株式会社メモリード(群馬)┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

葬儀社の売上・利益・業績を調べる場合、上場しているなら決算発表情報・有価証券報告書をみれば分かります。非上場になると帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、売上・利益・業績の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社メモリード(群馬)の現状について、決算公告をもとに分析いたします。
決算公告は上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社メモリード(群馬)の概要

メモリード(群馬)は可愛らしいマスコットキャラクターの「メモリ」で有名なメモリードグループに属する会社となります。
冠婚葬祭互助会事業以外にもIT、美容・健康、ホテル・レストラン、写真スタジオ、貸衣裳、保険代理店、菓子、通信販売、ウェルネス、自動車関連事業、保育事業などを手掛けております。

1981年(昭和56年)にメモリードグループの関東拠点として設立され、現在は吉田卓史氏が代表取締役を務めています。
東京都、埼玉県、群馬県を中心に葬儀場を○○メモリードホールやメモリード○○会館という名で展開しており、2022年12月1日には株式会社メモリード東京と合併して権利義務を承継しました。

また、同社のインスタグラムアカウントは3,628名(2023年6月15日時点)のフォロワーを有しており、SNSを積極的に運用していることが伺えます。

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

ただし、大会社については貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は負債額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告の簡単な概要については以上になります。
なお上場企業の決算報告書(有価証券報告書)はEDINETで公開されており、誰でも閲覧可能で
す。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページ

会員から掛金として支払われた前受金は、割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を、次のいずれかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局への供託
  • 経済産業省の指定する保証会社との供託委託契約締結
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約締結

以上の3つの方法のいずれかを選択する必要があります。
また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。

なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

メモリード(群馬)貸借対照表

メモリード群馬_貸借対照表

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、最適な自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

※のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

メモリード(群馬)の自己資本比率は1.02%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産」の計算式で算出可能です。
メモリード(群馬)2022年5月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

3億8千7百万円(純資産)÷ 381億1千万円(総資産)
上記の式から同社の自己資本比率は1.02%(前年比で0.25ポイント上昇)となりました。

メモリード(群馬) 利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

株式会社メモリード(群馬)の場合は以下のように推移しております。

メモリード(群馬)_利益剰余金

過去3年間の利益剰余金の推移は2020年5月期は-2億7千1百万円、2021年5月期は-2億0千9百万円、2022年5月期は-1億0千8百万円となっています。

利益剰余金のマイナス分も年を追うごとに減少していることから、経営状態は徐々に回復傾向にあるようです。
2023年5月には新型コロナも5類相当に移行し、葬儀業界も全体的に回復傾向にあるといわれていますので、メモリード(群馬)の利益剰余金も2023年5月期の決算では、黒字に転換している可能性もありそうです。

メモリード(群馬)の損益計算書

損益計算書を確認することで、当該企業が「どれだけ売り上げ(=収益)」「費用を何に使って(=費用)」「どれくらいの儲けが出たのか(=利益)」が一目で分かるものです。
特に注目したい項目は、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益となります。

損益計算書

メモリード群馬損益計算書2-min

メモリード群馬の損益計算書を確認すると、重要ポイントのうち売上高当期純利益が前年同期を上回り、営業利益・経常利益は黒字転換を果たしています。

売上金額の推移

メモリード(群馬)_売上高

過去3年間の売上高の成長率の推移は、2020年5月期は89億4千4百万円(前年比成長率は-7.77%)、2021年5月期は73億7千5百万円(前年比成長率は-17.54%)、2022年5月期は86億5千9百万円(前年比成長率は17.41%)となっています。

新型コロナの影響が最も大きかった2020年・2021年では、メモリード群馬の売上高も減少傾向にありましたが、2023年5月期では大幅に増加していました。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

メモリード群馬営業利益

2022年5月期におけるメモリード群馬の営業利益は4千5百万円となっていました。
新型コロナの影響が最も大きかった2020年・2021年には営業損失が発生していましたが、2022年5月期は黒字転換となりました。

事業活動による純粋な利益を表す営業利益率「営業利益÷売上高」で求められますが、おおむね5%を超えると優良とされています。
4千5百万円(営業利益) ÷ 86億5千9百万 円(売上高)0.52
上記の式からメモリード(群馬)の営業利益率は0.52%となっています。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含めその会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

メモリード群馬経常利益

2022年5月期におけるメモリード群馬の経常利益は7千7百万円となっていました。
新型コロナの影響が最も大きかった2020年・2021年には経常損失が発生していましたが、2022年5月期は黒字転換となりました。

2018年5月期には42.04%だった売上原価率も、2022年5月期には33.87%まで改善した結果、新型コロナ発生前の2018年を上回る経常利益を実現したようです。

株式会社メモリード(群馬)のまとめ

今回は株式会社メモリード(群馬)の決算公告資料をもとに、同社の財務状況や業績の推移を分析いたしました。
2022年5月期には新型コロナの影響から脱却し、回復に向かっている様子がうかがえました。

2023年5月には新型コロナも5類相当に移行しましたので、2023年5月期の決算が待たれるところです。
葬研では、今後もメモリード群馬の動向を注視していきたいと思います。

カテゴリー最新記事

目次