宗教用具の伝統を守る業界団体│東京宗教用具商業協同組合(東宗協)について解説

東京宗教用具商業協同組合 アイキャッチ

宗教用具には、どのような種類があるのでしょうか。
葬儀において仏式や神式、キリスト教式などの形式があるように、宗教用具にも仏壇・仏具のほかに、神具・神興(しんこう)や祭具もあります。

東京宗教用具商業協同組合は、東京の「浅草仏壇通り」に位置する店舗が多く加盟し、伝統工芸品の「東京仏壇」の魅力を伝えています。
宗教用具の伝統を守り、消費者に向けて正確な知識を授け、情報を発信している団体です。

この記事では伝統的な宗教用具を守る、東京宗教用具商業協同組合(東宗協)についてご紹介します。

目次

東京宗教用具商業協同組合(東宗協)の概要

東京宗教用具商業協同組合 概要

東京宗教用具商業協同組合は、昭和11年に東京仏具商組合として設立され、昭和45年に現在の商業協同組合の形となっています。

東京都内の仏壇・仏具販売店など、2024年時点で31店舗が加盟中です。
東京に古来より受け継がれる、伝統工芸品の「東京仏壇」について解説したり、製作過程を紹介したりしてその良さを伝えています。
消費者に宗教用具の正しい知識を発信して、業界の発展に寄与しています。

【団体名称】東京宗教用具商業協同組合(東宗協)
【所在地】東京都中央区銀座7-14-3 松慶ビル
【代表者】山本 晴彦
【設立】昭和11年1月
【公式サイト】https://tohshukyo.or.jp/
【事業内容】宗教用具の製作、販売、仏壇展示会

出典:東京宗教用具商業協同組合 概要

東京宗教用具商業協同組合の沿革

東京宗教用具商業協同組合 沿革

東京宗教用具商業協同組合の沿革を、ご紹介します。

昭和11年1月
東京仏具商組合が誕生する。

昭和19年5月
「商工統制組合」が公布され、東京神仏具統制組合に生まれ変わった。

昭和22年6月
2月に公布された「商業組合法」により業者の結束が叫ばれ、東京宗教用具商工業協同組合ができた。

昭和45年9月
組織上の意見の相違から、工業部門分離とともに組織を改変。商業協同組合として現組合の基礎が組みあがった。

昭和51年1月
東京都知事より優良組合として特別表彰を受けた。

出典:東京宗教用具商業協同組合 沿革

東京宗教用具商業協同組合の事業内容

東京宗教用具商業協同組合 事業内容

東京宗教用具商業協同組合は「東京仏壇」について解説したり、宗教各派や仏事についての情報発信をおこなったりしています。
また、宗教用具展示会を開催して消費者へより良いものを届けようと取り組んでいます。

東京仏壇とは

東京宗教用具商業協同組合 東京仏壇」

東京宗教用具商業協同組合は、東京仏壇について歴史や特徴、製作工程を詳しく紹介しています。
東京仏壇は唐木材を使用し、職人の手作業で製作されており、東京都が伝統工芸品に指定しています。

江戸中期に仏師や江戸指物師が作成したのが始まりとされ、黒檀、紫檀、欅(けやき)桑、檜(ひのき)杉、桐などの木材がおもに使用されるようです。
錺(かざり)金具などの装飾が少なく、木目を生かしたシンプルな造りになっており、丈夫で長期間の使用にも耐えられる仏壇です。

江戸指物:江戸時代に発展した木工品で、釘などを使用せずに板材を組み合わせて作成される

出典:東京宗教用具商業協同組合 東京仏壇の紹介

仏壇・仏具、神具についての情報発信

同組合には仏壇・仏具に限らず、神具・神興や和太鼓、神楽用品などのさまざまな宗教用具を扱う店舗が加盟していることから、公式サイトに宗教用具やまつり方を紹介するページを設けています。

定期的に宗教用具の展示会を開催して、仏壇コンテストがおこなわれたり、季節に応じた販売セールのお知らせを発信したりして、消費者にもわかりやすい情報発信をおこなっているようです。

組合員研修の開催

同組合は組合員研修として、寺院の見学会などを開催しています。
2023年3月には、組合員の翠雲堂本社に新設された黄金の間と、真言宗 豊山派 大本山護国寺別院筑波山大御堂を研修見学しました。

大本山護国寺別院筑波山大御堂は、寺院建築を手がける組合員の翠雲堂が設計施工した寺院です。

東京宗教用具商業協同組合の特徴

東京宗教用具商業協同組合 特徴

東京宗教用具商業協同組合の特徴は、加盟店の多くが「浅草仏壇通り」に店舗を構えていることと、さまざまな店舗が加盟していることです。

加盟店の多くが浅草仏壇通りにある

上野駅から浅草駅への通りは「浅草仏壇通り」と呼ばれ、仏壇・仏具、神具・神興、祭具などの宗教用具を取り扱う約50店舗が軒を連ね、なかでも仏壇を扱う店舗が多いことから名づけられました。
「浅草仏壇通り」に位置する多くの店舗が、東京宗教用具商業協同組合に加盟しています。

さまざまな業種の店舗が加盟

東京宗教用具商業協同組合は、おもに東京都内の仏壇・仏具販売店が加盟しているほか、神具・神輿、太鼓などを扱っている販売店やろうそく、念珠の専門店、社寺建築業者など、さまざまな店舗が加盟していることが特徴です。
加盟店同士が、同組合の組合員研修で情報を交換したり、お互いの業種について学んだりしています。

加盟店は同組合の公式サイトからご覧いただけます。
加盟店の一覧

東京宗教用具商業協同組合に加盟するメリット

東京宗教用具商業協同組合 メリット

東京宗教用具商業協同組合に加盟すると、次のようなメリットがあります。

  • 消費者からの信頼が確保できる
  • 葬儀業界の発展につながる

消費者からの信頼が確保できる

東京宗教用具商業協同組合に加盟している店舗は、同会が開催する講習会や展示会を通して、消費者に対して宗教用具の正しい知識や取扱い方法、まつり方などの情報を発信できます。
正確な情報発信は、消費者からの信頼確保につながるでしょう。

葬儀業界の発展につながる

加盟店が連携して、消費者に宗教用具の的確な情報を伝えるとともに、おまつりする心を伝えています。
古来より受け継がれてきたご先祖様の供養や、神様をおまつりする気持ちを後世にも伝承していくことが、今後の事業、業界の発展へとつながるものと思われます。

東京宗教用具商業協同組合の役員

東京宗教用具商業協同組合の役員は、以下の方々です。

役職氏名
理事長山本 晴彦(山本仏具店)
副理事長山口 豊(翠雲堂)
諸田 邦義(三善堂)
専務理事中野 浩(中野三佛屋)
理事布施 義浩(岡田屋布施)
前田 平八(日本宗教用具)
小森 隆司(こもりコーポレーション)
小堀 正(小堀)
監事川本 恭央(川本商店)
内田 博惠(内田商店)
出典:東京宗教用具商業協同組合 役員一覧

まとめ

この記事では、東京宗教用具商業協同組合をご紹介しました。
東京の「浅草仏壇通り」に店舗を構える仏壇店や神具店などが多く加盟し、伝統的な宗教用具の発展、伝承に力を入れています。

近年失われつつある、ご先祖様や神様をおまつりする習慣を大切にし、継承するべく情報発信をおこなっています。
葬儀社様におかれましても、同組合の取り組み紹介が業務のヒントになれば幸いです。

カテゴリー最新記事

目次