葬祭関連企業分析

「イオンのお葬式」「小さなお葬式」への措置命令から見た広告制作における注意点

投稿日:2019年5月13日 更新日:

消費者庁より平成29年(2017)年12月22日「イオンのお葬式」を提供するイオンライフへ、平成30(2018)年12月21日「小さなお葬式」を提供するユニクエストへ景品表示法に違反する「有利誤認」が認められ、措置命令が公表されました。

消費者庁の措置命令の内容から、葬儀サービスの表示に関する広告制作における注意点を考察します。

イオンライフ「イオンのお葬式」とユニクエスト「小さなお葬式」の措置命令の公表年月日、表示媒体、表示期間を比較

 

イオンライフ

「イオンのお葬式」

ユニクエスト

「小さなお葬式」

措置命令の公表年月日

平成29年(2017年)12月22日

平成30年(2018年)12月21日

対象役務

「火葬式」「1日葬」「家族葬」と称する葬儀サービスの各役務(3役務)

「小さな火葬式」「小さな一日葬」「小さな家族葬」「小さなお別れ葬」「100名までのお葬式」と称する葬儀サービスの各役務(5役務)

表示媒体

 

日刊新聞
(全国紙に2回、関東エリアに1回)

 

●「小さな火葬式」「小さな1日葬」「小さな家族葬」「小さなお別れ葬」は
パソコン向け自社ウェブサイト、
スマートフォン向け自社ウェブサイト

●「100名までのお葬式」は
パソコン向け自社ウェブサイト

表示期間

A)平成29年(2017年)3月14日、
全国配布、約210万部

 

B)平成29年(2017年)4月27日、
全国配布、約160万部

 

C)平成29年(2017年)5月6日、
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、約30万部

A)「小さな火葬式」「小さな一日葬」「小さな家族葬」
1)パソコン向け自社ウェブサイト
遅くとも平成28年(2016年)4月1日から
平成29年(2017年)12月27日まで
2)スマートフォン向け自社ウェブサイト
平成28年(2016年)4月11日から
平成29年(2017年)12月27日までの間

B)「小さなお別れ葬」
1)パソコン向け自社ウェブサイト
平成29年(2017年)7月10日から
同年12月27日までの間

2)スマートフォン向け自社ウェブサイト
平成29年(2017年)9月4日から
同年12月27日までの間

C)「100名までのお葬式」
平成29年(2017年)9月4日から
同年12月27日までの間

平成29年(2017年)12月22日に措置命令が公表された「イオンのお葬式」の対象役務の表示期間は、同年の平成29年(2017年)に3回行われた日刊新聞への広告に対するものです。

一方、平成30年(2018年)12月21日に措置命令が公表された「小さなお葬式」の対象役務の表示媒体と期間は、パソコン向け自社ウェブサイトとスマートフォン向け自社ウェブサイトで、遅くとも平成28年(2016年)4月1日から 平成29年(2017年)12月27日までの間となっており、措置命令公表の2年前からの表示を指摘しています。「イオンのお葬式」への措置命令後の期間の表示については含まれていません。

つまり、措置命令の対象となる表示を行ったその年の年末に措置命令が公表されるケースだけではなく、過去2年前~1年前の表示に対して措置命令が公表されるケースがあることがわかります。

また、3月~12月は消費者庁が葬儀業界の表示内容について確認している時期と思われます。この時期に広告や自社ウェブサイトの表現を更新・変更する場合、景品表示法の不当な表示に当てはまらないか注意が必要です。

措置命令を受けた「イオンのお葬式」の表示内容と実際について

イオンのお葬式平成29年3月14日配布(別紙1)

※消費者庁 平成29年12月22日 イオンライフに対する景品表示法に基づく措置命令について 別紙1より

新聞広告において「追加料金不要」と表示

新聞広告において矢印部分のように「追加料金不要」と記載した上で、「火葬式19,800円(税込)」「1日葬348,000円(税込)」「家族葬498,000円(税込)」と記載することにより、追加料金が発生しないように表示していました。

実際は下記に該当する場合は追加料金が発生した

①寝台車又は霊柩車の移動距離が50kmを超える場合
②式場等における安置日数が各設定日数を超える場合 
③自宅等における安置日数が各設定日を超え、ドライアイス等を追加する場合
④「1日葬」の式場利用料が25,000円(税込)を超える場合
⑤「家族葬」の式場利用料が50,000円(税込)を超える場合
⑥火葬場利用料が15,000円を超える場合
※「火葬式」「1日葬」は3日、「家族葬」は4日

そのため、一般消費者に実際より有利であると誤認される表示であることが、認められたとされています。

措置命令を受けた「小さなお葬式」の表示内容と実際について

消費者庁の指摘する表示内容に関する指摘は、別紙1~別紙11あり、そのうち代表的な別紙1と別紙11を確認しました。

パソコン向け自社ウェブサイトで「追加料金一切不要」等と表示

小さなお葬式自社HP平成28年4月1日から10月2日まで別紙1

※消費者庁 平成30年12月21日 ユニクエストに対する景品表示法に基づく措置命令について 別紙1より作成(パソコン向け自社ウェブサイト 遅くとも平成28年4月1日から同年10月2日までの間) 

別紙1によるとパソコン向け自社ウェブサイトにおいて矢印のように「追加料金一切不要」記載されています。 別紙1の指摘箇所は下記の8カ所。消費者庁は記載された価格以外に追加料金が発生しないかのように表示されていることについて指摘しています。

①「追加料金一切不要のお葬式 総額188,000円(税込) 資料請求割引価格」
②「追加料金一切不要の安心価格プラン金額がお葬式にかかるすべての費用です。」
③「式を行わず火葬のみ 小さな火葬式」
④「無料資料請求で 総額188,000円(税込) 追加料金一切不要」
⑤「通夜式を行いません 小さな一日葬」
⑥「無料資料請求で 総額338,000円(税込) 追加料金一切不要」
⑦「通夜式・告別式を行います 小さな家族葬」
⑧「無料資料請求で 総額488,000円(税込) 追加料金一切不要」

スマートフォン向け自社ウェブサイトで「追加料金不要」「追加料金が本当にかからないお葬式」と表示

小さなお葬式自社HP平成29年10月23日から12月27日まで別紙11

※消費者庁 平成30年12月21日 ユニクエストに対する景品表示法に基づく措置命令について 別紙11より作成(スマートフォン向け自社ウェブサイト 平成29年10月23日から同年12月27日までの間) 

別紙11によるとスマートフォン向け自社ウェブサイトで矢印のように記載されています。 別紙11の指摘箇所は7カ所。

①「葬儀から納骨、法要までご相談は追加料金一切不要の葬儀社【小さなお葬式】」
②「追加料金が本当にかからないお葬式」
③「小さなお葬式が選ばれる理由 その2 追加料金一切不要 3つの家族葬プラン」
④「その2 3つの家族葬プラン 葬儀に必要な物品やサービスがすべて揃った、追加料金一切不要の定額プランです。」
⑤「式を行わず火葬のみ 小さな火葬式 無料資料請求で、通常193,000円が 総額188,000円(税込) 追加料金一切不要」
⑥「通夜式を行いません 小さな一日葬 無料資料請求で、通常343,000円が 総額338,000円(税込) 追加料金一切不要」
⑦「通夜式・告別式を行います 小さな家族葬 無料資料請求で、通常493,000円が 総額488,000円(税込) 追加料金一切不要」

実際は下記に該当する場合は例外的に追加料金が発生していた

①寝台車又は霊柩車の移動距離が50kmを超える場合
②葬儀社等における安置日数が各設定日数を超える場合 
③自宅等における安置日数が各設定日を超え、ドライアイス等を追加する場合
④火葬場利用料が市民料金を超える場合
⑤「小さな一日葬」の外部式場利用料が50,000円を超える場合
⑥「小さな家族葬」または「100名までのお葬式」の外部の式場利用料が100,000円を超える場合
※「小さな火葬式」「小さな一日葬」「小さなお別れ葬」は3日、「小さな家族葬」「100名までのお葬式」は4日

「小さなお葬式」の自社ウェブサイトでは、例外的に追加料金が発生する場合があることを別ページに表示していたが、誤解を打ち消すことはできないと認められなかった

「小さなお葬式」の自社ウェブサイトでは、「追加料金一切不要」と記載されているウェブページ以外の「よくある質問」で、例外的に追加料金が発生する場合があることを記載していました。

しかし、下記の観点により消費者に追加料金が掛かるケースがあり、追加料金一切不要という認識を打ち消すことはできないと判断されています。

① 追加料金一切不要と記載のあるウェブページとは別のウェブページに表示されていた。
② リンク先に追加料金に係わる重要な情報が存在するとはわからない表示だった。
③ 「よくある質問」等のリンク先の文字列をクリックしなければ表示されなかった。

「イオンのお葬式」「小さなお葬式」の措置命令の内容を踏まえた広告制作における表現の注意点

「追加料金一切不要」「追加料金が本当にかからない」という表現は要注意

消費者にとって価格についてはそのサービスを利用するかどうかの重要な判断基準となるため、「追加料金一切不要」「追加料金が本当にかからない」という表現はとても魅力的で、一般消費者にとって有利に感じられる表現です。

しかし、どのようなケースであっても追加料金が一切かからない場合は問題ありませんが、例外的に追加料金がかかる場合は措置命令の対象となるため表示しないことを推奨します。

同じウェブページ内で例外的に追加料金がかかるケースがある表示を明確にする

プラン内容の金額を表示するウェブページに、例外的に追加料金がかかる場合、その旨を消費者がわかる表示を行う必要性があります。

小さなお葬式2019年4月16日現在の表示

※2019年4月16日現在の「小さなお葬式」のサイトより

平成31年(2019年)4月16日現在の「小さなお葬式」のサイトを参考にすると、プラン料金が表示されているページ内に「※プラン料金以外に費用がかかる場合▼」という表示(赤の丸で囲った部分)があります。

そこをクリックすると例外的に費用がかかるケースを紹介しており、さらに詳細を確認することもできる表示へと変更されています。

このように、プラン料金以外に費用が掛かるケースについて、わかりやすく表示することが必要です。

まとめ

■消費者庁は、例外的に追加費用がかかるケースがあるが「追加料金不要」という表示を行っていた2社に対し、措置命令を公表している。

■「追加料金不要」「追加料金が本当にかからない」という表現は、例外的にかかるケースがある場合は使用しない方がよい。

■プラン料金以外に追加料金が発生する場合は、同じ広告紙面内、同じウェブページ内に追加料金が発生する場合があることを明記し、詳細について表記を行わないと不当表示とされる可能性がある。

参考・出典
消費者庁 https://www.caa.go.jp/
公表資料より
「イオンライフに対する景品表示法に基づく措置命令について」
「ユニクエストに対する景品表示法に基づく措置命令について」 

 

  • この記事を書いた人
三枝ゆり(みつえだゆり)

三枝ゆり(みつえだゆり)

広告会社で情報誌の編集を経て2003年フリーランスの編集・ライターへ。

パンフレット・WEB等の集客・販促ツールのコピーライティングのほか、ブライダル・起業支援・ビジネスマッチング用企業紹介・新卒採用等の情報誌・WEBメディアのライターとしても活動。さまざまな職種の方や経営者、起業家、研究者等のインタビュー経験も豊富。

自分自身の父の葬儀・仏壇・お墓・相続等の経験を経た後に、葬儀関連事業のWEBライティングにも携わる。「人生の最期に訪れる葬儀を支える人々のホスピタリティや優しさにふれて感銘を受けました。微力ですが、この業界に貢献できるような記事作成ができればと思っています」。

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