出典:厚生労働省 死亡の場所別
2020年の死亡者数における、割合でみると以下の円グラフの用になるので、もちろん病院が亡くなる方が多いのですが、年々減少傾向にあります。
葬儀業を営まれている事業者様は、体感値としてお分かりになるのではないでしょうか?
その様な老人ホームや介護施設から搬送をおこなうケースも増加傾向にあると考えられます。
ご自宅で亡くなられる方が2020年は大きく伸びており、そのためか最期のときを迎えるに相応しい姿を保つためのケアとして、エンゼルケアや湯灌といった故人の姿を整えるサービスの需要の高まりがあるようです。
そこで、エンゼルケアや湯灌事業において上場している「ケアサービス」様のIR情報を中心に葬儀前のエンゼルケアや湯灌サービスにおける概要を把握していきます。なお「ケアサービス」様では介護施設の運営もおこなっており、介護施設からエンゼルケアまでを一気通貫しておこなわれており、葬儀社さんとの連携も各種おこなわれているようです。
エンゼルケアケア・湯灌とは
「エンゼルケア」も「湯灌」も遺体を扱いますが、従来「エンゼルケア」は病院や介護施設、「湯灌」は葬儀の一部と、別々に行われてきました。
ケアサービス様では、この2つの領域にまたがる部分を埋めるかたちで、サービスを提供しています。
エンゼルケアとは
「エンゼルケア」とは、亡くなった方の死後処置全般を表す言葉ですが、明確な定義は確立されていません。 そのため医療機関や高齢者介護施設などの施設ごとに、対応範囲が異なります。 医療器具の取り外しやアルコールを使用した清拭(せいしき:身体を拭き上げること)と感染対策までは、ほとんどの施設でも行われているようです。 しかし法的に定められた処置ではないため、対応範囲は病院や介護施設ごとの判断に任されています。 浴衣(ゆかた)または故人愛用の洋服への着替えや、生前のお顔に近づける復元・死化粧などは、すべての施設が対応しているわけではありません。 また施設によっては、別途費用が必要になるケースもあります。エンゼルケアがもつ意義
従来の「エンゼルケア」は死後処置としての意味合いが強いものでしたが、現在では徐々に認識が変容しつつあります。 単なる処置ではなく「故人の尊厳(そんげん)を守り、遺族の気持ちに寄り添う」といった意味を持つサービスも「エンゼルケア」の一部とする考えが増えているようです。故人のセルフケア代行
当然のことですが、亡くなった方は自分で身支度を整えることはできません。 老人ホームや高齢者施設で暮らす方の中には、認知症などを患っておられる方も大勢いらっしゃいます。 また特に病気などはなくとも、亡くなるまでの期間に徐々にやせ衰えてしまうケースも少なくありません。 故人の「きれいな状態で最期の時を迎えたい」といった思いを、亡くなった方に成り代わってかたちにするのも「エンゼルケア」の1つといえるでしょう。故人の死に対する遺族の受容の補助
かつては身内に不幸があった場合、遺族や近隣住民の手によって葬儀から埋葬(まいそう)まで行われるのが一般的でした。 遺族の肉体的・精神的な負担の重さは現在の比ではありませんが、遺族が葬送の全てに携わっていたため「故人のために出来るだけのことをした」という達成感も強かったことでしょう。 しかし現在では、逝去(せいきょ)後の搬送の時点から葬儀社が携わる(たずさわる)ケースがほとんどで、その後の通夜・葬儀まで葬儀社が手伝ってくれるため、遺族が携わる部分も少なくなっています。 そのため身内を亡くしたことによる喪失感や、理由のない後悔の念に苛まれる(さいなまれる)方も少なくないようです。 しかし遺族がみずから末期(まつご)の水を含ませたり、故人の身体をきれいに拭いたりといった「エンゼルケア」の一部に参加することで、故人の死を受け入れる一助にはなるでしょう。看護師や介護士のメンタルケア
故人と長く関わっていた看護師さんや介護士さんの中には、故人の死に対してショックを受けるケースも少なくないようです。 もちろん遺族の悲しみには及ぶべくもありませんが、前日まで会話を交わしていた相手が亡くなったことを、業務の一部として割り切れないのは理解できます。 しかし、亡くなった方に対して生前と同じように話しかけながら、遺族とともに「エンゼルケア」を行うことで、気持ちの整理がつく方も多いようです。湯灌(ゆかん)とは
亡くなった方の身体を洗い清める「湯灌(ゆかん)」という儀式が行われてきました。
「湯灌」には遺体全体をお湯などに浸して洗い清める「洗体湯灌」と、遺体の全身を拭き清める「拭き湯灌(古式湯灌)」があります。
「湯灌」を終えたのちに、遺族や近隣住民の手で浄土への旅立ちのための経帷子(きょうかたびら)を身につけさせ、棺に納めて埋葬するのが通例だったようです。
かつては自宅で亡くなる方が大半を占めましたが、病院で亡くなる方が徐々に増加し、現在では病院で亡くなる方が死亡者数の約8割を占めています。
前述したように、病院で亡くなった方には死後処置が施されるため、ごく最近まで「湯灌」が省略されるケースも少なくありませんでした。
しかし葬儀の小規模化・簡素化が進み、限られた身内だけで見送る「家族葬」という形式が一般的に認知されるようになった現在、この「湯灌」が再評価されつつあります。
遺族が大勢の参列者への対応から解放された結果、「故人を見送る過程に少しでも多く携わりたい」という遺族感情の発露(はつろ)として「納棺の儀」に注目が集まっているようです。
株式会社ケアサービスの事業状況
ケアサービス様の事業内容は、訪問介護や入浴介助などの介護事業を中心とした「在宅介護サービス事業」と、「エンゼルケア」を中心とした「シニア向け総合サービス事業」に分けられています。
ケアサービス様では「エンゼルケア」を、死後処置としてではなく「介護の到達点」と捉えて、故人の尊厳を守るためのサービスとして提供されているようです。
そのため、ケアサービス様の「エンゼルケア」には遺体を洗い清め洗髪する「湯灌」やラストメイク・着付けまでを含みます。
介護事業から葬儀領域へ歩み寄り、事業拡大を目指して各地の葬儀社様や互助会様との連携を強化しているようです。
