現代の葬儀は、従来の伝統的な「儀式」としての側面から、故人様および故人様を取り巻く人々の「物語を共有する場」へとその性格を変えつつあります。この変化を象徴するのが、弔辞のあり方そのものです。
かつての弔辞は、故人様の経歴や肩書きを重んじた格式ある定型表現が主流でした。しかし現代では、故人様の人となりを偲ばせる独自のエピソードや等身大の言葉が求められるようになっています。
葬儀社への信頼は、こうした変化に対応できるかどうかによっても左右されます。ご遺族様やご友人から「何を話せばよいか分からない」とご相談を受けた際に、的確かつ温かみのある助言ができることは、顧客との信頼関係を深める重要な機会でもあります。
そこで本記事では、多くの人の心を動かした著名人の弔辞を分析し、心に残る弔辞に共通する構造と言葉の特徴、そして葬儀担当者がご遺族様へ行うべき弔辞作成サポートのあり方について解説します。
目次
- 時代と共に変わる弔辞と、だからこその新たな悩み
- 伝統的な弔辞と、現代の弔辞の違い
- 「理想の弔辞」があふれる環境の功罪
- 【厳選7事例】心を打つ弔辞の動画分析
- 菅義偉 前首相の追悼の辞(安倍元首相 国葬)
- 堺正章さん(内田裕也さん「Rock’n Roll葬」での弔辞)
- 三谷幸喜さん他(西田敏行さん お別れの会での弔辞)
- 原辰徳さん(金田正一さん お別れの会での弔辞)
- タモリさん(赤塚不二夫さん 告別式での弔辞)
- 甲本ヒロトさん (忌野清志郎さん 告別式での弔辞)
- 加藤茶さん (志村けんさん 追悼特別番組での弔辞)
- なぜこれらの弔辞は感動を呼ぶのか?
- 「呼びかけ」のリアリティ
- 具体性(エピソード)をもって人柄を伝える
- 語り手にしか書けない言葉
- 葬儀担当者が活用できる「弔辞作成サポート・フレームワーク」
- Step1: ヒアリング「故人様との一番古い思い出は?」
- Step2: ヒアリング「故人様に一番怒られた(あるいは笑い合った)ことは?」
- Step3:ヒアリング「最後に伝えたい『ありがとう』は何?」
- Step4:「弔辞の基本構成(導入→関係性→エピソード→別れ)」を伝える
- Step5:原稿の事前チェックを申し出る
- 弔辞原稿の確認時に押さえるべきポイント
- ①参列者にとってわかりにくい表現になっていないか
- ②無理に笑いを取ろうとしていないか
- ③センシティブな話題に踏み込んでいないか
- ④忌み言葉・宗教的な表現の誤りがないか
- おわりに
時代と共に変わる弔辞と、だからこその新たな悩み

伝統的な弔辞と、現代の弔辞の違い
伝統的な弔辞は、格式ある文体と故人様の経歴紹介、そして慶弔の定型句を中心に構成されていました。形式的には難解に見えますが、慶弔に関する一定の知識があれば、場にふさわしい内容としてまとめることが可能であったともいえるでしょう。
