近畿・中国・北陸地域 株式会社セレマ┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

セレマ 売上、利益、業績┃葬儀・葬祭の冠婚葬祭互助会

葬儀社の売上・利益・業績を調べる場合、上場しているなら決算発表情報・有価証券報告書をみれば分かります。非上場になると帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、売上・利益・業績の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は株式会社セレマの現状について、決算公告をもとに分析いたします。
決算公告は上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社セレマの概要

株式会社セレマは冠婚葬祭業界最大手の株式会社ベルコ系列企業ですが、創業はセレマのほうが早く、前身となる「有限会社 京都市冠婚葬祭互助センター」は1959年(昭和34年)開業です。(ベルコは1969年創業)
株式会社セレマ公式ホームページ

2020年から2021年にかけて代表取締役社長が齋藤武雄氏から、斎藤秀市氏(ベルコ代表取締役会長)に変更されています。
セレマという社名は「Ceremony(セレモニー:儀式・葬儀)」「Remember(リメンバー:記憶・思い出)」「Marriage(マリッジ:結婚)」の頭2文字ずつを組み合わせた造語のようです。

近畿・中国・北陸地域を中心に冠婚葬祭互助会事業を営んでおり、葬祭事業では株式会社ベルコと同様に「シティーホール+地名」の名称を主に使用しています。
運営している葬儀場は119ヵ所、結婚式場は14ヵ所(2023年6月現在)です。

葬儀社の決算公告とは

決算公告はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告と言います。

さらに大会社については、貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は貸借対照表の負債の部に計上されている合計額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。
1つ目は官報に掲載、2つ目は日刊新聞紙に掲載、3つ目は電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告の簡単な概要については以上になります。
なお上場企業の決算報告書(有価証券報告書)はEDINETで公開されており、誰でも閲覧可能です。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより

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会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

1つ目は法務局に供託する、
2つ目は経済産業省の指定する保証会社と供託委託契約を結ぶこと、
3つ目は銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約を結ぶこと

以上の3つの方法のいずれかを選択する必要があります。

また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。
なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

株式会社セレマの貸借対照表 

セレマ_貸借対照表

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は、企業の中長期的な安定性を確認できる指標ですが、適正とされる自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

※のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

株式会社セレマの自己資本比率は35.79%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」の計算式で算出可能です。

株式会社セレマの2022年7月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。
596億2千2百万円(純資産)÷ 1666億0千9百万円(総資産)× 100
上記の式から同社の自己資本比率は35.79%(前年比で1.68ポイント上昇)となりました。

株式会社セレマ 利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。
正確な会計用語ではないですが、利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

株式会社セレマの場合は以下のように推移しております。

セレマ_利益剰余金

株式会社セレマの利益剰余金はコロナの影響下でも堅調に推移しており、過去5年間は年々増加しています。
これは黒字経営を継続していることを表しており、グラフを見る限り不安要素はみられません。

2020年から2021年にかけて、コロナの影響や葬儀の小規模化・簡素化の影響で、葬儀業界では全体的に売り上げが減少傾向にありましたが、そのような状況下で黒字経営を続けていた点は、注目に値します。

株式会社セレマの損益計算書

損益計算書とは、一定の期間に企業が「どれだけ売り上げが上がり(=収益)」「費用を何に使って(=費用)」「どれくらいもうかったのか(=利益)」が一目で分かるものです。
英語では「Profit and Loss Statement」とあらわされるため、略語で「P/L」と呼ばれることもあります。

損益計算書

セレマ_損益計算書

売上金額の推移

セレマ_売上高


株式会社セレマの2022年7月期における売上高は、320億5千6百万円(前年同期比14.3%増)となっています。
2021年度までは新型コロナの影響もあってか、セレマの売上高も減少傾向にありましたが、2022年7月期には再び増加に転じており、2020年7月期を上回っている状態です。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

セレマ_営業利益

売上高が前年同期比+14.33%だったのに対して、営業利益は+67.11%に伸びているのは驚異的だといえるでしょう。コロナ以前の2019年の営業利益に迫る勢いです。

企業の収益性を計る売上高営業利益率は、営業利益÷売上高×100の式で求められ、10%を超えれば有料水準とされています。
株式会社セレマの2022年7月期における売上高営業利益率は17.59%でした。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含めその会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

セレマ_経常利益

2022年7月期における株式会社セレマの経常利益は、62億4千6百万円(前年同期比43.75%増)となりました。

本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)は、損益計算書上では「営業外収益」として計上され、経常利益は「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」で算出されます。

上場企業であれば有価証券報告書も公表されているため「営業外収益」の内容もある程度確認できますが、非上場企業の決算公告からの詳細は把握できません。
株式会社セレマの損益計算書を確認すると、つねに10億円前後の「営業外収益」を確保しており、さらに今期は特別利益も17億2千8百万円発生しているため、当期純利益は過去5年間で最大となる52億2千2百万円となりました。

株式会社セレマ決算公告のまとめ

今回は株式会社セレマの決算公告から分析を行いましたが、新型コロナの影響などで減少傾向にあった売上高も増加に転じており、特に不安要素は感じ取れませんでした。
2023年6月現在ではコロナの影響も落ち着きつつあり、葬儀業界全体の売上回復傾向にあることから、株式会社セレマの2023年7月期決算公告も引き続き注視していきたいと思います。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。より詳しい情報を知りたい方はお気軽にお問合せ下さい。

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