株式会社ベルモニー(香川) ┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

ベルモニー香川アイキャッチ

葬儀社の業績・利益を調べる場合、帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、
葬儀社の業績・利益の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社ベルモニー(香川)の現状について、貸借対照表をもとに分析いたします。
事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社 ベルモニー(香川)の概要

株式会社ベルモニーは香川県高松市に本社を置き、香川県・徳島県を中心に冠婚葬祭事業などを展開するウェルズベルモニーグループの一社となります。
ウェルズベルモニーグループは、主に以下の企業で構成されています。

  • 株式会社ウェルズベルモニーホールディングス
  • ベルライン株式会社
  • 株式会社ベルモニー ←今回はこちらを分析します!

愛媛県・高知県を中心に事業を展開する同名の「株式会社ベルモニー」は、源流を同じくする企業ですが、現在は別会社として運営されているようです。

【社名】株式会社ベルモニー
【所在地】〒761-8058 香川県高松市勅使町196番地1
【設立】1972年(昭和47年)4月
【代表者】代表取締役 武智 康行
【従業員数】451名(グループ計)
【公式ホームページ】https://www.bellmony.co.jp/index.html
【事業概要】
冠婚葬祭に関する互助会会員募集事業、冠婚儀式に関する事業、パーティ・展示会の企画・立案・演出、葬祭儀式に関する事業、年忌法要・仏壇・墓石など葬儀に付帯する業務一切、生花事業、ギフト販売事業、不動産管理事業、運送事業

株式会社ベルモニーでは、香川県・徳島県を中心に、葬祭施設として74会館を展開しています。

出典:株式会社ベルモニー「ベルモニー会館を探す」

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

公告の方法は全部で3つあります。

・官報に掲載
・日刊新聞紙に掲載
・電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な側面が強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせております。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより

会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

・法務局に供託する
・経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶ
・銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶ

上記のいずれかの方法を選択する必要があります。
また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。

なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

株式会社 ベルモニー(香川)の貸借対照表 

新ベルモニー香川貸借対照表-min

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である「自己資本比率」が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。

自己資本比率が低い場合は借入金などの負債が多いので資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で、自己資本比率が高い場合は返済義務を有しない資金を大量に抱えているので倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、最適とされる自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

貸借対照表の左右(運用状況と調達状況)の合計額は必ず一致する
「資産」=「負債」+「純資産」という計算式が成り立つことから、貸借対照表のことをバランスシート(Balance Sheet)またはビーエス (B/S) と呼ぶこともあります。

株式会社ベルモニー(香川)の自己資本比率は37.53%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産」で求めることができます。
ベルモニーの2023年7月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

84億1千2百万円(純資産)÷ 224億1千2百万円(総資産)
上記の式から同社の自己資本比率は37.53%(前年比で2.11ポイント増加)となりました。

株式会社ベルモニー(香川)の資産と負債について

自己資本比率の次に確認したいのは、資産負債の額になります。
貸借対照表でいうところの資産は左側に、負債は右側上段に記載があります。

この赤い円の箇所を確認することで、その会社の資産と借金の額を確認できます。

資産合計の推移

貸借対照表の左側に記載されており、「会社の所有する資産」を表します。

資産は下記の3つで構成されています。

流動資産 = 1年以内に現金化もしくは費用化できる資産
例) 現金、有価証券、商品、製品など

固定資産 = 長期にわたって会社が保有するものや1年を超えて現金もしくは費用となる資産で有形固定資産や無形固定資産がある。
例)・有形固定資産:建物、土地、車など
・無形固定資産:ソフトウェアなど

繰延(くりのべ)資産 = 会社設立にかかった費用や社債発行にかかった費用を一括して費用として計上せずに資産として計上し期間内(数年など)に分けて償却するものとなります。
例)創立費、開業費、開発費など

株式会社ベルモニー(香川)の資産合計は、以下のように推移しています。

ベルモニー資産合計

株式会社ベルモニー(香川)の2023年7月期における資産合計は、224億1千2百万円(前年同期比3.73%増)となりました。
新型コロナの影響が最も大きかった2020年・2021年と減少しましたが、2022年・2023年と2期連続で増加しています。

負債合計の推移

貸借対照表の右側上段に記載されており、「返す必要のある他人からの借金」を表します。
負債は下記の2つで構成されています。

流動負債 = 1年以内に支払い期日を迎える負債となります。
例) 家賃、従業員の給与や賞与、買掛金(サービスや商品の金額を後払いするもの)など

固定負債 = 1年以内に支払い期日を迎えない負債となりますので、流動負債以外の負債は固定負債になるということです。
例) 従業員の退職金、社債、長期借入金など

株式会社ベルモニー(香川)の負債合計の推移は以下のようになっています。

ベルモニー負債合計

株式会社ベルモニー(香川)の2023年7月期における負債合計は、140億0千0百万円(前年同期比0.34%増)となりました。
株式会社ベルモニー(香川)の負債合計は、緩やかな減少傾向にありましたが、2022年・2023年と2期連続で増加しています。

株式会社ベルモニー(香川)では、新型コロナの影響が落ち着き始めた2022年以降、積極的な出店を続けていますので、資産合計・負債合計ともに増加しているのは、設備投資の影響という可能性もありそうです。
とはいえ、自己資本比率も向上していますので、経営安定性に不安は感じられません。

株式会社ベルモニー(香川)の純資産について

自己資本比率、資産合計、そして負債合計をみてきましたが、最後に確認したいのは「純資産」となります。
純資産は貸借対照表でいうところの右側下段に記載があります。

純資産は資産(現金、土地、建物など)から負債(借金)を差し引いたものです。

この赤い丸の箇所を確認することでその会社の純資産を確認できます。

ベルモニーの純資産合計・当期純利益・利益剰余金の推移はそれぞれ以下のようになっています。(各用語についても分かりやすく解説しています)

純資産合計の推移

会社の所有する現金や建物などの資産から負債(借金)を差し引いたものとなります。
資産の割合が高ければ財務健全性が高いと考えられます。一方で、純資産がマイナスの状態を債務超過といい、2期連続で債務超過の状態が続いた場合、上場企業であれば上場廃止基準に抵触することもありますので、財務状況を推し量るための重要な数値となります。

ベルモニー純資産合計

株式会社ベルモニー(香川)の2023年7月期における純資産合計は、84億1千2百万円(前年同期比9.92%増)となりました。
過去6年間において、株式会社ベルモニー(香川)の純資産合計は、新型コロナの影響が大きかった期間を含めて増加を継続していることから、業績が順調に成長している様子がうかがえます。

当期純利益の推移

会社が1年間で得た全収益から法人税や住民税そして費用を差し引いたものが当期純利益となります。
この当期純利益がマイナスとなると当期純損失となります。

当期純利益の額をみることで、その会社の収益性がどのくらいなのか判断できる指標になります。

ベルモニー当期純利益

株式会社ベルモニー(香川)の2023年7月期における純利益は、9億8千4百万円(前年同期比52.56%増)となりました。
新型コロナ発生前となる2019年7月期の数値を上回っており、過去6年間で最高額となっています。

利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で経営が赤字になった際に従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため企業が生き残るための重要な資金源となります。

株式会社ベルモニー(香川)の場合は以下のように推移しております。

ベルモニー利益剰余金

株式会社ベルモニー(香川)の2023年7月期における利益剰余金は、82億8千6百万円(前年同期比10.08%増)となりました。
新型コロナの影響が大きかった期間も含め、株式会社ベルモニー(香川)の利益剰余金は増加を継続しており、堅調に推移しています。

株式会社ベルモニー(香川)のまとめ

今回は株式会社ベルモニー(香川)の貸借対照表をもとに、同社の財務状況や業績について解説しました。
全体的な数値をみる限り、同社の財務状況に不安要素は見当たらず、安定的な経営を続けている印象です。

近年の葬儀業界では、小規模葬儀への消費者ニーズ拡大に対応すべく、家族葬向けの葬祭ホールを新設する動きが加速していますが、株式会社ベルモニー(香川)でも家族葬会館 を続々とオープンしています。
さらに2022年以降は、専属納棺師による湯灌・納棺に対応した「納棺師の家族葬専用式場 和(なごみ)」を開業するなど、小規模でも顧客満足度の高い葬儀の提供に努めているようです。

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