小さなお葬式というと、葬儀ポータルの覇者というのが葬儀業界の認識ではないでしょうか?
その小さなお葬式は2006年8月に設立された株式会社ユニクエストは当時は株式会社ユニクエスト・オンラインとしていう社名で事業を開始されておりました。
今回は葬儀ポータルという印象が強い小さなお葬式を運営されているユニクエスト社について、情報整理を含めて解説を進めていきたいと思います。
小さなお葬式様のいきなりまとめ
「小さなお葬式」を運営されているユニクエスト様は2006年の創業から今日まで、葬送サービスをはじめブライダルや不動産(リフォーム)、Web広告など多角的に事業を展開されてきました。
しかし事業の中心はぶれることなく常に「葬儀」におき、葬儀用供花配送や僧侶手配などユーザーの利便性向上を重点に、事業領域を拡大しているようです。
他社より先行するためにつねにユーザーの需要に敏感に反応し、挑戦と試行錯誤を繰り返す姿勢は他の追随を許しません。
また自信をもって進めた事業に対しても、改善すべき点があれば躊躇(ちゅうちょ)なく軌道修正を実施するスピード感も特徴といえるでしょう。
現在は訪問看護や介護から葬儀・遺産相続まで「終活」を全般的にカバーする「ライフエンディング関連事業」に注力しているようです。
中心事業である葬儀ポータルサイト「小さなお葬式」を、ネットだけでなくリアルでも活用すべく、同じ名称を冠した実店舗の展開を進めています。
これまでの簡単概要について
現在までのユニクエスト様の軌跡を振り返ると、緩やかな成長曲線をたどるのではなく、急成長時期を境に3段階に分けられます。
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(1)創業期 2006年~2012年の6年間で7サービスのリリース
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(2)調達と拡大 2013年~2018年の5年間で8サービスのリリース
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(3)ライフエンディング関連事業への集中 2019年~2021年の3年間で11サービス
2006年~2018年の期間も、1年1~2サービスをリリースしていますが、2019年~2021年の3年間で11サービスのリリースは驚異的な成長スピードといえるでしょう。
世の中の流れにタイムラグなく対応し、先行者としての優位性を常に保っている理由が良く分かります。
小さなお葬式(株式会社ユニクエスト様)の事業展開
記号意味:※=葬儀外事業、★=売却・買収、●=葬儀会館事業
(1)創業期 2006年~2012年の6年間で7サービスのリリース
日本では1997年に65歳以上の高齢者数が児童数を上回る「少子高齢化」時代を迎えました。
将来的な多死社会に目を向け「葬儀価格検索」をテーマにした「葬儀本.com」サイトの立ち上げを皮切りに、葬儀関連事業を中心とした事業展開をスタートされた時期です。
2006年6月 「葬儀本ドットコム」
2009年9月「お花配達.com」(葬儀用供花配達)
2009年10月「小さなお葬式」(追加料金不要、全国対応をコンセプトとして)
※2011年6月β版として「9ウエディング」11月に「ファスト婚」に名称変更(ブライダル事業)
※2012年4月リノコ(リフォーム事業)
2012年9月「てらくる」(僧侶手配サービス)
2012年11月「小さなお仏壇」
(2)調達と拡大 2013年~2018年の5年間で8サービスのリリース
★2013年1月に大手冠婚葬祭互助会事業者のアルファクラブ武蔵野株式会社が、ユニクエスト社株式の過半数を買収し親会社となります。
この期間に創業者の田中友也氏(現ナッシュ株式会社代表)が代表取締役を退任し、重野心平氏が代表取締役社長に就任しました。
またリフォーム事業をセカイエ株式会社に譲渡し、事業の重点を終活関連サービスへシフトします。
葬儀だけでなく永代供養や海洋散骨などの「葬儀後」に関するサービスもリリースし、葬儀周辺領域に事業を拡大したのもこの時期にあたります。
2013年1月「小さなお葬式の海洋散骨」(海洋散骨サービス)
★2013年 リノコ(リフォーム事業)を株式会社ユニクエスト・オンラインよりセカイエ株式会社に事業譲渡
※2014年11月 「Wedding Now ウェディングナウ」(ブライダル事業)
2015年2月「小さなお葬式の永代供養」
2015年9月「Faceee」(遺影加工及び遺影額販売サービス)
2016年10月「お墓のお引越し」
※2017年1月「ソエンド」(広告事業)
2017年11月「OHAKO」(納骨先比較サイト)
2018年3月時点で葬儀施行件数が累計で15万件を突破し、2018年6月に社名を株式会社ユニクエストに変更後も新規サービスのリリースは続きました。
2018年11月「小さなお葬式の樹木葬」
(3)ライフエンディング関連事業への集中 2019年~2021年の3年間で11サービス
2019年以降は葬儀関連のサービス充実に力を注ぎつつ「小さなお葬式」ブランドに実体をもたせる試みも開始しています。
各地の葬儀社とのFC(フランチャイズ)契約も開始し、ユニクエスト様プロデュースのFC店舗「小さなお葬式 のなみホール」などが開業しました。
今後も葬儀社の少ない空白地域への出店を加速させると思われ、アルファクラブグループ内の小規模式場を「小さなお葬式」に転換していく可能性も高いでしょう。
また後払い決済事業者のSCORE(スコア)との連携により、葬儀費用の後払いシステム「ベリトランス後払い」を2019年6月より導入しています。
2019年3月企業主導型保育園「本町おひさま保育園」を開園
2019年4月「てらさぽ」(僧侶手配用スケジュール・情報管理スマホ専用アプリ)
2019年4月「いつもこころに」(定額ペット葬)
2020年3月「enishi(えにし)」(訃報連絡サービス:2022年1月31日終了)
2020年3月「タイムカプセル」(LINE遺言サービス)
・2020年5月小さなお葬式 野々市本町ホール 開業
★2020年06月 ライフアンドデザイン・グループ 株式会社を買収
2020年7月「RashiK(ラシク)」(終活メディア)
・2020年9月小さなお葬式 金沢長土塀ホールと小さなお葬式 金沢神宮寺ホール直営店を開業
2020年10月 「葬儀本ドットコム」(2022年3月31日閉鎖)から「セレなび」へリニューアル
2021年6月「ユニコレ」(葬祭具用品EC)
2021年6月「奏でる生演奏」「Last Letter」
補足解説
●ユニクエスト社の親会社となるアルファクラブ武蔵野様の傘下に入る企業様の葬儀系事業の全体像を把握するべくマップ化すると以下のような内容になりました。
●また、アルファクラブグループ様の全体における葬儀事業の展開では以下のような展開が可能と想定されました。
※会館数は2022年3月30日時点のものです。図画ではグループ外のFC数は網羅していません。
理由としては小さなお葬式ではFC展開もおこなわているようで、石川県金沢市に3会館(うち2会館は「小さなお葬式」の名称を使用)の葬儀会館を開業し、アルファクラブグループ傘下の子安葬儀本店様でも、岐阜県内に「小さなお葬式」の名称を冠した式場(3月30日時点では5会館)を展開しています。
特定地域内への集中的な出店で経営効率を高めつつ地域内でのシェアを拡大し、他葬儀社の優位に立つことを狙うドミナント戦略をとられていると思われます。
葬儀ポータルサイトの2大潮流
葬儀ポータルサイトは、葬儀社を探しているユーザーと葬儀社をマッチングするサービスですが、サイト運営の手法は大きく2つに分けられます。
※定額型・紹介型の種類分別は公正取引委員会の公表資料を参考
ユニクエスト様が運営する「小さなお葬式」は定額型葬儀ポータルの代表格ともいえる存在です。
提携型 葬儀ポータル
葬儀ポータルサイト運営企業があらかじめ数種類の葬儀プランを用意し、各プランでの葬儀を希望される利用者様が指定した地域の葬儀社に、プラン通りの葬儀を施行してもらう形式です。
葬儀ポータルサイト自身が契約主体となり、受注から葬儀社選定・集金・アフターフォーローまでを行います。
「小さなお葬式」は提携型の葬儀ポータルサイトの筆頭ですが、他にも「イオンライフ」様や「DMMのお葬式」など、他業種からの参入が相次いでいる事業形態です。
そのため、お葬式の費用において価格競争が激化したことで、掲載する料金だけでは葬儀がおこなえずオプション選択をしなければ葬儀が進められないという煩わしい記載が、景品表示法に触れたり、加盟する葬儀社さんを囲い込むべく施行料金体系の設定をおこなうことで独占禁止法に抵触するケースが出るという会社が複数企業あり、措置命令や罰金の対象になっています。
また葬儀を実際に施行するのは各地の葬儀社様となりますが、葬儀社様の多くは独自の葬儀プランを掲げて営業している点も問題です。
「小さなお葬式」から葬儀を請け負った場合、同じような内容の葬儀にもかかわらず、費用が異なるという二重価格問題を内包します。
しかし、従来は不明瞭だった葬儀費用を明確に示してくれる提携型葬儀ポータルサイトの存在は、利用者にとって非常に利便性の高いサービスであることはいうまでもありません。
契約から葬儀施行・支払い・アフターケアまでをワンストップで提供する提携型葬儀ポータルサイトは、不安を抱える喪主様にとって、まさにポータル(玄関・窓口)といえます。
紹介型 葬儀ポータル
葬儀を希望する利用者様と、各地の葬儀社様のマッチングに特化した形式の葬儀ポータルサイトです。
鎌倉新書様が運営する「いい葬儀」が代表格となるサービスで、契約主体は紹介を受けた葬儀社様となります。
現在では数多くの葬儀ポータルサイトが存在していますが、その原点となるのが紹介型葬儀ポータルサイトです。「いい葬儀」は2000年にサービスを開始していますが、サイト自体で葬儀プランを設定することはなく、葬儀プランの設定は各葬儀社様が行います。
「いい葬儀」では利用者様の提示する希望条件にもとづいて、指定地域内の複数葬儀社から条件にマッチする葬儀社を探し、一括で見積もりを取るサービスを提供してきました。
利用する葬儀社を利用者様自身が決定したあとは、利用者様と葬儀社が直接やり取りして詳細な葬儀内容などの打ち合わせを行うというスタイルです。
そのため紹介型葬儀ポータルと葬儀社様のあいだで、二重価格問題は発生しません。
ライフアンドデザイン・グループ株式会社の構成
ネット場での送客を中心としていた小さなお葬式(ユニクエスト社)ではリアルの葬儀にもすそ野を伸ばそうとしているようで、2020年06月 ライフアンドデザイン・グループ 株式会社の買収をおこなわれております。ライフアンドデザイン・グループ様では複数の屋号で葬儀事業をおこなわれており、2022年3月30日時点では131会館を運営されております。
らくおうセレモニー(旧洛王グループ)
もともとは関西・北陸地方を中心に82施設の葬儀場を展開する「洛王セレモニー株式会社」として活動していましたが、2020年4月に「ライフアンドデザイングループ西日本株式会社」に社名変更しています。
ただしユニクエスト様傘下企業である点を前面に打ち出すことはなく、地域の葬儀社として営業しているようです。
少人数での家族葬を得意とする企業で、30名まで対応可能な小規模式場「セレモニーハウス」と、80名まで対応可能な中規模式場「家族葬の洛王ホール」を所有しています。
葬儀のこすもす(旧神奈川こすもす)
葬儀まで遺体を預かり安置する「遺体安置施設フューネラルアパートメント」を展開する企業で、エンバーミングにも対応可能です。
所有する葬儀式場は神奈川県に21施設、札幌市に2施設となっていますが、らくおうセレモニーと同様に30名前後まで対応可能な式場を「セレモニーハウス」という名称で展開しています。
ルミーナ
主に「ルミーナホール」という名称で、兵庫県を中心に13施設の葬儀場を展開していますが、尼崎市内の小規模ホールでは「セレモニーハウス」の名称を使用しています。
「ルミーナホール」の各式場は規模が一定ではなく、40名までの小規模な式場から250名まで対応可能な大規模式場までまちまちです。
ただし大規模式場は内部で区分けできるようで、小規模な葬儀にも対応しています。
アルファクラブグループにおける「小さなお葬式」の役割
高価格でも顧客満足度が高く安心感のある葬祭サービスを提供しているアルファクラブグループ様と、必要最小限・低価格・明朗会計を前面に打ち出すユニクエスト様が提携した理由は何でしょうか?
ここでは「小さなお葬式」がアルファクラブグループ内で果たす役割について、分析していきたいと思います。
葬儀ポータルとしての集客と振り分け
葬儀ポータルサイト全体の売り上げのうち「小さなお葬式」が占める割合は4割前後といわれています。
「小さなお葬式」では費用負担の少ない「直葬(火葬式)」から、100名以上が参列する「一般葬」まで、複数価格帯のプランを用意しています。
30名までの小規模な「家族葬」については、ほとんどの葬儀社様が対応可能でしょう。
しかし100名以上が入れる大規模な式場を所有している葬儀社は、地域内でも限られます。
「小さなお葬式」を訪れた方のうち、参列者多数の高価格帯プランを希望する利用者様を、大手冠婚葬祭互助会事業者に送客するのは必然の流れです。
アルファクラブグループを含む冠婚葬祭互助会事業者の多くは「全互協(一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会)」に加盟しており、横のつながりがあります。
集客装置ともいえる葬儀ポータルサイト「小さなお葬式」を傘下に持つアルファクラブグループは、今後の「全互協」の中でも、存在感が増大する可能性が高いでしょう。
小規模低価格葬儀ブランドとしての店舗展開
信仰に対する関心が薄れつつある現在では、全国的に葬儀の簡素化・小規模化が進行しています。
特に東京や大阪をはじめとした大都市圏では簡素化が顕著で、直葬を選ぶ方も徐々に増えつつある様相です。
全国に2400万人以上の会員を持つ冠婚葬祭互助会事業者も、この流れを止めるのは困難でしょう。
しかし冠婚葬祭互助会事業者が低価格路線に舵を切った場合、ブランド力の低下を招きかねません。
最悪のケースでは、既存の顧客さえ失う可能性もあります。
そこでアルファクラブグループ様は、自社の名前を出さずに小規模葬儀を希望する利用者層を取り込む方法として、ユニクエスト様との提携を実施したのではないでしょうか?
すでに岐阜県では「小さなお葬式」の名称を冠した葬儀場を、アルファクラブグループ傘下の「子安葬儀本店(株式会社レクストワン)」が複数運営しています。
「小さなお葬式」は葬儀ポータルサイト最大手で、低価格葬儀のイメージ認知度も高いため、式場名に冠すれば利用者に安心感を与えられるでしょう。
アルファクラブグループの事業展開予測
アルファクラブグループ様は、各地の中小冠婚葬祭互助会事業者を吸収するかたちで、これまで事業を拡大されてきました。
葬儀ポータル最大手の「小さなお葬式」を傘下に収めたアルファクラブグループ様は、今後どのような事業展開を計画しているのでしょう。
ここまで紹介してきた情報をもとに、予想してみたいと思います。
2極化する葬儀業界
一般の方から見れば、大手冠婚葬祭互助会事業者と全国展開するような大手葬儀社は、同じように見えるかもしれません。しかし両者のあいだには、大きな違いが存在します。
冠婚葬祭互助会事業を営むためには、前払式特定取引業者として経済産業大臣から許可を受ける必要があります。
許可を受けるためには経済基盤などが基準を満たす必要があり、積立金の50%を法務局などに供託する義務も課せられています。
それに対して一般の葬儀社は、事業を始めるために国からの許可は不要で、資格も必要ありません。
小規模な家族葬を専門に扱うのであれば、大規模な式場を所有する必要もないため、近年では他業種からの参入も相次いでいます。
小規模な葬儀社は、今後も家族葬を中心とした事業運営を継続すると思われますが、冠婚葬祭互助会事業者は小規模から大規模まで多様な葬儀に対応しなければなりません。
しかも会員同士の不公平を防ぐためには、小規模な葬儀であっても極端な低価格は提示しにくいでしょう。
こういったジレンマを解消する方法として、アルファクラブグループ様はユニクエスト様を傘下に入れたと考えられます。
冠婚葬祭互助会事業者として高価格帯の顧客を維持しつつ、低価格帯の需要も取り入れる両面作戦の別動隊として、ユニクエスト様の力が必要だったのかもしれません。
高価格帯ではこだわりの葬儀への対応強化
葬儀の簡素化が進む近年でも、冠婚葬祭互助会会員数は微増または横ばいといった状況です。
このことから、最小限のサービスで低価格の葬儀ではなく、多くの参列者に見送られる一般葬を希望する利用者層が一定数いることが分かります。
バブル期に豪華な社葬などを経験した70~80代の方の中には、近年の小規模な家族葬に物足りなさを感じる方もいらっしゃるでしょう。
現在の日本で純金融資産をもっとも多く保有するのは、70歳以上の高齢者となっています。
生活に余裕のある高齢者世代に対し、満足度の高い葬送サービスを提供するためには、幅広い対応力が必要です。
アルファクラブグループの中でも、豪華な高価格帯の葬儀に対応している「さがみ典礼」や「東冠メモリアル」であれば対応可能でしょう。
上記の2ブランドについては、今後も高価格帯の葬儀に重点をおいて事業を展開すると思われます。
冠婚葬祭互助会事業者として、現時点で極端な低価格路線を取るとは考えにくい状況です。
さらに両ブランドに特色を加えて、グループ事業の2本柱とするケースも考えられます。
小規模低価格では顧客満足度向上
若年層では、従来の葬送儀礼に意味を見出せず、なるべく費用を抑えたいという需要が高まっています。
「小さなお葬式」をはじめとした葬儀ポータルサイトの台頭が、何よりの証拠でしょう。
しかし少人数で行う「家族葬」という形態が定着するにつれ、簡素な葬儀内容に満足できない利用者層が生まれてきました。
特に宗教儀礼を一切排した直葬(火葬式)では、費用負担の少なさに満足しつつも、故人に対して申し訳ないという後悔を残される方も少なくありません。
こういった不満に対処すべく、葬儀社様ならびに葬儀ポータル各社では、直葬と一日葬の中間的な葬儀形式について模索しているようです。
中小葬儀社が今後とるべき対応
大手冠婚葬祭互助会事業者のアルファクラブグループ様と、葬儀ポータル最大手の「小さなお葬式」を運営するユニクエスト様が手を組んだことからも、今後の業界再編は必至といえるでしょう。
その大きな流れの中で生き残るために、各地の葬儀社様が取るべき対応はどういったものになるでしょうか?
大手が対応しにくいニッチな葬儀形式の強化
地域密着型の中小葬儀社様の中には、すでに独自の対応をとられているケースも少なくありません。
現在では葬儀のほとんどが葬儀社様の式場、または公営斎場などを利用して行われ、かつて葬儀の大半を占めた自宅葬や寺院葬も今では少数派です。
しかし上記のような状況を逆手にとって、自宅葬や寺院葬を専門に扱う葬儀社様もあります。
どのような事業にもいえることですが、新しい取り組みは先行者が圧倒的に有利です。
自宅葬や寺院葬は新しいものではなく、むしろ原点回帰の視点から生まれたサービスですが、こういった手間のかかる葬儀形式は、大手が手を出しにくい分野でもあります。
地域独自の伝統的な葬送習慣にフォーカスするのも、特徴を出す方法の一つといえるでしょう。
寺院や地元介護施設などとの連携強化
地域密着型の葬儀社様にとって、地元の寺院様とのつながりは重要視されてきたことと思います。
また高齢者の多くが施設で過ごす現在では、介護施設で葬儀を営むケースも少なくありません。
少子高齢化が進む今後の日本において、寺院・葬儀社・介護施設は協力しあえる点もあるでしょう。
「小さなお葬式」を運営するユニクエスト様の代表取締役である重野心平氏は、ライフアンドデザイングループのCEO も兼任しています。
ライフアンドデザイン・グループが展開する事業の中には、葬祭サービスだけでなく訪問看護や介護事業も含まれています。
「終活」という言葉も一般化した現在では、葬儀への準備もその一環として捉えられています。
葬儀だけでなく「終活」全体を見渡すことで、生き残りのヒントを見つけられる可能性もあるでしょう。
ホームページの強化
どんなに優れた施策を行っても、地域の利用者様に認知されなければ効果を発揮できません。
そのため、地域密着型の葬儀社様のほとんどはホームページを設置して、情報発信に努めておられることでしょう。
しかし情報発信力については、葬儀ポータルサイトに一日の長があります。「小さなお葬式」は今後も実店舗を増やすことが予想され、MEOという葬儀ポータルサイトの弱点すら克服しようとしています。
大手葬儀ポータルサイトが対策を講じてきた以上、地域密着型の葬儀社様が生き残るためには、ホームページの強化は不可欠です。
■まとめ
2020~2021年はコロナ渦で様々な業界では経済の停滞が見受けられました。
葬儀業界では限られた参列者数数となり、施行単価下落が課題となりましたが、死亡人口は減っておらず、高齢化社会である日本では増加しており施行数増の状況でした。
そのため、葬儀においては小規模で執り行う形態が求められ、喪主様・ご遺族様から求められるのはまさに「小さなお葬式」となりました。
時代も追い風に、『葬儀ポータル=ネット送客事業』という認識だったことから、ユニクエスト様では更に1歩出て2020年には葬儀場の設立・運営までも手掛けられておりました。
これまでの事業立上げを考慮すると当然の流れになると思われ、葬儀業界での占有率拡大はネットのみならず、リアルでも拡大をさせていく状況にあるようでした。
今後、現状の事業展開では葬儀場や消耗品・備品といった葬祭用品といったリアルでの展開までおこなっているので、続けて人手不足という課題に対応するべく人材の教育や派遣・研修、あるいは採用・資格制度といった事業もおこりうると考えられました。
非常に興味深い内容でしたので、今後も注視していきたいと思います。