アルファクラブ株式会社(福島県)~さがみ典礼~冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

葬儀社の売上・利益・業績を調べる場合、上場しているなら決算発表情報・有価証券報告書をみれば分かります。非上場になると帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、売上・利益・業績の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回はアルファクラブ株式会社(福島県)の現状について、決算公告をもとに分析いたします。
決算公告は上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

アルファクラブ株式会社(福島県)の概要

アルファクラブ株式会社 (福島県) はアルファクラブグループに属する企業の1つですが、同グループは「さがみ典礼」ブランドの葬儀場を全国に360施設以上運営しており、グループ会社の全体でその圧倒的なブランド力を活かして葬儀を施行しております。
アルファクラブグループの事業領域は、以下の7つに分類されています

1.冠婚葬祭互助会(11社) ←アルファクラブ(福島県)はココ!
2.コンサルティング(1社)
3.ケータリング(1社)
4.運送(バス・霊柩車)(3社)
5.保険(1社)
6.レジャー・リゾート(11社)
7.インターネット(1社、小さなお葬式

アルファクラブ株式会社 (福島県) は、福島県・茨城県を中心としたエリアで事業を展開しています。
現在の代表取締役は神田 貢典氏で、同氏はアルファクラブ東北の代表取締役社長や、グループ会社のレクスト岐阜 代表取締役も兼務しています。

アルファクラブ株式会社 (福島県)の各拠点は以下の通りです。

  • 本社:福島県郡山市鶴見坦2丁目4-5
  • 須賀川支社:福島県須賀川市岩作40-1
  • 福島支社:福島県福島市八島町5-41
  • 会津支社:福島県会津若松市平安町2-12
  • 白河支社:福島県白河市和尚壇2-2
  • いわき支社:福島県いわき市字平中町15-3
  • 総合相談室:福島県郡山市開成3丁目6-15
  • 茨城北支社:茨城県日立市田尻町4丁目49-27
  • 茨城支社:茨城県土浦市田中1丁目6-12

葬儀社の決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

ただし、大会社については貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は負債額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告の簡単な概要については以上になります。
なお上場企業の決算報告書(有価証券報告書)はEDINETで公開されており、誰でも閲覧可能で
す。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより

会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局への供託
  • 経済産業省の指定する保証会社との供託委託契約締結
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約締結

以上の3つの方法のいずれかを選択する必要があります。
また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。

なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

アルファクラブ(福島県)の貸借対照表

決算期39期40期41期42期43期44期
利益剰余金48億1千5百万円52億6千1百万円55億4千4百万円56億2千6百万円61億5千8百万円68億1千4百万円
会計年度2018年6月期2019年6月期2020年6月期2021年6月期2022年6月期2023年6月期
資産流動資産118億2千3百万円114億6千2百万円97億7千1百万円96億3千3百万円99億0千1百万円113億4千2百万円
固定資産361億6千0百万円375億0千6百万円407億1千4百万円416億5千7百万円442億6千5百万円441億3千5百万円
有形固定資産
無形固定資産
投資その他の資産
繰延資産3百万円5百万円11百万円9百万円6百万円5百万円
資産合計479億8千6百万円489億7千3百万円504億9千6百万円512億9千9百万円541億7千2百万円554億8千2百万円
負債流動負債68億8千7百万円65億3千3百万円55億8千0百万円56億5千0百万円62億8千3百万円63億3千8百万円
役員賞与引当金
賞与引当金1千1百万円1千0百万円9百万円8百万円8百万円8百万円
その他68億7千7百万円65億2千2百万円55億7千1百万円56億4千2百万円62億7千4百万円63億2千9百万円
固定負債361億7千6百万円370億7千6百万円392億6千8百万円399億1千8百万円416億2千7百万円422億2千5百万円
退職給付引当金7千0百万円7千1百万円6千1百万円6千9百万円7千2百万円7千1百万円
雑収入復活引当金3千8百万円3千5百万円7千6百万円1億0千7百万円8千2百万円7千9百万円
役員退職慰労引当金3億4千1百万円3億4千7百万円3億5千8百万円3億7千5百万円3億9千2百万円2億0千3百万円
その他357億2千8百万円366億2千3百万円387億7千5百万円393億6千7百万円410億8千1百万円418億7千2百万円
負債の部計430億6千3百万円436億0千9百万円448億4千8百万円455億6千8百万円479億1千0百万円485億6千3百万円
純資産株主資本49億2千0百万円53億6千6百万円56億4千9百万円57億3千1百万円62億6千3百万円69億1千9百万円
資本金1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円1億0千0百万円
 資本余剰金5百万円5百万円5百万円5百万円5百万円5百万円
資本準備金5百万円5百万円5百万円5百万円5百万円5百万円
その他資本余剰金
 利益剰余金48億1千5百万円52億6千1百万円55億4千4百万円56億2千6百万円61億5千8百万円68億1千4百万円
利益準備金1百万円1百万円1百万円1百万円1百万円1百万円
特別償却準備金
その他利益剰余金48億1千4百万円52億6千0百万円55億4千3百万円56億2千5百万円61億5千7百万円68億1千3百万円
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
(うち当期純損失)
新株予約権
評価・換算差額等2百万円-1百万円0百万円0百万円0百万円0百万円
その他有価証券評価差額金2百万円-1百万円0百万円0百万円0百万円0百万円
純資産の部計49億2千2百万円53億6千5百万円56億4千9百万円57億3千0百万円62億6千3百万円69億1千9百万円
負債・純資産合計479億8千5百万円489億7千4百万円504億9千7百万円512億9千9百万円541億7千3百万円554億8千2百万円

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、最適な自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

※のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

アルファクラブ(福島県)の自己資本比率は12.47%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」の計算式で算出可能です。
アルファクラブ(福島県)の2023年6月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

669億1千9百万円(純資産)÷ 554億8千2百万円(総資産)×100=12.47%


上記の式から同社の自己資本比率は12.47%(前年比で0.91ポイント上昇)となりました。

アルファクラブ(福島県) 利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

アルファクラブ株式会社(福島県)の場合は以下のように推移しております。

過去3年間の利益剰余金の成長率の推移は、2021年6月期は56億2千6百万円(前年比成長率は1.48%)、2022年6月期は61億5千8百万円(前年比成長率は9.46%)、2023年6月期は68億1千4百万円(前年比成長率は10.65%)となっていました。

アルファクラブ(福島県)の利益剰余金は、新型コロナの影響が大きかった2020年・2021年も含め、過去6年間にわたって安定して増加を継続しています。

アルファクラブ(福島県)の損益計算書

損益計算書を確認することで、当該企業が「どれだけ売り上げ(=収益)」「費用を何に使って(=費用)」「どれくらいの儲けが出たのか(=利益)」が一目で分かるものです。
特に注目したい項目は、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益となります。

損益計算書

決算期39期40期41期42期43期44期
会計年度2018年6月期2019年6月期2020年6月期2021年6月期2022年6月期2023年6月期
売上高120億4千0百万円116億6千9百万円105億2千4百万円92億9千6百万円98億3千0百万円104億9千8百万円
売上原価43億3千3百万円41億3千4百万円35億9千0百万円28億5千2百万円29億9千5百万円31億8千9百万円
売上総利益77億0千7百万円75億3千4百万円69億3千4百万円64億4千5百万円68億3千4百万円73億0千9百万円
販売費及び一般管理費68億0千3百万円68億7千3百万円66億9千6百万円61億4千4百万円63億1千3百万円69億1千4百万円
営業利益9億0千3百万円6億6千1百万円2億3千8百万円3億0千1百万円5億2千2百万円3億9千5百万円
営業外収益5億3千6百万円5億8千2百万円8億9千1百万円7億0千1百万円7億1千3百万円8億4千4百万円
営業外費用1億7千3百万円1億4千2百万円2億3千1百万円4億8千8百万円1億5千4百万円1億5千6百万円
経常利益12億6千6百万円11億0千2百万円8億9千9百万円5億1千4百万円10億8千1百万円10億8千3百万円
特別利益--6千3百万円--5百万円
特別損失7千4百万円3億6千0百万円3億2千5百万円3億2千7百万円2億8千2百万円7千8百万円
税引前当期純利益11億9千2百万円7億4千1百万円6億3千6百万円1億8千7百万円7億9千9百万円10億1千0百万円
法人税、住民税及び事業税5億4千9百万円4億0千9百万円3億2千8百万円3億2千2百万円3億7千4百万円3億5千4百万円
法人等調整額-1億0千9百万円-1億1千9百万円2千6百万円-2億1千6百万円-1億0千7百万円-
当期純利益7億5千2百万円4億4千6百万円2億8千3百万円8千2百万円5億3千3百万円6億5千6百万円
過年度法人税等-6百万円----

アルファクラブ(福島県)の損益計算書を確認すると、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益のすべてにおいて、前年同期を上回っています。

売上金額の推移

過去3年間の売上高の成長率の推移は、2021年6月期は92億9千6百万円(前年比成長率は-11.67%)、2022年6月期は98億3千0百万円(前年比成長率は5.74%)、2023年6月期は104億9千8百万円(前年比成長率は6.80%)となっています。

アルファクラブ(福島県)の売上高は、新型コロナの影響もあってか2021年6月期まで減少が続いていましたが、2022年6月期に続き2023年も順調に増加しています。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

過去3年間の営業利益の成長率の推移は、2021年6月期は3億0千1百万円(前年比成長率は26.47%)、2022年6月期は5億2千2百万円(前年比成長率は73.42%)、2023年6月期は3億9千5百万円(前年比成長率は-24.33%)となっておりました。

アルファクラブ(福島県)の営業利益は、新型コロナの影響が最も大きかったと思われる2020年6月期には大きく減少しましたが、2021年・2022年と2期連続で増加しています。

2023年では再び減少してしまいましたが、販売費及び一般管理費が前年より増加したことが要因かもしれません。
2024年6月期には再び増加している可能性もあります。

事業活動による純粋な利益を表す営業利益率「営業利益÷売上高×100」で求められますが、おおむね5%を超えると優良とされています。

3億9千5百万円(営業利益)÷104億9千8百万円(売上高)×100=3.76%
上記の式から、2023年6月期のアルファクラブ(福島県)の営業利益率は3.76%となっています。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含めその会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

過去3年間の経常利益の成長率の推移は、2021年6月期は5億1千4百万円(前年比成長率は-42.83%)、2022年6月期は10億8千1百万円(前年比成長率は110.31%)、2023年6月期は10億8千3百万円(前年比成長率は0.19%)となっておりました。

アルファクラブ(福島県)の2022年6月期における経常利益は、前年同期にくらべて大幅な増加となっており、10億円の大台を回復しています。
2023年6月期もわずかではありますが、経常利益は増加を続けています。
2018年6月期には35.99%だった売上原価率も、2023年6月期には30.38%まで改善されており、財務状況に不安は感じられません。

アルファクラブ株式会社(福島県)のまとめ

今回はアルファクラブ(福島県)の決算公告資料を参考に、同社の財務状況や業績を詳しく分析しました。
2023年6月期の決算公告では、営業利益は減少しましたが、売上高、経常利益、利益剰余金がいずれも増加しています。

2023年5月には新型コロナも5類相当に移行し、葬儀業界も全体的に回復基調にあるといわれていますので、アルファクラブ株式会社(福島県)の2023年6月期決算公告でも分かる通り、新型コロナ発生前の水準とまではいきませんが、順調に回復しています。
葬研では、アルファクラブ株式会社(福島県)も含め、葬儀業界全体の動向を注視していきたいと思います。

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