株式会社 よりそう~よりそうお葬式~┃葬儀ポータルの業績・利益をまとめて分析

よりそう 決算

葬儀ポータルサイト運営企業の業績・利益を調べる場合、帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、葬儀ポータルサイト運営企業の業績・利益の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社 よりそうの現状について、貸借対照表をもとに分析いたします。
上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社 よりそうの概要

「株式会社 よりそう」は現在の代表取締役会長CEOを務める芦沢 雅治氏が「みんれび」という、レビューサイトを運営したのが始まりです。
「みんれび」は「みんなのレビュー」という意味で、歯科医院や不動産、占いなど、さまざまなジャンルのレビューサイトがありました。
その後、2009年6月に葬儀ポータルサイト「葬儀レビ」の運営に着手し、葬儀業界に参入しました。

よりそうの事業展開

「株式会社 よりそう」「よりそうお葬式」名義で、葬儀ポータルサイトを運営しているほか、2024年6月現在、以下の葬祭事業を運営しています。

*葬儀社比較サイト「くらべる葬儀」は、2022年8月31日にサービス休止となっています。

2022年にはTVCMの放送が開始され、認知度の向上に尽力してきました。
葬儀だけではなく、納骨まで一貫したサービスの提供をおこなっており、ライフエンディング・プラットフォームの仕組みづくりをめざしています。

【名称】株式会社 よりそう
【代表取締役】篠﨑 新悟
【設立】2009年3月
【所在地】東京都品川区西五反田2-11-17 HI五反田ビル 4F
【公式サイト】https://www.yoriso.com/corp/
【事業内容】 葬儀や供養などのエンディングに関する総合サービスの提供
      
出典:株式会社 よりそう 会社概要

これまでの資金調達

よりそうは事業拡大のため、VC(ベンチャーキャピタル)といわれる、投資会社から2022年1月までに大規模な資金調達をおこなっており、推移は以下のとおりです。

資金調達の経緯-min

ベンチャーキャピタル(Venture Capital、VC)
将来的な成長が期待できる未上場企業に対して、大きな上場益などのハイリターンを目的に出資する投資会社

ベンチャーキャピタルにとっては、利益を得るために投資先企業の株式上場に期待するところでしょう。
決算公告は、投資先企業の重要な判断基準となるのは間違いありません。

資金調達の詳細については「葬儀ポータル よりそう┃現状と今後の展開について」のページで詳細に解説していますので、合わせてご覧ください。

葬儀社の決算公告とは

決算公告はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。以下に、決算公告についての簡単な概要を記載しました。
株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告と言います。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な側面が強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせております。

よりそうの貸借対照表 

決算期9期10期11期12期13期14期15期
利益剰余金-6億7千5百万円-11億5千4百万円-19億0千7百万円-27億1千6百万円-40億2千4百万円-52億7千0百万円-61億0千8百万円
会計年度2018年2月期2019年2月期2020年2月期2021年2月期2022年2月期2023年2月期2024年2月期
流動資産6億5千0百万円3億6千5百万円15億3千2百万円9億7千4百万円29億0千2百万円14億5千8百万円6億7千1百万円
  現金及び預金2億5千0百万円13億4千0百万円7億9千1百万円25億9千3百万円10億9千9百万円3億1千3百万円
  売掛金9千4百万円8千4百万円1億3千4百万円2億0千9百万円2億6千3百万円2億9千1百万円
  商品1百万円2百万円5百万円1千0百万円
  貯蔵品0百万円0百万円
  前払費用2千3百万円3千3百万円3千5百万円3千4百万円5千7百万円
  未収消費税等6千5百万円
  その他0百万円1億1千3百万円1千6百万円0百万円6千2百万円0百万円
  貸倒引当金-3百万円-4百万円-2百万円-2百万円-5百万円-2百万円
固定資産6千8百万円8千4百万円7千5百万円6千7百万円5千1百万円7千9百万円6千9百万円
  有形固定資産3千8百万円3千3百万円2千8百万円2千8百万円2千4百万円2千1百万円
   建物2千7百万円2千6百万円2千4百万円2千3百万円2千1百万円1千9百万円
   工具、危惧及び備品7百万円5百万円5百万円4百万円3百万円
   リース資産1百万円0百万円
  無形固定資産1千5百万円1千1百万円7百万円3百万円3千8百万円3千0百万円
   ソフトウェア1千1百万円7百万円3百万円
  投資その他の資産3千1百万円3千1百万円3千1百万円2千0百万円1千7百万円1千7百万円
   出資金0百万円0百万円0百万円0百万円0百万円0百万円
   敷金2千8百万円3千1百万円3千1百万円2千0百万円1千7百万円
   差入保証金3百万円
   長期前払い費用0百万円
   破産更生債権等1百万円3百万円5百万円5百万円7百万円7百万円
   貸倒引当金-1百万円-3百万円-5百万円-5百万円-7百万円-7百万円
資産合計7億1千8百万円4億4千9百万円16億0千8百万円10億4千0百万円29億5千3百万円15億3千7百万円7億3千9百万円
流動負債2億2千2百万円4億1千1百万円3億4千7百万円6億6千8百万円7億8千9百万円6億5千5百万円4億3千7百万円
  買掛金5千9百万円6千4百万円5千7百万円5千4百万円7千6百万円7千0百万円
  一年内返済予定長期借入金2千8百万円2千7百万円1億5千9百万円3千2百万円3千5百万円1千0百万円
  短期借入金6千9百万円4千7百万円1億1千8百万円
  リース債務1百万円0百万円
  未払金1億4千4百万円1億5千2百万円3億2千9百万円5億1千8百万円4億5千5百万円2億8千0百万円
  未払費用5千8百万円6千2百万円4千2百万円3千6百万円5千4百万円4千7百万円
  未払法人税等3百万円4百万円4百万円4百万円4百万円4百万円
  未払消費税等2千1百万円
  契約負債1千5百万円1千7百万円
  前受金1千6百万円2千7百万円2千3百万円2千3百万円
  預り金1千2百万円8百万円3百万円1千4百万円6百万円
  その他1百万円1千1百万円0百万円1百万円2百万円4百万円
固定負債1億7千3百万円1億9千6百万円1億7千2百万円9千2百万円2億6千6百万円2億3千1百万円4億8千6百万円
  長期借入金1億8千6百万円1億5千9百万円8千0百万円2億6千1百万円2億2千6百万円2億0千3百万円
  リース債務0百万円
  資産除去債務1千0百万円1千0百万円1千0百万円5百万円5百万円5百万円
  繰延税金負債3百万円0百万円
  その他3百万円
負債の部計3億9千5百万円6億0千6百万円5億1千8百万円7億6千0百万円10億5千5百万円8億8千6百万円9億2千3百万円
株主資本3億2千1百万円-1億5千8百万円10億8千9百万円2億7千9百万円18億9千7百万円6億5千1百万円-1億8千6百万円
資本金4億2千7百万円4億2千7百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円
 資本余剰金5億6千9百万円5億6千9百万円28億9千6百万円28億9千6百万円58億2千2百万円58億2千2百万円58億2千2百万円
  資本準備金5億6千9百万円5億6千9百万円15億6千9百万円15億6千9百万円30億3千2百万円30億3千2百万円30億3千1百万円
  その他資本余剰金13億2千7百万円13億2千7百万円37億9千0百万円27億9千0百万円27億9千0百万円
 利益剰余金-6億7千5百万円-11億5千4百万円-19億0千7百万円-27億1千6百万円-40億2千4百万円-52億7千0百万円-61億0千8百万円
  利益準備金0百万円
  特別償却準備金
  その他利益剰余金-3億7千5百万円-11億5千4百万円-19億0千7百万円-27億1千6百万円-40億2千4百万円-52億7千0百万円-61億0千8百万円
  繰延利益剰余金-27億1千6百万円-40億2千4百万円-52億7千0百万円-61億0千8百万円
  評価・換算差額等
  その他有価証券評価差額金
  (うち当期純損失)-4億2千8百万円-4億7千9百万円-7億5千3百万円-8億0千9百万円-13億0千8百万円-12億4千6百万円-8億3千8百万円
新株予約権2百万円1百万円1百万円2百万円
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
純資産の部計3億2千1百万円-1億5千8百万円10億8千9百万円2億7千9百万円18億9千7百万円6億5千1百万円-1億8千6百万円
負債・純資産合計7億1千8百万円4億4千9百万円16億0千7百万円10億4千0百万円29億5千2百万円15億3千7百万円7億3千9百万円

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である「自己資本比率」が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。

自己資本比率が低い場合は借入金などの負債が多いので資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で、自己資本比率が高い場合は返済義務を有しない資金を大量に抱えているので倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、自己資本比率は業種によって大きく異なります。
例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。

逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

貸借対照表の左右(運用状況と調達状況)の合計額は必ず一致する
「資産」=「負債」+「純資産」という計算式が成り立つことから、貸借対照表のことをバランスシート(Balance Sheet)またはビーエス (B/S) と呼ぶこともあります。

よりそうの自己資本比率は-25.17%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」で求めることができます。

-1億8千6百万円÷7億3千9百万円×100=-25.17%

よりそうの2024年2月期における自己資本比率は、-25.17%(前年同期比67.53%減)となっています。
前年度に比べて資産が減少し、負債が増加しているため、決して安心できる状況とはいえないでしょう。

よりそうの資産と負債について

自己資本比率の次に確認したいのは、資産と負債の額になります。
貸借対照表でいうところの資産は左側に、負債は右側上段に記載があります。

この赤い円の箇所を確認することで、その会社の資産と借金の額を確認できます。

資産合計の推移

貸借対照表の左側に記載されており、「会社の所有する資産」を表します。
資産は下記の3つに構成されています。

・流動資産 = 1年以内に現金化もしくは費用化できる資産
例) 現金、有価証券、商品、製品など

・固定資産 = 長期にわたって会社が保有するものや1年を超えて現金もしくは費用となる資産で有形固定資産や無形固定資産がある。
例)・有形固定資産:建物、土地、車など
  ・無形固定資産:ソフトウェアなど

繰延(くりのべ)資産 = 会社設立にかかった費用や社債発行にかかった費用を一括して費用として計上せずに資産として計上し期間内(数年など)に分けて償却するものとなります。
例) 創立費、開業費、開発費など

よりそうの資産合計の推移は以下のようになっています。

よりそうの2024年2月期における資産合計は7億3千9百万円(前年同期比51.92%減)となっています。
2022年1月に35億円の資金を調達したことから、前年同期には30億円近い資産を保有していたものの、今期は大幅に減少し、10億円を下回る結果となりました。

負債合計の推移

貸借対照表の右側上段に記載されており、「返す必要のある他人からの借金」を表します。
負債は下記の2つで構成されています。

流動負債 = 1年以内に支払い期日を迎える負債となります。
例) 家賃、従業員の給与や賞与、買掛金(サービスや商品の金額を後払いするもの)など

固定負債 = 1年以内に支払い期日を迎えない負債となりますので、流動負債以外の負債は固定負債になるということです。
例) 従業員の退職金、社債、長期借入金など

よりそうの負債合計の推移は以下のようになっています。

よりそうの2024年2月期における負債合計は9億2千3百万円(前年同期比4.18%増)となっています。
財務安定性指標の一つである流動比率(流動資産÷流動負債×100)は、2024年2月期の時点で153.55%(安全ラインは100%以上)となっており、短期的な支払い能力については問題ないようです。

よりそうの純資産について

自己資本比率、資産合計、そして負債合計をみてきましたが、最後に確認したいのは「純資産」となります。
純資産は貸借対照表でいうところの右側下段に記載があります。

純資産は資産(現金、土地、建物など)から負債(借金)を差し引いたものです。

この赤い丸の箇所を確認することでその会社の純資産を確認できます。
よりそうの純資産合計、当期純利益、利益剰余金の推移はそれぞれ以下のようになっています。(各用語についても分かりやすく解説しています)

純資産合計の推移

会社の所有する現金や建物などの資産から負債(借金)を差し引いたものとなります。
純資産の割合が高ければ財務健全性が高いと考えます。一方で、純資産がマイナスの状態を債務超過といい、2期連続で債務超過の状態が続いた場合、東証上場の廃止基準に抵触することがあります。

よりそうの2024年2月期における純資産合計は、-1億8千6百万円(前年同期比128.6%減)となっています。
2022年1月の資金調達により、2022年2月期の純資産合計は18億9千7百万円まで増加したものの、今期では2023年2月期よりも8億円ほど減少し、債務超過の結果になりました。

当期純利益の推移

会社が1年間で得た全収益から法人税や住民税そして費用を差し引いたものが当期純利益となります。
この当期純利益がマイナスとなると当期純損失となります。

当期純利益の額をみることで、その会社の収益性がどのくらいなのか判断できる指標になります。

「よりそう」では、2024年2月期で8億3千8百万円の当期純損失が発生しているとみられます。
前年同期に比べ損失金額は圧縮されているものの、7期連続で当期純損失が発生する結果となりました。
「よりそう」ではTVCMの放映を開始するなど、一般認知度の向上に注力してきたものの、黒字転換には至らなかったようです。

利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で経営が赤字になった際に従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため企業が生き残るための重要な資金源となります。

「よりそう」の場合は以下のように推移しております。

よりそうの2024年2月期における利益剰余金は-61億0千8百万円となりました。
今期のよりそうでは、2023年6月より共同代表制(取締役会長CEO 芦沢雅治氏・代表取締役社長COO 篠﨑新悟氏)に移行し、さらに同年7月にはアットセル株式会社よりお墓のポータルサイト「お墓探し」事業を譲り受けるなど、さまざまな対応策を打っていますが、効果が出るまでにはもう少し時間が必要なのかもしれません。

株式会社 よりそうのまとめ

今回は株式会社 よりそうの決算公告を参考に、同社の財務状況や経営安定性などについて分析を行いました。
決算公告資料から得られる情報は限られるものの、想像以上に企業の内部事情を伺えることがお分かりいただけたかと思います。

近年、葬儀の小規模化や簡素化が進む中、葬儀ポータルサイトが売り上げを伸ばしており「よりそうお葬式」も業界最大手の1社です。
しかし葬儀ポータル業界では、異業種からの新規参入が多く価格競争が激しくなっていることが、収益に影響しています。
「よりそう」の決算公告の分析によると、決して安心できる状況ではなさそうです。

とはいえ、同社では共同代表制に移行するなど、業績回復に向けて様々な施策を実行していますので、次期決算に期待したいところです。

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