グリーフケアの業界団体|認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザについて解説

死別によって近親者を失ったご遺族様の悲しみや痛みに寄り添い、回復までサポートすることを、グリーフケアと呼びます。
グリーフケアは、自殺や依存症防止に繋がる取り組みでもあり、高齢化や核家族化が進む近年においては、ますます注目される支援のひとつです。
日本国内においても、グリーフケアに関連する協会や団体はいくつか存在しており、それぞれ人材養成や学術研究などを行っています。

本記事では、主に自死遺族を対象にしたグリーフケアの普及と推進に取り組む『認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザ』について紹介します。

目次

認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザの概要

グリーフケア・サポートプラザHP
出典:認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザ

グリーフケア・サポートプラザは、「特定非営利活動法人法」による特定非営利団体で、自死遺族のためのグリーフケアに特化した活動を行っています。
電話相談や悲嘆感情の分かち合い、講演会を通じて、遺族の悲しみや苦しみを傾聴し、心の支えとなることを目指しているようです。

【団体名称】認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザ
【設立】平成13年11月30日
【所在地】〒107-0052 東京都港区赤坂9-2-6カルム第2赤坂103
【代表者】理事長 飯森 眞喜雄
【公式HP】https://www.jishi-griefcare.org/

グリーフケアとは?
グリーフケアとは、愛する人やペットを亡くしたときの悲しみや苦しみを和らげ、心のケアをサポートする行為です。
人が大切なものを失ったとき、心に深い悲しみ(グリーフ)が生まれます。
グリーフケアは、その悲しみを感じる人が少しでも心を軽くし、日常生活に戻れるようにサポートするための方法です。

グリーフケア・サポートプラザの沿革・歴史

沿革・歴史

2001年1月、聖学院大学大学院教授で精神科医の平山正実氏の呼びかけにより、自死遺族支援を目的とした「グリーフケア・サポートシステム」がスタートしました。
同年12月に法人申請を行い、東京都からNPO法人として認可され、「グリーフケア・サポートプラザ」が正式に発足しました。

その後、2020年9月に東京都生活文化スポーツ局から特例認定を受けることが決定し、組織としてのさらなる発展が期待されています。グリーフケア・サポートプラザは、自死遺族に寄り添い、その苦しみを和らげるためのサポートを提供し続けています。

グリーフケア・サポートプラザ賛助会員制度

グリーフケア・サポートプラザでは、活動の趣旨に賛同してくれる会員を募集しています。

個人正会員  年会費 1口 5,000円(1口以上)

個人賛助会員 年会費 1口   2,000円(1口以上)

団体賛助会員 年会費 1口10,000円(1口以上)

グリーフケアサポートプラザ会員募集について

会員になるとニュースレターが送付されます。

グリーフケア・サポートプラザの事業・取り組み

事業や取り組み

グリーフケア・サポートプラザの取り組みを紹介します。

遺族の集い

遺族の集いには以下の3つの会があります。

オンライン分かち合いの会・分かち合いの会は、自死で大切な方を亡くされた遺族のために、グリーフケアサポートプラザ事務所を開放したり、オンライン会議室を提供したりといった活動をおこなっています。オンライン会議は、予約制・定員制で最大6名が参加可能です。
同じ体験や苦しみ、悲しみを抱えた仲間が集い、辛さを共有することで、新たな気づきや前向きな一歩を踏み出すきっかけ作りをしています。

プラザホープの会は、自死で大切な方を亡くされた遺族を対象としており、死別から少なくとも1年以上経過して、再出発を模索する方が参加ができます。
参加者同士が語り合い、時間を共有することで、再起に向けた生き方を見つけるためのサポートを提供します。

自死遺族傾聴電話 

自死遺族の傾聴電話では、自死遺族の方々の悲しみや苦しみを電話で聞き、その心の支えとなることを目指しているようです。
スタッフは専門的な研修を受けており、研修後も定期的に検討会を開き、技術や知識の向上に努めています。
遺族の方々が安心して相談できる環境を提供するために、スキルアップに励んでいます。
自死遺族の方々に寄り添い、悲しみに共感しながら、少しでも心の負担を軽減できるよう尽力しています。 

傾聴電話ボランティア研修

傾聴電話ボランティア研修では、傾聴電話ボランティアとして求められる姿勢やあり方を学び、専門的な知識と技術を身につけるために、毎年研修を実施しています。
この研修では、グリーフ(自死遺族が抱える喪失と悲しみ)と傾聴についての基礎知識を学ぶほか、実践的な電話傾聴の訓練も行います。

研修はZoomを使ったオンライン講座、赤坂の事務所での対面講座です。連続講座が終了した後には、体験研修が実施されます。
この研修を通じて、実際の活動に向けた準備を整えます。

自死遺族のためのセミナー

自死で大切な人を亡くされてから1年以上が経過した遺族の方で、ご自身の死別体験を振り返り、新たな生きがいや価値観の発見、そして学びに関心がある方を対象に、Zoomを用いた自死遺族のためのセミナーを開催しています。
このセミナーでは、自死遺族の方々に体験を語っていただくことで、参加者が自身の経験を客観的に捉える視点を養うことを目的としています。

また、悲嘆や罪責感の意味を見直すことで、亡くなった方との関係性を新たに構築していく方法を模索します。
セミナーを通じて、回復とは単に元の状態に戻ることではなく、自分にとっての回復の意味を見出すことの重要性を学びます。

このように、自死遺族の方々が体験を共有し、悲嘆の意味を捉え直すことで、新たな人生の一歩を踏み出すためのきっかけを提供しています。

グリーフケア・サポートプラザの特徴

グリーフケア・サポートプラザの特徴

グリーフケア・サポートプラザは、自死で大切な人を亡くし、深い悲しみや苦しみの中にいる遺族の方々に寄り添い、専門的な知識と経験に基づいたサポートを提供しているNPO法人です。
自死遺族の方々が抱える特有の苦しみに寄り添い、電話相談やご自身の経験を分かち合う場を通して孤独感を和らげ、心の安定を取り戻せるよう支援しています。 

また、講演会や出版活動を通して、グリーフケアに関する正しい知識を広め、誰もが適切なサポートを受けられる社会を目指して、活動を続けているようです。

認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザの役員一覧

役職名氏名
理事長飯森 眞喜雄
副理事長藤井忠幸
副理事長吉久小夜子
理事五十子敬子
理事土村啓子
理事野尻英一
理事小川慶太郎
理事西田利恵
理事本木伊佐夫
理事和田禮子
理事三輪久美子
理事崎山貴代
理事松岡玲子
監事安田りか

出典:東京都生活文化スポーツ局『法人・団体情報詳細(役員名簿 R05/11/06)』

まとめ

本記事では、グリーフケア・サポートプラザの概要や取り組みなどについて紹介しました。
グリーフケアは、悲しみを抱える人々が安心して暮らせる社会、そして喪失体験に理解を示し、支え合える社会を築くために欠かせません。

今回紹介したグリーフケア・サポートプラザは、自死遺族のためのグリーフケアを通して、遺族の悲しみや苦しみを傾聴し、心の支えとなることを目指しています。
実際に、いつでも相談できる場として、多くの遺族の方々にとって心の拠り所となっているようです。

各葬儀社様では、従来よりご遺族様の心情に寄り添いながらサービスを提供されてきたことと存じますが、地域社会に貢献する企業を目指す場合は、さらにグリーフケアを体系的に深く学んだり、実務への取り入れ方を検討したりといった取り組みが必要といえるでしょう。

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