墓石事業者の業界団体│日本石材産業協会(石産協)について解説

石産協 アイキャッチ

業界団体は、ある特定の業務に携わっている企業や個人を会員としている非営利団体です。
墓石業界にも、さまざまな団体があります。
近年、核家族化や少子化が進み価値観の変化もあって、古来よりおこなわれていた故人の葬送の方法が変わりつつあります。
墓石に対する考え方も同様で、供養の方法が多様化しており「墓石離れ」が進んでいます。

そこで全国の墓石事業者が団体に加入して連携し、それぞれの意見や消費者のニーズを把握することが重要になります。
消費者のニーズにもとづき、これからの供養の方法を提案することをめざしています。
この記事では、墓石事業者の団体のひとつ「日本石材産業協会(石産協)」についてご紹介します。

目次

日本石材産業協会(石産協)の概要

日本石材産業協会 概要
出典:日本石材産業協会

日本石材産業協会(石産協)は、石材とお墓に関する消費者の疑問や悩みを解決し、社会に貢献する目的を持っています。
石材業界の健全な発展と向上、新たな石文化の創造に努めています。

【名称】日本石材産業協会
【会長】森田 浩介
【所在地】〒101-0046 東京都千代田区神田多町2丁目9 日計ビル2F
【設立】2001年11月1日
【加盟石材店・関連業者】1,124社(2023年6月現在)
【公式HP】https://www.japan-stone.org

日本石材産業協会の沿革

日本石材産業協会 沿革

日本石材産業協会は、石材業界に団体を設立してほしいとの要望から、2001年11月に設立されました。
消費者向けHP「お墓の窓口」を運営し、消費者のさまざまな疑問や悩みに答え、石の魅力とともに安心を届けて社会に貢献することをめざしています。

2009年7月には一般社団法人に移行し、現在に至っています。

出典:日本石材産業協会「協会概要・沿革」

日本石材産業協会(石産協)の事業内容

日本石材産業協会 事業内容

日本石材産業協会の会員は、石材販売店だけにとどまらず採石から加工、墓石以外の用途に携わる企業も所属しています。
業種により6部会に分かれており、それぞれの活動をおこなっています。

日本石材産業協会の部会概要

採石・原石部会

山から原石を採掘することがおもな業務です。
採石法第32条の登録をした採石業を営む会員に「石材産地証明書」を発行しています。
全国各地の産地で、「国産銘石アドバイザー研修」をおこなっています。
また全国の採掘場で、見学研修会を開催。

加工部会

採石・原石部会と協力し、石材加工講習会を開催しています。
石材の採掘と加工における原価計算法についての勉強会を開催し、後継者の育成にも力を入れています。

墓石部会

消費者にお墓を販売する石材小売店が所属しています。
お墓に関わる法律勉強会や「お墓の取扱説明書」を発行。
石材店に必要な知識を提供し、情報交換をおこなっています。

建築・環境部会

石材は墓石だけではなく、建築材としても利用されます。
石材の輸入、卸業、加工、施工に携わる企業が所属し、情報交換をしています。
また、東京地域の据付職人不足に対応する検討会も開催。

輸入卸商部会

石材は、日本以外にも世界各国から産出されています。
外国から石材を輸入し、国内で卸売業を営む企業が所属。
2か月ごとの部会活動で、国内外の動向について情報交換しています。

関連部会

石材店が加工、施工するときに使う道具、工具の製造メーカーや販売店が所属しています。また石材のメンテナンス、石材業界に特化した出版社、石材店をサポートする企業も所属。
新商品や売れ筋商品を紹介する「ストーンアシスト」という専門展示会を開催しています。
石材店に役立つ勉強会やセミナーも実施。

業種による6部会のほかに次の3つの委員会での活動も行っています。

日本石材産業協会の委員会概要

お墓ディレクター委員会

日本のお墓文化の発展とお墓の正しい理解と普及をはかるために、「お墓ディレクター」検定試験を実施しています。
年1回、全国7会場で開催され、1級、2級の試験があります。
お墓ディレクター1級取得者のための研修会が、年1回全国各地で開催されています。

顧客満足推進委員会

近年の葬送簡略化や遺骨の埋葬方法の変化による「墓じまい」が増えるなど、消費者のニーズが変化しています。
消費者の視点に立つ対策として「国産銘石カタログ」や「石材店に行く前に読む本」などを会員向けに販売。

女性ネットワーク委員会

石材業や、関連葬送業務に携わる女性の活動を推進しています。
女性経営者や後継者、女性従業員の交流の場を設けて研修や情報交換をしています。
女性の力を石材業界発展のために活かす活動です。

また、全国47都道府県に支部があり、それぞれHPを運営し情報を発信しています。

日本石材産業協会(石産協)の特徴

日本石材産業協会 特徴

日本石材産業協会は消費者のために、石材とお墓に関する次の活動をおこなっています。

  • 「お墓何でも相談室」:全国7会場(2019年実績)後援:経済産業省、日本消費者協会、産経新聞社
  • 「お墓相談ダイヤル」:月曜日・木曜日(祝日除く)10時30分~15時30分

これらの活動では販売や売り込みをいっさいせずに、お墓ディレクター取得者が相談を受けています。

また消費者とのトラブルを防ぐため、石材店向けに以下のものを提供しています。

それぞれについて、詳しく解説します。

墓石工事契約等ガイドライン

墓石工事契約等ガイドラインでは、
墓石事業者が守るべき30項目のルールを定めており、守った事業者は27項目以上当てはまれば自己申告し登録されます。

墓石売買契約書

お墓を売買するときにトラブルが起きやすいのは、料金の問題です。
石材店、消費者双方のためにも契約書を交わしておくことが大切です。
日本石材産業協会は見積書、契約書、約款のひな型を用意しています。

石材産地証明書

石材の産地を証明するものです。
採石法第32条の登録をした会員にのみ発給しています。

お墓ディレクター制度

お墓ディレクター制度は、お墓文化の発展と普及をめざし、お墓の正しい知識と教養を持った人材を審査するものです。
試験は1級と2級に分かれていて、多くのディレクターが活躍しています。

日本石材産業協会(石産協)の役員

日本石材産業協会 役員
役名所属団体
会長・災害対策本部森田 浩介株式会社森田石材店
専務理事中江 庸株式会社石文社
監事天野 善晴株式会社天乃家石材店
監事福川 修介株式会社石材センター飛鳥
監事伯井 守大阪石材工業株式会社
学識顧問長江 曜子加藤組・石匠あづま家
顧問白木 秀典いよせき株式会社
顧問井口 健二株式会社井口石材
会計顧問齊藤 栄太郎税理士法人齊藤会計事務所
法律顧問戸部 秀明深沢綜合法律事務所
地区・支部担当 副会長瀬川 賢孝株式会社石のセガワ
地区・支部担当 副会長上野 國光株式会社 國光
地区・支部担当 副会長加藤 敏章有限会社加藤石材店
地区・支部担当 副会長寺尾 晴邦寺尾石材店
部会担当 副会長中村 卓史有限会社 中村節朗石材
部会担当 副会長山口 康二日本石材工業新聞社
委員会担当 副会長佐野 雅基有限会社佐野石材
お墓ディレクター特別会議 議長佐野 雅基
常任理事 会員拡大委員会 委員長大塚 俊明株式会社 生田化研社
理事 災害対策特別委員会 委員長川本 恭央有限会社川本商店
出典:日本石材産業協会

まとめ

日本石材産業協会は、お墓の正しい知識と教養を持った「お墓ディレクター」制度を設けることにより、石材業界の健全化をめざしています。
「お墓なんでも相談室」の開催などは、消費者の視点に立つ活動です。
消費者に安心を届け、社会に貢献することを目的としている団体といえるでしょう。 

カテゴリー最新記事

目次