葬儀関連事業を展開する事業者の種類まとめ|生協/コープ葬祭について詳しく解説

葬儀関連事業を展開する事業者の種類まとめ|生協/コープ葬祭について詳しく解説記事のトップ画像

葬儀・葬祭を取り扱う事業者と聞くと、いわゆる「葬儀屋さん」をイメージするかもしれませんが、実はさまざまな業種の事業者が関わっています。
主な事業者を挙げるだけでも、以下の8種類が存在します。

近年の葬儀業界は、葬儀の施行を取り扱う事業者だけで構成されているわけではありません。
上記のうち「葬儀ポータル」や「葬儀アフィリエイト」は、実際に葬儀を執り行うことはありませんが、集客の面で葬儀業界に大きな影響を与えています。
こういった事情から、葬儀業界全体の構造も複雑化しているため、以前に比べ分かりづらくなっています。

そこで葬研では、葬儀事業者を構成する事業者8種類について、それぞれ詳しく解説することにいたしました。
本記事では、生活協同組合(生協)が提供する葬祭サービス『コープ葬祭』を取り上げて、事業の仕組みや歴史、課題点について紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。

目次

生協/コープ葬祭とは?

出典:生協/コープの葬祭サービス-安心の葬儀・お葬式―
出典:生協/コープの葬祭サービス-安心の葬儀・お葬式―

生協の葬祭サービスとは、生活協同組合が手掛ける葬祭事業です。
通称「コープ葬祭」と呼ばれており、直営セレモニーホールや互助会の運営、葬儀会社との提携などを通じて事業拡大を進めています。

幅広い事業展開を行う生協の中でも葬祭サービスは特に、超高齢社会を迎えた中で「くらしに関わるサービス事業」の一環として注目される分野です。
コープ葬祭では、組合員向けに葬儀のほか、お墓の紹介や遺品整理など関連するサービスも提供しています。

なお、コープ葬祭を利用するためには、地域の生協に加入する必要があります。

生協の意味

生協の略称のイメージ画像

「生協」とは「(消費)生活協同組合」の略で、協同組合の一種です。
一定の地域や職域の組合員で組織され、組合員の生活に必要な物資の供給や生活の改善を目的としています。
コープ葬祭は、この生協が手掛ける葬祭事業の1つです。
生協組合員はお金(出資金)を出し合い、みんなで利用・運営しながら暮らしを向上させる消費者自身の組織として機能します。

ちなみに、コープ葬祭の「コープ」は英語の協同組合を意味する「co-operative」の略称です。

生協/コープ葬祭の成り立ち

生協の掲げる相互扶助のイメージ画像

生協の成り立ちをさかのぼると、19世紀のイギリスにたどり着きます。
産業革命による困難な労働環境や生活の不安から、人々は協同組合運動を起こし、互助の精神で生活を守ることを目指しました。
その結果、生協という形態が誕生したそうです。
生協誕生と時を同じくして、イギリスなどでは生協葬祭事業もスタートし、1900年代に世界中に広がっていきました。

参考:生協の葬祭事業の展開と課題 ──「生葬協」の取り組みから聞く── |国立研究開発法人 科学技術振興機構

日本における生協誕生の歴史

出典:初代会長に賀川豊彦が就任 | 日本生活協同組合連合会
出典:初代会長に賀川豊彦が就任 | 日本生活協同組合連合会

日本における生協の歴史は大正時代に遡(さかのぼ)ります。
1920年代に神戸購買組合や東京学生消費組合などが設立され、生協の礎が築かれました。この動きの中心にいたのが「生協の父」と称される社会運動家の賀川 豊彦氏です。

戦後の復興期には、日本協同組合同盟(現在の日本生協連)が設立され、生協運動が発展しました。

生協と葬祭事業

コープ葬祭のスタッフのイメージ画像

日本の生協における葬祭事業は、歴史的には生協誕生から100年以上遅れたものの、現在では重要な事業の1つです。
生協は本来、組合員同士の助け合いの精神を基盤にしており、その考え方が葬祭事業にも反映されています。

ちなみにヨーロッパの生協では、葬祭事業が非購買事業の柱となっているようです。
日本の生協も組合員からの要望に応えるような形で、現在では全国の生協で葬祭事業の充実に力を入れています。
特にコープこうべの葬祭事業への取り組みが全国の生協に影響を与え、葬祭関連サービスの充実が進んだそうです。

葬儀施行数におけるコープ葬祭の占める割合

国内で葬儀・葬祭事業を営む事業者のうち、互助会や農協(JA)・生協といった会員団体の加入者数は、以下のグラフのように推移しています。

葬儀施行数におけるコープ葬祭の占める割合グラフ

上記人数のうち65歳以上の高齢者が占める割合は、生協が47.20%(14,150,560名)と、高い水準となっています。

出典:2021 年度 全国生協組合員意識調査報告書
出典:農林水産省 農業労働力に関する統計

コープ葬祭の事業形態

出典:国立研究開発法人 科学技術振興機構の記事「広がる生協の葬祭事業」
出典:国立研究開発法人 科学技術振興機構の記事「広がる生協の葬祭事業」

コープ葬祭の葬儀形態は「直営型」と「提携型」の2つに分かれます。
提携型ではさらに「元受け形式」と「斡旋形式」の2つに分かれるのが特徴です。

事業形態概要
直営コープ葬祭が自社で運営するセレモニーホールや葬儀施設で葬儀を行う形態
提携 – 元受形式一般的に組合員からの葬儀に関する相談や受付を生協が行い、費用の精算や実際の葬儀は提携業者に任せる形態
提携 – 斡旋形式コープ葬祭が組合員からの依頼を受け、他の葬儀会社に葬儀を斡旋する形態

それぞれの特徴を詳しく解説いたします。

直営型

出典:札幌の葬儀・家族葬は安心の「コープの家族葬」
出典:札幌の葬儀・家族葬は安心の「コープの家族葬」

直営型は、生協が自社でセレモニーホールを運営し、葬祭サービスを提供する形態です。
相談・受付から葬儀の施行、精算まで生協が直接担当し、組合員に寄り添った葬祭を提供します。
この強力な事業展開により、「安心・安全、組合員に寄り添った生協葬」というブランドイメージを定着させているようです。

提携型

提携型は、生協が地域の葬儀社や互助会と提携して葬祭サービスを提供する形態です。
提携型内でも、さらに「元受形式」「斡旋形式」に区分されますが、多くの生協がリスクが少なく低コストな「斡旋形式」を採用しています。
コープ葬祭では、定期的に提携先葬儀社と意見交換を行い、組合員が利用しやすいようサービス内容の向上を図っています。

なお、コープ葬祭は葬祭事業後発組であるため、既存の葬儀社と徹底抗戦するのではなく、専門葬儀社と提携することにより、より良いサービスを実現するという考え方から生まれたそうです。

元受形式

出典:コープデリのお葬式 コプセの特徴|お葬式の事ならコープデリのお葬式コプセ
出典:コープデリのお葬式 コプセの特徴|お葬式の事ならコープデリのお葬式コプセ

提携型の1つ「元受形式」は、一般的に組合員からの葬儀に関する相談や受付・見積入手までを生協が行い、費用の精算や実際の葬儀は提携業者に任せるという葬儀形態です。
生協は組合員の葬祭ニーズを受け止め、提携業者と葬儀プランや料金、サービスについて詳細に話し合い、組合員の要望をできるだけ反映しようと努力しています。

「元受方式」では、提携する地元葬儀事業者との信頼関係構築が重要です。
実際の葬儀内容や、葬祭に関連する生花や食事などについても、コープ葬祭側が具体的に把握することが求められます。

斡旋形式

コープ葬祭の斡旋形式葬祭サービスのイメージ画像

「斡旋形式」は、葬儀を希望する加入者に対して、生協が提携葬儀社を紹介するという方式です。
施行に伴うリスクやスタッフ確保、代金回収などの負担を軽減し、効率的に葬儀サービスを提供できるという点から、生協側では「斡旋形式」を選択するケースが少なくありません。
しかし「斡旋形式」は生協側が介在する部分が少なく、提携葬儀社に丸投げに近い状態になる可能性もあるため、コープ葬祭として提供することに疑問を呈する意見もあるようです。

コープ葬祭の主な特徴

コープ葬祭の主な特徴は、以下の通りです。

  • エリアごとに対応している
  • コープ葬祭が間に入って契約を進める
  • 事前相談やアフターサポートの充実
  • 幅広い葬儀形態や宗旨や宗派に対応
  • 組合員に有利なサービス形態

詳しく解説いたします。

エリアごとに対応している

出典:初めての方へ|お葬式の事ならコープデリのお葬式コプセ
出典:初めての方へ|お葬式の事ならコープデリのお葬式コプセ

「コープ葬祭」はエリアごとに置かれている地域生協によって提供されている、地域に根差した葬祭サービスです。
地域ごとの組合員の声を大切にし、葬儀サービスの改善に取り組んでいる様子がホームページからもうかがえます。

地域の特性に合わせた葬祭サービスを提供することで、組合員に寄り添ったサポートを行っているようです。

幅広い形態に対応するトータルな葬祭事業

出典:多様なご供養|お葬式の事ならコープデリのお葬式コプセ
出典:多様なご供養|お葬式の事ならコープデリのお葬式コプセ

コープ葬祭は、伝統的な一般的な葬儀形態だけでなく、最新の葬儀形態にも柔軟に対応しています。
各地域の生協によって異なりますが、組合員のニーズに合わせたさまざまな葬祭会場が用意され、希望に合わせた葬儀を実現できる柔軟性が特徴です。
どのような宗教・宗派・宗旨でも対応可能で、宗教者の紹介や無宗教の葬儀にも相談に応じています。

また、供養の多様化にも対応しています。
関東エリアや上信越エリアを受け持つコプセ様では、樹木葬や室内供養墓、永代供養墓も提供しているようです。

さらに終活セミナーや相続相談などといった葬儀前後のサポートも充実しており、トータルサービスを提供する点も魅力の1つです。

24時間365日連絡ができる

コープ葬祭のコールセンターイメージ画像

コープ葬祭でも、各エリアの事業所で24時間体制・年中無休にて組合員へのサポートを徹底しています。
各エリアのコープ葬祭窓口では、葬儀や供養に関する相談を常時受け付けており、深夜や早朝など緊急時にいつでも電話での連絡ができます。

葬儀は事前に準備も可能ですが、ある日突然起こり得るものです。
コープ葬祭の徹底したサポートにより、組合員の方々は、電話で24時間・年中無休のサポートが受けられる安心感が得られます。

組合員に有利なサービス形態

生協会員に有利なサービスをアピールするコープ葬祭のスタッフイメージ画像

コープ葬祭では、組合員に有利なサービス形態を提供しています。
組合員専用の割安な葬儀プランや組合員割引を用意しているため、一般価格よりもお得に利用できます。
2親等以内の方も組合員割引や特典を受けられるため、家族で利用が可能です。

さらに、コープ沖縄など一部のエリアでは葬祭費用の積み立てなどの特典も用意されており、コープ葬祭との連携もできます。

ただし、一部のエリアでは、割引や特典がない場所もあるようです。

生協/コープ葬祭の課題

上司に依頼されコープ葬祭の課題を考える葬祭スタッフのイメージ

組合員からの期待が高いコープ葬祭は、一方で以下の課題が残っています。

  • 組合員内における認知の低さ
  • 全ての地域生協が葬祭サービスを行っているわけではない
  • 地域によってサービス内容や価格設定、割引が異なる
  • 葬祭事業に関わるスタッフの育成

詳しく見てみましょう。

組合員内における認知の低さ

コープ葬祭で葬儀が執り行えると知らなかった30代組合員のイメージ画像

生協/コープ葬祭の課題として、組合員内における葬祭サービスの認知の低さが挙げられます。
生協では、組合員にチラシなどの宣伝物を配布しているにもかかわらず、葬祭事業への反応は思うように得られていないようです。
葬祭事業については多くの場合、ことが起こってから葬儀社に相談したり、親族に紹介してもらったりしていることが要因でしょう。

一方でコープ葬祭のホームページを見てみると、終活勉強会や事前相談によって、生協の葬儀サービスへの理解を広げようと努力している様子も見受けられます。

全ての地域生協が葬祭サービスを行っているわけではない

出典:生協/コープの葬祭サービス-安心の葬儀・お葬式―
出典:生協/コープの葬祭サービス-安心の葬儀・お葬式―

コープ葬祭を利用できる組合員数は増えているものの、葬祭サービスを提供している地域は限られています。
2023年7月時点で葬祭サービスに対応しているのは29都道府県にとどまり、実際の展開はまだ小規模です。

このように、コープ葬祭は全国規模で展開できているわけではないため、一部の地域では組合員がサービスを利用できないという課題が生じています。
今後、コープ葬祭では地域拡大に向けた葬祭サービスを提供していく体制を整えることが重要でしょう。

地域によってサービス内容や価格設定、割引が異なる

コープ葬祭に依頼したいけど住んでいる地域の関係で価格やサービスが違うことに悩む夫婦

コープ葬祭は限られた地域グループ内での利用になるため、加入する地域によってサービス内容や価格設定、割引が異なる点も課題の1つです。
この点については、別記事『互助会、JA葬祭、生協(コープ)の葬儀会員制度をまとめて比較!安いのはどこ⁉』内にて提携型葬儀の料金比較を行っておりますので、ご参照ください。

各地域の生協は独自の事業展開をおこなっているため、葬祭事業においてもサービス内容が地域ごとに異なるのは、無理もないことかもしれません。

しかし、地域差によるコープ葬祭の認知度や利便性の違いが、組合員満足度や認知、利用希望に影響を及ぼす可能性が考えられるでしょう。
地域ごとの特性を考慮した上で、組合員参加や情報提供の改善を図る必要があるのではないでしょうか。

葬祭事業に関わるスタッフの育成

葬祭事業に関わる生協スタッフのイメージ画像

生協/コープ葬祭の課題には、葬祭事業に関わるスタッフ育成の必要性も挙げられます。
生協/コープ葬祭内部では、葬祭ディレクター技能審査1級の資格取得を奨励するなど、葬儀のスキルアップを図る取り組みは行われているようです。

生協独自の葬祭事業をより大きく展開するためには、生協内において葬祭事業に対する新しい評価制度や給与制度を構築する必要があるでしょう。

コープ葬祭のこれから

コープ葬祭の未来を考える男性のイメージ画像

生協/コープ葬祭全体が取り組んできたこれまでの努力により、葬祭業界だけでなく墓石業界といった葬祭関連業界における価格の明朗化に貢献してきました。
生協/コープ葬祭が行った組合員の利益に寄与してきたという役割は、組合員にとって大きいといえます。

今後は提供する葬祭サービスの魅力をより多くの組合員に伝えるため、コープ葬祭側における情報提供や宣伝が必要です。

生協は「こころの安心とたすけあいと生きること」をテーマに組織されています。
組合組合員や新規顧客が生協の掲げるテーマに共感してもらえるよう、顧客の特性に応じた対策を講じることが重要でしょう。

組合員の要望を深く理解し、葬祭事業を将来性のある事業として発展させる取り組みが生協には求められます。
そのために、生協の弱みである組合員との緊密なコミュニケーションを図り、生協側も積極的な姿勢で葬祭事業の改善と発展を目指すのが望ましいのではないでしょうか。

生協だからこそできるライフエンディング・サポートは何かを改めて考慮したうえで、サービス構築に向けて取り組みが行われることに期待したいですね。

まとめ

生協/コープ葬祭のテーマ「助け合い」イメージ画像

今回は、葬儀関連事業を展開する事業者の中でも、『生協/コープ葬祭』に焦点を当てて解説いたしました。

コープ葬祭は生協が掲げる「生活における相互扶助」の観点から、超高齢社会の変化に対応した注目の葬祭事業として成長しています。
組合員の要望や利益を重視した幅広いサービスを展開していますが、まだ多くの課題があることがわかりました。
生協の組合員数も増えていることから、コープ葬祭には、生協だからできる葬祭事業を押し出すことが求められています。
今後のコープ葬祭の独自性や競合との差別化がどのように行われるのか、注目していきましょう。

葬研では、今後も葬儀社様向けに幅広く情報を発信してまいりますので、ぜひ参考にしていただければと存じます。

カテゴリー最新記事

目次