グリーフケア事業者6社まとめ│グリーフケアの種類やメリット・事業内容を解説

グリーフケアまとめ アイキャッチ

葬儀にあたり、大切な方を亡くされたご遺族様の悲しまれるお姿を、目の当たりにされたこともあるかと思います。
近年、少子高齢化や核家族化が進み、人々の付き合いも希薄になっていることから、大切な方を亡くしたときに悲しみを癒すことが難しくなっています。
そのため、グリーフケアの必要性や認知度も高まり、場合によってはグリーフケアの専門家に依頼するということも考えられるでしょう。

この記事では、グリーフケアについて解説するとともに、グリーフケアをおこなっている事業者さんを6社ご紹介します。
ご遺族様に接することが多い葬儀社様も、グリーフケアについての知識を深められ、ご遺族様のサポートをするときのお役に立ていただけると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

グリーフケアとは

グリーフケアまとめ

グリーフとは英語のGriefで「悲嘆」という意味があり、大切な家族や友人との死別、死産や流産、ペットを亡くしたときなどの感情的な悲しみを意味します。

2019年には、ご遺族様の相続手続きに関わることの多い金融機関行職員向けに、適切な接遇方法を解説した書籍「金融機関行職員の相続対応とグリーフケア」が経済法令研究会から出版されました。2023年には、大切な方を亡くした人が悲しみとその後の気持ちを語ったり、僧侶が東日本大震災の被災地に赴き、傾聴活動をおこなう様子を収めたドキュメンタリー映画「グリーフケアの時代に」が公開されるなど、グリーフケアに関心が高まっています。

映画「グリーフケアの時代に」予告ムービー

グリーフ(悲嘆)は、心身にさまざまな反応が表れることがわかっており、そのプロセスもご紹介します。

グリーフケアとは

大切な方が亡くなったとき、誰もが深い悲しみに襲われ、立ち直ることができないと思うことでしょう。
大きな悲しみを抱えた人に寄り添って支え、立ち直りを支援することがグリーフケアです。
グリーフケアは1960年代に欧米で始まり、日本でも2005年の福知山線脱線事故がきっかけとなって、グリーフケアが知られるようになり、2009年には「グリーフケア研究所」が設立され、2010年に上智大学に移管されました。
2011年の東日本大震災では、家族を亡くした子どもたちに厚生労働省がグリーフケアをおこない、大規模災害や事故が起きたときに必要とされるケアとして、注目されるようになりました。

グリーフのプロセス

大切な方が亡くなるとご遺族様は深い悲しみを感じ、一定期間心身にさまざまな変化が表れます。
このグリーフのプロセスは「グリーフワーク」といわれ、次のような順に表れることが一般的です。

グリーフケアまとめ グリーフのプロセス
  1. ショック期
    大切な方の死が大きなショックのため、感情を表したり反応ができない状態となります。
    人によっては、パニックに陥ることもあるようです。

  2. 喪失期
    少しずつ死を受け入れようとしますが、悲しみや怒り、自分を責めるなどの感情があふれてくる時期です。

  3. 閉じこもり期
    死を受け入れることができますが、自分が生きている意味を見失ったり、無気力になったりうつ状態になったりすることもあります。

  4. 再生期
    大切な方の死を乗り越えて他人と関わったり、新しい生活を始めようとする気力が出てきます。

個人差もありますが、❶から❹まで必ず順番に進むというわけではなく、行ったり来たりすることもあるようです。

グリーフケアのメリット5つ

グリーフケアまとめ

この章では、グリーフケアを受けることによるメリットをご紹介します。

1.大切な方を亡くした悲しみと向き合える

悲しみを忘れようとしがちですが、まずは悲しい気持ちに向き合い、感情を整理することが大切です。

2.心身の不調を予防できる

深い悲しみにをそのままにしていると、PTSD(心的外傷性ストレス障害)やうつ病になったりするおそれがあります。
グリーフケアを受けることで予防ができます。

3.悲しい気持ちを出せる

悲しみを表に出すことで、気持ちの整理がつくこともあるでしょう。
グリーフケアを受けることにより、今の気持ちを出すことができます。

4.大切な方の死を受け入れることができる

グリーフケアを受けると、大切な故人様との思い出や愛情に気づくことができます。
そして少しずつ、死を受け入れることができるようになります。

5.悲しみを乗り越えて生きがいを見つけることができる

自分の感情を出して気持ちの整理がつき、故人様に感謝するとともに、新たに歩みだすことができるでしょう。

グリーフケアの種類と費用

グリーフケアまとめ 供花

グリーフケアには、大きく分けて2種類あります。一つめは病院に設けられた「グリーフケア外来」2つめは葬儀社様や一般社団法人がおこなっている、「グリーフカウンセリング」です。

1.グリーフケア外来

病院のグリーフケア外来や、メンタルクリニックでグリーフケアが受けられます。
病院により異なりますが、公認心理士や臨床心理士による、個別のカウンセリングが受けられるところもあります。
また交流会を開いて、同じく大切な方を亡くされた方たちと、話し合う場を設けているところもあります。

個別カウンセリング:約3,000円~10,000円
交流会:約2,000円~5,000円

2.グリーフカウンセリング・ワークショップ

葬儀社様や一般社団法人、認定NPO法人、自治体などが、グリーフケア専門家によるカウンセリングをおこなっています。
こちらも個別カウンセリングのほか、同じ体験者とグループで話し合う参加型プログラムもあります。
対面でおこなわれるほか、オンラインでも参加できるところもあるようです。

カウンセリング・ワークショップ:無料~約10,000円

グリーフケア事業者6社

グリーフケアをおこなっている事業者さんは、大きく分けて葬儀社様と一般社団法人などの団体です。
葬儀社様がおこなうグリーフケアは、おもにご遺族様を対象としていますが、一般社団法人などの団体はご遺族様だけではなく、医師や看護師、葬儀業従事者、金融機関行職員向けとしたプログラムとなっているところもあるのが特徴です。
今回は、グリーフケアを実施している葬儀社様をご紹介します。

グリーフケアをおこなっている葬儀社様6社

グリーフケアをおこなっている葬儀社様を6社ご紹介します。

1.株式会社ジーエスアイ(分かち合いの会)

グリーフケアまとめ 株式会社ジーエスアイ

株式会社ジーエスアイは、専門家であるグリーフカウンセラーが個別カウンセリングをおこなっており、定期的に受けることができるほか一度だけでも受けられ、対面とオンラインの両方に対応しています。
またサポートグループ(分かち合いの会)と名づけられた、ほかの参加者とグループで対面にて話し合う場を提供しています。

3つのグリーフサポート

・カウンセリング
グリーフの知識を持ったグリーフカウンセラーが、個別カウンセリングをおこな い、ご遺族様が我慢していた悲しみなどの感情を出して、気持ちを落ち着かせて安心してもらうことを目的としています。

・自分の状態を知る
グリーフについての知識を学び、大切な方を亡くして心身の状態が今までと異なることに気づき、それがグリーフの症状だと理解することが大切です。
動画によるグリーフ講座の配信を現在、準備しているようです。

・サポートグループ(分かち合いの会)
参加者同士がグループになり自分の気持ちを話したり、ほかの方の話を聞いたりして気持ちの整理をします。
一般社団法人 グリーフサポート研究所の代表理事でもある橋爪氏が「ファシリテーター」としてサポートしてくれるので安心です。
「分かち合いの会」は現在、東京都中央区で定期的に開催されています。

同社ではカウンセリングを通じて、参加者が自分を知ることを大切にしています。
代表者の橋爪氏が著作・監修してグリーフケアのことをまとめた小冊子「大切な人を亡くしたとき」も出版されています。

【社名】株式会社 ジーエスアイ
【設立】2004年1月23日
【所在地】〒104-0033 東京都中央区新川1-21-1茅場町タワーレジデンス1806
【代表者】橋爪 謙一郎
【公式サイト】https://www.griefsupport.co.jp/
【費用】分かち合いの会:3,000円(税込)
【事業内容】・グリーフサポート事業
      ・グリーフサポート担う人材育成のための教育研修事業
      ・グリーフサポートバディの人材教育・育成・資格認定
      ・ご遺族に対するグリーフサポート事業
      ・グリーフサポートを主軸とした講演会の実施/書籍出版
      ・エンバーミング事業
      ・エンバーミング・修復・メイク
      ・エンバーミングセンター設立支援・運営・管理・施設保有者への教育研修
      ・エンバーミングを必要とする海外搬送の書類作成並びに手続き代行
      ・エンバーマー育成

出典:株式会社ジーエスアイ 会社案内

2.株式会社 公益社(遺族サポート”ひだまりの会”)

グリーフケアまとめ 株式会社公益社

遺族サポート”ひだまりの会”は、株式会社 公益社が取り組むグリーフケアで、大切な方を亡くされたご遺族様同士が交流する会として、参加料無料で開催しています。
毎月2回、対面とオンラインを1回ずつおこなっているようです。
”ひだまりの会”に参加することにより、ご遺族様が癒され新たに生きていく意欲がわいてくる様子が会員様の感想からもわかります。
プログラムとしては3部に分かれており、下記のようになっています。

3部のグリーフプログラム

・第1部 専門家や会員による講演
大切な方を亡くした悲しみによる心身の変化の説明や、実際に死別体験をされた方がどうされているかなどのお話が伝えられます。

・第2部 小グループでの分かち合い
参加者同士が悲しい気持ちを話し合い、分かち合うことでこれからの気持ちのあり方を考えることができます。

・第3部 癒しの音楽
ストレッチをしたり歌を歌ったり、音楽を聴いたりして普段の生活に戻るための準備をします。リラックスすることで気持ちの整理ができるようです。

【社名】株式会社 公益社
【設立】2004年10月1日
【所在地】東京本社 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館14階
     大阪本社 大阪府大阪市北区天神橋4-6-39
【代表者】播島 聡
【公式サイト】https://www.koekisha.co.jp/service/after/hidamari/about/
【費用】ひだまりの会:.無料
【事業内容】葬祭事業、生花販売事業、一般貨物(霊柩)自動車運送事業、
保険代理業、仏壇・仏具販売事業、葬祭用贈答品販売事業

出典:株式会社 公益社 会社概要

3.東葛福祉葬祭

グリーフケアまとめ 株式会社東葛福祉葬祭

東葛福祉葬祭は千葉県を中心に、地域密着の家族葬を専門とする葬儀社様で、流山市、柏市、野田市で葬儀場を運営しています。
地域に根ざした葬儀社様であることから、地域の状況に詳しくご遺族様の満足度が高いようです。

同社ではご遺族様の悲しみに寄り添うことを大切にしており、日本グリーフケア協会認定のグリーフケアアドバイザーの資格を持ったスタッフがご遺族様を支援しています。
葬儀をおこなうだけではなく、葬儀中や葬儀後もご遺族様の悲しみを癒し、乗り越えるためのサポートが必要だと考えています。

【社名】有限会社 東葛福祉葬祭
【設立】平成15年12月
【所在地】千葉県流山市東深井105-10
【代表者】神木 繁雄
【公式サイト】https://www.tfs24h.net/hitorigoto150.html
【事業内容】・葬祭業、グリーフケア事業
         
出典:有限会社 東葛福祉葬祭 会社概要

4.株式会社 アイセ・メモリアル神奈川(こもれびの会)

グリーフケアまとめ 株式会社アイセ・メモリアル神奈川

こもれびの会は株式会社 アイセ・メモリアル神奈川が設立したグリーフケアの会で、毎月1回「こもれびカフェ」と名づけたグリーフケアをおこなっています。
同社は神奈川県と東京都エリアで営業している葬儀社様で、手元供養の自宅墓を扱っているほか遺品整理にも対応しています。

こもれびの会では、グリーフケアアドバイザーの資格を持ったスタッフと、大切な方を亡くされたご遺族の方たちが参加して話し合う場となっています。

こもれびの会

毎月1回第一友引の日に午前10時~11時で「こもれびカフェ」をおこなっています。
グリーケアアドバイザーの資格を持ち、自身も奥様を亡くされた経験がある小林氏のサポートのもと、ご遺族様同士が参加して今の気持ちを話し合う会となっています。

【社名】株式会社アイセ・メモリアル神奈川
【設立】令和1年7月
【所在地】神奈川県相模原市南区麻溝台1-8-10
【代表者】湯本 正基
【公式サイト】https://isememorial.co.jp/%e3%81%94%e6%a1%88%e5%86%85/page1628/
【事業内容】・葬祭業
      ・霊柩車運送業
      ・貸斎場
      ・遺品整理
      ・人材派遣

出典:株式会社アイセ・メモリアル神奈川 会社概要

5.株式会社 葬仙(陽だまりの会)

グリーフケアまとめ 株式会社葬仙

葬仙は昭和55年に中国地方で初めて葬儀会館を運営し、鳥取県と島根県を営業エリアとする葬儀社様です。
株式会社 公益社と同じく、燦ホールディングス株式会社のグループ会社のひとつです。

葬仙では葬儀後も米子市文化ホールなどで、ご遺族様のグリーフケアサポートをおこなっており「陽だまりの会」として、ご遺族様が想いを共感し合う場所となっています。
参加されたご遺族様は、自分の思いを同じ体験をされた方同士話し合われたり、情報誌「陽だまり」を読んで「悲しみのプロセス」を知ったりして、安堵されているようです。

陽だまりの会

・思いを語り合う「分かち合いの会」
・芸術鑑賞
・料理作り
・小旅行の企画
・陶芸等の体験教室 など

【社名】株式会社 葬仙
【設立】平成15年5月1日
【所在地】鳥取県米子市長砂町1075
【代表者】宮永 誠治
【公式サイト】https://www.sousen.co.jp/caresupport/
【事業内容】 葬祭事業、仏壇仏具、墓石等の販売・斡旋

出典:株式会社 葬仙 会社概要

6.有限会社 東葛メモリー(生と死を考える会)

グリーフケアまとめ 東葛メモリー

有限会社 東葛メモリーは、千葉県を中心に営業している家族葬専門葬儀社様で、茨城県でも会館を運営中です。

同社は葬儀後も、ご遺族様の心のケアが必要だと考え「NPO法人千葉県東葛地区・生と死を考える会」が主催しているグリーフケア活動を共におこなっています。
同会は東葛地区5か所で講演会を開催したり、ご遺族様同士の話し合う会を開催したりさまざまな活動をしています。

「NPO法人千葉県東葛地区・生と死を考える会」

・電話相談(月4回:2時間)
・子どもグリーフサポートの集い(偶数月 第1日曜日 13:30~16:00
                対象:原則小学生ですが保護者向けのプログラムもあり)
・まんりょうの会(自死遺族語り合いの場)
・生死に関する講演会
・グループや個人で傾聴、語り合い
・追悼音楽礼拝 など

【社名】有限会社 東葛メモリー
【設立】平成15年5月
【所在地】千葉県柏市南柏1丁目5-14
【代表者】嘉数 義克
【公式サイト】https://www.tokatsu-memory.com/reason.php?name=griefcare
【費用】電話相談:無料
    子どもグリーフサポートの集い:無料
    まんりょうの会:無料
【事業内容】葬祭業

出典:有限会社 東葛メモリー 会社概要

まとめ

近年多死社会を迎え、また大規模災害の懸念も高まるなか、グリーフケアの重要性が注目されています。
大切な方を亡くされたご遺族様の悲しみは大きく、グリーフケアは必要不可欠ともいえるでしょう。

この記事では、グリーフケアをおこなっている葬儀者様をご紹介しました。
葬儀業に従事される皆様もグリーフケアの知識を深められて、悲しむご遺族様に寄り添った支援をされることで、ご遺族様の心が少しでも癒されることを願っております。
そしてご遺族様から「こちらの葬儀社さんに依頼してよかった」と思っていただけるようになれば幸いです。

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