葬儀・葬祭事業の最大手 株式会社ベルコ┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

ベルコ 売上、利益、業績┃葬儀・葬祭の冠婚葬祭互助会

葬儀社の売上・利益・業績を調べる場合、上場しているなら決算発表情報・有価証券報告書をみれば分かります。非常上場になると帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、売上・利益・業績の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は国内最大手の冠婚葬祭互助会事業者「株式会社ベルコ」の現状について、決算公告をもとに分析いたします。
決算公告は上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社ベルコの概要

兵庫県西宮市に本社を置く株式会社ベルコは、1969年の創業から関西地域を中心に営業範囲を拡大してきました。
関東地方には支社を置いていませんが、系列企業の株式会社互助センター友の会が置かれていますので、実質的な営業エリアは日本全国といえるでしょう。

葬祭事業では「シティーホール+地名」や「ユアホール+地名」「地名+ベルコ会館」といった名称の葬儀場を、全国各地に展開しています。
また同時に、北海道や東北地方・中国地方などの冠婚葬祭互助会を吸収しながら、事業を拡大してきました。

近年では葬儀の小規模化に対応するため、1日1組限定の邸宅型葬儀ホールを立て続けに開設しています。

【社名】株式会社ベルコ
【設立】1969年(昭和44年)4月3日
【本社所在地】兵庫県西宮市津門川町1‐1
【代表者】齋藤 斎
【事業内容】

  • 冠婚葬祭互助会(経済産業大臣許可第5006号)
  • 一般貨物運送事業
  • 一般貸切旅客自動車運送事業
  • 一般乗用旅客自動車運送事業
  • 第2種旅行業
  • その他

出典:株式会社ベルコ「会社概要」

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告と言います。

さらに大会社については貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は貸借対照表の負債の部に計上されている合計額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。
1つ目は官報に掲載、2つ目は日刊新聞紙に掲載、3つ目は電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

なお上場企業の決算報告書(有価証券報告書)はEDINETで公開されており、誰でも閲覧可能です。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより

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会員から掛金として支払われた前受金は、割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を、次のうちいずれかの方法で保全するよう義務付けられています。

1つ目は法務局に供託する、
2つ目は経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶこと、
3つ目は銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶこと

以上の3つの方法のいずれかを選択する必要があります。

また経済産業省は、割賦販売法に基づき、互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。
なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は、以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

株式会社ベルコの貸借対照表

決算期48期49期50期51期52期53期54期
会計年度2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
利益剰余金661億6千1百万円711億3千8百万円759億2千2百万円783億6千0百万円774億0千5百万円784億5千6百万円800億1千3百万円

流動資産885億5千4百万円910億1千8百万円847億6千5百万円773億9千6百万円604億2千8百万円601億6千7百万円805億3千1百万円
固定資産2473億2千6百万円2491億3千5百万円2614億6千0百万円2679億1千3百万円2843億1千4百万円2866億2千7百万円2647億5千6百万円
有形固定資産1315億1千0百万円1295億0千9百万円1385億4千8百万円1423億5千7百万円1400億9千8百万円1412億8千3百万円1410億1千8百万円
無形固定資産19億5千2百万円15億3千1百万円9億7千9百万円4億3千7百万円6億7千1百万円17億7千4百万円16億3千8百万円
投資その他の資産1138億6千2百万円1180億9千4百万円1219億3千3百万円1251億1千8百万円1435億4千4百万円1435億6千8百万円1220億9千8百万円
繰延資産
資産合計3358億8千0百万円3401億5千3百万円3462億2千5百万円3453億0千9百万円3447億4千2百万円3467億9千4百万円3452億8千7百万円

流動負債2625億1千7百万円2624億6千1百万円264億2千6百万円240億4千6百万円230億9千5百万円242億0千5百万円256億0千8百万円
役員賞与引当金
賞与引当金
その他
固定負債70億5千5百万円63億9千7百万円2437億6千5百万円2436億0千2百万円2439億1千0百万円2438億3千0百万円2390億4千9百万円
退職給付引当金
雑収入復活引当金
役員退職慰労引当金
その他
負債の部計2695億7千2百万円2688億5千8百万円2701億9千1百万円2676億4千8百万円2670億0千5百万円2680億3千5百万円2646億5千7百万円


株主資本662億6千1百万円712億3千8百万円760億2千2百万円784億6千0百万円775億0千5百万円780億5千6百万円796億1千3百万円
資本金1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円
 資本余剰金
資本準備金
その他資本余剰金
 利益剰余金661億6千1百万円711億3千8百万円759億2千2百万円783億6千0百万円774億0千5百万円784億5千6百万円800億1千3百万円
利益準備金
特別償却準備金
その他利益剰余金784億5千6百万円799億8千8百万円
評価・換算差額等4千6百万円5千6百万円1千1百万円-7億9千8百万円2億3千1百万円7億0千1百万円10億1千5百万円
その他有価証券評価差額金1千1百万円-7億9千8百万円2億3千1百万円7億0千1百万円10億1千5百万円
自己株式-5億0千0百万円-5億0千0百万円
(うち当期純損失)
新株予約権
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
純資産の部計663億0千7百万円712億9千4百万円760億3千3百万円776億6千2百万円777億3千6百万円787億5千7百万円806億2千8百万円
負債・純資産合計3358億7千9百万円3401億5千2百万円3462億2千4百万円3453億1千0百万円3447億4千1百万円3467億9千2百万円3452億8千5百万円

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は、企業の中長期的な安定性を確認できる指標ですが、適正とされる自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は、最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は、最低でも15%程度は欲しいところです。

※のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

株式会社ベルコの自己資本比率は23.35

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産」の計算式で算出可能です。
株式会社ベルコの2023年3月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

806億2千8百万円÷3452億8千7百万円23.35%
上記の式から同社の自己資本比率は23.35%(前年比で0.64ポイント上昇)となりました。

株式会社ベルコ 利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。
正確な会計用語ではないですが、利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

株式会社ベルコの場合、利益剰余金は以下のように推移しております。

2021年3月期はコロナの影響のためか一時的に利益剰余金が減少(-1.22%)していましたが、2022年3月期、2023年3月期共に上昇しています。

2022年後半以降、新型コロナ関連の行動規制も徐々に緩和され、葬儀業界も全体的に回復傾向にあるといわれています。
株式会社ベルコでは、利益剰余金が増加に転じている点からも、収益状況の好転が感じられました。

大手冠婚葬祭互助会の業績は、葬儀業界全体の置かれている状況を推し量る指標ともなりますので、引き続き2024年3月期の決算公告が待たれるところです。

株式会社ベルコの損益計算書

損益計算書とは企業が「どれだけ売り上げが上がり(=収益)」「費用を何に使って(=費用)」「どれくらいもうかったのか(=利益)」が一目で分かるものです。

損益計算書

決算期48期49期50期51期52期53期54期
会計年度2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
売上高588億4千1百万円583億1千2百万円568億7千1百万円550億0千9百万円417億6千6百万円475億8千7百万円545億6千9百万円
売上原価414億0千5百万円418億3千8百万円408億8千8百万円406億0千6百万円341億6千1百万円376億3千8百万円423億8千3百万円
売上総利益174億3千6百万円164億7千4百万円159億8千3百万円144億0千3百万円76億0千4百万円99億4千8百万円121億8千5百万円
販売費及び一般管理費137億5千2百万円136億1千3百万円129億6千9百万円129億6千1百万円115億4千1百万円117億5千7百万円112億3千8百万円
営業利益36億8千4百万円28億6千0百万円30億1千3百万円14億4千1百万円-39億3千6百万円-18億0千8百万円9億4千7百万円
営業外収益45億9千1百万円70億1千9百万円45億8千9百万円42億7千8百万円53億4千5百万円40億1千9百万円41億0千7百万円
営業外費用3億6千8百万円3億8千6百万円3億8千3百万円10億5千2百万円5億2千9百万円6億8千9百万円7億3千3百万円
経常利益79億0千7百万円94億9千3百万円72億1千9百万円46億6千7百万円8億7千9百万円15億2千1百万円43億2千1百万円
特別利益1億1千9百万円1億5千6百万円7千0百万円9億1千1百万円8億5千1百万円3億8千0百万円
特別損失63億7千7百万円35億3千5百万円4億1千2百万円19億2千6百万円25億2千4百万円8億4千4百万円11億3千9百万円
税引前当期純利益16億4千8百万円61億1千5百万円68億7千8百万円36億5千2百万円16億4千5百万円15億2千7百万円35億6千2百万円
法人税、住民税及び事業税7百万円16億4千3百万円28億1千6百万円15億2千3百万円7百万円8億9千1百万円19億6千2百万円
法人等調整額7億0千7百万円-5億0千6百万円-5億3千3百万円-3億0千9百万円-6億9千8百万円-3億2千7百万円-4億7千9百万円
当期純利益9億3千3百万円49億7千7百万円45億9千5百万円24億3千7百万円-9億5千4百万円9億6千3百万円20億7千9百万円

2021年3月期に引き続き営業損失が発生しているものの、その金額は大幅に圧縮されており、財務状況の好転が伺えます。
2022年に当期純利益が9億6千3百万円の黒字となり、2023年には20億7千9百万円となっていることからみても、すでに新型コロナの影響から脱却しつつあるようです。

売上金額の推移

株式会社ベルコにおける過去6年間の売上高は、以下のように推移しています。

株式会社ベルコでは、度重なる新型コロナ関連の行動規制が影響を受けたためか、2021年3月期には売上高が大幅に減少しましたが、2022年3月期の決算では475億8千7百万円(前年同期比13.94%増)と大きく改善していました。
2023年3月期にはさらに545億6千9百万円(前年同期比14.67%増)と、売上金額は増額し続けています。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

株式会社ベルコでは、2022年3月期にも営業損失が発生していますが、新型コロナの影響がもっとも大きかった前年同期に比べ、マイナス部分は大幅に圧縮されています。
2022年後半からは新型コロナの影響も薄れつつあったためか、2023年3月期決算公告では9億4千7百万と大きく黒字に転じています。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含め、会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

株式会社ベルコの2023年3月期経常利益は、43億2千1百万円(前年同期比184.09%増)となりました。

冠婚葬祭互助会の中でも最大手となる株式会社ベルコでは、営業外収益の金額も非常に大きいため、多少の営業損失が発生しても経常利益は黒字を維持しています。
2019年以降は減少傾向にあったベルコの経常利益ですが、2023年3月期では大きな増加に転じました。これも株式会社ベルコの努力の賜物と言えるでしょう。

株式会社ベルコの決算公告まとめ

本記事では、株式会社ベルコの決算公告資料を参考に、新型コロナ発生前後における同社の財務状況や業績の推移について分析しました。
上場企業の決算公告ほどで詳細ではありませんが、貸借対照表や損益計算書からだけでも、おおまかな経営状態は把握いただけたかと存じます。

葬儀業界で大きな影響力を持つ大手冠婚葬祭互助会各社の業績は、市場の傾向を推し量るうえでも非常に有益な資料となります。
葬研では、葬儀や仏壇・仏具、墓石や霊園など、ライフエンディング業界に関する情報を発信しておりますので、何らかの形で参考にしていただければ幸いです。

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