三和物産株式会社 取締役 清水吉樹氏 社長インタビュー

三和物産株式会社(以下、三和物産)は、加賀藩前田家100万石の居城もあった石川県金沢市に本社を構える。葬儀用品の製造販売を手掛け、今では葬祭に関するコンサルティングも行う葬祭商社である三和物産で取締役を務める清水吉樹さんにお話しをうかがった。

三和物産について

祭壇、柩、備品、受付机等をはじめとした木材加工の製造や斎場の設計アドバイス、葬祭用品の取扱をおこなっている。
組織体制として営業30名程度で、金沢、東京、大阪、福岡、札幌の5拠点で展開。
生産は30名程度で、名古屋、横浜の2拠点。

「我々がやっていることが、葬儀業界のイメージを向上させるビジネスにつながることが目標です。」そう語る背景には、清水さんの入社当時の苦い思い出がある。
三和物産に転職した当初、周りの人に『柩をつくっている会社に転職した』といえず、『冠婚葬祭の会社』と説明していた。
しかし、現職での営業活動を通じ、『葬儀に関わる仕事が尊い業務』であり『クリエイティブな素養』が求められる職種であるという理解に達し、今では『柩をつくっている会社』と積極的に周囲に紹介することで、協業や異業種からの発注などを増やしている。少しずつではあるが周囲からの視線も変わってきていると感じている。
しかし、自分自身も抱き続けた『葬儀』に対するマイナスイメージはまだまだ拭い去れていない。
その様なイメージを払拭すべく三和物産株式会社では次々と施策を打ち出している。

選択と集中「モノづくりとサービス」

Q:三和物産のこだわりとは?

モノづくりの会社として『モノ』は自社での調達・制作にこだわっている。
強みは「スピード」。其の強みを支えるのが国内にある名古屋の生産工場である。国内に工場がある事で、日々刻刻と変わる顧客のニーズに対して迅速に応えることができる。また、国内の職人であることから細かなニュアンスやオーダーに対して柔軟なコミュニケーションで対応が可能になる。しかしながら国内工場である事は、コストに跳ね返る。
当然、海外工場という選択肢も検討にあがった時期もある。しかし、名古屋に大量の職人を抱えていたため、拠点を移すことは現実的ではなく、その結果国内工場への選択と集中に至った。現在は特定ターゲットに対しての特定商品の提供という限定的なアプローチで採算が合うようになっており国内工場に活路を見出すことが出来ている。
また、今では国内で生産できることがリスクヘッジにもなっており、この選択と集中は間違っていなかった。


一方、調達に於いての強みは「コストと納期」。その実現の為に調達ルートは中国に偏っていた。中国一辺倒に対して種々のリスクは感じていたものの、国内工場生産体制の実現という大義名分のもと、積極的な打開策は打てていなかった。
しかし、2020年2月におこったコロナウイルスの騒動により納期に遅れが発生した。懸念されていたリスクが現実となり、図らずも動かざるを得ない状況になった。
ここでも三和物産の強みである「スピード」を遺憾なく発揮し、即座に他国からの調達ルートを確保し、迅速に安定供給の体制を整えた。

『こと(サービス)』はパートナーとの連携で進めている。
選択と集中を徹底しており、三和物産自体はあくまで葬儀社様の施行や単価向上に向けた支援に集中し葬儀社様と連動したかたちで葬儀用品の販売拡大に結びつけていくスタンスである。
その為、それ以外の面では積極的に異業種の実績が豊富な企業、専門業者と連携することを選択している。
海外進出に関してはすでに先駆けた他社がいるためOEMを選択し海外メーカーと連携を行う方針とした。
顧客の成長支援、売上向上支援ではCRM、Web制作といったソフト面の施策も当然必要となってくる。しかしながら現在はWeb制作に関してはディレクションのみをおこない、CRMも既存の提供メーカーと共に販売代理のかたちをとっている。
他の施策や顧客への提案もパートナー企業と連携して進めている。
「餅は餅屋」を徹底している。

最前線の営業部隊では『葬儀社様(お客様)の成長支援を優先』

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