株式会社 トレーダー 愛~愛グループ~┃ホテル・ブライダルの業績・利益をまとめて分析

トレーダー愛の業績利益を徹底分析

葬儀社の業績・利益を調べる場合、帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、葬儀社の業績・利益の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社 トレーダー 愛の現状について、貸借対照表をもとに分析いたします。
上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社トレーダー 愛の概要

典礼会館名義で葬儀事業を営む愛グループは、1972年6月に設立された「下関市冠婚葬祭互助会」からスタートしました。
その後、積極的なM&Aにより営業エリアを拡大し、現在では以下の12社で構成されるグループ企業となっており、決算公告は各社で別々に出されています。

■愛グループ

  1. 株式会社 日本セレモニー(広島)
  2. 株式会社 日本セレモニー(長崎)
  3. 株式会社 日本セレモニー(山口県)
  4. 株式会社 へいあん秋田
  5. 株式会社 サンファミリー
  6. 株式会社 へいあんファミリー
  7. 株式会社 愛グループホールディングス
  8. 株式会社 メイプルシティ
  9. 株式会社 防長互助センター
  10. 株式会社 合掌堂
  11. 株式会社 トレーダー 愛←今回分析を行うのはココ
  12. 株式会社 せいぜん

上記グループ会社のうち、株式会社 メイプルシティ(イタリアンレストラン事業)と、株式会社 トレーダー愛(料理や生花など冠婚葬祭事業の付帯業務に関わる仕入・製造及び商品開発)は、直接的に冠婚葬祭事業を行っていないようです。
しかし愛グループの組織図は公開されていないため、グループ各社が関与する業務の範囲は明確ではありません。

「トレーダー 愛」は、冠婚葬祭行事に関する物流部門「セレモニー通商」として1984年2月に誕生し、1992年11月に現名称に変更されて以降は、冠婚葬祭サービスにおける付帯業務全般を担当しているようです。
愛グループにおける冠婚葬祭サービスの付帯業務について、ほぼ「トレーダー愛」が内製化しているといえるかもしれません。

トレーダー 愛の主な取扱業務は以下の通りです。

  • 冠婚葬祭行事に必要な衣装関連業務を担う「衣装部門」
  • 主にブライダル事業における企画や装飾を開発する「商品開発部門」
  • 葬儀や結婚式などに必要な案内状や礼状などの印刷物を取り扱う「印刷部門」
  • 海外からの物品仕入れを担う「輸入部門」
  • 記念撮影や前撮りなどを担当する「スタジオ部門」
  • 式場装飾やフラワーアレンジメントを取り扱う「生花部門」
  • 葬儀での会食や結婚披露宴の食事などを担当する「調理部門」
  • 各部門をつないで冠婚葬祭に必要なサービスを事業所に配送する「物流部門」

上記の他に、全館貸切ウエディングにも対応可能な「HOTEL THE SCREEN(京都府京都市)」の運営や、ECショップ「THE LOVEL SHOP」の運営も行っています。

葬儀社の決算公告とは

決算公告はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。以下に、決算公告についての簡単な概要を記載しました。
株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告と言います。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な側面が強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせております。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

葬儀社の大手あるいは長年 葬儀・葬祭事業を営む会社は冠婚葬祭互助会を運営するケースが多いです。
冠婚葬祭互助会とは冠婚葬祭などの行事に備えるために毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスとなっております。互助会の会員になることで葬儀や婚礼で割引などの優遇があります。

冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた事業者となります。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより
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会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局に供託する
  • 経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶ
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶ

上記のいずれかの方法を選択する必要があります。

また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。
なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

トレーダー 愛の貸借対照表 

貸借対照表

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である「自己資本比率」が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。

例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。
自己資本比率が低い場合は借入金などの負債が多いので資金繰りが厳しいと予測ができます。

一方で、自己資本比率が高い場合は返済義務を有しない資金を大量に抱えているので倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、自己資本比率は業種によって大きく異なります。
例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。

逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

貸借対照表の左右(運用状況と調達状況)の合計額は必ず一致する
「資産」=「負債」+「純資産」という計算式が成り立つことから、
貸借対照表のことをバランスシート(Balance Sheet)またはビーエス (B/S) と呼ぶこともあります。

トレーダー 愛の自己資本比率は91.47%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」で求めることができます。
225億9千5百万円÷247億0千1百万円×100=91.47

トレーダー 愛の2022年1月期における自己資本比率は、91.47%(前年同期比1.17%増)となっています。
2019年以降トレーダー 愛の自己資本比率は年々向上しており、財務上の健全性が高まっている状況です。

トレーダー 愛の資産と負債について

自己資本比率の次に確認したいのは、資産と負債の額になります。
貸借対照表でいうところの資産は左側に、負債は右側上段に記載があります。

この赤い円の箇所を確認することで、その会社の資産と借金の額を確認できます。

資産合計の推移

貸借対照表の左側に記載されており、「会社の所有する資産」を表します。
資産は下記の3つに構成されています。

・流動資産 = 1年以内に現金化もしくは費用化できる資産
例) 現金、有価証券、商品、製品など

・固定資産 = 長期にわたって会社が保有するものや1年を超えて現金もしくは費用となる資産で有形固定資産や無形固定資産がある。
例)・有形固定資産:建物、土地、車など
  ・無形固定資産:ソフトウェアなど

繰延(くりのべ)資産 = 会社設立にかかった費用や社債発行にかかった費用を一括して費用として計上せずに資産として計上し期間内(数年など)に分けて償却するものとなります。
例) 創立費、開業費、開発費など

トレーダー 愛の資産合計の推移は以下のようになっています。

資産合計

トレーダー 愛の2022年1月期における資産合計は247億0千2百万円(前年同期比1.52%減)となっています。
過去5年間におけるトレーダー愛の資産合計はほぼ横ばいで推移しており、大きな変動はみられません。

トレーダー愛の業務内容は、新規出店によって売上を拡大していく事業とは異なるため、右上がりに増加していなくとも問題ないと思われます。

負債合計の推移

貸借対照表の右側上段に記載されており、「返す必要のある他人からの借金」を表します。
負債は下記の2つで構成されています。

流動負債 = 1年以内に支払い期日を迎える負債となります。
例) 家賃、従業員の給与や賞与、買掛金(サービスや商品の金額を後払いするもの)など

固定負債 = 1年以内に支払い期日を迎えない負債となりますので、流動負債以外の負債は固定負債になるということです。
例) 従業員の退職金、社債、長期借入金など

トレーダー 愛の負債合計の推移は以下のようになっています。

負債合計

トレーダー 愛の2022年1月期における負債合計は21億0千6百万円(前年同期比13.44%減)となっています。
経営安定性指標の一つである負債比率(負債合計÷純資産×100)も9.32%(安全ラインは100%以下)と全く問題ない状況です。

また流動比率(流動資産÷流動負債×100)も、2022年1月期の時点で620.13%(安全ラインは100%以上)となっており、支払い能力についても不安は感じられません。

トレーダー 愛の純資産について

自己資本比率、資産合計、そして負債合計をみてきましたが、最後に確認したいのは「純資産」となります。
純資産は貸借対照表でいうところの右側下段に記載があります。

純資産は資産(現金、土地、建物など)から負債(借金)を差し引いたものです。

この赤い丸の箇所を確認することでその会社の純資産を確認できます。

トレーダー 愛の純資産合計、当期純利益、利益剰余金の推移はそれぞれ以下のようになっています。(各用語についても分かりやすく解説しています)

純資産合計の推移

会社の所有する現金や建物などの資産から負債(借金)を差し引いたものとなります。

純資産の割合が高ければ財務健全性が高いと考えます。一方で、純資産がマイナスの状態を債務超過といい、2期連続で債務超過の状態が続いた場合、東証上場の廃止基準に抵触することがあります。

純資産合計

トレーダー 愛の2022年1月期における純資産合計は、225億9千5百万円(前年同期比0.04%減)となっています。
2019年以降、トレーダー愛の純資産合計はわずかずつ減少していますが、自己資本比率は年々向上していますので、財務健全性に問題は無さそうです。

当期純利益の推移

会社が1年間で得た全収益から法人税や住民税そして費用を差し引いたものが当期純利益となります。
この当期純利益がマイナスとなると当期純損失となります。

当期純利益の額をみることで、その会社の収益性がどのくらいなのか判断できる指標になります。

当期純利益

トレーダー 愛の2022年1月期における当期純利益は2億4千6百万円(前年同期比28.49%減)となっています。

愛グループにおけるトレーダー愛の役割は裏方業務がメインですので、収益についてはグループの中核事業である冠婚葬祭互助会事業の業績に大きく左右されます。
そのため、グループの中核事業である冠婚葬祭事業が新型コロナの影響を大きく受けた2020年以降、トレーダー愛の当期純利益が新型コロナ発生前に比べて減少しているのも無理はないでしょう。

利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で経営が赤字になった際に従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため企業が生き残るための重要な資金源となります。

トレーダー 愛の場合は以下のように推移しております。

利益剰余金

トレーダー 愛の2022年1月期における利益剰余金は、225億8千5百万円(前年同期比2.39%減)となっています。

利益剰余金は営業損失が発生した際に減少しますので、トレーダー愛では2022年1月期に5千4百万円の営業損失が発生したと思われます。
にもかかわらず、2億4千6百万円の当期純利益が出ていますので、営業外の利益が1億9千2百万円ほどあったようです。

トレーダー 愛のまとめ

今回は株式会社 トレーダー 愛の決算公告を参考に、現状分析を行いました。
決算公告資料から得られる情報は決して多くありませんが、各項目の数字から対象企業の財務健全性について意外なほど多くの情報が把握可能です。

新型コロナ関連の各種規制により、収益を大きく悪化させた企業も少なくありませんが、決算公告資料を見る限りトレーダー愛では大きなダメージは受けていない印象です。
しかし2022年7月時点では新型コロナの感染が再拡大しつつあり、まだまだ日本経済の先行きは不透明な状況ですので、今後のトレーダー 愛の決算公告にも引き続き注目していきたいと思います。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。より詳しい情報を知りたい方はお気軽にお問合せ下さい。

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