株式会社 玉姫グループ~玉泉院~┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

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葬儀社の業績・利益を調べる場合、帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、葬儀社の業績・利益の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社 玉姫グループの現状について、貸借対照表をもとに分析いたします。
上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社 玉姫グループの概要

「株式会社 玉姫グループ」は青森県八戸市に本社を構え、青森県・岩手県・秋田県・愛知県を中心に冠婚葬祭互助会事業を展開しています。
地域に根ざした葬儀社として、地域ならではの文化を大切にするとともに、時代の変化に合わせた葬儀を提案しています。

2024年1月期における会員状況及び施行件数は以下のとおりです。

  • 前受金残高:107億0千1百万円(前年同期比 9,500万円増)
  • 会員口数:7万3千口
  • 葬儀施行件数:1,435件(前年同期比 129件増)

【名称】株式会社 玉姫グループ
【設立】昭和56年5月27日
【代表取締役】木崎 秀安
【所在地】青森県八戸市諏訪三丁目14番15号
【公式サイト】https://tamahime.co.jp/index.php
【事業内容】・募集にかかる個人及び団体を会員組織となし
       その会員に対して冠婚葬祭の相互扶助をなす業務
      ・冠婚葬祭のための施設の提供、貸与、その他の便益の提供
      ・不動産の賃貸に関する業務 

出典:株式会社 玉姫グループ 会社概要

「株式会社 玉姫グループ」の葬儀式場は「玉泉院」「眞照堂」「シティホール」名義で運営されており、直営ホールは以下の通りです。

  • 青森県
    • 諏訪玉泉院
    • 売市玉泉院
    • 三戸玉泉院
    • 下長玉泉院
    • 白銀玉泉院
    • TERASU GYOKUSENIN
    • 八戸セレモニーホール(城下店)眞照堂
    • 八戸セレモニーホール(湊高台店)眞照堂
    • 八戸ファミリア田向
  • 秋田県
    • よこてシティホール
  • 愛知県
    • シティホール半田
    • シティホール半田南
    • シティホール武豊
    • シティホール常滑
    • シティホール知多
    • シティホール東海南
    • シティホール東海北

また岩手県については「株式会社ケーエス エンタープライズ」が運営する以下の式場を、提携斎場として葬祭サービスを提供しているようです。

  • セレモニーホール福岡玉泉院
  • セレモニーホール久慈玉泉院
  • セレモニーホール二戸玉泉院
  • セレモニーホール軽米玉泉院
  • セレモニーホール九戸玉泉院

「株式会社ケーエス エンタープライズ」では互助会事業を行っていないようで、「株式会社 玉姫グループ」互助会を利用しています。

また「八戸セレモニーホール(城下店)眞照堂」「八戸セレモニーホール(湊高台店)眞照堂」「八戸ファミリア田向」については、同じ八戸市の「株式会社 眞照堂」も自社会館として紹介しています。
さらに「株式会社 眞照堂」の互助会業務は、青森市の「株式会社 玉姫グループ 青森」が担っているようです。

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な側面が強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせております。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより
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会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局に供託する
  • 経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶ
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶ

上記のいずれかの方法を選択する必要があります。

また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。
なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

玉姫グループの貸借対照表 

決算期第37期第38期第39期第40期第41期第42期第43期
会計年度2018年1月期2019年1月期2020年1月期2021年1月期2022年1月期2023年1月期2024年1月期
利益剰余金10億0千2百万円11億4千3百万円12億7千7百万円12億8千0百万円12億7千8百万円14億2千0百万円17億1千0百万円



流動資産26億5千7百万円31億0千3百万円26億5千4百万円37億1千2百万円19億4千6百万円24億8千8百万円33億6千2百万円
固定資産87億4千1百万円86億4千7百万円93億1千3百万円105億6千6百万円115億7千9百万円118億8千7百万円112億9千4百万円
有形固定資産
無形固定資産
投資その他の資産
繰延資産
資産合計113億9千8百万円117億5千0百万円119億6千7百万円142億7千8百万円135億2千6百万円143億7千5百万円146億5千6百万円



流動負債100億5千2百万円12億6千0百万円10億8千8百万円17億5千4百万円10億6千3百万円11億5千2百万円12億7千6百万円
役員賞与引当金
賞与引当金
その他
固定負債2億9千4百万円92億9千7百万円95億5千3百万円111億9千5百万円111億3千5百万円117億5千3百万円116億2千0百万円
退職給付引当金
雑収入復活引当金
役員退職慰労引当金
その他
負債の部計103億4千6百万円105億5千7百万円106億4千0百万円129億4千8百万円121億9千8百万円129億0千5百万円128億9千6百万円




株主資本10億5千2百万円11億9千3百万円13億2千7百万円13億3千0百万円13億2千8百万円14億7千0百万円17億6千0百万円
資本金5千0百万円5千0百万円5千0百万円5千0百万円5千0百万円5千0百万円5千0百万円
 資本余剰金
資本準備金
その他資本余剰金
 利益剰余金10億0千2百万円11億4千3百万円12億7千7百万円12億8千0百万円12億7千8百万円14億2千0百万円17億1千0百万円
利益準備金
特別償却準備金
その他利益剰余金10億0千2百万円11億4千3百万円12億7千7百万円12億8千0百万円12億7千8百万円14億2千0百万円17億1千0百万円
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
(うち当期純利益)8千5百万円1億4千1百万円1億3千4百万円3百万円-2百万円1億4千2百万円2億9千0百万円
新株予約権
自己資本
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
純資産の部計10億5千2百万円11億9千3百万円13億2千7百万円13億3千0百万円13億2千8百万円14億7千0百万円17億6千0百万円
負債・純資産合計113億9千8百万円117億5千0百万円119億6千7百万円142億7千8百万円135億2千6百万円143億7千5百万円146億5千6百万円

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である「自己資本比率」が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされていますが、10%を下回っている場合は改善が必要な状況といえるでしょう。

自己資本比率が低い場合は借入金などの負債が多いので資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で、自己資本比率が高い場合は返済義務を有しない資金を大量に抱えているので倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、最適とされる自己資本比率は業種によって大きく異なります。
例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。

逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

貸借対照表の左右(運用状況と調達状況)の合計額は必ず一致する
「資産」=「負債」+「純資産」という計算式が成り立つことから、
貸借対照表のことをバランスシート(Balance Sheet)またはビーエス (B/S) と呼ぶこともあります。

玉姫グループの自己資本比率は12.01%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」の計算式で算出可能です。
玉姫グループの自己資本比率を求める式は下記のようになります。

17億6千0百万円÷146億5千6百万円×100=12.01

玉姫グループの2024年1月期における自己資本比率は、12.01%(前年同期比1.78%増)となっています。

玉姫グループの資産と負債について

自己資本比率の次に確認したいのは、資産と負債の額になります。
貸借対照表でいうところの資産は左側に、負債は右側上段に記載があります。

この赤い円の箇所を確認することで、その会社の資産と借金の額を確認できます。

資産合計の推移

貸借対照表の左側に記載されており、「会社の所有する資産」を表します。
資産は下記の3つに構成されています。

・流動資産 = 1年以内に現金化もしくは費用化できる資産
例) 現金、有価証券、商品、製品など

・固定資産 = 長期にわたって会社が保有するものや1年を超えて現金もしくは費用となる資産で有形固定資産や無形固定資産がある。
例)・有形固定資産:建物、土地、車など
  ・無形固定資産:ソフトウェアなど

繰延(くりのべ)資産 = 会社設立にかかった費用や社債発行にかかった費用を一括して費用として計上せずに資産として計上し期間内(数年など)に分けて償却するものとなります。
例) 創立費、開業費、開発費など

玉姫グループの資産合計の推移は以下のようになっています。

玉姫グループの2024年1月期における資産合計は、146億5千6百万円(前年同期比1.95%増)となっています。
2022年には新型コロナの影響を受けたとみられ、少し減少しましたが以降は順調に増加しています。

負債合計の推移

貸借対照表の右側上段に記載されており、「返す必要のある他人からの借金」を表します。
負債は下記の2つで構成されています。

流動負債 = 1年以内に支払い期日を迎える負債となります。
例) 家賃、従業員の給与や賞与、買掛金(サービスや商品の金額を後払いするもの)など

固定負債 = 1年以内に支払い期日を迎えない負債となりますので、流動負債以外の負債は固定負債になるということです。
例) 従業員の退職金、社債、長期借入金など

玉姫グループの負債合計の推移は以下のようになっています。

玉姫グループの2024年1月期における負債合計は128億9千6百万円(前年同期比0.07%減)となっています。
財務安定性指標の一つである流動比率(流動資産÷流動負債×100)は、2024年1月期の時点で263.5%(安全ラインは100%以上)となっており、支払い能力についての不安は感じられません。

玉姫グループの純資産について

自己資本比率、資産合計、そして負債合計をみてきましたが、最後に確認したいのは「純資産」となります。
純資産は貸借対照表でいうところの右側下段に記載があります。

純資産は資産(現金、土地、建物など)から負債(借金)を差し引いたものです。

この赤い丸の箇所を確認することでその会社の純資産を確認できます。

玉姫グループの純資産合計、当期純利益、利益剰余金の推移はそれぞれ以下のようになっています。(各用語についても分かりやすく解説しています)

純資産合計の推移

会社の所有する現金や建物などの資産から負債(借金)を差し引いたものとなります。
純資産の割合が高ければ財務健全性が高いと考えます。一方で、純資産がマイナスの状態を債務超過といい、2期連続で債務超過の状態が続いた場合、東証上場の廃止基準に抵触することがあります。

玉姫グループの2024年1月期における純資産合計は、17億6千0百万円(前年同期比19.73%増)となっています。

新型コロナの影響で収益が悪化する葬儀社も多い中、純資産合計をほぼ横ばいの状態で保っている点は、高く評価されるべきでしょう。
新型コロナも2023年5月に5類となり、2024年1月期では2億9千0百万円増と、過去7年間で最高の増加額となっています。

当期純利益の推移

会社が1年間で得た全収益から法人税や住民税そして費用を差し引いたものが当期純利益となります。
この当期純利益がマイナスとなると当期純損失となります。

当期純利益の額をみることで、その会社の収益性がどのくらいなのか判断できる指標になります。

玉姫グループの2024年1月期における当期純利益は2億9千0百万円(前年同期比104.2%)となっています。

2020年以降に発出された新型コロナ関連の行動規制により、葬儀業界も大きな打撃を受けました。

玉姫グループの2021年1月期、2022年1月期の当期純利益の減少は新型コロナの影響と考えて差し支えないでしょう。
2023年1月期は大幅に数字が回復し、新型コロナ発生前の2019年1月期を上回っています。

2024年1月期には、さらに1億4千8百万円増加し過去7年で最高額と
なり、かなり順調に回復しています。

利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

玉姫グループの場合は以下のように推移しております。

玉姫グループの2024年1月期における利益剰余金は、17億1千0百万円(前年同期比20.42%増)となりました。

新型コロナの影響で2021年、2022年と収益が減少しましたが、利益剰余金は2022年のみ少し減少しましたが、毎年少しづつ積み上げられていました。
このため、コロナの影響による収益悪化に対応できたと思われます。

株式会社 玉姫グループのまとめ

今回は株式会社 玉姫グループの決算公告を参考に、現状分析をおこないました。
2020年から2022年にかけて葬儀業界は新型コロナの影響を受け、収益に影響が出たところが多かったようですが、2023年5月にコロナは5類に移行し、業界の業績も回復しつつあるようです。

玉姫グループもコロナの影響を被り2021年、2022年は収益に大きな影響がありましたが、2023年には急速に回復し、純利益をはじめ資産、利益剰余金などすべて過去7年で最高額となりました。
2025年の決算では、さらなる収益増加となっている可能性が高く、来年度の決算に注目したいと思います。

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