死別によって近親者を失ったご遺族様の悲しみや痛みに寄り添い、回復までサポートすることを、グリーフケアと呼びます。
グリーフケアは、自殺や依存症防止に繋がる取り組みでもあり、高齢化や核家族化が進む近年においては、ますます注目される支援のひとつです。
日本国内においても、グリーフケアに関連する協会団体はいくつか存在しており、それぞれ人材養成や学術研究などを行っています。
- 一般社団法人日本グリーフケア協会
- 一般社団法人京都グリーフケア協会
- 一般社団法人日本グリーフケアギフト協会
- 一般社団法人 日本グリーフ専門士協会
- 認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザ
- NPO法人全国自死遺族総合支援センター
- 自死・自殺に向き合う僧侶の会
本記事では、京都府に拠点を構える『一般社団法人 京都グリーフケア協会』について紹介します。
京都グリーフケア協会の概要
京都グリーフケア協会は2011年に設立された協会団体です。10年以上にわたってセミナーやスクール運営、研究サポートなどを行うことで世の中にグリーフケアの精神を浸透させてきました。京都グリーフケア協会では、関係者の知識や技術向上はもちろん、真摯に学ぶ姿勢や人間力も重視しています。
【団体名称】一般社団法人 京都グリーフケア協会
【所在地】〒600-8132 京都府京都市下京区下二之宮町420番地
【設立】2011年6月1日
【代表者】理事長 上野山 栄作
【公式HP】https://www.kyoto-griefcare.or.jp/
京都グリーフケア協会の沿革・歴史
京都グリーフケア協会は、2009年から約3年の月日をかけて設立準備を行っています。遺族に多くの方が寄り添う環境づくりを目指し、カリキュラムはもちろんグリーフケアへの思いを何度も確認してきました。その後、葬儀従事者や看護師、福祉従事者、一般向けなど職種に合わせて各コースを開講しています。
- 2011年:葬儀従事者コース開講
- 2011年:看護師・助産師・臨床心理士コース開講
- 2012年:看護師・助産師 アドバンストグリーフサポーター資格取得コース開講
- 2013年:介護・福祉従事者向けグリーフケアスクール開講
- 2013年:一般向け公開講座開講
- 2013年:葬儀従事者 アドバンストグリーフサポーター資格取得コース開講
- 2013年:看護師・助産師向け公開講座開講
- 2014年:介護・福祉従事者コース上級開講
- 2014年:グリーフケア・ガイドブック発刊
- 2015年:第1回グリーフケアシンポジウム開催
- 2015年:介護・福祉従事者 アドバンストグリーフサポーター資格取得コース開講
- 2020年:月刊フューネラルビジネス2020年4月号掲載
- 2021年:オンデマンド講座開講
- 2023年:グリーフケア対面研修 東京開催
他にもフューネラルビジネスフェアへの出展や講師による学術大会登壇など、全国各地の支援団体と共に学びを深めています。2023年にはグリーフケア対面研修を東京で開催しており、より多くの方が学習できる仕組み作りが進められています。
京都グリーフケア協会の事業・取り組み
京都グリーフケア協会では、近年の高齢化や核家族化といった背景を受け、新たな社会関係を目指しています。
京都グリーフケア協会の主な取り組みは以下のとおりです。
専門職向けグリーフケアスクール・セミナー・公開講座の運営
葬儀従事者や看護師、助産師などグリーフケアを必要とする方向けの対面講座・ライブ講座・オンデマンド講座を運営しています。カリキュラムを修了者は、京都グリーフケア協会認定資格を取得可能です。
グリーフケアスクールは、故人や遺族のグリーフに寄り添うために必要なスキルを基礎から学べるスクールです。葬儀従事者コースの場合、対面またはライブ講座で少人数かつ双方向の手厚い講義を行います。期間はコースによって2~6日間と異なり、初級は月1回ほど火曜日・水曜日の2日間で実施されています。
セミナーは、「入院中・退院後のグリーフケア」「子どもを見送った家族のグリーフケア」など、その都度テーマを変えて開催します。セミナーに参加することで、エンゼルケアや事前ケアの方法、病棟での事例など、あらゆる場面における細かな対応を学べます。一般向けと専門職向けがあり、2023年度の専門職向けセミナーは全7回開催されました。
公開講座では、遺族の会代表者や看護師による講演・ワークショップに参加できます。当事者から数多くの経験を聞くことで、具体的な支援方法やグループ運営のポイントを学べる貴重な機会です。
グリーフケアテーマの講義実施
医療機関や看護・福祉関係教育機関、官庁などの行政機関向けに、グリーフケアをテーマにした講義を実施しています。
グリーフケア専門図書室の運営
京都グリーフケア協会では諸文献の収集も行っており、京都府の拠点にはグリーフケア専門図書室があります。
図書室ではグリーフに関係する書籍や、教育機関・医療機関従事者の論文を閲覧可能です。京都グリーフケア協会講師の書籍販売も行われる予定で、図書室を利用することでさらにグリーフケアの学びを深められます。
図書室は京都府の町屋に設置されており、内装は洋式のシックな雰囲気です。ゆったりとしたソファーでくつろげる空間になっています。
グリーフケアに関する研究サポート
グリーフケアに関する調査・研究支援、著作の刊行支援を行っています。
文化交流や芸術活動の支援
地域活性化における文化交流支援や、京都を中心としたアートの支援活動にも取り組んでいます。
参照:京都グリーフケア協会『京都グリーフケア協会について|概要』
京都グリーフケア協会の特徴
京都グリーフケア協会の特徴は、グリーフケアスクールにおいて職種や対象者ごとに異なるカリキュラムを用意していることです。
カリキュラムは「葬儀従事者向け」「看護師・助産師向け」「介護・福祉従事者向け※」「一般向け」の4種類があります。それぞれ初級から上級、資格取得者向けなど幅広い方のニーズに対応した内容です。京都の会場で少人数制の講座を行っていますが、内容によってはオンライン受講も可能です。
さらに京都府の拠点に設置された図書室には、教育機関・医療機関に従事される方々の論文や関連書籍が蔵書されています。スクール生徒やグリーフを学ぶ学生、研究者にとって貴重な情報収集の場となっているのも大きな特徴のひとつです。
※介護・福祉従事者向けカリキュラムについては、2024年3月現在休講中
京都グリーフケア協会に加盟するメリット
京都グリーフケア協会に加盟することで、葬儀に関わるすべての従事者に必要なグリーフケアの専門知識を学べます。葬儀といっても葬祭業や湯灌、納棺、司会などさまざまな役割がありますが、全分野で活用できる実践スキルを習得可能です。
初級では心理カウンセラーや遺族会代表の方から、体験談をベースとした具体的なアドバイスを受けられます。自分自身のケアについてもバランスよく学べるので、葬儀従事者として経験が少ない方でも受講しやすい内容です。
中級や上級の講師は、死化粧・納棺実務者、葬儀会社経営者、在宅医や大学教授など職種はさまざまです。カリキュラムでは、事前相談や受注時、葬儀後など実務や集客の中でグリーフケアを活かす方法を習得できます。また、カリキュラムを終えると修了証や資格認定証が発行されます。
京都グリーフケア協会の役員・理事
京都グリーフケア協会の理事には、以下の方々が就任しています。
役職 | 氏名 |
理事長 | 上野山 栄作 |
副理事長 | 三上 良次 |
まとめ
本記事では、京都グリーフケア協会の概要や取り組み・加盟企業などについて紹介しました。
近年では若者人口が都市に集中していることや、高齢化の背景から、悲嘆の思いを持ちつづける遺族は増加傾向です。改めて故人の尊厳や葬儀従事者の言動が注目される中、グリーフケアの必要性は年々高まっています。
京都グリーフケア協会では、スクールやセミナー、研究、文献収集など幅広い形でグリーフケアにまつわる支援を行っています。地域に密着する葬儀社・葬儀従事者だからこそ、グリーフケアを深く学んだり、実務を見直したりといった取り組みが必要です。