葬儀関連の特集記事まとめ|雑誌媒体で取り上げられた話題について解説

葬儀関連雑誌の特集記事まとめ

葬儀に関する情報を一般消費者はどのように入手するのか?その答えの1つに、雑誌媒体があると考えられます。
一般向けの雑誌媒体は、読者の知りたいニーズや不安要素をうまく取りまとめて端的に発信する必要があります。そのため雑誌媒体の特集記事では、葬儀についての包括的な知識が記されているだけでなく、読者が何を不安に思い、知りたいと考えているのかといったポイントを押さえて、記事を作成するのが一般的です。

特に雑誌媒体の特集は、世の中の情勢や流行(トレンド)を敏感に取り入れ読者の関心に応えているので、一般消費者であるお客様のニーズに近しいといえるでしょう。

そこでこの記事では、雑誌で葬儀に関する特集が組まれているものを参考に、どのような内容が執筆されているかを検証し、解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

目次

東洋経済

東洋経済は経済ニュースを中心に扱う専門雑誌で、経済トピックや企業動向だけでなく、キャリア、教育などさまざまな情報を発信しています。ここでは、「葬儀ポータルサイトの影響」「オンライン葬儀の実態」「葬儀の平均費用」について書かれた特集を参考に解説します。

葬儀ポータルサイトの影響

価格破壊

2023年6月7日に東洋経済オンラインに【ネット葬儀の価格破壊で「下請け」業者は悲鳴】という記事が掲載されています。

参照:東洋経済『ネット葬儀の価格破壊で「下請け」業者は悲鳴』

さまざまな葬儀社の葬儀プランや費用をネット上で確認できる葬儀ポータルサイトの登場によって、一般消費者にとって分かりにくかった葬儀の価格や内容を誰でも比較検討しやすくなったという意見もあります。

この記事によると、20年ほど前までは葬儀の比較手段がなかったため、杜撰な対応を取る葬儀社も一部みられましたが、葬儀ポータルサイトの対応により、価格提示の適正化が進んだとしています。
しかし葬儀ポータルサイトが増えるにつれて過剰な値下げ競争が起きたこともあり、現在では葬儀の価格破壊が問題になっています。

消費者にとってはメリットがある一方で、葬儀ポータルサイトと提携している葬儀社には利益がほとんど残らないという苦悩が特集されています。

葬儀ポータルサイトとは

葬儀ポータルサイトとは、葬儀プランや斎場の情報を集約したウェブサイトのことです。
利用者は葬儀ポータルサイトを利用することで一括して葬儀の比較ができ、予算や要望に合った葬儀プランを選ぶことができます。
明朗な料金体系が掲載されており、オンライン上で手続きが完結するため利用者にとっては利便性が高いサービスといえるでしょう。

葬儀ポータルサイトには二つのタイプがあり、葬儀社の持つ葬儀プランとニーズが合致した利用者が顧客となる「紹介型」と、葬儀ポータルサイト側が作った葬儀プランの施行を提携先の葬儀社に委託する「定額型」に分類されます。

葬儀の価格破壊による問題

2000年代に入って以降、葬儀ポータルサイト業界に新規参入が相次いだことで、価格競争は激化しました。
「一日葬」や「家族葬」などの小規模葬儀の需要により、最安で8万円を切るプランが登場するなど、葬儀は簡素化し低価格化しています。
「定額型」葬儀ポータルサイトからあっせんされる葬儀は、極端な低価格に設定されているため、葬儀を委託される葬儀社には利益が残りづらいという問題があります。
収益を確保するために、過度のコスト削減にはしる葬儀社も散見されます。
こういった状況が続けば、提供される設備やサービス品質の低下が危惧されるうえ、従業員の労働条件に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

葬儀社の集客力

マーケティング

利益が少ないと分かっていながら、葬儀ポータルサイトからの送客に依存してしまう葬儀社様の特徴として、集客力の不足があげられます。

これまでの葬儀業界では、宗教儀式としての葬送を取り扱うという業務の特性から、積極的な広報活動を控える風潮がありました。
しかし超高齢化社会を迎えた日本では、ビジネスチャンスを求めて異業種からの新規参入が相次ぎ、過去に類を見ないほどの過当競争状態に陥っています。

そうした状況下で葬儀社様が生き残るために、地域での認知度向上や集客力の強化は不可欠です。
顧客満足度や信頼性の向上を図るだけでなく、自社の魅力や強みを積極的にアピールし、利用者から選ばれる必要があります。

低価格だけを売りにする戦略は、葬儀社様の利益を圧迫するだけでなく、業界全体の衰退につながりかねません。
葬儀ポータルサイトに依存しないためには、葬儀業者ごとの特徴や強みを明確にし、他社との差別化を顧客に伝えるためのマーケティング戦略が必要だと言えそうです。

オンライン葬儀の実態

オンライン葬儀

2020年10月22日に東洋経済オンラインに【自宅からも参列できる「オンライン葬儀」の実態】という記事が掲載されています。

参照:東洋経済『自宅からも参列できる「オンライン葬儀」の実態』

コロナの影響によるリモート化やオンライン化の流れは葬儀の場でも進んでいますが、葬儀のオンライン化に否定的な意見もみられます。
この記事では、葬儀のオンライン化が普及していない要因として、対面でのお別れの重要性や高齢者にとってのIT操作の難しさといった問題が挙げられていました。

オンライン葬儀の種類とニーズ

オンライン葬儀とは、スマートフォンやパソコンなどの端末で葬儀の中継を視聴できるサービスです。
遠方に住んでいて都合がつかない方や、体調の問題で当日葬儀に参加できない方などからのニーズがあり、コロナ禍で葬儀への自粛が余儀なくされたことで広まりました。
オンライン葬儀では、葬儀の様子を視聴できるだけでなく、香典のキャッシュレス決済や、弔電の手配も可能な場合があります。

オンライン葬儀のマナー

オンライン葬儀の場合も、通常の葬儀と同様の流れで行われます。
故人様やご遺族の心情に配慮した服装と態度を心掛け、録画や写真撮影は許可を得て行いましょう。

オンライン葬儀の中継を担当される葬儀社様においては、葬儀参列者の中には録画されたくない人もいることを念頭に、参加者の感情や状況に配慮し、故人様へ敬意を払いながら適切な画角を選定しなければいけません。
葬儀の内容を聞き取りやすく、映像がクリアに伝わるように、適切なマイクやカメラの配置、音量調整、映像の明るさなどに注意する必要があります。

葬儀の平均費用

平均費用

2018年3月27日に東洋経済オンラインに【「葬儀の平均費用195万円」が怪しすぎる理由】という記事が掲載されています。

参照:東洋経済『「葬儀の平均費用195万円」が怪しすぎる理由』

葬儀社の社員でも葬儀の費用を一言で回答するのは難しく、式場や参列者の人数、宗教など一人ひとりの想定する葬儀の形によって費用は大きく異なります。
メディアや葬儀情報サイトには「平均費用195万〜200万円程度」と紹介されていることが多いですが、葬儀場で働くこの記事の著者は平均費用135万円前後が妥当だと考えているようです。

正しい葬儀費用を知るためのポイントとして「複数の葬儀社に尋ねる」「詳細な見積もりを送ってもらう」「予想される親族の人数と一般の参列者の人数を伝える」ことが大切だと特集されていますので、ここではこれらのポイントを詳しく解説します。

複数の葬儀社を比較する

葬儀社によって費用体系やサービス内容が異なるので、複数の葬儀社に見積もりを依頼することで価格を比較し、適切な費用を見極めることができます。
葬儀に必要な要素や希望に合わせたサービスを提供しているかどうかを確認するためにも、複数の葬儀社に相談することが重要です。

また、葬儀までの時間が限られている場合、スムーズな対応と迅速な情報提供が求められますので、複数の葬儀社に問い合わせることで、カスタマーサポートの質や対応速度を比較し、迅速な手続きを行うことができます。
葬儀社様側でも、同業他社とあらゆる面で比較されることを想定し、サービス品質の向上に努めることが求められるでしょう。

詳細な見積もりをとる

見積もり

正しい葬儀費用を知るためには、詳細な見積書を依頼することが大切です。
葬儀は費用がかかる大きなイベントであり、透明性と信頼性のある価格体系を確認する必要があります。
品目ごとに具体的な価格が記載された見積書を入手することで、どのサービスがプランに含まれているのか、また追加料金があるのかが明確になり比較の際にも役立ちます。

詳細な見積書を依頼することは、予算内で適切なサービスを選ぶために欠かせません。
透明性と信頼性のある葬儀業者を選ぶためにも、見積書の入手は不可欠と言えるでしょう。

葬儀社様側では、利用者との信頼関係を構築するためにも、上記のような点を念頭に置き、正確な見積もりの提供を徹底すべきでしょう。

予想される親族の人数と一般の参列者の人数を伝える

参列者の人数によって返礼品や料理の金額が変動するので、可能であれば正確な参列者数を伝えることをおすすめします。
正確な人数の把握が難しい場合は、おおよその人数を伝えるだけでも、大まかな費用は算出できますので、予算との照らし合わせも可能です。

葬儀社様側でも、提供された情報にもとづいて可能な限り正確な費用を利用者様に提示することで、誤解や不明確な印象を与えずに済みます。

Wedge

Wedgeは日本のビジネスマガジンであり、国際情勢や企業動向など幅広い情報を取り扱う、創刊30年以上の総合情報誌です。ここでは、「家族葬の増加」について書かれた特集記事を参考に解説します。

家族葬の増加

家族葬

2023年2月20日にWedgeオンラインに掲載された【火葬待ちで1週間? 揺らぐ東京圏の葬儀事情】という記事では、参列者を呼ばずに近親者だけで葬儀を行う「家族葬」が増加していると書かれています。

参照:Wedgeオンライン『火葬待ちで1週間? 揺らぐ東京圏の葬儀事情』

葬儀は結婚式と違って準備期間が短く、故人様の希望を把握しづらいケースが少なくありません。
故人様の意思を尊重した結果、従来のお葬式らしい葬儀ではなくなり参列者から「違和感を覚えた」といった言葉を受けてしまった女性の話が記事内に掲載されています。

多くの方が参列する一般葬で、伝統的な葬儀の形から外れた葬儀は選択しづらいですが、近親者のみが集まる小規模な家族葬であれば、故人様の意思を尊重した葬儀を選択しやすいでしょう。
また、葬儀にも自粛を求められたコロナ禍の影響もあり、家族葬のニーズが増えているようです。

平均寿命が延びたことや、定年退職から長く時間が経過していることなども背景にあると、記事内で解説されています。

家族葬のメリット

家族葬にはいくつかのメリットがありますが、そのうち1つは、ご遺族の精神的・肉体的負担が軽減される点です。

故人様や遺族の希望を尊重した葬儀を行いやすく、小規模で参列者は近親者のみなので緊張感を回避し、リラックスした状態で葬儀を行えるでしょう。
多くの方が参列する従来の葬儀にくらべ、よりアットホームな雰囲気で故人様を偲ぶことができます。

また経済的な負担の軽減も、メリットの1つといえるでしょう。
少人数で営む「家族葬」であれば、準備や費用を最小限に抑えることも可能です。

家族葬の注意点

一方で家族葬には注意点も存在します。

ご遺族様だけでの「家族葬」を選択した場合、故人様の友人やご遺族様以外の親族、関係者など、通常参列が期待される方々から、苦言を呈される可能性があります。
こうしたトラブルを回避するためには、家族葬を選択する理由や意思を事前に説明し、十分なコミュニケーションを行うことが重要です。

伝統的な葬儀の形とは異なる場合、周囲の人々からの理解を得ることが難しい可能性もあります。
事前に故人様の希望や家族の意向をしっかりと話し合う必要がありそうです。

現在では「家族葬」以外にも、宗教的な葬送儀式を排除して火葬のみをおこなう「直葬(火葬式)」や、通夜式を省略した「一日葬」などの葬送形式も存在します。
葬儀社様では、それぞれの葬送形式についてメリット・デメリットも含めて丁寧に説明したうえで、ご遺族様の意向に沿った葬儀を提案する必要があるでしょう。

週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンドは、大正2年創刊の100年以上の歴史を持つ総合週刊経済誌で、ビジネス、経済、投資、政治などの情報を提供しています。ここでは、「葬儀の低価格化」についての特集記事を参考に解説します。

葬儀の低価格化

低価格化

2020年1月10日に週刊ダイヤモンドに掲載された【「下請け」化する葬儀社、ネット系が仕掛けた価格競争になすすべなし】という記事では、葬儀の低価格化について特集されています。

参照:週刊ダイヤモンド『「下請け」化する葬儀社、ネット系が仕掛けた価格競争になすすべなし』

超高齢化社会を迎えた日本では葬儀需要も増加傾向にあり、葬儀業界は一見「成長産業」のように見えますが、実際には厳しい競争に直面しています。
記事では、明確な価格設定と手頃な葬儀プランを前面に打ち出す葬儀ポータルサイトの出現により、従来の葬儀業者が淘汰されつつあるとしています。

葬儀ポータルサイトは、葬儀社への仲介による中間マージンで成り立つビジネスモデルのため、いかに多くの利用者を集められるかが生命線となります。
そのため葬儀ポータルサイトが設定した葬儀プランの中には極端な低価格のものも多く、提携した葬儀業者は利益を上げにくい状況です。
競争が激化する葬儀業界にあって、集客力が不足している葬儀社様が、経営を維持するために葬儀ポータルサイトからの紹介に依存するケースも散見されますが、こうした状況が続けば事業の継続は困難でしょう。

葬儀ポータルサイトのビジネスモデルは、現在のところ消費者のニーズに合致しているため、当面この流れは続くであろうという意見もあります。
葬儀事業は繁閑の激しい業態ともいわれていますので、葬儀社様の稼働状況によっては、葬儀ポータルサイトからの紹介を受け入れるのも、選択肢の1つといえるかもしれません。

しかし葬儀の施行に関する知識や経験を蓄積した葬儀社様が、葬儀ポータルサイトに一方的に利用される状況は、業界全体にとっても決して好ましくないでしょう。
葬儀ポータルサイトに依存するのではなく、うまく活用するような状況を作り出すためには、業界全体で対策を練る必要があるかもしれません。

葬儀業界の適正な発展のためには、全日本葬祭業協同組合連合会 (全葬連)全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)といった業界団体の存在が、重要なカギになる可能性も高そうです。

葬儀ニーズの二極化

二極化

できるだけ簡素化した低価格な葬儀を求めるニーズがある一方で、高価格な葬儀のニーズも存在します。

葬儀は故人様への最後の敬意や感謝を表す場でもあるため、高品質なサービスや豪華な葬儀で手厚く葬りたいと希望されるご遺族様も少なくありません。
これまでの葬儀業界でも、消費者ニーズが低価格帯と高価格帯に分かれる傾向はみられましたが、ここまで二極化してはいなかったように思われます。

こうした状況の中で、豪華で大規模な葬儀を得意としてきた冠婚葬祭互助会でも、小規模で簡素な葬儀への対応を急いでいるようです。

一方で葬儀の小規模化・簡素化の流れに乗るかたちで、業績を一気に伸ばしている専門葬儀社も複数存在します。
低価格だけを売りにした葬儀事業運営は、すでに限界に達していると思われますので、ご遺族の意向に対して高い対応力を持つ葬儀社様が、今後は存在感を増しそうです。

まとめ

今回は、葬儀に関する特集が組まれているメディアから、読者であり一般の消費者である人々が葬儀に何を求め、疑問に思っているのかを読み解き解説してきました。

この記事では3社の異なる情報媒体から5つの記事を参考に解説しましたが、多くの記事に葬儀の簡素化や低価格化についての内容が含まれていたことから、消費者の興味関心は時代に合わせた葬儀形態の変化や費用面であることが読み取れます。

一般消費者をターゲットとする雑誌媒体が取り上げる葬儀関連記事は、一般消費者が求めている内容だといえるでしょう。
葬儀社様が事業運営の方向性を定めるうえで、消費者ニーズの把握は不可欠となりますので、一般雑誌の特集記事に目を向けてみてはいかがでしょうか。

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