葬儀ポータル「小さなお葬式」運営会社の動向まとめ|ユニクエストの葬祭ホール展開を解説

小さなお葬式 フランチャイズ展開の状況-min

「小さなお葬式」と聞くと大手葬儀ポータルサイトとしてのイメージが強いですが、近年では同名の葬祭ホールが各地に数多く誕生しています。
こうした動きと並行して、葬儀ポータル「小さなお葬式」を運営するユニクエスト社の傘下企業も、営業エリア内での出店攻勢を強めているようです。

同社の葬祭ホールが出店した地域では、地域密着型の葬儀社様にも大小さまざまな影響を及ぼす可能性が高いと考えられます。
また現時点では出店が確認できない地域の葬儀社様にとっても、出店範囲は気になるところではないでしょうか。

そこで本記事では、ユニクエスト社の葬祭ホール展開について詳しく解説いたします。
地域ごとの出店数についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社ユニクエストの概要

ユニクエスト社

葬儀ポータルサイト「小さなお葬式」の運営を中核事業とする株式会社ユニクエストは、2013年より大手冠婚葬祭互助会アルファクラブ武蔵野株式会社の子会社となっています。
またユニクエスト社自体も、多くの子会社を抱えるグループ企業としての側面をもちます。
そのため同社の各種事業は、親会社であるアルファクラブ武蔵野と連携しつつ運営されていると考えられます。

【会社名】株式会社ユニクエスト
【所在地】〒550-0004 大阪府大阪市西区靱本町1-6-3
【代表者】重野 心平
【設立】平成18年(2006年)8月1日
【事業内容】

  1. インターネットメディアの企画・開発
  2. Eコマースソフトウェアの企画・開発
  3. 上記に関わる一切の事業

【従業員数】261名(社員:190名、アルバイト:71名) ※2022年11月1日現在
【公式HP】https://www.uqo.jp/

株式会社ユニクエストのグループ構成

ユニクエストグループ概要-min

株式会社ユニクエストは、2020年6月にライフアンドデザイン・グループ 株式会社をM&Aによって傘下に収めました。
そのライフアンドデザイン・グループ 株式会社は、2016年に洛王セレモニー株式会社(現 ライフアンドデザイン・グループ西日本株式会社)および、株式会社 神奈川こすもす(現 株式会社葬儀のこすもす)を、2018年に株式会社ルミーナを子会社化しています。

こういった経緯から、現在のユニクエスト社は、上図のような構成となっており、それぞれの企業が葬儀事業を展開しています。

ライフアンドデザイン・グループ西日本 株式会社

らくおうセレモニー-min

ライフアンドデザイン・グループ西日本「家族葬のらくおう」「家族葬のセレモニーハウス」名義で葬祭事業を展開しています。

京都府・大阪府・滋賀県・兵庫県・石川県の二府三県を営業エリアとし、葬祭ホールを「らくおう〇〇ホール」「セレモニーハウス〇〇」の名称で運営してきましたが、最近では一部を「小さなお葬式」提携斎場として「小さなお葬式〇〇ホール」名で出典しているようです。
ライフアンドデザイン・グループ西日本では毎年のように複数出店を続けており、現社名に変更された2020年4月時点で50か所だった葬祭ホールも、2023年7月時点では92ホールとなっています。

ライフアンドデザイン・グループ西日本では、積極的な出店に伴い、売上高を急激に伸ばしています。

ライフアンドデザイン・グループ西日本売上高推移-min

【会社名】ライフアンドデザイン・グループ西日本 株式会社
【所在地】〒601-8211 京都府京都市南区久世高田町35-3
【代表者】伊藤 健
【設立】昭和59年(1984年)8月
【事業内容】関西エリア・北陸エリアにおける家族葬ホールの展開と運営
【従業員数】445名(パート含む ※2023年4月現在)
【公式HP】https://rakuou.jp/

株式会社 葬儀のこすもす

葬儀のこすもす-min

株式会社 葬儀のこすもすは、東京都・神奈川県を中心に葬祭サービスを展開しており、2020年4月には北海道札幌市に進出しました。2016年7月にライフアンドデザイン・グループの子会社となって以降は、毎年3~6ホールのペースで出店を続けており、2023年6月時点では31ホールを展開しています。

  • 神奈川県:22ホール
  • 東京都:5ホール
  • 北海道:4ホール

葬儀のこすもすが運営する葬祭ホールは、すべて「セレモニーハウス」で統一されています。
葬儀事業以外にエンバーミング事業も展開しており、専用のエンバーミングルームも所有しています。

株式会社 葬儀のコスモスの売上高は増加を継続していますが、特に直近5年間の伸び率は驚異的です。

葬儀のこすもす売上高推移-min

【社名】株式会社 葬儀のこすもす
【所在地】〒210-0853 神奈川県川崎市川崎区田島町12-9
【設立】平成13年(2001年)4月2日
【代表者】伊藤 健
【事業内容】首都圏エリア・札幌エリアにおける家族葬ホールの展開と運営
【従業員数】270人(パート含む ※2023年6月現在)
【公式HP】https://kgcms.co.jp/

株式会社 ルミーナ

ルミーナTOP-min

株式会社ルミーナは兵庫県(丹波市・三田市・西宮市・尼崎市)・京都府(福知山市)・石川県(金沢市)を中心に葬祭事業を展開しています。
主に「ルミーナホール」「セレモニーハウス」名義で、15か所の葬祭ホールを運営しています。

  • 兵庫県:12ホール
  • 京都府:1ホール
  • 石川県:2ホール

【社名】株式会社ルミーナ
【所在地】〒669-3831 兵庫県丹波市青垣町市原837
【設立】平成16年(2004年)3月2日
【代表者】堀 康樹
【事業内容】葬祭事業・葬祭関連商品販売 ギフト
【従業員数】 30名
【公式HP】https://www.sousin.info/

ユニクエストグループの店舗展開

全国展開

葬儀ポータルサイト「小さなお葬式」を運営するユニクエスト社では、葬儀だけでなくさまざまな事業を展開しており、公式ホームページには以下の5事業が掲載されています。

公式サイト内では触れられていませんが、葬儀ポータルサイトのネームバリューを活用し、「小さなお葬式」名義での葬祭ホール運営もおこなっています。
2022年3月時点でリサーチした際は、まだ数か所といった状況でしたが、2023年8月には39か所にまで増えているようです。

葬祭ホール「小さなお葬式」の運営元企業

「小さなお葬式」名義で運営されている葬祭ホールは、確認できるだけでも39ホールに達しています。
しかし各ホールの紹介ページを1つずつ確認していくと、同じ「小さなお葬式」葬祭ホールでも、運営元がいくつかに分かれているようです。

パターン①ユニクエスト社直営

各地に存在する「小さなお葬式」名義の葬祭ホール紹介ページの中には「公式 小さなお葬式 運営式場」と記載されているケースも見受けられることから、このパターンにおける運営元はユニクエスト社と考えられます。

パターン②ライフアンドデザイン・グループ

ライフアンドデザインロゴ-min

ユニクエスト社の子会社であるライフアンドデザイン・グループでは、数多くの葬祭ホールを運営していますが、ライフアンドデザイン・グループ西日本が運営する葬祭ホールの一部にも「小さなお葬式」の名が冠せられています。
社内では「小さなお葬式提携ホール」として分類されているようです。

また葬儀のこすもすは、北海道の札幌市で4か所の葬祭ホールを運営していますが、そのうちのいくつかは、かつて「小さなお葬式」名義で運営されていたようです。

パターン③アルファクラブグループ企業

アルファクラブグループTOP-min

「小さなお葬式」名義の葬祭ホールが最も多いのは岐阜県となっていますが、その運営元はすべて、アルファクラブグループに属する「株式会社 レクスト岐阜」「株式会社 レクストワン」「株式会社 岐阜冠婚葬祭互助会」となっています。
前述したように、ユニクエスト社はアルファクラブ武蔵野の子会社となっていますので、アルファクラブグループ企業が「小さなお葬式」名義の葬祭ホールを運営していても不思議ではありません。

ただ、これまでのアルファクラブグループが関東以北を中心に事業を展開してきたことを考えると、岐阜県での事業展開には大きな意味がありそうな気がします。

FC(フランチャイズ)

フランチャイズ

ユニクエスト社では2019年よりフランチャイズ事業を開始し、各地の葬儀社が「小さなお葬式」名義で事業展開できるようになっています。
FC事業の中核は株式会社 小さなお葬式(旧 株式会社ライクプレイス)が担っているようです。

株式会社 小さなお葬式は、葬祭ホール建築を専門に取り扱うディベロッパーで、葬祭ホール用地や建物の購入などをおこなっている企業です。
ユニクエスト社の100%子会社として、各地の「小さなお葬式」葬祭ホールも、同社が建築から運用管理まで一貫しておこなっています。
そういった業務の一環として、地域の葬儀社とのFC契約も任されているようです。

葬祭ホール「小さなお葬式」地域別分布

葬祭ホール「小さなお葬式」は、特定地域に集中出店するのではなく、各地域に分散して出店されています
地域別分布をまとめたものが、以下のグラフになります。

地域別 小さなお葬式ホール-min

グラフを確認すると、岐阜県を筆頭に大阪府、愛知県、福岡県、兵庫県に多く出店されているようです。
ユニクエスト社の本拠地は大阪府ですので、近畿エリアの大阪府や兵庫県に多いのは理解できますが、東海地方の岐阜県・愛知県や九州地方の福岡県への出店が多いのが気になります。

その反面、首都圏への出店は神奈川県・埼玉県に1店舗ずつと、非常に少なくなっているのはなぜでしょうか?
その理由の1つとして考えられるのが、ユニクエスト社の親会社であるアルファクラブグループの、エリア拡大に向けた橋頭保(きょうとうほ)としての役割です。

*橋頭保(きょうとうほ):その後の作戦遂行において足掛かりとなる拠点

アルファクラブ武蔵野をはじめ、アルファクラブグループは関東以北を中心に事業を展開しており、これまで東海地方以西への目立った進出はおこなっていませんでした。
その理由としては、他の大手冠婚葬祭互助会との、営業エリア棲み分けといった事情もあったのかもしれません。

しかし冠婚葬祭互助会事業ではなく、子会社であるユニクエスト社の専門葬儀社事業というかたちであれば、他の大手冠婚葬祭互助会を刺激することなく、事業エリアの拡大が可能なのではないでしょうか?
明確な根拠があるわけではありませんので、はっきりとしたことは申し上げられませんが、葬祭ホール「小さなお葬式」の地域分布をみていると、絶対に無いとは言い切れないような気がします。

まとめ

本記事では、葬儀ポータルサイト運営を中核事業とする株式会社 ユニクエストによる、家族葬向け葬祭ホール「小さなお葬式」の展開について紹介しました.

近年では葬儀の小規模化・簡素化の流れが地方にも広がりつつあるようで、家族葬向け葬祭ホールが各地で次々と開設されています。
大手葬儀社では集中出店によるドミナント戦略をとるケースも多く、地域密着型葬儀社様の事業に大きな影響を及ぼしているようです。

そうした状況下において、アルファクラブ武蔵野の子会社であるユニクエストの実店舗運営拡大に対しては、葬儀業界でも危機感を持つ企業が少なくありません。
実際のところ、ユニクエストが実店舗運営に乗り出した背景に、どういった事情があるのかは分かりませんが、これまでの同社の動きを鑑みると、大きな計画の第一歩と考えるのが自然でしょう。

葬研では、今後も同社の動向に注目し、情報発信を続けたいと思います。

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