住まいを“終活”する…その重要性を痛感する一冊!約720万戸が「空き家予備軍」、あなたの家は大丈夫ですか?

旭屋書店

野澤千絵さんの新刊『老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する』(講談社)が発売!その記念に、1億人の本と本屋の動画投稿サイト「本TUBE」では著者インタビューを開催しました。

野澤千絵さんの『老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する』(講談社)が2018年12月19日に発売された。本書は、大量相続時代の到来とともに注目され続ける「空き家問題」にスポットを当てた一冊。すでに戸建ての4軒に1軒、約720万戸が空き家予備軍…あなたの家は大丈夫?住まいのトリアージ、お試し賃貸、空き家バンク、リースバック、安心 R住宅…家を救う秘策はある。リスク回避を行える書き込み式「住まいの終活ノート」もついており、また全国の「空き家予備軍率ランキング」も一挙掲載された、必見本である。

本TUBE編集部×野澤千絵インタビュー

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――空き家問題と聞くと、誰も管理する人がいなくなって、放っておかれた家という認識があったので、この本を読むまでは所有者の問題だと思ってたんですけど、読んでみると所有者自身が対応したくても難しいケースが多いというのが分かりました。

本当にひどく荒廃した空き家ってよく見ますよね。最近東京都内でも何でこんな便利なところなのに放ったらかしになってるんだろうという感じの家があります。ああいうのは所有者さんが多すぎてもう分からないとか、高齢者になって施設に入られて意思判断ができなくて、売買とかもできない状況で放置されているなど、所有者さんだけのせいにするのは酷かなっていう事例が出てきています。その辺りに少しクローズアップして、これから本当に空き家増えていくのできちっと考えていきたいなというので、本を書きました。

――本書では住まいを終活するということを提案されていますが、住まいを終活する…一体どんなことなんでしょうか?

きちんと相続が発生する前から、その家を売ったり貸したり、あるいは解体してまた売ったり貸したりっていう仲立ちで、次の人にバトンタッチするための前提条件をきちんと皆で考えましょうというのが住まいを終活するということなんです。

 

――今どういう状況なのか棚卸しをしようという考え方ですね。4章の「空き家をとりまく現場」という項目なんですが、住まいのトリアージというものをご紹介されてます。おもしろい考え方だなと思ったんですが、地域としても再利用を検討するっていう形ですね。

トリアージっていう言葉は選別といったような意味なんですけど、アメリカのデトロイトのランドバンクという組織がトリアージという言葉を使っています。この空き家は売れるとか、この空き家はもう解体して保有しておくとか隣の人に100ドルで譲渡するとか、色々やっているんですね。その考え方をやはり日本でも個人で考えていくってことに着目して、自分の住まいを相続する前から街の状況を見てみる。例えば、隣の人駐車場困ってないかなとか、農業やってる人達が菜園として使わないかなとか、事前にキャッチするネットワークを作っておくっていうことも含めてトリアージって呼びますね。

――そしてこの本での試みとして凄いなと思ったのは、巻末に住まいの終活ノート、エンディングノートっていうのが組み込まれている。

終活に向かうための心の整理みたいなところが必要なので、「どうしてこの家を買ったのか」とか、「どういう思いがあるのか」とか、「こんな思い出があったよね」といったことを、まず残してほしいんです。

――今回は『老いた家 衰えぬ街』なんですけども、前著は『老いる家 崩れる街』っていうけっこう衝撃的なタイトルなんですよね。どう書き分けをされているんですか?

前著は、都市計画で最近タワーマンションがたくさん建ったりとか、農地に虫食い状に宅地化が相変わらず進んだりとか、そんな中で今後どうしていくのか?という視点で書かれた問題提起版なんです。その中で、やっぱり政策的な話ってのは確かに大事なんですけど、一人ひとり何したらいいのっていうところがまだ十分書けていなかったので、本書は個人としての問題解決編のようなイメージです。

――多くの人にとって家というのは一生のうちで一番大きな買い物かなと思うんですけれども、買って住んでローンを支払うことに精一杯。そういう日々に追われて引き継ぎのことを考えてない方って多いんじゃないかなと思います。たとえ家が老いても住まいを終活することがきちんとされていれば、怖くないかなということをこの本を読んで学びました。ぜひ一度手にとってください。本日はありがとうございました!

■野澤千絵

兵庫県生まれ。1996年、大阪大学大学院修士課程修了後、ゼネコン勤務を経て、2002年、東京大学大学院博士課程修了。博士(工学)。東京大学特任助手などを経て、2007年より、東洋大学理工学部建築学科准教授。2015年より同教授。専門は、都市計画・まちづくり。国土交通省社会資本整備審議会「都市計画基本問題小委員会」委員をはじめ、様々な自治体の都市政策や空き家対策に関わる。

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本編では、この他にも質問やトークが盛り沢山、そして普段は見ることのできない作家さんの表情も楽しめます! 完全版が見たい方は、ぜひインタビュー動画をチェック!
http://hon-tube.com/p/movie.php?movieid=2787

PR TIMESより転載

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