グリーフケアの業界団体|一般社団法人日本グリーフケア協会について解説

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死別によって近親者を失ったご遺族様の悲しみや痛みに寄り添い、回復までサポートすることを、グリーフケアと呼びます。
グリーフケアは、自殺や依存症防止に繋がる取り組みでもあり、高齢化や核家族化が進む近年においては、ますます注目される支援のひとつです。

日本国内においても、グリーフケアに関連する協会団体はいくつか存在しており、それぞれ人材養成や学術研究などを行っています。

  • 一般社団法人日本グリーフケア協会
  • 一般社団法人京都グリーフケア協会
  • 一般社団法人日本グリーフケアギフト協会
  • 一般社団法人 日本グリーフ専門士協会
  • 認定NPO法人 グリーフケア・サポートプラザ
  • NPO法人全国自死遺族総合支援センター
  • 自死・自殺に向き合う僧侶の会

本記事では、グリーフケア人材の育成や悲嘆回復ワークショップの開催などに取り組む『一般社団法人日本グリーフケア協会』について紹介します。

目次

一般社団法人日本グリーフケア協会の概要

日本グリーフケア協会
画像出典:一般社団法人 日本グリーフケア協会

一般社団法人日本グリーフケア協会は、グリーフケアを受けたい人、グリーフケアをしたい人の両者を支援している団体です。
愛する人を亡くした悲しみをケアするグリーフケアを「悲嘆回復ワークショップ」を通じておこなったり、グリーフケアに関する知識やノウハウを習得したい方に向けて「グリーフケア・アドバイザー認定講座」をおこなったりしています。

また、会社や自治体、病院などでグリーフケアに関する講演やレクチャーも実施しています。

【団体名称】一般社団法人 日本グリーフケア協会
【所在地】〒202-0022 東京都西東京市柳沢5-15-26
【代表者】会 長 宮林幸江
【公式HP】https://www.grief-care.org/

グリーフケアとは?

グリーフケアとは、愛する人やペットを亡くしたときの悲しみや苦しみを和らげ、心のケアをするサポートのことです。
人が大切なものを失ったとき、心に深い悲しみ(グリーフ)が生まれます。
グリーフケアは、その悲しみを感じる人が少しでも心を軽くし、日常生活に戻れるようにサポートするための方法です。

日本グリーフケア協会の沿革・歴史

日本グリーフケア協会は、グリーフケアの認知度を高め、哀しみを抱える人々への理解を深めることを目指して設立されました。
また、「グリーフケア・アドバイザー認定講座」を行い、グリーフ状態にある人々を支援できる専門家の育成にも力を入れています。

「グリーフケアアドバイザー®」は、日本グリーフケア協会が商標登録をおこなっています。(商標登録第6101076号)

日本グリーフケア協会の事業・取り組み

取り組み

日本グリーフケア協会は、東日本の支援活動を行っておりますが、その他にも様々な事業や取り組みを行っています。
主な取り組みは以下の通りです。

被災地支援

被災地で無料の講演会を開催し、グリーフ(悲しみ)についての知識を伝える活動や、被災地の人々に情報面での支援を実施。
また、無料で悲しみを癒すためのワークショップを開催して心のケアをしています。

東日本大震災の際には、「悲嘆回復ワークショップ」を仙台市内で開催。被災者や他県からのグリーフケアの希望者が参加しました。
被災地に赴いたグリーフケア活動は、数年間にわたり定期的に行い、グリーフケア・アドバイザー研修終了者からも支援者を募っています。

悲嘆回復ワークショップ

悲しみからくる様々な症状を軽くしたり、乗り越えるためには、十分に悲しむことや、その悲しみを表に出して受け止めることが大切です。
そのため、「悲嘆回復ワークショップ」では、安心して心を解放できる場を提供し、悲しみを癒すお手伝いをしています。

グリーフケア・アドバイザー認定講座

悲しみのケアの担い手である「グリーフケアアドバイザー」を目指すために、日本人の死別悲嘆の反応や、悲しみを癒すアプローチ法について学び・身につけることを重点的に学習します。
また、普通の悲しみとそうでない悲しみについての知識を身につけ、グループワークなどを通して実際のケア方法も学びます。

日本グリーフケア協会の特徴

人材育成

一般社団法人日本グリーフケア協会、最大の特徴は「グリーフケアアドバイザー認定講座」という専門資格の認定と普及を行っている点です。

  • グリーフケアアドバイザー 2級(初級)
  • グリーフケアアドバイザー 1級(中級)
  • グリーフケアアドバイザー 特級(上級)

グリーフケアアドバイザー 2級(初級)認定講座では、グリーフケアの基本や、グリーフケア実施時の注意点を学ぶことができるほか、ゲスト講師による講話・演習などが開催されます。
またグリーフケアアドバイザー 1級(中級)認定講座では、アドバイザー同志で交流の機会をもてるグループワークもあります。

さらにグリーフケアアドバイザー特級(上級)認定講座を受講すると、より深いケアに伴う実践力や技能を高め、グリーフケアのワークショップやケア講座の開催を行うために必要な知識や技術などの習得が可能となるようです。
なおグリーフケアアドバイザー特級を受講するためには、1級講座の修了認定を受けた方であり、なおかつ協会の推薦があるという条件を満たす必要があります。

日本グリーフケア協会に加盟するメリット

日本グリーフケア協会では、グリーフケアに関する認定講座が提供されており、加盟することで専門的な知識や技術を学ぶことができます。
これにより、悲しみを抱える人々に対してより効果的な支援が可能となります。

また、協会に加盟することで、同じ志を持つ専門家や仲間とのネットワークを築くことも可能です。
こうしたネットワークが構築されることにより、情報共有や支援活動の連携が促進され、より多様な支援が実現しやすくなります。

さらに、グリーフケアのスキルを持つことで、企業や団体において社会的な価値を高めることができるでしょう。
特に、高齢者や遺族と接する機会の多い業種では、グリーフケアアドバイザーの資格が就職や転職において有利に働く可能性もあります。

グリーフケアアドバイザー資格が活かせる職業・業務

日本グリーフケア協会では、グリーフケアの知識・スキルが役立つ現場として以下のような状況をあげています。

  • 臓器移植に重要な役目を果たす、グリーフケア
  • ターミナルの時期から続く遺族期における一連のグリーフケア

また同協会の「グリーフケアアドバイザー認定講座」には、主に以下のような職業・業務に携わっている方が参加しているようです。

医療系■医師
在宅医療・緩和ケア・外科
■看護師
緩和ケアナース・産科ナース・救急外来ナース・訪問ナース・保健師など
■介護介護士・ケアマネジャー
■医療社会福祉士
■薬剤師
■獣医
葬祭関連葬儀社・納棺士・石材店・墓地管理者など
宗教者僧侶・寺院関係者・牧師・修道士など
教育関連養護教員・大学教員・学校カウンセラー・産業カウンセラーなど
専門家社会福祉士・カウンセラー・臨床心理士など
その他学生・死別経験者・ボランティア(被災地支援・傾聴ボランティア・音楽療法士)など

まとめ

本記事では、日本グリーフケア協会の概要や取り組みなどについて紹介しました。
日本グリーフケア協会では、被災地支援や認定講座、悲嘆回復ワークショップなどを通してグリーフケアにまつわる様々な支援を行っています。

グリーフケアは、悲しみを抱える人々が安心して暮らせる社会、そして喪失体験に理解を示し、支え合える社会を築くために欠かせません。
しかしながら、核家族化が進み、地域コミュニティーとの関係性も希薄になりがちな現在の日本では、周囲の方からの支えも届きにくくなっているため、心理面に不安を抱える方の回復も遅れがちな状況です。
こうした現代社会において、地域に密着する葬儀社・葬儀従事者だからこそ、グリーフケアを深く学んだり、実務を見直したりといった取り組みが必要でしょう。

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