碑文谷創の葬送基礎講座

碑文谷創の葬送基礎講座10  ネット系葬儀斡旋事業者が抱える問題点

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イオンライフ、小さなお葬式、よりそうが景品表示法違反

葬儀斡旋事業者は、これまでの葬祭業界に対し「不明朗会計」「我こそは消費者の味方」という顔をして参入してきた。
そう言う以上は自らを正すのが当然のこと。
しかし、実際どうなのかが疑われる事態が発生している。景品表示法違反での消費者庁からの措置命令である。

新規参入事業者は古くから「葬儀業は体質が古く、価格設定は不明朗、こんなところに任せていいのか」という「義憤」にかられて進出した…というのがいわば決まり事のようなものである。

きれいごとを言うならば身を正すべきである。消費者を愚か者扱いにする事業者は葬儀業に入ってはいけないし、入った以上は身を正す必要がある。

 

景品表示法 不当表示「有利誤認」「優良誤認」

まず「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)を確認しておこう。

(目的) 第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

(不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの(優良誤認)
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者に よる自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの(有利誤認)
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

 

小さなお葬式、イオンのお葬式、よりそうへの消費者庁措置命令

・2019年6月14日、よりそうへの措置命令
消費者庁は、本日、よりそう(以下「よりそう」といいます。)に対し、同社が「シンプルなお葬式」又は「よりそうのお葬式」の名称で供給する葬儀サービスの表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別 添参照)を行いました。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/pdf/fair_labeling_190614_0001.pdf

・2019年4月12日 イオンライフへの措置命令
消費者庁は、本日、イオンライフ(以下「イオンライフ」といいます。)に対し、同社が「イオンのお葬式」の名称で供給する葬儀サービスに係る表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令(別添参照)を行いました。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/release/2019/pdf/fair_labeling_190412_0001.pdf

・2018年12月21日 ユニクエストへの措置命令
消費者庁は、本日、ユニクエストに対し、同社が「小さなお葬式」の名称で供給する葬儀サービスの表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添参照)を行いました。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181221_0001.pdf

・2017年12月21日 イオンライフへの措置命令
消費者庁は、本日、イオンライフに対し、同社が「イオンのお葬式」の名称で提供する葬儀サービスの表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添参照)を行いました。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171222_0001.pdf

過去には「虚業家」も出た斡旋事業者

ネット系葬儀斡旋事業者がいわば「冷たい視線」を浴びるのは過去に問題がある。
過去にさまざまなネット系斡旋事業者が現れては消えた、という歴史を繰り返し、中にはとんでもない事業者もいたからである。
2012年頃であったか、某葬儀社に半年ほど籍を置いた26歳の男性がネット系葬儀斡旋事業を開始。
「葬儀業界の風雲児」「創業3年で年商30億円」等と週刊誌でもちあげられた。
だが、実績などほとんどない虚業であった。
葬儀社の中には、施行はしたが逃げられ支払いを得られず裁判所に訴えたところもある。

 

家族葬のファミーユ

「家族葬のファミーユ」は家族葬ブームをけん引したといわれる。しばしばネット系葬儀斡旋事業者と同じように見られるが、直営、フランチャイズ方式をとり、ネットに力を入れているものの葬儀斡旋事業とは少し異なる。

同社の元は若手(当時30代、現在50代)の葬祭事業者の集まりである。その有志がエポック・ジャパンを立ち上げ、東京都杉並区で創業。

家族葬のファミーユのHPでは「創業50年」とあるが、エポック・ジャパンの社長高見信光氏が宮崎の葬儀社「みやそう」を父親の死亡により承継、エポック・ジャパンと「みやそう」を合併したことによる。
エポック・ジャパンの創業は2000(平成12)。

2018年に社名を「家族葬のファミーユ」と変更した。
これはそれに先立つ2015(平成27)年に投資ファンドであるアドバンテッジパートナーズ関連会社と資本提携、翌2016年資本譲渡したことによる。
葬祭業に投資ファンドが直接参入した例といえる。
その意味では葬祭(葬儀)事業へまったく新しい風が吹いている、その象徴のような存在である。

 

  • この記事を書いた人
碑文谷創(ひもんやはじめ)

碑文谷創(ひもんやはじめ)

葬送ジャーナリスト。評論(死、葬送、宗教)

1946年生まれ。東北出身(岩手・一関市、宮城・仙台市)。東京神学大学大学院修士課程中退。出版社に勤務し、44歳で独立、葬送文化専門雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)。

葬祭ディレクター技能審査企画委員(1995~2016))、経産省「ライフエンディング・ステージ」研究会委員(2010~2011)、IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)顧問(1993~)等を歴任。

現在、死、葬送、宗教に関する評論・講演活動を展開。著書:『葬儀概論』(現在4訂)『死に方を忘れた日本人』『「お葬式」はなぜするの ?』、『Q&Aでわかる葬儀・お墓で困らない本』ほか多数。

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