成年後見制度関連のYouTube動画まとめ|トラブル事例や制度の問題点について解説

成年後見人

成年後見制度は、知的障害・精神障害・認知症などの影響で、判断能力が不十分な方を保護するために、本人の意思を尊重しつつ支援する仕組みです。
ところが、保護すべき立場である成年後見人による搾取や被後見人の意思を無視した制度の適用など、結果的に被後見人が不利益を被るという事例が後を絶たないのが現状です。

今回は、社会問題にもなっている「成年後見制度」のトラブル事例や問題点、今後の展望について学ぶことができる、おすすめのYouTube動画を紹介します。
本記事の最後でも触れていますが、成年後見人制度を利用していた被後見人が亡くなり、遺族がいない場合は、成年後見人が葬儀を行うこともあります。

葬儀社様の業務にも必要な知識になるかもしれせん。ぜひ最後までご覧ください。

目次

成年後見制度のトラブル事例動画

成年後見制度には、判断力があるうちに契約を結ぶ「任意後見制度」と、すでに判断力が低下した方の権利を保護するための「法定後見制度」があります。

ここで紹介するのは、「法定後見制度」により、苦しみを抱えることになった方の実際の声を届ける動画です。

「ケーキは買うな」「温泉行くな」成年後見人が生活の切り詰めを迫る理由→“報酬は貯金に比例”

福岡県を放送対象地域としたRKB毎日放送NEWSのYouTube動画です。
「成年後見制度の闇」と題し、制度に不満を持つ利用者の疑問に答えているのが、成年後見制度に関する個別相談と人材育成を行う一般社団法人「後見の杜」様の代表である宮内康二氏です。

大分市に住む女性の夫は、病気をきっかけに成年後見制度を利用することになりました。後見人となった司法書士からは、夫のための支出を拒まれ、必要以上に切り詰めた生活を求められており、女性は憤りを感じています。
動画の中で、そういうケースは少なくないと宮内氏は解説しています。その原因として、成年後見人の報酬システムの影響が考えられるそうです。

成年後見人の報酬は被後見人の預貯金額に比例します。そのため、財産を減らすことを拒否したり、保険の解約や家の売却をすることで被後見人の預貯金を増やそうとするケースがあると言います。

チャンネル名RKB毎日放送NEWS
出演者宮内康二
出演者所属一般社団法人「後見の杜」

成年後見制度の深い闇「勝手に後見人をつけられた女性の涙の訴え」

講談社様が運営する「現代ビジネスチャンネル」で紹介しているのが、ジャーナリストの長谷川学氏が「現代ビジネス」で連載している「成年後見制度の深い闇」の取材動画です。

動画に登場する女性は、後見が必要と思われる状態ではない上に、本人の意志を問われることなく被後見人とされました。一緒に暮らす娘に対し、その苦しい胸の内を涙で訴えています。
その原因は、家庭裁判所による「手続き飛ばし」が行われたことにあると言います。

本人の意思に反して申立てが行われた場合でも、成年後見人の手続き上、家裁の調査官による本人の陳述の聞き取りや精神鑑定が行われるほか、審判の告知を受けた日から2週間以内であれば、「即時抗告」をすることができます。

即時抗告:審判に不服がある場合、申立てをして高等裁判所審理を求めること

しかし動画からは、それらの手続きが女性に対して一切行われていないことがわかります。

チャンネル名現代ビジネスチャンネル【講談社】
取材長谷川学
出演者所属ジャーナリスト

成年後見制度の問題点解説動画

本来、成年後見制度は、知的障害・精神障害・認知症などの影響で、判断能力が不十分な方を保護するためのものです。しかし、実際には、制度の不備や利用者の認識不足、保護すべき立場である成年後見人による搾取など、さまざまな問題が起きています。

そんな成年後見制度の問題点を専門家の立場から明らかにしています。

弁護士が成年後見で横領!後を絶たない事件に提言します!!1139

司法書士ユーチューバーの加陽麻里布さんが運営するYouTubeチャンネルです。資格試験に関する発信のほか、社会問題についても数多くの発信を行っています。

本記事で紹介する動画では、実際に起きた成年後見人の弁護士による横領事件について触れています。それらの事件を踏まえ、成年後見人を引き受ける専門職後見人は一定以上の経営状態であるなどの条件を設けることを提言しています。

チャンネル名カヨウマリノ
出演者加陽麻里布
出演者所属あさなぎコンサルティング

【必見】成年後見人のトラブル3選!事例を交えて解説します

「ゆるっとかいご【親の介護】」は、ケアポット株式会社様が運営する、介護に関する情報を発信しているYouTubeチャンネルです。
本記事で紹介する動画は、認知症対策相談のスペシャリスト、司法書士の村山澄江氏による「成年後見人のトラブルや不満」に関する解説になります。

成年後見制度を利用する被後見人、その家族が持つ代表的なトラブルや不満には、以下の3点があるそうです。

  • 思った以上にお金がかかる
  • 本人のお金なのに自由に使えない
  • 後見人が通帳の中身を見せてくれない

動画では、その理由とともに、村山氏の経験に基づく解決方法なども紹介されています。

チャンネル名ゆるっとかいご【親の介護】
出演者村山澄江
出演者所属司法書士 村山澄江事務所

親や子が望まなくても勝手に成年後見人をつけられてしまうことがある!

特定行政書士であり、社会福祉士、介護福祉士でもある花村秋洋氏の「成年後見人でお悩みなら!知的障害者・認知症の相続チャンネル」の動画です。

特定行政書士:行政の許認可などに対し、不服申し立て手続きを行うことができる行政書士

本記事では、親や子が望んでいないにもかかわらず、勝手に成年後見人をつけられてしまうケースについて紹介しています。

花村氏によると、第三者により、成年後見人を申立てられるケースは少なくないそうです。
申立てが行われると通ってしまうケースが多く、花村氏は注意を促しています。

チャンネル名成年後見人でお悩みなら!知的障害者・認知症の相続チャンネル
出演者花村秋洋
出演者所属特定行政書士花村秋洋事務所

成年後見人をつけたくない人が多い理由【一度つけたらやめられないので要注意】

特定行政書士の花村秋洋氏は、「成年後見人をつけたくない」「成年後見人を外してほしい」という相談をよく受けるそうです。
その主な理由として、費用の問題や福祉サービスの決定権剥奪などのデメリットを紹介しています。また、後見がついてしまうと簡単にやめることができないことに対し、注意喚起しています。

チャンネル名成年後見人でお悩みなら!知的障害者・認知症の相続チャンネル
出演者花村秋洋
出演者所属特定行政書士花村秋洋事務所

【どうなる?日本企業 #79】成年後見「制度」の失敗[桜R5/1/19]

「日本文化チャンネル桜」は、既存のメディアではタブーとされてきたことに踏み込んだ発信をしているYouTubeチャンネルです。
キャスターを務める後藤孝典氏は、水俣病、クロロキン薬害事件などを手がけた人物で、国際派弁護士としても活躍しています。

本動画では、現行の法定後見制度の問題点について指摘しています。
特に問題視しているのが、弁護士や司法書士などによる専門職後見人では、被後見人の気持ちを尊重することが難しい点です。

2020年(令和2年)に発表された発表された「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」にも言及し、どこまで本人の意志を尊重できるのかを疑問視しています。
後藤氏は、本人の意志にそった後見を行うために任意後見制度などを事前に準備しておくことを提言しています。

チャンネル名新日本文化チャンネル桜
出演者後藤孝典、大隅紀絵
出演者所属虎ノ門後藤法律事務所

司法書士が思う成年後見制度のここがイケてない!

司法書士さえき事務所 代表司法書士の佐伯ともや氏によるYouTubeチャンネルでは、成年後見制度のほか、相続等に関する動画を数多く配信しています。

佐伯氏は、成年後見制度を「必要な制度」としながらも、イケてない部分として次の3点をあげています。

  • 希望した人を後見人にできない
  • ランニングコストがかかる
  • 原則として「財産」については管理のみ

佐伯氏のYouTube動画では、成年後見制度の利用が必要となる前の対策についても触れています。

チャンネル名司法書士/佐伯ともや
出演者佐伯ともや
出演者所属司法書士さえき事務所

これだけは知っておきたい成年後見制度のデメリット!【初級編】

特定行政書士の花村秋洋氏は、「これだけは知っておきたい成年後見制度のデメリット!【初級編】」として、初級者に向けた成年後見制度利用のデメリットを紹介しています。

よく理解せずに成年後見制度の利用を開始し、「こんなはずじゃなかった」という花村氏に相談に来る人が多いそうです。
「初級編」では、利用をはじめる前に最低限知っておきたいデメリットを紹介しています。

チャンネル名成年後見人でお悩みなら!知的障害者・認知症の相続チャンネル
出演者花村秋洋
出演者所属特定行政書士花村秋洋事務所

誰も教えてくれない成年後見人の注意点【上級編】

上記の「初級編」に引き続き、「上級編」として、誰も教えてくれない成年後見制度のデメリットの紹介です。

家族が後見人になった場合や家族信託のデメリット、成年後見人をつけることを避ける方法など、初級編から踏み込んだデメリットに言及しています。
福祉の専門家から法定後見制度の利用をすすめられることがあっても、実は成年後見制度をそれほど理解してない可能性があるなど、意外なデメリットも少なくないようです。

また、成年後見人をつけない方法や申立てのサポートの専門家の選び方など、後見制度の利用を具体的に考え始めた人にとって役立つ情報かもしれません。

チャンネル名成年後見人でお悩みなら!知的障害者・認知症の相続チャンネル
出演者花村秋洋
出演者所属特定行政書士花村秋洋事務所

成年後見制度、改正の動きに関する解説動画

現在の成年後見制度は、さまざまな問題が指摘されていることから、政府は令和8年(2026年年)までの関連法案の国会提出を目指して検討を始めました。
ここでは、現在進行中の成年後見制度の改正について、今後の展望を解説しています。

【制度改正の可能性!?】成年後見制度の今後 前編

「スマート家族信託チャンネル」は、スマート家族信託を運営するトリニティグループのYouTubeチャンネルです。司法書士などの専門家により、家族信託に関する情報を発信しています。

本記事で紹介する動画は、「【制度改正の可能性!?】成年後見制度の今後 前編」 として、令和3年(2021年)12月に報道された成年後見制度の改正に関する今後の展望に関する解説です。
前編では、成年後見制度利用促進専門家会議で議論されている内容として、成年後見制度の改善を検討されている点を3つにまとめています。

チャンネル名スマート家族信託チャンネル
出演者森賢治
出演者所属トリニティグループ

【制度改正の可能性!?】成年後見制度の今後 後編

上記動画の後編では、現状の成年後見制度の問題点についてくわしく解説しています。
費用がかかる、途中で辞めることができないなどのデメリットがあるため、後見が必要な人が利用を避けるという現象が起きているそうです。

森氏は、法改正によりそれらの問題が解消されると、財産管理が時期なら弁護士や司法書士、手厚い介護が必要となった場合は、社会福祉士など、被後見人の状態に合わせて柔軟に成年後見人の選択ができ、より本人のためになる状態を作れると考えられるとしています。
法改正までに時間がかかることを踏まえ、現状では法定後見人が付く前に準備をすることをすすめています。

チャンネル名スマート家族信託チャンネル
出演者森賢治
出演者所属トリニティグループ

成年後見制度の問題点とトラブル事例

成年後見人に対する不信感

介護

弁護士や司法書士などの専門職後見人がつくと、その専門性から「財産管理」に重きを置いた後見になる傾向があります。実質的に被後見人の介護を担う家族の思いと成年後見人の方針に齟齬が生じると、不信感につながりかねません。

被後見人や家族が成年後見人に持つ不満としては、次のような点があげられます。

  • 成年後見人が被後見人に会おうとしない
  • 本人のための出費であっても、後見人から拒否をされる
  • 家族に財産状況を教えてくれない 

財産管理を中心とした成年後見は、被後見人に会わずに業務を行うことが可能です。そのため、一度も被後見人と会ったことがない、もしくはごく稀にしか会おうとしない成年後見人も少なからず存在します。

一方で、被後見人の介護を家族が担っている場合、「被後見人のために」という思いが強く、管理されている財産から「本人のため」の出費を申し出ても、成年後見人から「不要な出費」として却下されることがあります。
その結果、介護をしている家族が費用を負担をしたり、本人のために何もしてあげられないことに憤りを感じるという人もいるようです。
ただし、財産の額を鑑みて、本人のためであっても、出費を制限することもあります。

また個人情報保護の観点から、積極的に財産状況の開示をしないという成年後見人は多いようです。
専門職後見人の報酬は管理する財産額に比例するため、財産が減ることで成年後見人の報酬が下がる可能性があることも、家族が不信感を抱く原因になっています。

いずれにせよ、コミュケーション不足が被後見人・その家族の不信感の大きな原因になっていると言えるでしょう。

事例1

病気の後遺症から成年後見制度を利用を開始した男性には、司法書士の成年後見人がつきました。
介護を担う家族は、成年後見人から本人の好物の購入を無駄遣いとして禁止されます。温泉旅行に連れて行きたいと相談すると、費用を出すなら、病気が治る医師の証明書をもらうように言われました。

財産状況や報酬を聞いても教えてもらえず、さらに成年後見人が被後見人に会おうともしないことから、不信感を強めています。

※成年後見人は、家庭裁判所に年1回の定期報告を行っています。財産状況の開示を拒否された場合は、提出されている報告書を閲覧することで知ることができます。

本人の意志を無視した審判

高齢者

民法第858条により、成年後見制度では、「成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」と定められています。
それにもかかわらず、本人の意志が尊重されることなく、法定後見人をつけられてしまったという事例があります。

成年後見人は、四親等内の親族であれば、申立てをすることができるため、被後見人の財産に対する家族間で意見の相違により、法定後見を申立てるというケースがあります。
本人の意思に反して申立てが行われた場合でも、成年後見人の手続き上、家裁の調査官による本人の陳述の聞き取りや精神鑑定が行われるほか、審判の告知を受けた日から2週間以内であれば、「即時抗告」をすることができます。 

なお、本人による陳述は、例外規定として本人が植物状態であるなどの理由で話ができない場合は省略できることが定められています。
また対象となる方の精神状態が、明らかに後見を必要と判断された場合には、精神鑑定も省略をすることができます。
それらの手続きが省略され、本人の全く意思を反映しない形で被後見人になってしまった事例を紹介します。 

事例2

軽度認知症と診断されていた女性は、夫に先立たれたのち、3人の子のうちの1人と同居をしながら生活のサポートを受けていました。
別居する子からは、施設に入ることをすすめられていましたが、本人は自宅で暮らすことを強く望んでいました。

施設入居をすすめていた子から、同居する子による虐待を理由に、無断で成年後見人の申請が行われます。
その結果、家庭裁判所から後見人をつける審判が下されました。
女性は、そのときまで後見人をつけられることさえ知らなかったそうです。

実は、家庭裁判所の調査官による本人の陳述や精神鑑定が省略され、さらに審判の通知が届かず、即時抗告ができなくなった2週間を過ぎて成年後見人となった弁護士が知らされました。

その後、女性は訪問先のデイサービスから後見を申立てた子と後見人である弁護士により、施設に身柄を移されてしまいます。
同居し、実質的な介護を担っていた子は、どこの施設に入れられたかすら教えてもらうことができません。 

事例3

成年後見制度の申立てをできるのは、身内だけではありません。本人の意思が尊重されない成年後見制度の利用例をもう一つ紹介します。

娘と2人暮らしをしていた女性は、軽度の認知症があったものの、積極的にデイケアなどに通っていました。
持病の予防薬を服用していた副作用により、アザやこぶができやすくなっていました。

自治体はそれを虐待と判断し、一時保護という名目で女性を施設に入所させ、後見人をつけました。
家族には、入所した施設さえ知らされません。

自治体は、「審判前の保全処分」のために財産管理者の選任を申立て、弁護士が選任されました。当該弁護士は、施設からの外出禁止と面会の制限をします。
(※法律上、本来は制限できない)

審判前の保全処分:後見制度の審判が降りるまでの間に暫定的に行われる保存行為と管理行為

ところが、女性は施設での暮らしを嫌がり、施設費用の支払いを拒否します。
そこで自治体は、後見人が選出されるまでのあいだ、女性に生活保護を受けさせ、そこから施設費用の支払いを行ないます。

女性が精神的なストレスから一時的に認知症が悪化したところで医師の診察を受けさせ、後見相当の診断を得ました。
専門医による精神鑑定を省略し、家裁は後見開始の審判を下しました。

家族は、即時抗告を行います。高裁により審判の手続きに違法があったと認定され、審判は取り消されました。ところが審判取り消しの判決後も、自治体と後見人は女性に対する干渉を続け、警察を呼ぶ騒ぎまで起こします。

その後、女性が「補助相当」という診断を受けると自治体は、補助開始の申し立てを行いますが、本人の拒否により、申請を取り下げました。

家族のための支出を拒否

被後見人名義の財産は、すべて後見人により管理されます。その結果、被後見人の年金を生活費の一部としてきた家族に対する支出を拒否されることがあります。

事例4

夫が認知症を発症したため、妻が自分を法定後見人として家庭裁判所に申立てを行いました。選任された後見人は、専門職である弁護士です。
それまで生活費の一部としてきた年金も含め、被後見人の財産はすべて管理されるようになります。その結果、妻は、生活費が減ってしまい苦しい生活を強いられることになりました。

成年後見人による横領

成年後見人
成年後見人
出典:後見人等による不正事例(最高裁判所事務総局家庭局実情調査)

被後見人を保護する立場であるはずの成年後見人による横領は、減少傾向にあるものの、未だ後を絶ちません。

成年後見事業を行うNPO法人でありながら、管理している財産の横領を行った事例を紹介します。

事例5

成年後見事業を行うNPO法人の元理事長は、被後見人が亡くなると、使い込んだ財産を親族に引き継いだことにするために「財産受領書」を偽造し、家庭裁判所に報告していました。
ところが、家庭裁判所により偽造が発覚します。

7名から2500万円超の横領の疑いがあることが判明し、うち被後見人2名、約1280万円の業務上横領と有印私文書偽造・行使の罪で在宅起訴されました。
2023年3月、元理事長に対し懲役3年、執行猶予5年の判決が言い渡されています。

成年後見人の問題点

介護

成年後見人の仕事は「身上監護」「財産管理」です。
知的障害・精神障害・認知症などの影響で、判断能力が不十分な方を保護するための制度であり、被後見人の意思の尊重とともに、心身の状態や生活状況に対する配慮が必要になります。

成年後見制度を利用することで、入院や施設入所などの手続きや契約などのサポートを受けられるほか、被後見人が行った不要な契約の取り消しや計画的に資産を使い経済的な破綻を防ぐなどのメリットがあり、被後見人が不利益を被らないよう保護することができる制度です。

成年後見制度が導入された当時は親族後見人が中心でしたが、親族による財産の使い込みなどが問題になり、専門職後見人が選任される傾向になっています。
その結果、身上監護よりも財産の保全に重きを置く後見をするようになりました。

成年後見制度は、被後見人となる人の意思の尊重が大前提です。
ところが本来のルールからは外れた手続きの簡略化や周りの思惑などにより、意思の尊重が行われてないという事例が見られます。 
また、選任された成年後見人を変更することが難しいため、後見人に不満があっても我慢せざるを得ないのが現状です。 

そんな現状を打破するために、2020年(令和2年)には「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」が最高裁判所、厚生労働省および各専門職団体をメンバーとするワーキング・グループから発表されました。
また政府は、2026年(令和8年)を目途に関連法案の国会提出を目指して、すでに検討を始めています。

検討されている主な改善点は、以下の通りです。

  • 本人にとって適切なときに必要な範囲・期間で制度を利用できるようにする
  • 終身ではなく有期(更新)の制度とし、見直しの機会を設ける
  • 本人のが必要とする内容や意思の変化に応じて、後見人を円滑に交代できるようにする

成年後見制度における葬儀

真宗出雲路派_お葬式

成年後見制度は、葬儀社様にとっても重要な制度です。

被後見人が亡くなった時点で、成年後見人の権限は消滅します。
成年後見人は、管理財産に関する家庭裁判所・相続人への報告を行い、相続人がいる場合は、管理財産を相続人等に引き渡すことで業務は終了です。

そのため、葬儀・埋葬は、基本的に親族が行います。
親族がいない、対応しない場合などのやむを得ない場合に限り、成年後見人が入院費や施設費の精算とともに葬儀などの死後事務を担うことになります。
成年後見人が役割として葬儀を行う場合、必要最低限の対応になるため、直葬のような簡易な葬儀が行われることが一般的です。

本記事のYouTube動画でも解説されていますが、現在、政府が成年後見制度の改正を検討しているほか、2020年(令和2年)には、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」が公表されました。
令和3年の成年後見制度を利用している人は24万人に対し、実際に判断能力が不十分であるとみられる人の総数は、1000万人と推計されています。

今後、法改正されることで、成年後見制度を利用する人が増加するかもしれません。
それを受け、成年後見人による葬儀が増加することも考えられます。 

まとめ

本記事では、成年後見制度について学べる動画を12本紹介しました。
また実際に発生したトラブル事例をもとに、制度の問題点についても考察をおこないました。

成年後見制度は判断力に問題を抱える方を保護するための制度ですが、行き届かない点も多いことがお分かりいただけたかと存じます。
本記事をきっかけに、成年後見制度に関心を持っていただければ幸いです。

YouTube動画は、手軽に短時間で専門家の話を聞くことができます。費用もかからず、映像なのでイメージや全体像がつかみやすいというメリットもあります。効率よく情報を得られるツールといえるでしょう。良質な情報を選べば、YouTube動画は、スキマ時間の情報収集に最適です。

今後、利用の拡大の可能性がある成年後見制度について、興味を持たれた方は、ぜひ本記事で紹介したYouTube動画をご覧になってみてください。

カテゴリー最新記事

目次