株式会社 117メンバーズ~大和会館・やわらぎホール~┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

株式会社117メンバーズ徹底分析

葬儀社の業績・利益を調べる場合、帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、葬儀社の業績・利益の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社 117メンバーズの現状について、貸借対照表をもとに分析いたします。
上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社 117メンバーズの概要

「株式会社 117メンバーズ」は兵庫県姫路市に本社を置き、兵庫県のほか大阪府・和歌山県内で婚礼・葬祭サービス事業や貸衣装事業を運営する冠婚葬祭互助会事業者です。

「株式会社 117メンバーズ」は、1966年1月に設立された「株式会社姫路冠婚葬祭互助会」が母体となっています。
1973年12月には通産大臣(現経産大臣)許可を受けており、その後1975年5月に「株式会社 大和互助センター」へ社名を変更しています。

現在の社名である「株式会社 117メンバーズ」への変更は2017年11月におこなっており、引き続き営業中です。

グループ会社には「株式会社 117」「株式会社 大和生研」があり、同じく冠婚葬祭互助会事業を営業しています。
そのほか介護事業の運営会社として「株式会社 あっぷる」を設立して営業している状況です。

「株式会社 117メンバーズ」ではグループ会社「株式会社 117」とともに兵庫県に31カ所、大阪府・和歌山県には21カ所の葬祭ホールを運営しています。

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

ただし、大会社については貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は負債額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な側面が強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせております。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより
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会員から掛金として支払われた前受金は、割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を、次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局に供託する
  • 経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶ
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶ

上記のいずれかの方法を選択する必要があります。

また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。
なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

117メンバーズの貸借対照表 

117メンバーズ_貸借対照表

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、最適とされる自己資本比率は業種によって大きく異なります。
例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。

逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

貸借対照表の左右(運用状況と調達状況)の合計額は必ず一致する
「資産」=「負債」+「純資産」という計算式が成り立つことから、貸借対照表のことをバランスシート(Balance Sheet)またはビーエス (B/S) と呼ぶこともあります。

117メンバーズの自己資本比率は71.31%

自己資本比率は以下の式で計算します。
「自己資本比率(%)= 純資産 ÷ 総資産 × 100」

117メンバーズの自己資本比率は上記式により次の通り算出されます。
3億1千5百万円 ÷ 4億4千1百万円 × 100 =71.43%

2022年6月期における117メンバーズの自己資本比率は71.43%です。前年同期と比べてもほとんど横ばいで、2018年6月期から通してみても自己資本比率は70%以上の高い水準で推移している状況です。

117メンバーズの利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

117メンバーズの場合は以下のように推移しております。

117メンバーズ_利益剰余金

2022年6月期における117メンバーズの利益剰余金は2億6千5百万円となり、これは前年同期と比べると1千1百万円(4.33%)の増加となっています。

利益剰余金増加の伸びは次の通りです。
2019年6月期:3.62%→2020年6月期:4.80%→2021年6月期:5.83%→2022年6月期:4.33%

利益剰余金は会社の貯金といえるものであり、不測の事態に充てる資金でもあるため、会社の状況を左右する種々の財務的な脅威に対する備えとして十分に機能するでしょう。

117メンバーズの損益計算書

損益計算書とは、企業が1年間の経営状況を把握するために作成される資料で、P/L(profit and loss statement)とも呼ばれます。
企業に入ってくるお金(収益)と、出ていくお金(経費)をまとめたもので、最終的な利益が確認できる資料です。

損益計算書

117メンバーズ_損益計算書

117メンバーズにおける2022年6月期の決算数値は、全般的に微減といった状況のようです。
とはいえ、新型コロナの影響が最も大きかったと思われる2020年・2021年も大きく業績を低下させることなく、安定経営を継続していました。

売上金額の推移

117メンバーズ_売上高

2022年6月期における117メンバーズの売上高は、1千1百万円(詳細には1,121万円)で、前年同期の1千2百万円にくらべ、わずかに減少となっています。
詳細の数値を追うと減少ですが、実質的にはほぼ横ばいで現状維持ができていたと見て差し支えないでしょう。

営業利益の推移

営業利益とは、主な営業活動で得られた「売上総利益」から「販売費および一般管理費」を差し引いたもので、1年間の本業における利益を表す数字です。
葬儀業界でいえば、葬儀施行や葬儀付帯業務などによる利益が、営業利益にあたります。

117メンバーズ_営業利益

2022年6月期における117メンバーズの営業利益は3百万円(詳細には、324万円)となり、前年同期の4百万円(詳細には、387万円)と比べると63万円の減少です。
減少したとはいえその幅は小さく、コロナ禍の影響を大きく受けることなく、経営的にはほぼ横ばいで推移しています。

経常利益の推移

経常利益は、企業が1年間で得たすべての利益を表す数字で、「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」で算出されます。
ここでいう「営業外収益」とは、主な業務以外の収益(金融商品・株・為替などの取引で発生した利益)を指します。

117メンバーズ_経常利益

2022年6月期における117メンバーズの経常利益は1千4百万円となり、前年同期と比べて若干の減少です。
とはいえ、新型コロナの影響が最も大きかった2020年・2021年も大きく減少することはなく、安定した経営状態がうかがえます。

株式会社 117メンバーズのまとめ

今回は株式会社117メンバーズの決算公告をもとに分析をおこないました。
117メンバーズの経営は新型コロナの影響を大きく受けることなく、順調に推移していた印象です。

日本が経済正常化を目指して、人流や物流をコロナ禍以前に戻しつつある状況で、新型コロナの影響を最小限に抑えた117メンバーズの経営は、今後も堅調に推移する可能性が高そうです。

2023年6月現在では新型コロナの影響はおさまりつつありますので、今後の117メンバーズの2023年6月期決算公告にも注目していきたいと思います。

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