ 衛生面・景観面で多くの問題 の元凶となる上、近隣家屋への損害のリスクなどにつながります。また相続対象になるような家屋は、築年数も古く(現存する木造住宅の25%以上が築40年以上)、それが多く存在するエリアは、街全体の防災・防火・安全性、緊急車両の通行という観点からも課題を多く抱えます。これらを現代の基準に合った建築物に建て替えることで、解決につながる他、若い世代の流入が街の活性化にもつながります。
当社としては家じまいをひかえたお客様に寄り添ったサービス展開を行うことで、事業を通じ、空き家に関する社会課題解決や、街のレジリエンス向上のSDGs達成に貢献してまいります。
調査概要
期間:2024年7月22日~2024年7月24日
調査対象者:実家や生家の売却を経験した、もしくは検討している男女
調査方法:インターネット調査
有効回答数:700名(経験者350名、検討者350名)
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合があります。
LIFULL HOME’S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
LIFULL HOME’Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
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株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120、URL:https://lifull.com/)
LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。
現在はグループとして約60の国と地域でサービスを提供しており、主要サービスである不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」をはじめ、空き家の再生を軸とした「LIFULL地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
株式会社オープンハウスグループについて (東証プライム:3288、URL:https://openhouse-group.co.jp/)
株式会社オープンハウス及び関係各社は、2022年1月より、株式会社オープンハウスグループを純粋持株会社とする持株会社体制に移行いたしました。グループの事業は、戸建関連事業、マンション事業、収益不動産事業、アメリカ不動産事業を中心に、住まいや暮らしに関連する各種サービスを展開し、地域につきましても、創業の首都圏に加え、名古屋圏、関西圏、福岡圏へと拡大、更に近年は、地域共創のための活動や、環境保全活動にも力をいれています。1997年の創業以来の主要事業である戸建事業では、土地の仕入から、建築、販売まで製販一体の体制を整え、便利な立地かつ手の届きやすい価格の住まいを提供しております。共働き世帯の増加により求められる職住近接した立地、多様化する働き方の中で新しいニーズに応える企画等、グループならではの連携をとった取組を進めてまいりました。これからも、オープンハウスグループは、より多くのお客様に選んでいただける住まいのご提供に努めてまいります。