デジタルエンディングノート、デジタル遺言書サービス 10社まとめ|特徴とサービス解説

デジタル遺言

終活を始めようと思った場合、最初に思い浮かべるのがエンディングノートではないでしょうか。
書式に則って記入していくうちに、自分の想いが整理され、なすべきことが見えてくるため、終活のスタートにはぴったりのアイテムといえるでしょう。

書店にはさまざまなタイプのエンディングノートが並んでいますが、近年ではインターネットを利用したエンディングノートや遺言書の作成サービスも増えています。
思いついたら手元のスマートフォンで記録できる手軽さから、人気を集めているようです。

本記事では、さまざまなタイプのデジタルエンディングノートや遺言書の作成サービスを紹介します。

目次

デジタルエンディングノート・デジタル遺言書とは?

終活

スマートフォンやパソコンなどを使って、オンライン上でエンディングノートや遺言書を作成できるサービスです。
なお、エンディングノートには、そもそも法的な効力がなく、デジタルで作成された遺言書にも2023年現在は、法的な効力がありません。利用する場合は、注意が必要です。

デジタルエンディングノート

会員登録や必要なアプリをダウンロードすることにより、手軽にエンディングノートの作成ができます。
利用するサービスにもよりますが、適切な時期に指定された人にエンディングノートの情報を届けるまでが、サービスの一貫になっていることが多いようです。

デジタル遺言書は、注意が必要

前述した通り、2023年現在、デジタル遺言書は法的に有効な遺言書にはなりません。法的に有効な遺言書にするためには、ひと手間が必要です。
法的に効力を持つ遺言書には、次の3種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

それぞれについて詳しく解説いたします。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自分で手書き、押印をした遺言書です。
費用がかからず、いつでも書き直すことができます。また、その内容を自分以外の人に秘密にすることも可能です。

※2019年(平成31年)1月以降、財産目録は、パソコンの作成や代筆が可能になりました。

一方で、要件を満たさない遺言書は無効になるほか、紛失や必要な時に忘れられてしまう、自分以外の人に隠されたり、改ざんされるおそれがあるなどさまざまなリスクがあります。
なお、自筆証書遺言は、遺言者の死亡後、家庭裁判所に遺言書を提出し、検認を受けることが必要です。

自筆証書遺言書保管制度
令和2年(2020年)に運用を開始した制度で、法務局で自筆証書遺言の保管ができるようになりました。
この制度を利用した場合、検認は不要です。

デジタル遺言書サービスを利用する人の多くは、自筆証書遺言を作成することを前提にしていると思われます。
政府は、デジタル遺言制度の導入を検討していますが、2023年(令和5年)現在、自筆証書遺言は、財産目録以外の部分は自筆であることが要件になっています。
そのため、デジタル遺言書作成サービスで作成した遺言書を法的に認められるものにするためには、作成した遺言書をもとに手書きをすることが必要です。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公正役場で証人2人以上の立会いのもと、公証人の筆記により作成される遺言書です。遺言書の原本は、公証役場で保管されます。
公正証書遺言は、費用がかかりますが、公証人により作成されるため、遺言書の不備により無効になるリスクが抑えられます。
また家庭裁判所の検認は不要で、改ざんや紛失などの心配もありません。

秘密証書遺言とは

本人以外、内容を見ることができない遺言書の形式です。
遺言者の自筆の署名と押印があれば、手書き、パソコン、代筆で作成することもできます。自分で遺言書を作成し、封筒に入れ封印します。公証人と二人の証人の前でその遺言書を提示し、申述を記入してもらい、遺言書は自分で保管します。

費用がかかるうえに、紛失や遺言書に不備があった場合は無効になってしまうリスクがあるため、実際に作成する人は少ないようです。

デジタルエンディングノート・デジタル遺言書のメリット・デメリット

メリット

デジタルエンディングノートやデジタル遺言書サービスは、スマホやパソコンで手軽に始めることができます。
一方で、利用する上で気を付けたいデメリットもあります。

メリット

  • SNS感覚で手軽に始められる
  • 紛失の可能性が低い
  • 無料で利用できるサービスもある
  • いつでも何度でも、修正ができる
  • 終活に関する情報の提供や見守り機能など、付帯サービスがある
  • 万が一の場合には、指定した人に情報が届けられる

デジタルエンディングノートは、何度修正してもその痕跡が残ることなく、きれいに修正ができます。
また、指定された人に情報を渡すところまでをサービスにしていることが多く、スムーズに情報の受け渡しが行われる可能性が高くなります。 

デメリット

デジタルエンディングノートやデジタル遺言書は便利である一方で、デジタルならではの注意点もあります。

  • スマートフォンやパソコン操作に慣れていないと扱いが難しい
  • 追加料金が必要となるサービスがある
  • デジタルのままでは、遺言書の法的効力を生じない
  • エンディングノートのデータがスマホに保存されている場合、スマホの故障などにより、データを失ってしまう可能性がある。 
  • サービスが終了することがある。

最大の問題として、ご年配の方が使用される場合、スマートフォンやタブレット端末を使い慣れていないということも多いでしょう。
そうなると、ついつい利用が億劫になってしまうことがあります。

そういった機器があまり得意ではないという利用者を見据え、デジタルエンディングノートやデジタル遺言書サービスは、操作が簡易なものが多く、音声入力ができるもの、動画や漫画で使い方を理解できるもの、親子で利用できるサービスなど、さまざまな配慮をされています。
メインで利用される方にとって、使いやすく、楽しく使えるサービスを選ぶことが大切になりそうです。

また、サービスを利用する際は、データの保存先が自分のスマホ端末にされているのか、クラウドなど別の場所なのか、確認しておきましょう。
自分の端末にデータが保存されている場合は、端末の紛失や故障に備えてバックアップをとることも必要です。

 デジタルエンディングノート・デジタル遺言書サービス10選 

さまざまな業種の企業がデジタルエンディングノートやデジタル遺言書サービスを提供しています。
提供しているサービスの内容も多岐に渡るため、使う人の好みや使いやすいサービスを選ぶことが大切です。

株式会社ユニクエスト様「タイムカプセル」

タイムカプセル
出典:株式会社ユニクエスト|タイムカプセル

「タイムカプセル」は、LINEだけで手軽に完結できる遺言書作成サービスです。司法書士監修による遺言書作成サービスなので、安心して利用できます。 

会社概要・〒550-0004 大阪府大阪市西区靱本町1-6-3
・設立 2006年08月01日
事業内容・インターネットメディアの企画・開発
・Eコマースソフトウェアの企画・開発
・上記に関わる一切の事業
特徴・強み・ LINEのトーク感覚で自分の想いを記録できる
・ もしもの場合に開示する相手、情報、タイミングを設定できる
・ 必要事項を入力することで、法的な形式に則った遺言書の見本が作成される
公式サイトhttps://timecap.jp/
タイトル日本初 LINEでつくる新しい遺言

三菱UFJ信託銀行株式会社様の「わが家ノートby MUFG」

わが家ノート
出典:三菱UFJ信託銀行株式会社|わが家ノートby MUFG

三菱UFJ信託銀行の口座がなくても、無料で利用することができるアプリです。
エンディングノートの作成のほか、脳の健康維持アプリ「脳にいいアプリ」を作った株式会社ベスプラが監修した健康管理機能など、さまざまな機能が備わっています。

アプリの使い方が動画で紹介されているため、スマホに不慣れな方でも安心して利用できそうです。 

会社概要・〒100-8212 東京都千代田区丸の内1丁目4番5号
・設立 1927年3月10日
セグメント情報・リテール部門法人
・法人マーケット部門
・資産金融
・不動産事業
・証券代行事業
・受託財産部門
・市場部門
特徴・強み・全機能を無料で利用できる
・アプリでエンディングノートを作成
・(株)べスプラが監修した健康管理機能が使える。
・アプリログイン状況や健康活動など、家族が見守ることができる
・アルバムを共有できる
・相続や地域への相談などをサポート
公式サイトhttps://www.tr.mufg.jp/lp/wagayanote/
タイトルアプリではじめる! 終活の第一歩 わが家ノートbyMUFG

株式会社WishLane様「エルノート」

エルノート
出典:株式会社WishLane|エルノート

「エルノート」は、エンディングノートを保管するクラウドサービスです。会員登録することで利用できます。
エンディングノートを書き始めたもののなかなか進まない、内容が古くなってしまったなどさまざまな悩みに応えるサービスになっているようです。

会社概要・〒101-0047 東京都千代田区内神田1丁目18番11号東京ロイヤルプラザ216
・設立 2013年10月7日
事業内容・ファイナンシャルプランニング
  ライフプランニング
  エンディングプランニング
  資産運用管理コンサルティング
  保険見直しコンサルティング
・終活事業
  おひとりさま終活士資格事業
  おひとりさま終活士会員運営資格事業
  オンラインシステム
・相続コンサルティング
・相続対策・生命保険代理店業
特徴・強み・エンディングノートの保管
・緊急時の連絡・伝言をお願いできる。
・プライベート秘書のサポートを受けて、エンディングノートを書くことができる。
・何度も書き直して最新の状態を維持できる。
・万が一の場合の対応をプライベート秘書に託すことができる。
※入会コースにより、利用できるサービスが異なる
公式サイトhttps://wishlane.co.jp/service/
タイトルWEBエンディングノート エルノート

東急ラヴィエール株式会社様「Hiraql NOTE(ヒラクル)」

ヒラクル
出典:東急ラヴィエール株式会社|Hiraql

「Hiraql NOTE」は、東急ラヴィエール様が運営するインターネットサイト「Hiraql」にあるオンラインノートです。アカウント登録をすることで利用できます。
「Hiraql」は、人生デザインを考えることで今が輝くヒント&ツールになっているようです。考えのヒントや学びとなる「ヒントコラム」と、登録して活用できるオンラインノート「Hiraql NOTE」の二つの機能があります。

会社概要・東京都渋谷区南平台町5番6号
・設立 2021年4月1日
事業概要・シニアライフソリューション事業
特徴・強み・一般的なエンディングノートの内容に加え、自分史や宝物リストなど、記入をすすめるうちに人生
の整理ができるような仕組みになっている。
・「ヒントコラム」から気に入った記事、読み返したい記事をストックしておき、読み返すことがで
きる。
・人生でやりたいことの具体的なプランを立てたり、ヒントコラムやイベントを通じて感じたこと
を記録していくことができる。
公式サイトhttps://hiraql.tokyu-laviere.co.jp/
タイトル人生デザインを考えることで今が輝くヒント&ツール

JAPAN MADE事務局株式会社様「Husime.com」

節目
出典:JAPAN MADE事務局株式会社|Husime.com

「Husime.com」は、人生の節目の想いやライフストーリーの記録やデジタル遺言書を作成できるアプリです。保存された情報は、ブロックチューンにより守られるため、第三者による改ざんの心配がありません。
先端のテクノロジーでサポートするスマホアプリになっています。

会社概要・〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-13-1 虎ノ門 40MT ビル 4F
・設立 2019年2月7日
事業内容・HyperJ 事業
・HyperJ NFT事業
・Gerontech事業
・越境EC事業
・メタバースサービス事業
・メディアポータル事業
・CVC事業
特徴・強み・ブロックチューン技術を利用しているため、第三者に改ざんされるおそれがない。
・音声入力により、簡単にデジタル遺言書がつくれる。
・ライフストーリー(自分史)をデジタルで残すことができる。
・簡単に自分史や人生の記録を残すことができる「ライフストーリー」機能がある
公式サイトhttps://husime.com/
タイトル人生の節目どのように思いを残しますか?

株式会社つなまも様「つなまも」

つなまも
出典:株式会社つなまも|つなまも

「つなまも」は、見守り機能付きデジタルエンディングノートアプリです。
歩行センサーや画面ロック解除などの利用状況により、パートナー側が見守ることができます。利用する機能によって有料になります。
ホームページは、「シニアご本人様向け」「ご家族向け」に分かれており、双方の立場から不安や疑問を解消できるようになっています。

会社概要・〒104-0061 東京都中央区銀座 6丁目 13番 9号 bizcub
・設立 2019年11月22日
事業概要「つなまも」の開発運営
特徴・強み・スマホ画面に従って項目選択やスマホカメラ撮影、文字入力など簡単な操作でエンディングノート
が完成する。追記や変更も簡単にできる。
・データはクラウドサーバーに保管されるので紛失や棄損の心配がない。
・万一の時は、見守るパートナーからの請求により開示される。
・パートナーは複数人の登録が可能。
・有料版では、ご本人のスマホの普段使いをモニタリングし、一定期間使用が認められないと見守る
パートナーに確認依頼通知を発信
・有料版では、必要に応じてノートの施錠や常時共有設定、パートナーごとに伝える内容の設定が
できる。
公式サイトhttps://tsunamamo.co.jp/
タイトルエンディングノートのその先へ大切な人に、つたえる、つなぐ

QLテクノロジーズ株式会社様「リビングノートⓇ」

リビングノート
出典:QLテクノロジーズ株式会社|リビングノート

「リビングノートⓇ」は、オンライン上で終活・生前整理ができるサービスです。アカウントを作成することで利用できます。
大きな特徴として、終活SNSのコミュニティがあることでしょう。ほかのユーザーと交流することができるので、終活に関する困りごとなどのアドバイスを受けることも可能です。

会社概要・〒810-0022 福岡県福岡市中央区薬院4-10-40嗣ビル3階
・設立  2019年6月27日
事業内容・アプリ開発
・ウェブサービス
・終活パートナー「SHUZOくん」アプリ企画開発運営
・エンディングノートアプリ「りびんぐノート」企画開発運
特徴・強み・項目に沿って自分の希望する内容を選択
・記入することでデジタルエンディングノートの作成ができる。
・終活SNSとしてコミュニティを利用できる。他のユーザーからアドバイスをもらうことも可能。
・弁護士や司法書士、終活カウンセラーなどの専門家によるコラムを読むことができる。
公式サイトhttps://livingnote.jp/
タイトル”終活”の全部がわかるリビングノート~美しく人生を終えたい人へ~

司法書士事務所N-first様「らくつぐ」

らくつぐ
出典:司法書士事務所N-first|らくつぐ

「らくつぐ」は、司法書士事務所が監修した遺言書自動作成アプリです。チャットボットの質問に答えるだけで、法律的に有効な遺言書の作成をサポートしてくれます。

運営者・東京都台東区小島二丁目18番15号 新御徒町妙見屋ビル2階
特徴・強み・チャットボットの質問に答えるだけで遺言書が作成できる。
・司法書士が監修する遺言書作成アプリである。
・アプリ上での遺言書の作成であれば、何度でも無料
・アドバイス付きの遺言書必要度診断ができる。
公式サイトhttps://rakutugu.com/
タイトルらくつぐは、遺言書を自動でつくれるアプリです

 株式会社アーデント・ウィッシュ様「はいから100年ノート」

100年ノート
出典: 株式会社アーデント・ウィッシュ|はいから100年ノート

アクティブなシニアライフを応援する情報サイト「はいから」などを運営するアーデント・ウィッシュ様が提供しているのが「はいから100年ノート」です。
アプリの利用は無料で、文字で記録するほか、写真や音声で記録することもできます。
もしものことがあった場合の情報開示には、別途費用が必要です。

会社概要・〒160-0016 東京都新宿区信濃町18番地 マヤ信濃町三番館
事業内容・アクティブシニア向けフリーマガジン『はいから』などの出版事業
・シニア向けインターネットテレビ『はいからチャンネル』などの放送事業
・中高年向け新聞『はいからエスト』の制作・発行(協力:読売聞)
・アクティブシニア向けカルチャー講座「大人の部活」の運営
・パンフレット・ビデオ・ポスターなどのコミュニケーションツール作成
・新入社員・管理職などの階層別教育事業
・人事制度・組織活性・営業戦略などのコンサルティング事業
・セミナー・シンポジウムなどのイベント事業
・リクルーティング支援事業・雑誌、新聞、テレビ、ラジオなどの広告代理業
特徴・強み・操作が簡単で、シニア世代にも使いやすいよう文字が大きくなっている
・葬儀、お墓、財産、寝たきりになった場合などについて、簡単に記録を残せる
・文字入力、写真、音声で記録できる
・記録している情報は、閲覧権限を設定した人に伝えることができる
・本人にもしものことがあった場合、情報開示に費用がかかる
公式サイトhttps://100note.jp/site/pc/
タイトル「はいから100年ノート」は、ご利用者様の大事な情報を整理・管理する”遺言”
(エンディングノート)アプリです。

のこす記憶ドットコム事務局(宗教法人善福寺 委託運営)様「のこす記憶.com(のこす記憶ドットコム)」

のこす記憶
出典:のこす記憶ドットコム事務局|のこす記憶.com

 浄土真宗本願寺派善福寺(神奈川県)が終活の一助として提供していたオンラインエンディングノートがベースになっているようです。
ユーザー登録により、利用できます。

「のこし伝えておきたい記憶」を大切にし、人を偲ぶことに重きをおいたサイトで、仏教の教えを説くコラムなども充実しています。

運営者情報・東京都品川区大井1‐52
特徴・強み・宗教法人善福寺の業務委託により運営されている
・ユーザー登録だけで利用が可能
公式サイトhttps://nokosukioku.com/note/
タイトルのこしたい記憶は、きっとのこされる誰かにとってかけがいのないもの

まとめ

今回は、デジタルエンディングノート、デジタル遺言書について、概要やメリット・デメリット・代表的なサービス10社をご紹介いたしました。

終活が当たり前になった昨今、インターネットを活用し、費用をおさえて気軽に利用できるデジタルエンディングノート、デジタル遺言書のサービスが次々に誕生しています。
サービスの内容も多岐に渡るので、自分に必要な機能を備えたものを探すのが第一歩となりそうです。
スマホやタブレットが苦手なシニアにとっては、ご本人の好みに合ったものや楽しく利用できるものという視点で選ぶことも大切かもしれません。

今後、デジタル遺言書が法的に認められるようになる可能性があります。
拡大していくであろうデジタルエンディングノート、デジタル遺言書のサービスの情報を把握してくことは、非常に重要だと言えるでしょう。 

カテゴリー最新記事

目次