「相続」は、家族を亡くした悲しみの中、遺産分割協議や相続登記、銀行口座の名義変更などさまざまな手続きを行う必要があり、専門家に頼らずに行うのは難しい手続きであるとも言われています。また、相続分や遺留分をめぐって、”争続”になることもあり、相続をきっかけに仲の良かった家族が険悪になってしまうことも少なくないと言われています。
そこで、今回はアンケート対象者として「相続経験者(過去に相続を経験した方)」から、相続に関する意識調査を実施しました。
■相続経験者の約半数が「専門家に依頼した」と回答
まず、相続経験者を対象に、どのように相続手続きを進めたのか調査を行いました。
Q相続手続きを行う際に専門家に依頼しましたか?依頼した場合には、最初に相談した専門家を選択してください。
調査の結果、専門家に依頼した方が51%となり、専門家の資格別としては、「司法書士」と回答した方が17%、「税理士」と回答した方が15%、「弁護士」と回答した方が10%、「行政書士」と回答した方が7%、「その他の専門家」と回答した方が2%という結果になりました。相続手続きには、遺産分割協議書の作成や相続登記、銀行口座の名義変更などさまざまな手続きがあり、中には手間のかかる手続きや、専門性の高い手続きも含まれるようになり、これまでは親族内で済ませていた相続手続きを専門家に依頼するケースも増えてきていると言えます。
しかし、「専門家に依頼しなかった」と回答した方は相続経験者の約半数は存在しており、財産の名義が被相続人(亡くなった方)のままになっているケースが多く残っていると考えられます。
また、さまざまな相続の専門家が相談窓口となっている中でも、アンケート対象者の中では「司法書士」に相談した方が最も多いことが分かりました。司法書士は登記の専門家として知られていますが、税の専門家である税理士や、法律家の最高峰といわれている弁護士、行政手続きの専門家である行政書士などと比べて、「司法書士」を相続の相談窓口として認識している方が多いようです。
そこで、次にどのような理由で専門家に依頼したのか調査を行いました。
■約30%の相続経験者が「手続き方法が分からない」ため専門家に依頼
Qなぜ専門家に相続を依頼しましたか?相続手続きを専門家に依頼した決め手となった理由として最も近いものを選んでください。
調査の結果、「どのように手続きをするべきか分からなかった」と回答した方が29%、「本人が亡くなる前に相談していた専門家がいた」と回答した方が16%、「相続税などの税務申告が必要だった」と回答した方が14%、「専門家に相談するものだと思っていた」と回答した方が12%、「友人や知人に専門家がいた」と回答した方が7%、「親族間で相続争いが生じた(「争いの予防」も含む)」と回答した方が7%、「ミスや不備が怖かった」が7%、「専門家に相談したときに依頼する意思を持った」と回答した方が3%、「上記のどの選択肢にも類似しない理由」と回答した方が5%という結果となりました。
相続を依頼するニーズは全体的に分散しているものの、「どのように手続きをするべきか分からなかった」や「相続税などの税務申告が必要だった」など相続手続きに対する難しさを感じている方のニーズが多いことが分かりました。
次に、「専門家に依頼しなかった」と回答した方は、なぜ専門家に依頼しなかったのか理由を調査しました。
■専門家に依頼しなかったのは「財産が少なかったから」が37%
Qなぜ専門家に相続を依頼しなかったのですか?相続手続きを専門家に依頼しなかった決め手となった理由として最も近いものを選んでください。
調査の結果、「相続する財産がほとんどなく、手続きが面倒だった」と回答した方が37%、「調べながら自力で手続きできると感じた」と回答した方が14%、「相続に手続きが必要だと知らなかった」と回答した方が7%、「難しい手続きだと考えていなかった」と回答した方が7%、「遺産分割協議書や登記などの必要性を感じていなかった」と回答した方が4%、「依頼料がもったいないと感じた」と回答した方が2%、「上記のどの選択肢にも類似しない理由があったから」と回答した方が29%という結果になりました。
「相続する財産がほとんどなく、手続きが面倒だった」と回答した方が37%という結果になり、専門家に依頼をしない方の約4割は「相続財産の少なさ」から手続きを依頼していない現状が伺えます。
また、「手続きの難易度」や「依頼料の価格」を理由として、専門家に依頼するよりも自身で問題を解決することを選んだ方、「手続きの必要性」を理由として、そもそも手続きを依頼しなかった方、相続手続きの存在を知らなかった方など、さまざまな理由で専門家に依頼しなかった方が多いことが分かりました。
今回の調査では、相続発生時に専門家に手続きを依頼しない方が多く存在することが分かりました。
そこで、相続に詳しい永江広明行政書士事務所の永江広明行政書士に見解を伺いました。
「相続手続きには、さまざまな手続きがあります。亡くなった方がどのような財産状況であったとしても相続財産の調査は必要ですし、相続完了後のトラブルを防ぐためにも相続人の調査は必ず行わなければなりません。また、不動産などの財産がある場合には相続登記が、財産の額が基礎控除額を超えている場合には相続税の申告が必要となります。最近では、長年にわたり相続手続きを行っていたかったことが原因で、財産の共有者が何十人にも及んでしまっているケースも話題になっており、ミスや不備のないようにできるだけ専門家に依頼したうえで、早めに手続きを行うことが必要です。最初にどの専門家に依頼するのかは個人の自由ですが、専門家の質や姿勢を見極めたうえで相談されることをおすすめします。例えば、最初に相談したときに、話しにくい専門家であったり、相談者の気持ちに寄り添ってくれない専門家であれば、別の専門家に相談してみることもひとつの手段かもしれません。専門家としての知識やノウハウが身についているのかを十分に見極めることはもちろん重要ですが、自分や家族の大事な手続きをお願いするパートナーとして、自分とマッチした専門家に依頼することがおすすめです。」
大切な家族が亡くなった後、相続手続きを進めていくのは大変ですが、専門家に依頼することでスムーズな相続手続きを行うことが可能になります。相続発生後だけではなく、相続発生前も含めて、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか?
調査期間 2017-04-07〜2017-04-30
回答者 885人
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