創業80年超!葬儀・葬祭事業の老舗企業 株式会社あいプラン┃冠婚葬祭互助会の業績・利益をまとめて分析

あいプラン 売上、利益、業績┃葬儀・葬祭の冠婚葬祭互助会

葬儀社の売上・利益・業績を調べる場合、上場しているなら決算発表情報・有価証券報告書をみれば分かります。非上場になると帝国データバンク(TDB)か、商工リサーチ(TSR)、はたまた日経テレコンで調べるのが一般的ですが、いずれも有料です。
ちょっと知りたい、ざっくり今すぐ把握したい、売上・利益・業績の比較をしてみたい、そんな方に向けてまとめました。

今回は「株式会社あいプラン」の現状について、決算公告をもとに分析いたします。
決算公告は上場企業の決算資料ほど詳細ではありませんが、事業の大まかな状況はつかめますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株式会社あいプランの概要

創業80年超の葬儀・葬祭事業を展開している老舗企業の株式会社あいプランは1930年(昭和5年)仕出し料理「(有)喜久一分店」として創業し、1963年2月に冠婚葬祭互助会として発足。以来、札幌市を中心に斎場、結婚式場を運営しています。

「やわらぎ斎場」を中心としたフューネラル(葬儀)事業は、年間葬儀件数7000件以上と道内でも圧倒的な実績もあります。
また、「藻岩シャローム教会」などのブライダル事業も、清楚な教会式挙式を実現できる式場として人気です。

決算公告とは

決算公告資料はその会社が健全な経営を行っているかを確認できる計算書類となります。株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告といいます。

ただし、大会社については貸借対照表と合わせて損益計算書も公告することが義務付けられています。
次の2つの条件のうちいずれか1つが該当する株式会社は「大会社」という定義になります。
1つ目は資本金が5億円以上、2つ目は負債額が200億円以上の株式会社のいずれかとなります。

公告の方法は全部で3つあります。

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告の簡単な概要については以上になります。
なお上場企業の決算報告書(有価証券報告書)はEDINETで公開されており、誰でも閲覧可能です。

なぜ葬儀社は決算公告をおこなうのか?

大手葬儀社、あるいは葬儀・葬祭事業を長きにわたって営んでいる会社は、冠婚葬祭互助会を運営するケースが少なくありません。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭などの行事に備えるために、毎月一定の掛金を複数回の支払いで積み立てるサービスです。
冠婚葬祭互助会の会員になることで、葬儀や婚礼といったライフイベントの際に会員割引を受けられるなど、さまざまな面で優遇されます。

一般的な専門葬儀社は、開業にあたって特に許認可は必要ありませんが、冠婚葬祭互助会は経済産業大臣の認可を受けた企業のみ行える事業です。

出典:一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会ホームページより

https://www.zengokyo.or.jp/about/gojokai/fabric/

会員から掛金として支払われた前受金は割賦販売法によって積み立てられた前受金の2分の1を次の何らかの方法で保全することが義務付けられています。

  • 法務局への供託
  • 経済産業省の指定する保証会社との供託委託契約締結
  • 銀行や信託会社などの金融機関と供託委託契約締結

以上の3つの方法の何らかを選択する必要があります。
また、経済産業省は割賦販売法に基づき互助会事業の経営指導や立入検査等を行っています。

なお現在、冠婚葬祭互助会事業者として登録されている事業者は以下より確認することができます。

経済産業省 前払式特定取引業者(冠婚葬祭互助会)許可事業者一覧

上記のように、冠婚葬祭互助会では政府・行政の認可団体として運営している側面があり、義務である決算公告を発表する事業者が多い状況です。

株式会社あいプランの貸借対照表

会計年度2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
利益剰余金49億0千7百万円53億6千4百万円57億7千2百万円58億8千6百万円69億2千7百万円80億8千7百万円



流動資産106億5千0百万円105億9千0百万円83億2千1百万円83億5千4百万円101億1千0百万円115億3千3百万円
固定資産295億4千3百万円326億0千0百万円359億5千0百万円365億3千0百万円367億0千3百万円368億0千5百万円
有形固定資産
無形固定資産
投資その他の資産
繰延資産2千7百万円4千1百万円3千4百万円2千7百万円2千3百万円7千8百万円
資産合計402億2千0百万円432億3千1百万円443億0千5百万円449億1千1百万円468億3千6百万円484億1千6百万円



流動負債336億6千7百万円347億4千0百万円359億6千6百万円370億7千9百万円385億1千7百万円393億6千2百万円
役員賞与引当金
賞与引当金
その他
固定負債15億7千0百万円30億5千1百万円24億9千2百万円18億7千1百万円13億1千7百万円8億9千2百万円
退職給付引当金
雑収入復活引当金
役員退職慰労引当金
(うち雑収入復活引当金)2億1千2百万円2億6千0百万円2億6千0百万円2億5千7百万円2億5千8百万円
負債の部計352億3千7百万円377億9千1百万円384億5千8百万円389億5千0百万円398億3千4百万円402億5千4百万円




株主資本49億8千7百万円54億4千4百万円58億5千2百万円59億6千6百万円70億0千7百万円81億6千7百万円
資本金8千0百万円8千0百万円8千0百万円8千0百万円8千0百万円8千0百万円
資本余剰金
資本準備金
その他資本余剰金
利益剰余金49億0千7百万円53億6千4百万円57億7千2百万円58億8千6百万円69億2千7百万円80億8千7百万円
利益準備金
特別償却準備金
その他利益剰余金49億0千7百万円53億6千4百万円57億7千2百万円58億8千6百万円69億2千7百万円80億8千7百万円
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
(うち当期純損失)
新株予約権
評価・換算差額等-4百万円-4百万円-5百万円-5百万円-5百万円-5百万円
その他有価証券評価差額金-4百万円-4百万円-5百万円-5百万円-5百万円-5百万円
純資産の部計49億8千3百万円54億4千0百万円58億4千7百万円59億6千1百万円70億0千2百万円81億6千2百万円
負債・純資産合計402億2千0百万円432億3千1百万円443億0千5百万円449億1千1百万円468億3千6百万円484億1千6百万円

貸借対照表でまずチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
例えば自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされています。自己資本比率が10%を下回っている場合は経営状態は良いとは言えません。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況と考えられますので、資金繰りが厳しいと予測ができます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられます。

自己資本比率は中長期的にその企業の安定性を確認できる指標ですが、自己資本比率は業種によって大きく異なります。

例えば固定資産(建物や土地や機械など)を多く抱えている業種(製造業や鉄道会社)は最低でも20%程度はあると安心です。
逆に流動資産(ソフトウェアや”のれん”など)を多く抱えている業種(IT企業や卸売業)は最低でも15%程度は欲しいところです。

※のれん:その会社が持つ技術やブランドで、目には見えない価値の高い資産のこと

株式会社あいプラン 自己資本比率は16.86%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」の計算式で算出可能です。
株式会社あいプランの2022年3月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

81億6千2百万円(純資産)÷ 484億1千6百万円総資産)×100=16.86%
上記の式から同社の自己資本比率は16.86%(前年比で1.9ポイント上昇)となりました。

株式会社あいプランの利益剰余金の推移

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。
内部留保は恐らく聞き馴染みのある単語だと思います。利益剰余金は貸借対照表で言うところの純資産の部に記載があります。

内部留保(利益剰余金)が多くあればあるほど、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため、企業が生き残るための重要な資金源となります。

株式会社あいプランの場合は以下のように推移しております。

過去3年間の利益剰余金の成長率の推移は、2021年3月期は58億8千6百万円(前年比成長率は1.98%)、2022年3月期は69億2千7百万円(前年比成長率は17.69%)、2023年3月期は80億8千7百万円(前年比成長率は-16.75%)となっています。

新型コロナの影響がもっとも大きかったと思われる2021年3月期には、一時的に利益剰余金の伸び率も鈍化しましたが、2021年3月期からは2年続けて10億円以上も増加しました。

株式会社あいプランの損益計算書

損益計算書を確認することで、当該企業が「どれだけ売り上げ(=収益)」「費用を何に使って(=費用)」「どれくらいの儲けが出たのか(=利益)」が一目で分かるものです。
特に注目したい項目は、売上高・営業利益・経常利益・当期純利益となります。

損益計算書

会計年度2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期2023年3月期
売上高134億0千7百万円132億9千7百万円135億2千0百万円107億2千9百万円125億1千5百万円136億5千7百万円
売上原価48億1千9百万円48億2千7百万円48億8千2百万円37億4千4百万円43億0千7百万円48億3千7百万円
売上総利益85億8千8百万円84億6千9百万円86億3千8百万円69億8千5百万円82億0千8百万円88億1千9百万円
販売費及び一般管理費77億5千6百万円80億4千1百万円82億5千9百万円74億5千6百万円72億4千3百万円78億2千5百万円
営業利益8億3千2百万円4億2千8百万円3億7千8百万円4億7千0百万円9億6千4百万円9億9千4百万円
営業外収益5億6千9百万円4億5千3百万円5億2千5百万円7億6千3百万円6億7千2百万円6億9千8百万円
営業外費用-2億3千0百万円7千5百万円1億4千8百万円1億7千5百万円1億2千5百万円7千0百万円
経常利益11億7千1百万円8億0千6百万円7億5千5百万円1億1千6百万円15億1千1百万円16億2千2百万円
特別利益2億2千2百万円3百万円1百万円4百万円4千0百万円2億1千百万
特別損失3千7百万円7百万円1百万円4百万円3億0千1百万円2千7百万
税引前当期純利益13億5千5百万円8億0千2百万円7億5千5百万円1億1千7百万円12億5千0百万円18億0千5百万円
法人税、住民税及び事業税4億7千3百万円3億4千4百万円3億4千7百万円3百万円2億0千9百万円6億4千5百万円
法人等調整額
当期純利益8億8千2百万円4億5千7百万円4億0千7百万円1億1千3百万円10億4千0百万円11億6千0百万円

あいプランの損益計算書を確認すると、重要ポイントである売上高・営業利益・経常利益・当期純利益のいずれについても、前値同期を上回っているのが分かります。

売上金額の推移

過去3年間の売上高の成長率の推移は2021年3月期は107億2千9百万円(前年比成長率は-20.64%)、2022年3月期は125億1千5百万円(前年比成長率は16.65%)、2023年3月期は136億5千7百万円(前年比成長率は9.13%)となっています。

新型コロナの影響が最も大きかった時期に該当する2021年3月期の決算では、あいプランでも一時的に大きく売り上げを減少させたようですが、2022年3月期には増加に転じています。
2023年3月期の決算で、すでに売上高も新型コロナ発生前のレベルまで回復しています。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

過去3年間の営業利益の成長率の推移は、2021年3月期は4億7千万円(前年比成長率は24.34%)、2022年3月期は9億6千4百万円(前年比成長率は105.10%)、2023年3月期は9億9千4百万円(前年比成長率は3.11%)となっています。

あいプランの営業利益は2022年3月期に大きく伸長し、2018年3月期の数値を上回りました。2023年3月期も、わずかではありますが営業利益を上げ続けています。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含めその会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

過去3年間の経常利益の成長率の推移は、2021年3月期は1億1千6百万円(前年比成長率は-84.64%)、2022年3月期は15億1千1百万円(前年比成長率は1202.59%)、2023年3月期は15億1千1百万円(前年比成長率は7.35%)となっています。
コロナ以前の2018年と比較しても38.51%増加しています。

2020年に新型コロナが発生して以降、収益を大幅に悪化させる葬儀社が多い中、あいプランでは経常利益についても黒字を維持してきました。
2022年3月期では経常利益が15億円を突破、2023年3月期では経営利益がさらに上回り、過去6年間で最高となっています。

株式会社あいプランのまとめ

今回は株式会社あいプラン様の決算公告をもとに分析を行いました。
葬儀業界全体が葬儀の小規模化・簡素化の影響を受ける中、アフターコロナで大幅に経常利益を伸ばしている点に、大手互助会事業者としての底力を感じます。

日本で現在進行形で起きている核家族化、死亡者の高齢化、地域コミュニティの崩壊等を背景とし「家族葬」「直葬」が増加したことに伴い、消費者ニーズは多様化し葬儀規模がよりスリムに、よりシンプルなものへと様変わりしました。
その結果がもたらしたものは「葬祭単価の低下」であり、今後は多様化していく消費者ニーズに対して積極的にコミットし、利益率の高いサービスを提供できる企業が生き残り成長していくものだと思われます。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。より詳しい情報を知りたい方はお気軽にお問合せ下さい。

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