遺品整理の業界団体┃一般財団法人遺品整理士認定協会について解説

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一般財団法人遺品整理士認定協会とは、その名のとおり「遺品整理士」を養成し、認定していくことを理念に掲げている団体です。
故人様が残した遺品は、ご遺族様で整理するが通例となっていましたが、高齢化や核家族化が進む昨今では、「離れて暮らしている」など物理的な距離の問題や「頼れる身内がいない」などの事情から、専門業者に依頼するケースが増えてきています。

その一方で、悪質な買取りや高額な請求など、遺品整理サービスに係る消費者トラブルや苦情が相次いで報道され、遺品整理事業者の信頼性が問われるようにもなりました。
こうした中で、従来から遺品整理業を営んでいる企業が、独自の利益と顧客の利益の相互を保護していく必要があるとの観点から、この仕事に「遺品整理士」というプロ資格を付与し、トラブルの防止に繋げて設立されたのが「一般財団法人遺品整理士認定協会」です。

この記事では、同協会の概要や特徴、加盟のメリットなどについて詳しく解説していきます。

目次

一般財団法人遺品整理士認定協会の概要

一般財団法人遺品整理士認定協会
画像出典:一般財団法人遺品整理士認定協会

一般財団法人遺品整理士認定協会は、2024年(令和6年)で設立14年周年を迎えています。この間に多くの「遺品整理士」を生み出すなど、個人会員や法人会員・提携企業ともに増え続けています。

【団体名】一般財団法人遺品整理士認定協会
【所在地】〒066-0009 北海道千歳市柏台南1-3-1 千歳アルカディア・プラザ 4F
【設立】2010年(平成22年)
【理事長】木村 榮治 
【個人会員(遺品整理士)数】50,000名以上(令和5年現在)
【法人会員】1,300社以上(令和5年現在)
【公式HP】https://www.is-mind.org/

遺品整理士とは

遺品整理士とは、故人様が残した遺品を、法規制に沿った適切な方法で整理・処分を行う専門家です。
遺品を整理するだけでなく、故人様の想いをご遺族様に届け、悲しみに寄り添うことも大切な業務のひとつとなっています。
このほか、遺品の供養や相続手続きなど、ご遺族様の困りごとのサポートを担うこともあります。

なお、遺品整理士は国家資格ではなく、一般財団法人遺品整理士認定協会から特許庁に登録申請がなされた、日本独自の民間資格です。

一般財団法人遺品整理士認定協会の事業・取組み

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一般財団法人遺品整理士認定協会では、消費者が安心して遺品整理サービスを受けることができる環境を整備し、遺品整理業界全体のレベルアップと発展を目的として、主に次の2つの事業に取り組まれています。

遺品整理士養成事業

遺品整理事業を通じて薄れつつある家族や地域の絆の復活を図るために、優れた遺品整理士を養成する事業です。

資格取得講座を開設し、法的な知識や倫理観、また現場での適切な対応方法など実践的なスキルを身に付けるためのカリキュラムを提供し、資格の認定を行います。
資格取得後も、会員に向けたスキルアップ研修や講習会などで、業務をサポートする事業も実施されており、資格取得者は全国で増加しています。

社会貢献活動

国民の3人に1人が高齢者という超高齢化社会が到来すると言われており、高齢者の自立支援や、尊厳をもって安全安心に活力ある生活を創りだす活動が求められています。

一般財団法人遺品整理士認定協会は、この活動に賛同。その第一歩として、北海道胆振(いぶり)東部・福島沖大震災で被災した高齢者や不登校・ひきこもりとなった子どもたちの見守り支援を定期的に行なっています。
また、協会で実施した活動の参加費を教育支援運動をおこなう法人に寄付する活動も実施されています。

一般財団法人遺品整理士認定協会の特徴

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一般財団法人遺品整理士認定協会、最大の特徴は「遺品整理士」という専門資格の認定と普及を行っている点ですが、その他にも次のような取り組みが特徴としてあげられます。

遺品整理業者が信頼されるための「遺品整理サービスガイドライン」の制定

一般財団法人遺品整理士認定協会では、遺品整理サービスを利用する消費者の要請に応え、遺品整理業者の信頼を確保するためとして「遺品整理サービスガイドライン」を制定しています。
このガイドラインは、同協会の会員企業(遺品整理サービス提供事業者)に適用されるもので、結果として遺品整理に伴うトラブル防止と業界の健全な発展に役立つ活動といえるでしょう。

出張お部屋供養

出張お部屋供養とは、故人が亡くなった場所において、遺族や関係者の立会いの下で僧侶(または神職)による供養を行うことです。遺品整理とともにお部屋の供養もしようと考えている方のニーズにも応えられるようなサービスを展開しています。

お焚き上げ供養

仏壇や神棚 (一般家庭用)、布団やスナップ写真、印鑑といったものなどのお焚き上げ供養への依頼・相談も請け負っています。

一般財団法人遺品整理士認定協会に加盟するメリット

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法人としてだけでなく、個人としても、一般財団法人遺品整理士認定協会への加盟には、以下のようなメリットがあります。

法人会員:同業者との情報交換ができる

一般財団法人遺品整理士認定協会に加盟している企業は、北海道から沖縄県まで全都道府県にあるため、協会のネットワークを活用して同業者と情報交換をすることが可能です。
ビジネスマッチングの機会があることが、業務の幅を広げることに繋がるでしょう。

法人会員:業務受注機会の拡大が期待できる

一般財団法人遺品整理士認定協会は、平成26年12月に全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の協力指定店に登録されました。
そのため、全葬連に加盟している葬儀社からの遺品整理の紹介や問い合わせに対応できることとなっています。

法人会員の企業は、より多くの遺品整理、生前整理業務を受注できる機会の拡大が期待できる点もメリットといえるでしょう。

法人会員:不動産管理会社との業務提携ができる

一般財団法人遺品整理士認定協会は、200万戸以上の不動産管理会社とも業務提携を締結しています。この点も法人会員への遺品整理、生前整理の紹介が増加するきっかけになると考えられます。

個人会員:開業支援が受けられる

社会問題とされる高齢者の孤独死の増加などに伴い、遺品整理の需要が拡大している昨今ですが、業界全体の人材不足や、「技術を交えた開業支援をしてほしい」との声が上がっています。
これを受けて、一般財団法人遺品整理士認定協会では、資格取得者個人で遺品整理業を開業したいという志のある会員への開業支援を実施しています。

一般財団法人遺品整理士認定協会の顧問・理事・主要提携企業・加盟団体

一般財団法人遺品整理士認定協会の顧問や理事には、次の方々が就任されています。また、主要な提携企業や加盟団体は次の通りです。

役職氏名所属する企業・経歴等
顧問岩田 満 元北海道警察警視
顧問冨岡 俊介冨岡公治法律事務所 弁護士
顧問杉山 央赤れんが法律事務所 弁護士
理事長木村 榮治・特定非営利活動法人 暮らしサポートひだまり協議会 理事長 
・一般社団法人 エイトサポート総合研究所 理事長 
常務理事長谷川 正芳遺品整理不正防止情報センター センター長
会計顧問上田 健一税理士
出典:一般財団法人遺品整理士認定協会「家族の絆、明日への証」

主要提携企業

加盟団体

出典:一般財団法人遺品整理士認定協会の団体概要

このほか、一般財団法人遺品整理士認定協会には、法人会員として1019社の企業が登録しています(令和4年4月現在)。
北は北海道、南は沖縄まで全国規模で多様な企業が登録しており、警備会社や引っ越しセンター、運送会社をはじめ各地域に根付く企業も含まれています。

まとめ

今回は、遺品整理の専門家「遺品整理士」の育成、サポートを実施している「一般財団法人遺品整理士認定協会」の概要や活動内容などをご紹介しました。
同団体は、遺品整理業界の質の向上と社会的信頼を確立すべく、「遺品整理士」の資格取得支援を第一の事業目的とし、高齢者や若者が住みやすい社会づくりなどの社会貢献も行っています。

一般財団法人遺品整理士認定協会に加盟(会員登録)することで、遺品整理士資格取得後のサポートが受けられるだけでなく、業務の信頼性や評判を高めたり、葬儀社や不動産会社からの遺品整理依頼が期待できます。
超高齢化社会が間近に迫る我が国において、遺品整理業の新たな価値・創造を目指せることも、協会加盟の魅力といえるでしょう。

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