単身者の相続問題は、葬儀業界に携わる方々が知っておくべき重要な課題の一つです。近年、単身世帯が増加する中、「単身者が亡くなった場合、誰が相続人になるのか」「相続人がいない場合はどうなるのか」といった基本的な知識を正確に把握しておくことが重要になっています。
実際に、高齢者の単身世帯は近年急増しています。総務省の統計によれば、2024年10月1日時点で65歳以上人口は全体の29.3%、うち75歳以上人口は16.8%と、いずれも過去最高を記録しています。
なお、単身者といっても、過去の婚姻歴や親族関係によって相続の状況は大きく異なります。また、別居中の配偶者や内縁関係のパートナーなど、一見してわかりにくい相続関係も存在します。
この記事では、単身者の相続に関する基本的な知識から、誰が相続人になるのか、相続人がいない場合の対応まで、葬儀業界の皆様がご遺族様からの質問に適切に対応するために必要な情報を解説します。ご遺族様の不安を和らげる手助けとなる知識として、ぜひお役立てください。
単身者とは、厚生労働省の定義によれば「独立して住居を維持し、または独立して生計を営む者」を指します。つまり、他の人と住居や生計を共にせず、一人で生活している方のことです。法律上の配偶者がいても、別居している場合は単身者に含まれます。
この記事では、この定義を前提に解説を行います。
目次
- 単身者の相続の基本
- 相続とは?単身者の場合の特徴は?
- 数字で見る単身者や孤独死・孤立死の現状
- 誰がどのような手続きをするのか
- 単身者の場合、誰が遺産を相続する?
- 別居中でも法律上の夫婦なら相続権がある
- 子どもがいる場合は子どもが相続する
- 子どもがいなければ親や祖父母が相続する
- 親や祖父母もいなければ兄弟姉妹が相続する
- 相続する人が誰もいない場合はどうなる?
- 相続する人がいない場合は「相続財産清算人」が仕事をする
- 故人様と親しかった人が財産をもらえることがある
- 最終的に財産は国庫に帰属する
- 単身者の相続にまつわるトラブルと対策例
- 深刻化する空き家問題の現状
- 相続放棄の急増と知っておくべき注意点
- 単身者の空き家対策|早めの意思確認と無償譲渡
- 単身者の葬儀はどうなる?
- 葬儀を行う喪主は誰になるのか
- 故人様の遺骨の行方
- まとめ