【ガイドライン緩和】葬儀業界における新型コロナの影響と葬祭各社の対応まとめ

新型コロナウィルス感染症(以下 新型コロナ)がまん延して以降、従来通りの葬儀が営めない期間が長く続きました。
しかし2022年12月に入って、葬儀に関するガイドライン(正式名称:新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン)の緩和に向けた動きが出始めたようです。

大幅な緩和が予想されており、最後のお別れも出来ないような悲しい状況にも、終止符が打たれる時が近づいているようです。

そこで本記事では、新型コロナで亡くなった方の葬儀ガイドライン緩和によって、改善が期待される点について解説します。
葬儀業界の健全化に向けた振り返りとして、新型コロナ禍の中で発生したトラブルについても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

追記:2023年1月6日に「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」(第2版)が公開されました。
緩和された点については、2022年12月時点での見直し案通りの内容となりました。

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目次

葬儀業界における新型コロナの影響

新型コロナ蔓延

新型コロナ発生直後は感染経路や危険性に関して不明点が多かったため、やや過剰とも思われるような措置が取られたのも無理はない状況でした。
2020年7月29日に厚生労働省から出されたガイドラインの内容も、かなり厳格なものとなっています。

出典:新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン

業界団体である「全日本葬祭業協同組合連合会」および「全日本冠婚葬祭互助協会」でも、具体的な対応内容を記した『葬儀業「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」』を作成しています。

本来であればガイドラインも現状に即して改訂されるべきですが、新型コロナに関する情報が蓄積され、主な感染経路が判明して以降も改訂されていません。
その結果、日本国内での新型コロナ発生から2年以上経過しても、新型コロナで亡くなった方の葬儀については、ほとんどが直葬(火葬式)という状況が続きました。

火葬場の対応

火葬場

つい最近まで、新型コロナで亡くなった方の火葬については、立会不可の火葬場がほとんどという状況でした。
しかし最近では、立ち合い、および収骨ができる火葬場も徐々に増えつつあり、東京都でも臨海斎場や南多摩斎場では、棺の小窓を開いて最後のお別れが可能となったようです。

また新型コロナで亡くなった方の火葬については、対応可能な火葬場や時間帯が制限されていましたが、今後は徐々に拡大対応されると考えられます。

新型コロナの葬儀ガイドライン緩和に伴う変更点(予測)

新型コロナで亡くなった方の葬儀ガイドラインについては、政府の見直し案についての報道から、大幅に緩和されると予想されます。
未だ政府から正式な発表がないため正確な情報ではありませんが、予想される主な変更点について紹介します。

納体袋の使用について

これまでのガイドラインでは、新型コロナで亡くなった方のご遺体搬送について、感染防止のため納体袋の使用が推奨されていました。
しかし、ガイドラインが制定されてから2年以上が経過し、新型コロナの主な感染経路が飛沫感染と判断されたことから、納体袋については不要とされる可能性が高そうです。

これまでも最後のお別れができるよう、顔の部分が透明の納体袋が推奨されてきましたが、やっと直接顔を合わせての見送りが可能になると思われます。

ご遺体への接触

ふれあい

ガイドラインの第1版では、新型コロナで亡くなった方のご遺体については、納体袋の上からでも「遺体に触れることは控える」とされてきましたが、この文言も削除される見込みです。
事後に手を洗うなどの適切な対応をとれば、ご遺体に触れられますので、コロナ発生前の状況に近いかたちでのお別れが可能となります。

濃厚接触者の参列

ガイドラインの第1版では、遺族などの濃厚接触者については葬儀への参列を控え、オンライン会葬などの活用が推奨されていました。
しかし見直し案では、マスクの着用など適切な感染防止対策を講じれば、たとえ濃厚接触者であっても葬儀や火葬への参列が可能となりそうです。

新型コロナで亡くなった方の葬儀トラブル

新型コロナが発生して以降、通常とは異なる対応が必要とされた状況に乗じて、ボッタクリといわれても仕方がないようなトラブルも発生しました。
イメージアップに努めている葬儀業界にとって、こういったトラブルの発生は大きな痛手となります。

ここからは、葬儀業界における反面教師とするべく、新型コロナで亡くなった方の葬儀トラブル事例を紹介します。

必要以上の高額請求

葬儀費用

新型コロナで亡くなった方のご遺体搬送や葬儀については、納体袋の使用や担当者の防護服着用など、特殊な対応が求められました。
そのため一定の費用加算はやむを得ないと思われますが、中には必要以上の高額請求を行うような悪質な葬儀社も存在したようです。

各地の消費者生活センターや国民生活センターにも、新型コロナで亡くなった方の葬儀費用に関する相談が、数多く寄せられています。
中には消毒費用名目で、葬儀費用に40万円以上の金額を上乗せされたケースもみられました。

過剰対応

3密を避ける

新型コロナで亡くなった方以外の葬儀においても、感染拡大防止のための対策が求められますが、過剰対応と思われるケースも散見されます。
国民生活センターによると、家族7人のみが参列する葬儀において、3密(密集、密接、密閉)を避けるために大ホールの利用を求めた葬儀社もあったようです。

葬儀に使用する大ホールは、一般的に100名以上の参列者が見込まれる葬儀に利用されるレベルの広さですので、この対応は明らかに過剰対応と思われます。
葬儀式場の使用料は規模が大きくなるほど高額になりますので、ご遺族が不信感を抱くのも無理はないでしょう。

新型コロナで亡くなった方のご遺体安置トラブル

出棺

前述したように、新型コロナで亡くなった方の葬儀については、通常とは異なる特別な対応が求められます。
しかし、すべての葬儀社が対処できるわけではないため、新型コロナで亡くなった方については、対応不可としている葬儀社もあるようです。
さらに遺体安置室を備えている火葬場でも、新型コロナで亡くなった方については、安置を断っているケースが散見されました。

また新型コロナで亡くなった方の火葬については、多くの火葬場で日時が限定されているため、待機期間が長期にわたるケースも少なくないようです。
葬儀社の安置施設を利用した場合、1日当たりの費用が数万円になるケースも珍しくありません。

火葬までの期間が長引けば、遺族が負担する費用も高額となります。
こうした現状を踏まえ、遺族の負担軽減に向けた助成制度を設ける自治体もある一方、全く対応していない自治体も多く、地域格差が浮き彫りとなりました。

新型コロナで亡くなった方の葬儀における葬祭各社の対応

新型コロナで亡くなった方の葬儀については、葬儀社ごとに対応が分かれているようです。
実例をもとに、各社の対応について紹介します。

公益社様

公益社様では、新型コロナで亡くなった方の葬儀について、基本的には火葬後に葬儀をおこなう「後葬」としているようです。
ただし遺族の希望があれば、新型コロナで亡くなった方についても、エンバーミング処置を受け付けています。

新型コロナで亡くなった方のご遺体にエンバーミング処置を施すことで、感染の危険性は大幅に減少するため、通常に近いかたちでのお別れが可能になります。

ティア様

上場企業であるティア様では、エンバーマーを中心とした「感染症対策チーム」を組織し、搬送から火葬まで対応されています。
また新型コロナで亡くなった方のご遺体に対するエンバーミング処置にも、力を入れているようです。

ひのき葬祭様

東京都を中心に葬祭事業を展開するひのき葬祭様では、厚生労働省のガイドラインに従いつつも、遺族の心情に寄り添ったお別れに取り組まれており、火葬まで面会不可としている葬儀社様も多い中、ひのき葬祭様では安置中も面会可能となっています。

また納体袋に包まれた状態ではあるものの、棺を開いての花入れも出来ますし、ご遺族が希望される場合は着替えやラストメイクにも対応されているようです。

まとめ

今回は、新型コロナで亡くなった方の葬儀ガイドライン緩和に伴う変更点や、葬儀に関するトラブルについて解説しました。
葬儀業界においても新型コロナの影響は大きく、各地の葬儀社様においても対応に苦慮されたことは、想像に難くありません。

そのような状況下にあっても、ほとんどの葬儀社様は適切なまん延防止策を実行しつつ、可能な限り遺族の心情に配慮された対応をとられています。
すでに通常に近いかたちでの葬儀を実現されている葬儀社様もあり、最後のお別れすらできないような悲しいケースも、全国的に減少傾向にあるようです。

しかし残念ながら、困難な状況を利用して暴利をむさぼるような非常に悪質な葬儀社があったことも事実で、今回の新型コロナ対応を通して、葬儀業界の問題点や今後に向けた課題も浮き彫りとなりました。

今後の葬儀業界において最優先されるべきは、ご遺族が後悔しないかたちでの葬儀の実現でしょう。
しかし同時に、課題の解消に向けた取り組みも不可欠ですので、まずは新型コロナで亡くなった方への対応について、振り返りから始めてみてはいかがでしょうか。

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