グリーフケアの業界団体|一般社団法人日本グリーフケアギフト協会について解説

日本グリーフケアギフト協会

死別によって近親者を失ったご遺族様の悲しみや痛みに寄り添い、回復までサポートすることを、グリーフケアと呼びます。
グリーフケアは、自殺や依存症防止に繋がる取り組みでもあり、高齢化や核家族化が進む近年においては、ますます注目される支援のひとつです。
日本国内においても、グリーフケアに関連する協会団体はいくつか存在しており、それぞれ人材養成や学術研究などを行っています。

本記事では、主に金融機関を対象にしたグリーフケアの普及と推進に取り組む『一般社団法人日本グリーフケアギフト協会』について紹介します。

目次

一般社団法人日本グリーフケアギフト協会の概要

日本グリーフケア協HP

出典:一般社団法人 日本グリーフケアギフト協会

日本グリーフケアギフト協会は、2016年に設立された協会団体です。
グリーフケアの普及と推進をするために、ご遺族様へ送る手紙とギフトに関する事業を行い、ご遺族様の苦しみを軽減する目的で設立されました。

金融業界を中心にグリーフケアの重要性などを訴えるとともに、地域社会にグリーフケアの知識を広める活動をしています。
また、グリーフケアに関する講演や研修、執筆活動を通じて、遺族心理の理解を促進しています。

【団体名称】一般社団法人 日本グリーフケアギフト協会
【設立】2016年9月1日
【所在地】〒464-0806 愛知県名古屋市千種区唐山町1-53-3
【代表者】加藤 美千代
【公式HP】https://www.griefcaregift.org/

グリーフケアとは、愛する人やペットを亡くしたときの悲しみや苦しみを和らげ、心のケアをサポートする行為です。
人が大切なものを失ったとき、心に深い悲しみ(グリーフ)が生まれます。
グリーフケアは、その悲しみを感じる人が少しでも心を軽くし、日常生活に戻れるようにサポートするための方法です。

日本グリーフケアギフト協会の沿革・歴史

日本グリーフケアギフト協会は、「グリーフケア・プレゼンター認定制度」や、金融機関と情報共有をしてグリーフケアを業務に取り入れる「グリーフケアフォーラム」などをおこなっています。
同協会では、2025年までに金融業界でグリーフケアを常識化し、2030年には日本全体での認知度向上を目指しています。

  • 2015年10月: 協会設立準備委員会発足
  • 2016年8月:あいちモリコロ基金平成28年度「初期活動(後期)」採択
  • 2016年9月:一般社団法人日本グリーフケアギフト協会設立
  • 2020年4月:法人向け賛助会員制度発足
  • 2020年12月:認定グリーフケア・プレゼンター制度発足
出典:一般社団法人日本グリーフケアギフト協会『協会概要』

日本グリーフケアギフト協会賛助会員制度

日本グリーフケアギフト協会では、2020年4月に法人向けの賛助会員制度を設けています。
賛助会員になると協会ホームページに法人名が記載され、年に一回勉強会が開催されます。
また、ご遺族様への接遇やグリーフケア教育に関する相談に、メールや電話、オンラインなどで対応しています。

賛助会員制度の概要

  • 入会金:なし
  • 年会費:1口50,000円(税別)を1口以上
  • 期 間:毎年4月1日にはじまり翌年3月31日までを1年間とする
    *年度途中に入会する場合は、年会費の納入を経て該当会員となる
出典:一般社団法人日本グリーフケアギフト協会『賛助会員』

賛助会員

5口会員住友生命保険相互会社
2口会員株式会社イセトー株式会社みずほフィナンシャルグループ
1口会員株式会社三井住友銀行第一生命保険株式会社SAP ジャパン株式会社株式会社広島銀行三井住友信託銀行株式会社
*2023年12月時点

出典:一般社団法人 日本グリーフケアギフト協会『賛助会員』

日本グリーフケアギフト協会の事業・取り組み

事業計画

日本グリーフケアギフト協会は、ご遺族様の苦しみを軽減することを目的として様々な事業や取り組みを行っています。
主な取り組みは以下の通りです。

グリーフケア・プレゼンター認定

日本グリーフケアギフト協会では、グリーフケアの基礎知識とご遺族様の心理を理解した方を「グリーフケア・プレゼンター」として認定しており、認定カリキュラムを修了した方には、認定証と協会のロゴが入ったピンバッジが授与されます。
同協会では、このピンバッジが、ご遺族様にとって「安心して接することができる人」の目印となることを目指しています。

認定者には、グリーフケアの最新情報を提供するオンラインセミナーも受講可能です。セミナーでは、日々の業務で生じる疑問に答え、スキル向上を支援しています。

グリーフケア研修

金融機関職員向けに2016年から提供している「グリーフケア研修」は、これまでに延べ1万人以上が受講し、2万人以上が収録動画を視聴しています。
この研修は、銀行や保険会社などで相続や死亡手続きを担当する方が、ご遺族様の心に寄り添った接客ができるようにすることを目的として提供されています。

研修を担当する講師は、自身の体験談を交えながら「グリーフケア」と「ご遺族様の内面的な心理」などをわかりやすく解説し、適切な接客方法や業務プロセスを提案しています。

グリーフケアフォーラム

2019年から、グリーフケアを業務に取り入れている金融機関や関連企業と「グリーフケアフォーラム」を通して情報共有を行っています。
この取り組みは2024年までに6回開催されており、会場とオンラインの両方で参加が可能です。

ご遺族様への接客における課題とその対応策について、業種を超えた情報交換の場となるグリーフケアフォーラムは、グリーフケア導入に関心のある企業に役立つ内容となっており、参加者からは「有益な情報が得られた」「他社の事例を業務に取り入れた」などの声があがっているようです。

企業向けサービス

同協会では、各企業の業務にグリーフケアを取り入れる方法について、冊子にまとめるサービスを提供しています。
企業や業務に特化した内容でマニュアルを作成することで、全職員にグリーフケアの概念を効率よく伝えることができます。
またマニュアルを一から作成するだけでなく、職員が作成した資料の監修、マンガ原案の作成、コラムの寄稿なども行っています。

社内講師養成

組織内でグリーフケアの理念を伝える社内講師を育成し、講師としての心得や個々のスキルに応じた指導技術を提供します。
さらに、知識の定着を評価する筆記試験の実施も可能です。

書籍・DVD・通信講座

株式会社きんざいの通信教育講座として『≪マンガで学ぶ≫遺族の心に寄り添う グリーフケア実践講座』の執筆や漫画の原案、試験問題の作成を行っています。
また、金融機関向けに「相続対応とグリーフケア」というグリーフケアの概要と業務への活かし方をまとめた書籍を出版しています。

窓口グリーフケアギフト

窓口グリーフケアギフト」は、相続や保険の手続きで郵便窓口を訪れるご遺族様に、弔意を伝えたいという郵便局長さんの思いを実現するかたちで生まれたサービスです。
郵便局の窓口を訪れたご遺族様に「窓口グリーフケアギフト」として贈られるお香の包み紙には、感謝と追悼の意を示す言葉が記されています。

2015年に全国16か所の有志の郵便局長が参加して始まった「窓口グリーフケアギフト」の取り組みは、口コミで賛同の輪が広がり、現在では複数の金融機関でも採用されています。
日本グリーフケアギフト協会では、「窓口グリーフケアギフト」の導入を希望される方に向けて、グリーフケアへの理解を深める研修を実施するなするなど、ご遺族様が抱える心の痛みに寄り添った接客の普及に取り組んでいるようです。

「窓口グリーフケアギフト」の販売は、基本的にグリーフケア研修を受講した方が所属している企業を対象としているようですが、グリーフケア・プレゼンターに認定されている方であれば、個人単位でギフトを購入可能です。
なお「窓口グリーフケアギフト」の企画・販売は、グリーフケアギフト碧香堂が担っています。

日本グリーフケアギフト協会の特徴

グリーフケアギフト

一般社団法人日本グリーフケアギフト協会は、ご遺族様の苦しみを和らげることを目的に設立された団体で、ご遺族様へ送る手紙やギフトに関する事業を通じて、グリーフケアの普及と推進に努めています。
ご遺族様と同じ目線に立ち、ご遺族様が必要としている対応や言葉を理解することで、社会全体に「グリーフケア」の必要性を広め、ご遺族様の心理状態を理解した上での適切な接し方(贈り物・手紙・窓口対応)が常識となることを目指しているようです。

ご遺族様への接し方に関する問題の改善や解決を図ることで、ご遺族様の方々が抱える苦しみを少しでも軽減できるよう、活動を続けています。

日本グリーフケアギフト協会に加盟するメリット

メリット

日本グリーフケアギフト協会に加盟すると、協会ホームページへの法人名掲載、年1回のグリーフケア勉強会への参加、無料相談の利用といった特典があります。
勉強会では、最新のグリーフケア研修の内容や、社内講師による研修後のフォローアップ、今後の研修計画立案に役立つ情報が提供されます。

ご遺族様への接遇やグリーフケア教育に関する疑問や悩みに対し、回数無制限でメール、電話、オンライン会議での無料相談も行っています。
クレーム対策、手紙の添削、新規サービスへの意見などを気軽に相談できるのも、大きなメリットの1つといえるでしょう。

まとめ

本記事では、日本グリーフケアギフト協会の概要や取り組みなどについて紹介しました。
グリーフケアは、悲しみを抱える人々が安心して暮らせる社会、そして喪失体験に理解を示し、支え合える社会を築くために欠かせません。

日本グリーフケアギフト協会は、グリーフケアの重要性を金融業界などで訴え、地域社会にグリーフケアの知識を広める活動をおこなっています。
各葬儀社様では、従来よりご遺族様の心情に寄り添いながらサービスを提供されてきたことと存じますが、地域社会に貢献する企業を目指す場合は、さらにグリーフケアを体系的に深く学んだり、実務への取り入れ方を検討したりといった取り組みが必要といえるでしょう。

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