株式会社日本セレモニー(山口) 〜典礼会館〜┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

日本セレモニー社典礼会館の山口エリア売上と利益、業績レポート

葬儀社の売上・利益・業績を調べる場合、上場しているなら決算発表情報・有価証券報告書をみれば分かります。非上場になると帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、売上・利益・業績の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社日本セレモニー(山口)の現状について、決算公告をもとに分析いたします。
決算公告は上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社日本セレモニー(山口)の概要

同社の属する愛グループはM&Aを積極的に行うことで、その規模を拡大してきました。
主な事業を下記に記載します。
・ブライダル事業(FIVESTAR WEDDING)
・フューネラル事業(典礼会館)
・ライフパートナー事業(冠婚葬祭互助会事業)
・ホテル事業
・流通システム事業(トレーダー愛)
・レストラン事業(クラブヴィアージュなど)
・介護事業(住宅型有料老人ホーム)
・仏壇・墓石事業(合掌堂)

以上の事業を展開していることから、かなり手広く事業を展開していることが分かります。

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

ただし、大会社については貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は負債額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告の簡単な概要については以上になります。
なお上場企業の決算報告書(有価証券報告書)はEDINETで公開されており、誰でも閲覧可能です。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより
https://www.zengokyo.or.jp/about/gojokai/fabric/

会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局への供託
  • 経済産業省の指定する保証会社との供託委託契約締結
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約締結

以上の3つの方法のいずれかを選択する必要があります。
また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。

なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

日本セレモニー(山口)の貸借対照表

日本セレモニー(山口)_貸借対照表

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

※のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

日本セレモニー(山口)の自己資本比率は19.69%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産」の計算式で算出可能です。
日本セレモニー(山口)の2022年1月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

314億8千0百万円(純資産)÷ 1598億7千1百万円(総資産)
上記の式から同社の自己資本比率は19.69%(前年比で2.06ポイント上昇)となりました。

日本セレモニー(山口) 利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

株式会社日本セレモニー(山口)の場合は以下のように推移しております。

日本セレモニー(山口)_利益剰余金

過去3年間の利益剰余金の成長率の推移は、2020年1月期は250億2千6百万円(前年比成長率は2.33%)、2021年1月期は278億7千7百万円(前年比成長率は11.39%)、2022年1月期は302億5千6百万円(前年比成長率は8.53%)となっていました。

株式会社日本セレモニー(山口)の利益剰余金は、新型コロナの影響が大きかった2020年から2021年にかけても増加を続けており、2022年1月期には300億円を突破しています。

日本セレモニー(山口)の損益計算書

損益計算書を確認することで、当該企業が「どれだけ売り上げ(=収益)」「費用を何に使って(=費用)」「どれくらいの儲けが出たのか(=利益)」が一目で分かるものです。
特に注目したい項目は、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益となります。

損益計算書

日本セレモニー(山口)_損益計算書

日本セレモニー(山口)の損益計算書を確認すると、重要ポイントである売上高・営業利益・経常利益が、前年同期を上回っているのが分かります。

売上金額の推移

日本セレモニー(山口)_売上高

過去3年間の売上高の成長率の推移は、2020年1月期は424億2千6百万円(前年比成長率は-1.36%)、2021年1月期は301億5千2百万円(前年比成長率は-28.93%)、2022年1月期は342億2千7百万円(前年比成長率は13.51%)となっています。

日本セレモニー(山口)の売上高は、新型コロナの影響が最も大きかった2021年1月期に大きく減少していましたが、2022年1月期には回復に向かっているようです。
2022年5月には新型コロナも5類に移行し、葬儀業界も全体的に回復傾向にあるといわれていますので、日本セレモニー(山口)の売上高も2023年1月期には新型コロナ発生前の水準まで回復している可能性が高そうです。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

日本セレモニー(山口)_営業利益

過去3年間の営業利益の成長率の推移は、2020年1月期は34億6千4百万円(前年比成長率は-18.46%)、2021年1月期は12億1千0百万円(前年比成長率は-65.07%)、2022年1月期は43億1千2百万円(前年比成長率は256.36%)となっておりました。

日本セレモニー(山口)の営業利益は、新型コロナの影響が最も大きかった2021年1月期こそ大きく減少していますが、2022年1月期には2019年1月期の数字を上回っています。

また、事業活動による純粋な利益を表す営業利益率「営業利益÷売上高」で求められますが、おおむね5%を超えると優良とされています。
43億1千2百万円(営業利益) ÷ 342億2千7百万 円(売上高)
上記の式から日本セレモニー(山口)の営業利益率は12.60%となってます。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含めその会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

日本セレモニー(山口)_経常利益

過去3年間の経常利益の成長率の推移は、2020年1月期は43億4千2百万円(前年比成長率は-15.1%)、2021年1月期は41億4千2百万円(前年比成長率は-4.61%)、2022年1月期は53億2千9百万円(前年比成長率は28.66%)となっておりました。

2022年1月期における日本セレモニー(山口)の経常利益は、過去5年間で最高額となりました。
その要因は売上高回復だけではないようで、2018年1月期には44.59%だった売上原価率も、2022年1月期には39.42%まで改善されています。

株式会社日本セレモニー(山口)のまとめ

今回は株式会社日本セレモニー(山口)の決算公告を分析しました。
新型コロナの影響もあり、2021年1月期では減少している数字が多い印象でしたが、2022年1月期では、営業利益など大幅に増加している様子が伺えました。

複数の事業を所有しているため、経常利益や利益余剰金に関しては過去5年間で最も好調です。改めて多角的経営の重要性を今回の分析を通じて再確認できました。
今後も同社の動向に注目していきたいと思います。

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