エコ時代の埋葬:ルーク・ペリー氏の場合

Coeioウェブサイト

エコな埋葬は次の時代の葬送形態となるのか?

以前お届けいたしました記事「アメリカの葬儀系スタートアップ紹介」の中では、特別なキノコをもちいて作られた「インフィニティ埋葬スーツ」による環境に配慮した埋葬をご紹介しました。

 

[caption id="attachment_10269" align="alignnone" width="920"]Coeioウェブサイトより(<a href="http://coeio.com/press/" target="_blank" rel="noopener">リンク</a>) Coeioウェブサイトより(リンク)[/caption]

 

このスーツを開発したCoeioの創業者、ジェー・リム・リー氏によると、アメリカで一般的な土葬であれ、近年増加しつつある火葬であれ、既存の葬送形態では人体に含まれている環境有害物質が土壌ないし大気中に放出されてしまうという欠点があるとされています。

 

環境有害物質といっても人体に含まれている量は微々たるものではないのかと思われれるかもしれません。

 

しかし、米国全体で毎年約280万人(参照1)にも及ぶ人々がなくなっていることを考えると、既存の葬送形態による環境への負荷は看過できないものであることがわかります。

 

このような中、先日報じられたところによりますと、『ビバリーヒルズ青春白書』などで有名なアメリカの俳優ルーク・ペリー氏がインフィニティー埋葬スーツにより埋葬されたことが明らかになりました(参照2, 3)。

[caption id="attachment_10270" align="aligncenter" width="770"]故ルーク・ペリー氏 故ルーク・ペリー氏[/caption]

 

ペリー氏の選択にはどのような反応があったのでしょうか?

 

本記事では、ペリー氏の選択に対する各方面の反応を概観することによって、環境に配慮した埋葬の動向を探ります。

 

Coeioの概要

はじめに、Coeioの「マッシュルームスーツ」について確認しておきましょう(あわせて過去記事「アメリカの葬儀系スタートアップ紹介」もお読みください)。

 

コンセプト

上述しましたように、Coeioの基本的なアイディアは、既存の葬送形態では大気中ないし土壌中に放出されてしまう人体に含まれる環境有害物質を特殊なキノコを用いた埋葬用スーツによって分解するというものです。

[caption id="attachment_10375" align="aligncenter" width="692"]インフィニティ埋葬スーツ (<a href="http://coeio.com/infinity-burial-suit-2/" target="_blank" rel="noopener">http://coeio.com/infinity-burial-suit-2/</a>) インフィニティ埋葬スーツ (http://coeio.com/infinity-burial-suit-2/)[/caption]

インフィニティ埋葬スーツは100%生分解性であり、化学物質や保存料は一切使用せずに作られています。

スーツには特殊なキノコと微生物が組み込まれており、これらは遺体の分解を助け、環境有害物質を無害化しつつ、植物に栄養を届けるという3つの役割を果たします。

 

インフィニティ埋葬スーツを用いた場合、土壌を環境有害物質により汚染することなく、周囲の植物の栄養価となることで遺体はいわば「大きな生命の連鎖」の中にかえされることになります。

 

創業者

創業者であるジェー・リム・リー氏はMITを卒業ののち、菌類をもちいて汚染された環境をもとの状態に戻すマイコレメディエーションを研究していました。

[caption id="attachment_10377" align="aligncenter" width="400"]ジェー・リム・リー氏(<a href="https://twitter.com/jaerhimlee" target="_blank" rel="noopener">https://twitter.com/jaerhimlee</a>) ジェー・リム・リー氏(https://twitter.com/jaerhimlee)[/caption]

自然葬墓地を訪れた際に、リー氏は

菌類は死や我々と地球との関係についての考え方の文化的なシフトへのシンボルおよびツールになりえないだろうか?

というインフィニティ埋葬スーツに結実するアイディアを得たようです。

 

リー氏は2008年に試作品スーツを着てファッションショーに登場し、これに引き続きインフィニティ埋葬プロジェクトを立ち上げ、2011年にはTEDトークにも登壇、そして2015年の4月にCoeioを創業しました。

 

他の製品

現在、Coeioはインフィニティ埋葬スーツに加えて、新たに遺体を覆うシュラウド(きょうかたびら)の準備も進めています。

さらにペット用の製品の販売も行っています。

[caption id="attachment_10376" align="aligncenter" width="578"]ペット用の製品 (<a href="http://theforeverspot.com/purchase/" target="_blank" rel="noopener">http://theforeverspot.com/purchase/</a>) ペット用の製品 (http://theforeverspot.com/purchase/)[/caption]

 

価格

インフィニティ埋葬スーツの価格は1500ドルで、日本円にして約16万円です、インフィニティ埋葬シュラウドも同様に1500ドルで販売されています。

 

ペット用の製品はサイズにより値段が異なりますが、一番小型で安価なもので75ドル(8000円程度)、大型犬にフィットするような一番大きい製品では250ドル(2万7000円程度)という価格設定になっています。

 

この価格設定を高いとみるか、それとも穏当とみるか?

これについては、以下でペリー氏のニュースに対する反応を見る過程で検討してみましょう。

 

ペリー氏の選択に対する反応

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