故人の残した物を分類し、形見分けし、不用品を処分し、リサイクルに出したりするのが遺品整理です。
昨今、この遺品整理が、遺族にとって頭の痛い問題となっています。
遺品整理が困難になる背景には、次のような事情があります。
・今のお年寄りはモノを大事にする世代であり、遺品が膨大な量に上る
・各世代が遠く離れて暮らしているケースが多く、遺品整理にたっぷり時間を割くことができない
・生前に十分なコミュニケーションがとられず、貴重品がどこにあるかわからない
そのような困った状況を解決へと導くのが、遺品整理業者です。
遺品整理業者は、家族に代わり遺品を分類し、処分やリサイクル、供養まで行います。
また、主のいなくなった部屋を清掃し、必要な場合には脱臭や殺菌、特殊清掃を行うのも遺品整理のサービスのひとつです。
ただ、全国に何百社とある遺品整理業者から、たった一つの会社を選び抜くのは至難の業です。
そこで、この記事では全国対応の遺品整理業者6社を徹底比較します。
全国規模の遺品整理業者に依頼するメリットと注意点
遺品整理業者には、対応地域が限定されているタイプと、全国展開を行っているタイプがあります。
全国規模の遺品整理業者に仕事を依頼するメリットは、以下の3つです。
- 多数の業務実績がある
全国展開のため、業務実績は地域限定企業の比ではありません。
- 付随サービスや他の終活関連サービスが豊富
士業などとの太いパイプを持っていることが多く、相続関連や不動産売却など、ネットワークを駆使した終活関連サービスを展開しています。
- 依頼方法や支払い方法が選べる可能性が高い
電話での申し込みや現金払いに限らず、メール、LINEでの申し込みや見積もり、クレジットカード対応なども行っています。
対して、全国展開をしている企業の場合、次のような不安もあります。
- 電話での対応と実際の担当者の対応がまるで違う可能性がある
フリーダイヤルの電話応対は本社が行い、実際の施行は地域の担当者が行うといった場合、対応がガラッと変わってしまうかもしれません。
- 教育が行き届いていない恐れがある
全国多数の案件を扱う場合、その日限りのアルバイトを募る可能性もあるでしょう。その場合、マナー教育に若干の不安があります。遺品整理は遺族のデリケートな部分に入り込んでいく仕事ですから、モラルとマナーが行き届いているかは注意したいポイントです。
以上のようなメリットや注意点を踏まえて、全国対応の6社を比較しました。
全国対応の遺品整理業者6社の基本情報比較
まずは対応エリアや費用、依頼方法や支払い方法といった項目で、依頼のしやすさを比較。
実績や資格の有無などは、遺族の心に寄り添える会社かどうかを見極める材料の1つとなるでしょう。
|
対応エリア |
費用 |
創業 |
実績 |
遺品整理士資格※1 |
支払方法 |
依頼方法 |
キーパーズ |
全国対応 (一部非対応地域あり) |
完全見積 |
2002年 |
30,000件 |
なし |
現金〇 振込〇 クレジット× |
TEL |
遺品整理プログレス |
33都府県 |
1K 1名 1~2時間で 35,000円 |
2011年 |
年間5000件以上 |
あり |
現金〇 クレジット〇 |
TEL |
ヤマトメモリアル整理パック |
ほぼ全国対応 |
11万円~ |
1985年(ヤマトホームコンビニエンス) |
記載なし |
なし |
現金〇 振込〇 クレジット〇 |
TEL |
遺品整理ロード |
関東5都県 関西6県 |
1K35,000円~ |
2013年 |
4000件以上 |
あり |
現金〇 振込〇 クレジット〇 |
TEL |
リリーフ |
東京 |
1K2名 40,000円~ |
1960年 |
年間2000件 |
あり |
現金〇 クレジット〇(一部店舗×) |
TEL LINE |
イオンライフ ※実際の施行はリリーフ |
関東 |
1K2名 43,200円~ |
2014年 |
年間2000件※リリーフ |
あり |
現金〇 イオンクレジット〇 分割払い〇 |
TEL |
※1 遺品整理士資格:遺品整理士認定協会が行っている通信教育を終え、テストに合格すると与えられる資格。遺品整理の取り扱い手順や遺品整理に関わる法規制等の知識を身につけることができる
全国対応の遺品整理業者6社のサービス内容比較
次に、遺品整理に付随するサービスや、他の終活関連サービスの展開について比較します。
依頼したいことが多岐にわたる場合、一か所にまとめてお願いできると便利です。
|
特殊清掃 |
付随サービス |
他のサービス展開 |
キーパーズ |
〇 |
無料合同供養 お布団供養サービスパック30,000円 リサイクル品の買取サービス 形見分けの全国配送 乗用車廃車手続き代行 |
不動産の売却・解体・リフォーム 事前整理 相続手続きのための士業斡旋 散骨・海洋葬 単身・ミニ引越し |
遺品整理プログレス |
〇 |
遺品供養、買取、権利書・貴重品の探索が基本料金内 僧侶の訪問供養20,000円 形見分けの全国配送 名義変更等各種手続き代行 |
リフォーム・ハウスクリーニング 不動産整理 生前整理・老前整理 仏壇クリーニング |
ヤマトメモリアル整理パック |
× |
不用品買取、遺品供養、お譲り品発送行政手続き代行、美術品・骨董品保管が基本サービス内 |
引越し 模様替え 生前整理・老前整理 |
遺品整理ロード |
〇 |
無料合同供養
|
各種手続き士業斡旋 ペットの臭い消臭 生前整理 |
リリーフ |
〇 |
合同供養 |
想い出整理パック(少量片付け) 不動産買収整理 空き家整理 生前整理 デジタル遺品サポート |
イオンライフ ※実際の施行はリリーフ |
〇 |
|
生前整理 イオンのお葬式 樹木葬・永代供養墓・納骨堂などお墓関連サービス 相続手続きサポート |
それぞれの遺品整理業者の特徴
ここで、比較表には上らない、各社の特徴をご紹介します。
キーパーズ
東京に本社を置くキーパーズは、遺品整理の草分け的存在です。創設者の吉田太一社長には、『遺品整理屋は見た!』など多数の著書があります。「遺品はゴミではない」という信念のもと、故人と遺族に心を尽くす遺品整理を理念としています。
実績の多さはもとより、各種手続き代行や士業斡旋など、付随サービスや他の終活関連サービスの多さは、他社の比ではありません。困りごとが多いときはとくに頼りになるでしょう。
キーパーズ:https://keepers.jp/index.html
遺品整理プログレス
遺品整理プログレスは、創業2013年と歴史は浅めですが、新聞やテレビなどメディアにその仕事ぶりが大きく掲載されるなどして認知度が上がってきました。ホームページを見れば詳細な費用項目が提示されており、明朗会計に安心感があります。
また、専任スタッフ制をとっており、一人のスタッフがサービス完了までフルで担当してくれるのも信頼感が高まります。専任制は、遺品整理が終わった後、他の付随サービスを利用する段階になっても引き続きとられます。
遺品整理プログレス:http://www.ihinseiri-progress.com/
ヤマトメモリアル整理パック
宅配便事業の最大手、ヤマト運輸の子会社であるヤマトホームコンビニエンスが手掛ける遺品整理サービスです。故人や遺族の想いを胸に、心を込めた作業を第一に掲げる他社よりも、いくぶんあっさりとしたサービスである印象があります。特殊清掃も行っていないため、引越しと同じようなライトな感覚で遺品整理を進めたい人に向いているといえるでしょう。同時に引越しや部屋の模様替えをしたい遺族にもおすすめできます。
ヤマトメモリアル整理パック:https://www.008008.jp/life/service/convenience/service_item19/
遺品整理ロード
川崎市に本社のある遺品整理ロードは、関東・関西を中心として事業展開している遺品整理業者です。対応エリアは若干狭いものの、2013年の創業から4000件もの実績があり、施行数では他社に引けを取りません。
作業事例など実績に関する情報が公式サイトに多数掲載されているため、安心感があります。とくに貴重品の捜索については、個別ページを設けるほどの実績を持っています。権利書や通帳、印鑑など、肝心なものが見当たらず困っている遺族におすすめできます。
遺品整理ロード:https://www.memento-road.com/
リリーフ
西宮市に本社を置くリリーフは、ラジオドラマ「遺品整理人がゆく」に協力するなど、遺品整理の仕事を全国に伝える活動を積極的に行っている会社です。遺品整理の生前予約に対応している数少ない会社の一つなので、「自分の死後のことも不安」と感じている遺族にもおすすめできます。他にも、LINEでの見積もり対応、デジタル遺品のサポートサービスなど、かゆい所に手が届く関連サービスを行っているのが特徴です。
リリーフ:https://relief-company.jp/
イオンライフ
言わずと知れた生活密着型の大企業、イオンの子会社が展開する遺品整理サービスです。イオンブランドに遺品整理をゆだねられる安心感が、一番の売りといえるでしょう。ただ、実際の施行は、一つ前に紹介したリリーフが行っています。紹介料が上乗せされるため、少しでも費用を抑えたいならリリーフへ直接問い合わせを行うのも良いかもしれません。
ただ、お葬式やお墓、相続のことなど、他にたくさんの困りごとを抱えている遺族なら、イオンへの依頼も候補となるでしょう。各専門家と太いパイプを持ち、困りごとに合わせて必要な人や会社を紹介してくれるのが、イオンの特徴です。
イオンライフ:https://www.aeonlife.jp/dispose/
まとめ
遺品整理の基本的な流れは各社ともあまり変わりはありませんが、付随サービスや関連サービスの数はかなり違います。遺族が依頼したいと考えている内容に合わせて業者を選ぶのが良いでしょう。
なお、比較的新しいサービスのため、創業年はあまり信頼度の参考にはならないかもしれません。施行件数や、他のサービスでどのような実績を上げているか、遺品整理士の資格はあるかなど、トータルで判断する必要があります。数社に相見積もりをとることもおすすめです。