今年で3回目となる「ゆいごん川柳」には10,724作品の応募があり、その中から日本財団と全日本川柳協会の選考により、大賞1作品、入賞3作品、佳作6作品の計10作品が決定しました。
- 大賞 : あわてずに ゆっくり来いと 妻に宛(茶唄鼓/ちゃかどん さん)
- 入賞 : 下書きを 妻に見つかり 書き直す(本間 奏 さん)
- 入賞 : 遺言の 父の癖字が 愛おしい (イナバウアーの白兎 さん)
- 入賞 : 遺言を 書いた私が 生き残り (伊藤 進 さん)
受賞作品は別添一覧あるいは第3回ゆいごん大賞「ゆいごん川柳」特設サイトをご覧ください。また、特設サイトでは、それぞれの作品に対する全日本川柳協会のコメントもご紹介しています。
また、大賞・入賞に選ばれた4作品は、2019年3月4日より数量限定(無くなり次第終了)で、東京・名古屋・大阪の3都市の三省堂書店、紀伊國屋書店、リブロ各店舗にて、書店しおりとして配布されます。
【参考】
コンテスト概要
日本財団は、「遺言」に関する正しい理解を促し、人生の最期について大切な人と話し合うきっかけをつくろうと、1月5日を「遺言(ゆいごん)の日」と定めています。この日にあわせて募集したのが「ゆいごん川柳」です。
■応募期間:2018年12月3日(月)~2019年1月5日(土)
■選考:日本財団と全日本川柳協会による選考
■入賞賞品:ゆいごん大賞(1作品)10万円、入賞(3作品)3万円、佳作(6作品)1万円
■応募総数:10,724作品(Web応募8,510作品・郵送応募2,214作品)
応募作品について
年々洗練された作品が増えており、どの川柳も捨てがたく迷いに迷いましたが10作品を選考致しました。今回は家族、特に夫や妻をイメージした作品が多く寄せられました。お互いをいたわる気持ちに温かさを感じたり、ユーモアあふれる表現に思わずにやりとさせられました。また、平成最後を意識した川柳作品が多かったことも印象的でした。
コンテストに関するお問い合わせ先
日本財団遺贈寄付サポートセンター フリーダイヤル:0120-331-531
<大賞>
あわてずに ゆっくり来いと 妻に宛 (茶唄鼓/ちゃかどん 広島県)
(講評)自分の死期を予測し遺言を書いたのでしょう。黄泉から妻に呼びかけているような作品です。ゆっくりだから僕が亡くなっても「長生きしてほしい」との思いやりが感じられる。このような遺言は珍しいです。お金や財産、資産についての遺言が多い中で、妻だけに送る人間愛が感じられる作品です。ひと味違った遺言だと思います。
<入賞>
下書きを 妻に見つかり 書き直す (本間 奏 兵庫県)
(講評)遺言は誰もいないところで書くもの。どんな理由かわかりませんが、妻にその下書きが見つかった。慌てて書き直したところを見ると、文の中身はさぞかし妻にとって満足なものではなかったのでしょう。
遺言の 父の癖字が 愛おしい (イナバウアーの白兎 千葉県)
(講評)遺言を見て、父さんの癖字だとありありとわかる文字でした。思わず愛おしさが溢れてきたのでしょう。左肩上がりや丸字などその人の癖は直らないそう。これは確かに本人の書いたものだとの証しにもなります。
遺言を 書いた私が 生き残り (伊藤 進 山形県)
(講評)遺言は先に逝く人が残る人に書き残すものです。その遺言を書いた人が生き残った。逆の状態となったケース。このような状態はあまりないと思いますが、こんな例もあるということかもしれません。
<佳作>
・遺言に 無口な父の こころ知る (西 みなみ 神奈川県)
・ゆいごんで 初めて知った 親心 (シャイン・マスカット 山梨県)
・五輪見て 万博行ってから書くよ (となみ 埼玉県)
・遺産分け ケンカするなら 寄付するぞ (髙木 直子 東京都)
・遺言を 書いて自分の本音知る (ひよどり 北海道)
・少しだけ 我が儘入れて 夢託す (月日備人 神奈川県)
<平成・新元号にちなんだ句> ※受賞作品ではありません
・新元号 「平成」 もまた終活に (匿名)
・遺言で 平成最後 締めくくる (クルミミルミル)
・平成と 歩調合せて 遺言書 (マッチ坊)
・平成の 終わりに遺す 我が思い (日野まる)
・とりあえず 元号の欄 未記入で (匿名)
・元号を 入れたいからと 先延ばし (ももすもも)
・元号の 発表直後 遺書に書く (エミテン)