近年の葬儀業界では、少子高齢化や核家族化などの影響から少人数で見送る家族葬が主流となりつつあります。
そのため家族葬に特化した専門葬儀社では、低価格を前面に押し出したTVCMなどで露出を増やし、葬儀ブランド名の認知度向上を図るケースが少なくありません。
一方、上場葬儀社や大手冠婚葬祭互助会では、メインの葬儀ブランド名を表に出さないマルチブランド戦略を用いて、新たに「家族葬」専門ブランドを立ち上げるケースが増えています。
大手葬儀社がマルチブランド戦略を選択する背景には、小規模化・簡素化が進む葬儀市場への対応以外にも、別の狙いがあるようです。
そこで本記事では、大手葬儀社ならではの課題や、マルチブランド戦略をとる理由などについて、詳しく分析します。
集客方法やブランディングの重要性など、事業規模を問わず葬儀社運営に役立つ部分もあるかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
大手葬儀社ならではの課題
集客や採用など、葬儀業界全体で共通の課題がある一方、事業の継承や資金調達など各社固有の悩みもあることでしょう。
しかし豊富な資金力を持つ大手の葬儀社や冠婚葬祭互助会でも、企業規模が大きいがゆえの課題があるようです。
葬儀ニーズの2極化
小規模で低価格な葬儀がもてはやされる一方で、「故人様の人生に相応しい立派な葬儀を営みたい」「豪華な葬儀で華やかに見送りたい」と希望される方も少なくありません。
こうしたニーズを満たすためには、積み重ねた実績に裏打ちされた技術と、葬送儀礼に関する豊富な知識が必要となります。
ある程度の費用をかけてでも、大切な方を見送るため格式高い葬儀を営みたいと望む方が、家族葬専門の新規参入葬儀社を選択する可能性は、あまり高くはないでしょう。
信頼のおける地域密着型の老舗葬儀社、あるいは豊富な実績を持つ大手の葬儀社や冠婚葬祭互助会に依頼する方がほとんどです。
とはいえ現在の日本では、社会環境の変化などから大規模な一般葬の需要は徐々に減少しつつあり、少人数での家族葬が多くを占める状況です。
大手の葬儀社や冠婚葬祭互助会としては、高価格帯の顧客層を維持しながらも、家族葬ニーズに対応しなければならない状況となっています。