墓石事業者の業界団体│全国石材施工協会について解説

全国石材施工協会 アイキャッチ

業界団体は、ある特定の業務に携わっている企業や個人を会員としている組織で、その多くは業界全体の発展や向上を目的として活動しているようです。
墓石業界にも、さまざまな団体があります。
近年、核家族化や少子化が進み価値観の変化もあって、古来よりおこなわれていた故人の葬送の方法が変わりつつあります。
墓石に対する考え方も同様で、供養の方法が多様化しており「墓石離れ」が進んでいます。

そこで全国の墓石事業者が団体に加入して連携し、それぞれの意見や消費者のニーズの把握に努め、厳しい現状を打開しようとしているのが「全国石材施工協会」です。
石材施工において協会資格を発行し、施工技術の基準化をおこなっています。
この記事では、墓石事業者の団体のひとつ「全国石材施工協会」についてご紹介します。

目次

全国石材施工協会 概要

全国石材施工協会 概要
出典:全国石材施工協会 施工協会ニュース

近年墓じまいが増え、建墓数も減少しています。
全国石材施工協会はこの問題と誠実に向き合い、一致団結して解決し一層の発展をめざすために発足しました。

施工基準の作成や技術開発の発信をし、協会資格を発行しています。
全国組織というネットワークにより、加盟店の地域以外の受注も可能です。
また災害発生時には、復興支援活動も積極的におこなっています。

【名称】一般社団法人 全国石材施工協会
【代表理事】井比 宏育
【所在地】千葉県松戸市大橋130
【公式HP】http://nses-stone.org/

全国石材施工協会 活動理念

全国石材施工協会 活動理念
出典:全国石材施工協会 施工協会ニュース

近年では『墓ばなれ』などという言葉を耳にするほど、墓石業界にとっては苦しい状況が続いています。
その原因の1つが、杜撰(ずさん)な工事や廃材の不法投棄などに手を染める、職業意識の低い事業者の存在です。

こうした悪質行為が横行する背景には、墓石施工に関する法律がないという現状があります。(4mを超える墓石の建立には「建設業の許可」が必要)
そのため業界を健全化するためには、墓石施工事業者みずからが襟を正し、供養のための墓石建立という神聖な仕事に対し、真摯に取り組む必要があります。

しかし現在の墓石業界は、原材料の価格高騰や人材確保の難航・安全確保のための労働環境改善など、さまざまな課題を内包しています。
こうした課題を業界全体で解決に導くべく、全国石材施工協会は設立されたようです。

全国石材施工協会 事業内容

全国石材施工協会 事業内容
出典:全国石材施工協会 施工協会ニュース

全国石材施工協会は、石材施工の技術向上、技術基準化、石材業界の充実と発展を目的として、以下の事業をおこなっています。

  • 石材施工においての施工方法・技術の基準化
  • 石材施工における技術の追求
  • 石材業界発展のための告知活動
  • 石材施工における全国施工網、また全国情報網の構築
  • 石材施工における関連商品の仕入れ及び販売
  • その他、当法人の目的を達成するために必要な事業

出典:全国石材施工協会 規則

石材施工においての施工方法・技術の基準化

施工方法、施工材料、廃材処理などの施工基準作成をおこなっています。
安全な施工作業を実施し、石材販売店に信頼していただき業務を請け負うことが目的です。

石材施工における技術の追求

施工業務に必要な各種資格取得を勧め、確かな技術力と高い信頼性をめざします。
現在制度設立を検討している資格は次のようなものです。

  • アンカーボルト施工技師
  • 墓石免震・耐震施工技師
  • 接着剤適正施工技師
  • 墓石クリーニング施工技師
  • 樹脂舗装施工技師

出典:全国石材施工協会

石材業界発展のための告知活動

最近では大雨や地震により墓石が倒壊することがあり、消費者から耐震工事についての関心や要望も多くなっています。
災害に対応する工法や使用する部品について、製造元に依頼して研究を重ね、加盟店や業界に向けて届けていきます。

石材施工における全国施工網、また全国情報網の構築

加盟店により受注する工事の種類や件数に違いがあります。
全国にある加盟店が、墓石建立工事や墓石解体工事などを請け負うことができます。
墓石工事以外にもお盆やお彼岸の時期には、お墓参りやお墓掃除などの依頼が増えてきます。
受注が増えて忙しい時期に、お互いに助け合うことができるのです。

石材施工における関連商品の仕入れ及び販売

墓石工事には多くの材料や工具、機械が必要です。
材料や工具、機械の仕入れ先の協力のもと、必要な備品を協会員に低価格で提供しています。
協会が一括で仕入れるため、加盟店に貢献できているようです。

その他、当法人の目的を達成するために必要な事業

近年日本では温暖化の影響もあるのか、大雨や地震が多発しています。
協会では災害発生時の復興支援に、進んで取り組みたいと考えます。
石材業界のみならず、社会全般に貢献できることをめざしています。

全国石材施工協会 特徴

全国石材施工協会 特徴
出典:全国石材施工協会 施工協会ニュース

全国石材施工協会は墓石施工基準を作成し、適切な石材施工と適切な廃材処理が重要だと考えています。
そのため協会会員に向けて、さまざまなイベントや勉強会を開催。
「施工協会ニュース」を発行し、勉強会などの様子を発信しています。

そのうちの2つをご紹介します。

第1回石材店・職人の為の特別講習会

2019年6月、関西地区会員の(株)髙橋石材の髙橋社長の呼びかけにより開催。
墓石の施工方法や、クレーンの規格変更が実施されたのでその詳細と、新機種を使った実技講習がおこなわれました。

関西地区では、地震や大雨による災害で墓石が倒壊するなどの被害があり、災害に強い墓石施工方法の講習は、会員の皆さんに興味があったようです。
全国的に問題になっている、墓石施工の産業廃棄物についても講習をおこないました。

出典:全国石材施工協会 施工協会ニュース

協会会員「株式会社 石のセガワ」様 社員勉強会

2022年2月、会員の(株)石のセガワ様において、社員勉強会が開催されました。
協会の施工基準をもとにし、基礎工事から墓石を建立するまでの注意点を説明。
接着剤の種類の説明に始まり、接着剤の適確な使用量や接着強度の出し方の計算式について講習がおこなわれました。

以前から問題になっている産業廃棄物について、書類の種類や違反した時の罰金・罰則についても講習がおこなわれました。
(株)石のセガワ様では、免許や資格を取得して産業廃棄物の処理も事業としておこなっています。

出典:全国石材施工協会  施工協会ニュース

まとめ

近年埋葬の方法が多様化しており、円安による石材や材料などが高騰した影響もあって建墓数が減少傾向です。
全国石材施工協会は厳しい現状を打開しようと、さまざまな取り組みをおこなっています。
協会資格の発行や石材施工の技術基準化を軸とし「適切」な施工を目的としています。
そのためには社会保障や福利厚生を充実させて、施工技術者の確保に努めることが重要だと考えているのです。
適切な労働環境と適切な施工、適切な業務により「健全な業界」を実現し、問題解決をめざしています。

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