メモリードグループの業績・歴史まとめ|冠婚葬祭互助会大手の財務状況を解説

メモリードグループ

新型コロナが発生した2020年以降、葬儀業界は大きな打撃を被っていますが、その中でも冠婚葬祭互助会事業者は大きな影響を受けたといわれています。
互助会大手のメモリードグループも例外ではなかったようです。

そこで今回は、メモリードグループの全体像や歴史、決算公告から見た利益や業績についてまとめたいと思います。
地域密着型の葬儀社様にとって参考になる部分もあるかと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

メモリードグループの概要

メモリードグループ

メモリードグループは、総本部を長崎県に置き、冠婚葬祭互助会事業、婚礼事業や葬祭事業を中心に、保険、レストラン、ホテル、貸衣装、スタジオサロンの運営など、幅広い事業を展開しています。

2022年5月現在の互助会口数は約94万件年間葬儀件数は約1万9600件、婚礼件数は約3100件となっています。

また、メモリードグループでは「葬儀革命®」宣言として、多くの1級葬祭ディレクターが所属し、細やかな心配りで遺族の方をサポートする「サービス革命」、ホテル並みの設備で24時間対応する「施設革命」、数多くの施行実績に裏打ちされた明朗でお得な「料金革命」の3つを掲げています。

メモリードグループの構成

メモリードグループ

出典:メモリードグループ「グループ概要」

メモリードグループは、九州エリア(長崎県、宮崎県、福岡県、佐賀県)関東エリア(群馬県、埼玉県、東京都)を中心に187カ所の施設を所有しています。(2020年5月末現在)

メモリードグループを構成する主要な法人は、次の3社になります。

  • 株式会社メモリード(長崎)
    1969年に(株)長崎冠婚葬祭互助センターとして設立されたのがメモリード(長崎)です。
    現在は、メモリードグループの総合本部を長崎県西彼杵郡長与町に、県央事業部(諫早市)、佐世保事業部、佐賀事業部、福岡事業部の4つの事業部を置いています。
    また、斎場を長崎県23施設、佐賀県21施設、福岡県22施設運営しています。
  • 株式会社メモリード(関東)
    株式会社メモリード(関東)は、1981年にメモリードグループの関東拠点として設立されました。群馬県前橋市に群馬本社、東京都千代田区に東京本社を置いています。
    株式会社メモリード東京は、2022年12月にメモリード(関東)と合併して権利義務を承継されました。
  • 株式会社メモリード宮崎
    宮崎市に本社を置く株式会社メモリード宮崎は、総合斎場セレモニーホール宮崎をはじめ、28か所の葬儀場を運営しています(2023年6月現在)
    株式会社ハーモニーの会員を引き受けて1989年に株式会社セレモニー宮崎として営業を開始しました。2016年に商号を現在の株式会社メモリード宮崎に変更しています。

そのほかにもメモリードグループには、多くのグループ企業があります。

メモリードグループの歴史

大手冠婚葬祭互助会であるメモリードグループは、50年を超える歴史があります。メモリードグループが現在に至るまでの足跡を大きな出来事を中心にたどってみましょう。

1969年7月:(株)長崎冠婚葬祭互助センター 設立(本社:長崎県長崎市)
1975年9月:互助センター友の会の代理店として東京進出
1981年3月:本社ビル完成(長崎市稲佐2-2)
   6月:(株)メモリード(本社:群馬県)を設立
   8月:(株)長崎冠婚葬祭互助センターを現在の(株)メモリード(本社:長崎県)へ商号変更
1987年3月:通商産業大臣許可(互)3123号取得し、(株)メモリードとして会員募集開始
1989年8月:(株)セレモニー宮崎 メモリードグループへ
      ※宮崎地区がグループ営業管内へ
1990年5月:メモリードグループ東京本部を開設
1993年1月:グループの総合本部として「メモリード総合本部」開設(西彼杵郡長与町)      
     (株)メモリードの本社ビルの移転
1997年3月:社旗・社章新デザインに変更
2001年4月:商標登録「葬儀革命」登録第4469504号 特許庁許可
2005年4月:(株)ぐんかん メモリードグループへ
2006年8月:(株)メモリードライフ設立
   9月:プレス発表 メモリード 生命保険業へ進出
2010年4月:(株)メモリード九州 メモリード長崎へ移管
2012年4月:福岡地区葬儀場名称を「メモリードホール」へ統一
2013年2月:(株)メモリード東京設立

出典:メモリードグループ「沿革」

メモリードグループの決算公告からみる利益や業績

株式会社は定時株主総会の後に貸借対照表を公告する義務があり、その行為を決算公告と言います。

公告の方法は全部で3つあります。 

  • 官報に掲載
  • 日刊新聞紙に掲載
  • 電子公告(会社のウェブサイトに掲載)

決算公告は義務的な意味合いが強いですが、取引先や銀行に情報の開示を行うことで、自社の透明性や健全性を見せることができるという重要な側面も持ち合わせています。

今回はメモリード内の、主要なグループ会社の決算公告から、グループ全体の業績を分析していきます。

今回分析する主要グループ会社は、以下の4社です。

メモリードグループの貸借対照表

メモリードグループ

貸借対照表でチェックしたい箇所は純資産の部です。総資産に対する純資産の比率である自己資本比率が高いほど、その企業の経営状態は良好であると考えられます。
自己資本比率が50%以上であれば、経営状態は良好とされていますが、10%を下回っている場合は改善が必要な状況といえるでしょう。

自己資本比率が低い場合は、借入金などの負債が多い状況であり、資金繰りが厳しいことが予測されます。
一方で自己資本比率が高い場合は、返済義務を有しない資金を大量に抱えているので、倒産リスクは低くなると考えられるのです。

メモリードグループの自己資本比率は、3.79%

自己資本比率は「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」の計算式で算出可能です。
メモリードグループの2022年5月期の自己資本比率を求める式は下記のようになります。

43億6千4百万円(純資産)÷ 1150億5千4百万円(総資産)×100=3.79
上記の式から同社の自己資本比率は3.79%(前年比で0.63ポイント増加)となりました。

利益剰余金

利益剰余金とは簡単に言うと会社の貯金のようなもので、その会社の生んだ利益を分配せずにコツコツと社内で貯めたお金です。
正確な会計用語ではないですが利益剰余金のことを内部留保とも言います。

利益剰余金は、金融危機などの影響で収益状況が悪化した際にも、従業員の給与や固定費の支払いに活用できるため企業が生き残るための重要な資金源となります。

メモリードグループの利益剰余金の推移は以下の通りです。

メモリードグループ

メモリードグループ全体の利益剰余金は、2020年、2021年度と2年続けて減少していますが、2022年度には16億9千9百万円(前年対比80.94%増)と大きく増加に転じました。
2020年、2021年は、新型コロナウイルス感染症流行により大きな行動規制があった時期です。その影響により利益剰余金が減少したことが予測されます。

メモリードグループの損益計算書

※損益計算書に「メモリード東京」は含まれません。

メモリードグループ

売上高の推移

メモリードグループ

過去3年間の売上高の成長率の推移は、2020年5月期は、317億3千0百万円(前年比成長率は-4.98%)、2021年5月期は、244億8千7百万円(前年比成長率は-22.83%)、2022年5月期は297億5千4百万円(前年比成長率は21.51%)となっています。

メモリードグループの売上高は、新型コロナの影響が大きかったと思われる2020年5月期、2021年5月期に減少したものの、2022年5月期の売上高は回復傾向にあります。

営業利益の推移

営業利益とは、売上総利益から販管費(=販売費および一般管理費)を差し引いて算出されます。つまり、どのくらい本業で儲ける能力があるかを表す数字となります。

メモリードグループ

過去3年間の営業利益の推移は、2020年5月期は‐3億8千2百万円(前年比‐5億6千6百万円)、2021年5月期は-9億1千1百万円(前年比‐5億2千9百万)、2022年5月期は9億1千7百万円となりました。
新型コロナ関連の影響が大きかった2020年・2021年は、大きく営業損失が発生していますが、2022年5月期に過去5年間で最高額となる9億1千7百万円の営業利益をあげています。

事業活動による純粋な利益を表す営業利益率「営業利益÷売上高×100」で求められますが、おおむね5%を超えると優良とされています。

9億1千7百万円(営業利益) ÷ 297億5千4百万円(売上高)×100=3.08
上記の式からメモリードグループの営業利益率は3.08%(2022年5月期)となっています。
優良とされる5%には及ばないものの、営業利益率は大きく改善しているようです。

経常利益の推移

経常利益はその会社の実力が一番分かる数字で、本業以外の稼ぎ(金融商品、株、為替などの取引で発生した利益)も含めその会社全体でどれだけ稼ぐ力があるか分かります。

メモリードグループ

過去3年間の経常利益の推移は、2020年5月期は-6億5千9百万円(前年比‐9億9千9百万円)、2021年5月期は‐2億8千7百万円、2022年5月期は12億3千9百万円となりました。2022年5月期の経常利益は、過去5年間の中で最も高い値を示しています。

当期純利益・損失

会社が1年間で得た全収益から法人税や住民税そして費用を差し引いたものが当期純利益となります。
この当期純利益がマイナスとなると当期純損失となります。
当期純利益の額をみることで、その会社の収益性がどのくらいなのか判断できる指標になります。
メモリードグループの当期純利益・損失の推移は以下の通りです。

メモリードグループ

メモリードグループは、2020年度に一時的に大きく当期純損失となりました。メモリードグループ3社個別の損益計算書から見ると、メモリード(長崎)メモリード(関東)が大きく損失を出していることがわかります。

2021年5月期以降は、グループトータルで利益を出しているようです。

メモリードグループ各社の代表取締役

メモリードグループの主要3社の代表取締役は、グループの創業者である吉田茂視氏のご子息が務めています。

各社の代表取締役は、以下の通りです。

社名代表取締役
株式会社メモリード(長崎)吉田昌敬
株式会社メモリード(関東)吉田卓史
株式会社メモリード宮崎吉田明夫

おわりに

今回は、大手冠婚葬祭互助会メモリードグループ主要3社の決算公告資料をもとに、過去5年間の財務状況や業績の推移を分析しました。

新型コロナウイルス感染症の流行により、葬儀業界は大きな打撃を受けました。
メモリードグループも例外ではなく、2020年5月期、2021年5月期の各数値はその影響を強く感じさせますが、2022年5月期には各数値が大きく好転しています。

2023年5月には新型コロナも5類相当に移行し、葬儀業界も全体的に回復基調にあるといわれています。まだまだその影響は気になるところですが、メモリードグループ各社の2023年5月期決算公告にさらに注目していきたいところです。

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